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2025年7月 9日 (水)
マイクロマシンセンター各種委員会およびMEMS協議会活動について
今年は梅雨明けを待つことなく、既に暑い日が続いておりますが、マイクロマシンセンターでは、各種委員会及びMEMS協議会の活動を精力的に実施しております。
まず、6月5日に、今年度第1回のMEMS事業者連携委員会(委員長:東京大学 年吉洋教授)を開催し、経済安全保障を中心に今年度のテーマにする事案について検討を行いました。(詳細はこちらのブログ記事をご覧ください。)
6月16日には、国際交流委員会(委員長:東京大学 伊藤寿浩教授)をオンラインで開催し、今年度の国際関連イベントの開催状況や、既に開催された第28回国際マイクロマシンサミット2025(カナダ・モントリオール6月2日-5日)の参加報告がありました。(詳細は、こちらのブログ記事をご覧ください。)
また、6月23日には、MEMS協議会活動をサポートする産業交流委員会を書面開催し、本協議会の昨年度活動結果と今年度活動計画について報告いたしました。
さらに、7月2日には、Monthlyトピックス2に示したように、第1回産業動向調査委員会を開催しています。
さて、MEMS協議会活動全般をとりまとめるMEMS協議会推進委員会は、6月30日、霞が関官庁街に隣接したAP虎ノ門会議室で開催されました。(写真1)
まず、鮫嶋茂稔理事長(MEMS協議会会長)(写真2)による主催者挨拶として、MEMS事業者連携委員会において引き続きMEMSの競争力回復に向けた政策提言等に努めることや、MNOIC事業が工程受託を中心に事業量を増やし、着実に活動を進めていることなどのお話がありました。
次に、経済産業省 情報産業課デバイス・半導体戦略室長の清水英路様(写真3)から、最新の「半導体・デジタル産業戦略の現状と今後」についての説明があり、三つのステップによるAI・半導体産業支援を積極的に進めていること、生成AIの本格社会実装時代を見据え、ロジック領域の技術・産業基盤の充実・強化のみならず、先端メモリへの投資拡大や次世代メモリの開発促進、アナログ・レガシー領域を含めた国内供給の多様性確保など、半導体を取り巻く「総合力」を高めるために政府として取り組んでいくことなどが紹介されました。また、MEMSについても、1年ぶりに記述が復活となり官民で政策のアプローチを検討していくことが示されました。
経産省のイノベーション政策課やIEC課等からの政策紹介やNEDO、産総研関連部門からの活動紹介などののち、MEMS協議会メンバーからは生成AIの出現により社会実装できなかった過去のプロジェクトの成果を再価値化できるのではないかとの声や、MNOIC事業のユーザーとして装置の高度化や老朽化対策を是非お願いしたいなど、多くの意見をいただくことが出来ました。
最後に評議員などのご来賓や、アソシエートメンバー等も含め約50名を超える参加者で行われたメンバー交流会では、企業や大学の枠を超えた本音の議論が繰り広げられ、半導体に大きな予算がついている中、MEMSにもどのように予算を付けていただけるようにするか、MEMS人材をどう確保・育成していくか、などが話題となっていました。本メンバー交流会のようなリアルに顔を合わせて議論を行う機会の重要性・貴重性をますます実感したところです。
(写真1)2025MEMS協議会推進委員会
Mmcmems2025_02 Mmcmems2025_03
(写真2)鮫嶋茂稔理事長 (写真3)清水デバイス・半導体戦略室長
(MEMS協議会事務局 濱田直春)
2025年7月 2日 (水)
2025 第28回「国際マイクロマシンサミット」(カナダ・モントリオール) 参加報告
マイクロマシンサミットは、年に1回、世界各国・地域の代表団が集まり、マイクロマシン/ナノテクノロジーに関する課題や展望につき意見交換する場です。日本の提案により1995年3月に京都で開催されたのが始まりで、以後、各国持ち回りで開催されています。第28回マイクロマシンサミット(図1)が、カナダのモントリオールで、2025年6月2日(月)から5日(木)まで開催されましたのでご報告いたします。
今回のトピックスは「MEMS and IoT」でした。日本からは東京大学 大学院精密工学専攻の伊藤寿浩教授がチーフデリゲイトとなり、マイクロマシンセンター(MMC)の国際交流担当の武田と2名で参加いたしました。今回のジェネラルチェアは、カナダのCMC Microsystems CEOのGordon Harling氏で、会場はLe Centre Sheraton Montreal Hotelでした。
図1 第28回マイクロマシンサミット概要
今回は参加国・地域が例年より少なく、欧州から3カ国1地域(イタリア、ルーマニア、UK、イベリア)、北アメリカから1カ国(カナダ)、アジアから1カ国(日本)、オセアニアから1カ国(オーストラリア)の7国・地域から19名のデリゲイトの参加がありました。また、新たな参加国はございませんでした。最も参加者の多かったのは開催国のカナダ、イベリア地域(スペイン)とオーストラリアが4名でした。会場の様子及び集合写真を写真1、写真2に示します。
写真1 会場の様子
写真2 集合写真
第1日目はカナダのチーフデリゲイトのCMC Microsystems CEOのGordon Harling氏の開会の挨拶(写真3)の後、各国の現状を報告するチーフデリゲイトからのカントリーレビューとデリゲイトからの関連するプレゼンの計15件の発表がありました。日本からは伊藤チーフデリゲイトから日本のIoTへの取り組み状況及びIoT関連プロジェクトとして、SiPとムーンショットプロジェクト及びMMCのSiM(Study of Innovative MEMS for emerging society)の取り組み状況等の紹介がなされました(写真4:伊藤チーフデリゲイトのプレゼンの様子)。
各国とも半導体、MEMS、フォトニックスと量子技術を一体として大きな予算がついて研究開発を実施していることが分かりました。
写真3 Gordon Harling氏の開会の挨拶の様子
Mms2025_05
写真4 伊藤チーフデリゲイトによる
日本のカントリーレビュー報告の様子
また、2日目のCMC賛助会員の発表では、11件のプレゼンと2件のパネルディスカッションがありました。プレゼンではTeledyne MEMSやプロト試作から少量産までを担うC2MI等のファウンドリ及び指向性マイクのSoundskrit社や2周波MEMSタイミングデバイスのStathera社等、今話題になっているスタートアップからの発表がありました。
パネルディスカッションは、「Global Collaboration and Future Trends in Smart Systems」と「Innovation in MEMS and IoT: Challenges and Opportunities」の2つのテーマで行われました。パネルディスカッションの様子を写真5に示します。
写真5 パネルディスカッションの様子
また、今回主催のCMC Microsystemsには新たにMMCの海外アフィリエイトになっていただき、バンケットの前に調印式をおこないました。その様子を写真6に示します。
写真6 CMC MicrosystemsとMMCの調印式の様子
テクニカルツアーとしては、6月5日(木)にモントリオールからバスで2時間の距離にあるシャーブルック大学の施設である量子技術の研究施設IQ(Institut QUANTIQUE)、概念実証の試作ラボである3iT(Institut interdisciplinarire d’innovation technologique)と少し離れた量子関連のレンタル施設EQ1(Espace Quantique 1)を見学するとともに、帰路にシャーブルックとモントリオールの途中に位置するブロモンで少量産ファウンドリのC2MI(Centre de Collaboration MiQro Innovation)を見学しました(写真7参照)。
今回見学したIQ、3iT、C2MIは基礎研究から概念実証を経てプロトタイプ試作・少量産までの統合イノベーションチェーンを形成しており、さらにC2MIの施設は直ぐ近くに量産工場を有するIBM(パッケージング)とTeledyne MEMS(MEMS)と同じ装置が入っており、C2MIでの少量産の後、大量生産に直ぐに移行できるエコシステムが整えられており、カナダの取組みには学ぶべきものが多くありました。
写真7 テクニカルツアーの様子
次回のMMS2026は来年の6月に、開催地はUKのサウサンプトンで、オーガナイザーはサウサンプトン大学のNick Harris教授が務めることになりました。今回はサウサンプトン大学のNick Harris教授とともにサウサンプトン大学で准教授をしている日本人の土屋良重先生も出席されていました。テーマは未だ決まってはおりませんが、今後もマイクロマシンサミットにおいて、世界各国のMEMS関係機関との国際交流を深め、世界のMEMSの最新動向を入手して、情報発信してまいります。
(MEMS協議会 国際交流担当 武田宗久)
第1回MEMS事業者連携委員会開催報告 (2025年6月5日)
今年度第1回MEMS事業者連携委員会(委員長:東京大学 年吉洋教授)を、対面とオンラインのハイブリッドで50名程の事業者や大学の先生方のご参加を得て、2025年6月5日に開催いたしました。
今回は議論に先立ち、2件の講演がありました。
1.経済産業省商務情報政策局
情報産業課 課長補佐 加藤公彦 様
「我が国の半導体デジタル産業について」
2.豊橋技術科学大学
次世代半導体・センサ科学研究所 所長・教授 澤田和明 様
「マルチモーダルブロードセンシングによるグリーンイノベーション」
経産省 加藤課長補佐からは「我が国の半導体デジタル産業について」という講演題目で経産省が2021年より公開され今年5月30日に改訂された半導体デジタル産業戦略について、2030年に市場規模を15兆円に拡大することを目指し、戦略を次の3ステップで進めていく旨のご説明がありました。ステップ1: 国内生産基盤の強化(例:JASM支援、先端/レガシー半導体)、ステップ2: 技術確立と日米等国際連携(例:ラピダスの2nm開発)、ステップ3: 光電融合・量子など将来技術への対応。その中でアナログ・レガシー半導体に対する今後の支援の考え方で電子部品やMEMS等、また半導体については前工程のみならず設計や後工程も含め、官民で政策のアプローチを検討していくとのご説明もありました。
またLSTC(技術研究組合最先端半導体技術センター)による人材育成と先端技術開発として、ビヨンド2nmの先進技術(例:縦型トランジスタ、配線技術)を研究とTenstorrent社と連携した設計人材育成プログラムについてのご紹介がありました。
豊橋技術科学大学 澤田教授からは「マルチモーダルブロードセンシングによるグリーンイノベーション」という講演題目では、現状、高感度・高選択性センサが主流であり、且つ多センサ化に伴う消費電力・コスト増大が課題となっている。特性が異なり、且つその特性が既知のセンサをいくつか組み合わせ、それらを同時に検出することができれば、少ないセンサで多様な情報を測定できるようになる可能性があり、少数のセンサでも組合せ・学習により多様な物理情報を取得可能とする「ブロードセンシング技術」での環境・社会課題に対応した低消費電力・高効率なセンシングの実現を通じて、持続可能なグリーン社会に貢献できるとの提案がありました。
加えて豊橋技術科学大学としての人材育成の取り組みについてもご紹介がありました。
委員会の議論においては今年度の課題として1.経済安全保障関連、2.統計上の課題、3.人材、4.ファウンドリ・研究拠点、5.アプリケーション、6.研究開発関連を事務局案として提案しました。
さらに事務局は上記6つの課題を説明した上でMEMSの経済安全保障上の位置づけが進んでいないことへの懸念と、日本政府による支援の必要性を訴え、今般5月30日に新たに発表された「半導体・デジタル産業戦略の現状と今後」の資料の中に、1年ぶりにMEMSに関する記述が復活し、「アナログ・レガシー半導体に対する今後の支援の考え方」の中で、「電子部品やMEMS等、また半導体については前工程のみならず設計や後工程も含め、官民で政策のアプローチを検討していく。」とされているところに着目することが適当ではないか。またMEMSを経済安全保障上の特定重要物資として指定されるために必要なサプライチェーン調査を、本委員会においてもできる範囲で実施していくことが必要か、加えてMEMSに関する人材育成、大学との連携強化が必要ではないかなどの提案をしました。
これらの事務局提案をもとに次回委員会までに各委員に議論するべき課題について検討依頼を行いました。
次回開催は2025年11月6日を予定しています。
なお、この「MEMS事業者連携委員会」は、MEMSに関する事業や研究を行われている事業者や、大学・公的研究機関の方々には、広く門戸を開放しておりますので、ご関心のある向きは、これからのご参加を歓迎いたします。
委員会への参加には委員やオブザーバ等への登録が必要ですので、下記事務局の方にお問合せをいただければと思います。また当センターホームページからも登録可能です。
★MEMS事業者連携委員会ホームページ
https://www.mmc.or.jp/mbcc/index.html
★MEMS事業者連携員会事務局
メールアドレス
(MEMS事業者連携委員会事務局 八嶋 昇)
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