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SSN研究会
2024年2月 7日 (水)
MEMSセンシング&ネットワークシステム展2024 開催報告 (2024年1月31日〜2月2日)
マイクロマシンセンター(MMC)は、2024年1月31日(水)から2月2日(金)までの3日間、東京ビッグサイトで開催された「MEMSセンシング&ネットワークシステム展」を主催しました。
MMCブースでは、研究開発プロジェクトとして「量子干渉効果による小型時計用発振器の高安定化の基礎研究(HS-ULPAC : High Stability Ultra Low Power Atomic Clock)」、「メタサーフェスSiハイパースペクトル赤外光センシングデバイス(MESH : MEtasurface Si Hyperspectral Infrared Sensing Device)」、今年度から活動を開始している「MEMS事業者連携委員会」の紹介を始め、MNOIC事業、標準化事業、調査研究事業などを展示しました。
[画像:Photo1_mems2024]
写真1 MMC展示ブース
ブース展示とともに例年通り各種講演会も開催いたしました。1月31日は特別シンポジウム「MEMS・半導体次世代テクノロジーフォーラム」、2月1日は午後にTIA-MEMSウインターセミナー/MEMS講習会、研究開発プロジェクト/SSN研究会公開シンポジウム、MEMS協議会フォーラムを開催しました。
●くろまる1月31日10:15〜12:15
特別シンポジウム「MEMS・半導体次世代テクノロジーフォーラム」
@東5ホール シーズ&ニーズセミナーC
本シンポジウムでは、MEMS、センサの実用化・応用先として期待される次世代テクノロジー(半導体、5G、IoT、DX、ロボット、AIなど)にフォーカス。次世代MEMS・半導体市場、最先端のMEMS・半導体技術が社会および産業に貢献するビジョンや方向性について、政策動向や最新情報を報告しました。
まず「半導体・デジタル産業戦略の現状と今後」と題して、経済産業省情報産業課企画官小林健様から、半導体産業の現状と我が国半導体産業復活の基本戦略の3ステップに従った最新の進捗状況について説明がありました。さらに今般その戦略の中にSAW/BAWを含む電子部品が加わったことと、それに続いて戦略にMEMSを加えようとしていることについてのご説明をいただきました。
次に東京大学 生産技術研究所教授年吉洋様から「産学連携MEMS研究:これまでとこれから」として、MEMS発展の過程における、発展可能性を探る大学の研究と利益一点を追究する企業の研究の違いを示して、今後もお互いに補完しながら開発を行っていく必要性についてお話がありました。
3番目の講演は、「モバイルの進化を可能にするRFフィルター技術」というタイトルで、スカイワークス・ソリューションズ株式会社BAW/SAWフィルター開発総括副社長アレクサンドレ・シラカワ様から、RFフィルター(BAW・SAW)の設計と製造プロセスの進化に焦点を当て、通信分野における重要部品に成長した経緯と技術革新についてご報告いただきました。
本シンポジウム最後は「産総研センシングシステム研究センターにおけるセンシング技術の半導体分野への展開」と題して、産総研九州センター所長植村聖様から、産総研で開発してきたセンシング技術、センサ製造技術とその適応事例のご紹介と、今後それらの技術を活かした半導体産業への貢献、展望についてご報告いただきました。
[画像:Photo2_1_mems2024]
[画像:Photo2_2_mems2024]
写真2 特別シンポジウム
●くろまる2月1日13:30〜14:30
TIA MEMS ウインターセミナー/MEMS講習会
@東5ホール シーズ&ニーズセミナーC
例年通り、主に学生や若手技術者向けにTIAの次世代人材育成事業に協力して実施するTIA-MEMSウインターセミナー MEMS講習会を開催しました。本講習会では、人と機械とのコミュニケーションに必要な注目技術である触覚センシングの最新技術についてMEMS初心者にもわかりやすく紹介されました。
まず「極薄MEMSハプティック素子によるリモート触覚伝達システムの開発」と題して、産総研センシングシステム研究センターハイブリッドセンシングデバイス研究チーム長竹井裕介様から、極薄MEMS技術により厚さ7μmの圧電薄膜アクチュエータの開発と振動を最大化するフィルム基板実装技術により、多彩な触覚を表現できるハプティクスフィルムの開発についてご説明いただき、この素子を用いた双方向リモート触覚伝達システムに関する取り組みついてのご紹介をいただきました。
次に香川大学創造工学部教授高尾秀邦様から「指先の手触り感を見える化する技術:シリコンMEMSナノ触覚センサ」として、人間の指先が持つ精緻な指紋構造と触覚受容器の機能を模倣する独自の原理による「粗滑感」「摩擦感」「硬軟感」「乾湿感」「冷温感」の5大触覚要素を実現するシリコンMEMSナノ触覚センサを開発し、繊細な指先の感覚を可視化する技術をご紹介いただきました。この触覚センサは、高尾先生が設計し、マイクロマシンセンターのMNOIC(マイクロナノ・オープンイノベーションセンター)が作製したものです。
[画像:Photo3_mems2024]
写真3 TIAウインターセミナー
●くろまる2月1日14:45〜15:45
研究開発プロジェクト成果報告会/SSN研究開発公開シンポジウム
@東5ホール シーズ&ニーズセミナーC
本報告会では、持続可能な社会の実現を目指してマイクロマシンセンターが現在取り組んでいるセンサやセンサネットワークシステム関係の技術開発プロジェクトの概要及び成果の報告が行われました。
まずは新エネルギー・産業技術総合開発機構(NEDO)の委託で2023年度から開始した「NEDO先導研究プログラム/未踏チャレンジ/メタサーフェスSiハイパースペクトル赤外光センシングデバイス(MESH)」の基礎基盤技術を「シリコンを基材に利用した赤外光センサの展開」として電気通信大学教授菅哲朗氏からシリコンとプラズモニクスを融合することで得られるシリコン製赤外光センサの研究開発とその展開についてご報告いただきました。
次にNEDO助成事業として実施している「非侵襲連続超高感度血中成分計測デバイス」について「血中成分モニターデバイスの研究開発 〜タニタのビジョンと商品開発の方向性〜」としてタニタ蔦谷孝夫氏から研究進捗の経過報告がありました。
[画像:Photo4_mems2024]
写真4 研究開発プロジェクト成果報告会/SSN研究開発公開シンポジウム
●くろまる2月1日16:00〜16:40
MEMS協議会フォーラム
@東5ホール シーズ&ニーズセミナーC
本フォーラムでは、弊センター長谷川英一専務理事から今年度「産業動向調査委員会」が作成している「我が国MEMS事業者に関する動向調査」についての中間報告として、MEMS関連産業の現状とMEMS事業者の抱える課題の分析結果の紹介、並びにそれをもとに今後のMEMS戦略策定に資する政策提言などの検討を行うために新設した「MEMS事業者連携委員会」の状況についての紹介が行われました。また最後に経産省の半導体・デジタル産業戦略検討会議(2023年11月29日)が示した「半導体・デジタル産業戦略の現状と今後」に組み込まれた「MEMSの現状および今後の方向性」に対するマイクロマシンセンターの期待についての説明が行われました。
[画像:Photo5_mems2024]
写真5 MEMS協議会フォーラム
今回の講演会は全て展示ホール内のセミナー会場で行われましたが、各講演会の会場は満席となり、追加の椅子を準備するほど盛況で、今回の講演テーマに対する関心の高さがうかがえました。
2024年度は2025年1月29日〜31日、東京ビッグサイト東ホールで開催を予定しております。
(MEMS協議会 八嶋 昇)
2024年2月 7日 (水) MEMSビジネス展, 活動全般, 産業・技術動向, MNOIC/TIA, SSN研究会, 事業者連携委員会 | 固定リンク
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2023年2月 8日 (水)
MEMSセンシング&ネットワークシステム展2023 開催報告 (2023年2月1日〜3日)
マイクロマシンセンター(MMC)の主催する「MEMSセンシング&ネットワークシステム展」を2023年2月1日から3日の3日間、東京ビッグサイトで開催し、弊センターは会場出展並びに講演会を実施いたしました。
MMCブースでは、研究開発プロジェクトとして「量子干渉効果による小型時計用発振器の高安定化の基礎研究(HS-ULPAC : High Stability Ultra Low Power Atomic Clock)」、「環境調和型MEMS技術の研究開発に関する戦略策定(EfriM : Environment friendly MEMS)」、昨年度から自主検討を開始した「感情センシング・フィードバックシステムの戦略策定」の紹介を始め、MNOIC事業、標準化事業、SSN研究会の概要などを展示しました。
[画像:Fig1_mems2023]
写真1 MMC展示ブース
ブース展示とともに例年通り各種講演会も開催いたしました。
2月1日は特別シンポジウム「MEMS・半導体次世代テクノロジーフォーラム」、2月2日は午前にTIA-MEMS ウインターセミナー MEMS講習会、午後に研究開発プロジェクト、SSN研究会公開シンポジウム、MEMS協議会フォーラムを開催しました。
●くろまる2月1日10:30〜12:30:
特別シンポジウム
「MEMS・半導体次世代テクノロジーフォーラム」@東1ホール
本シンポジウムでは、MEMS、センサの実用化・応用先として期待される次世代テクノロジー(半導体、5G、IoT、DX、ロボット、AIなど)にフォーカス。次世代MEMS・半導体市場、最先端のMEMS・半導体技術が社会および産業に貢献するビジョンや方向性について、政策動向や最新情報が報告されました。
開会にあたって、MMCの長谷川専務理事より、「今回からMEMS次世代テクノロジーフォーラムからMEMS・半導体次世代フォーラムとしたが、もともとMEMSは国際半導体統計上もセンサという項目で半導体に分類されているが、日本ではロボット⇒マイクロマシン⇒MEMSという発展の経緯から半導体ということがあまり公言されていなかったところ、最近の半導体再興の機運の中で、経産省も製造装置やMEMSなどもまとめて半導体戦略の中で見ていくとの判断をされたことから、MMCとしてもMEMS・半導体フォーラムとしたものである。」旨の挨拶がありました。
それを受けて、最初の講師に立たれたのが経済産業省情報産業課長の金指壽様で、「半導体・デジタル産業戦略の現状と今後」と題して、半導体産業の現状と我が国半導体産業復活の基本戦略の3ステップ(ステップ1:IoT用半導体生産基盤の緊急強化、ステップ2:日米連携による次世代半導体技術基盤、ステップ3:グローバル連携による将来技術基盤)についてご説明いただきました。
次に産業技術総合研究所センシングシステム研究センター副研究センター長一木正聡様から「場でみるセンシングシステム」として、センシング技術により、人間活用あるいは生活環境の場から有意義な情報の抽出・解析を通じた価値創出が求められている中、産総研の直近の成果が価値創出にどのように寄与しているかご紹介いただきました。
3番目の講演は、「セラミックエレクトレットの創成と静電ハーベスターへの展開」というタイトルで、東京理科大工学部准教授田中優実様からは、新規高性能無機エレクトレット材料と本材料の振動型エナジーハーベスターへの応用について、ご報告いただきました。
本シンポジウム最後は「サーマルダイオード赤外線センサMelDIRと熱画像処理技術による活用」と題して、三菱電機の三輪祥太郎様から、赤外線センサMelDIRを活用した熱画像処理技術として深層学習を用いた人体検知技術について解説いただきました。
[画像:Fig2_mems2023]
写真2 特別シンポジウム
●くろまる2月2日10:30〜12:00:
TIA MEMS ウインターセミナー MEMS講習会
「MEMS最前線 大学におけるMEMS研究の面白さ」@102会議室
今回は、筑波大学と新たにTIAに加わった、東京大学、東北大学の三大学の先生から、MEMSに関係する研究の取組みや最新の研究成果についてご報告いただきました。
最初は「化学、バイオと微細加工」として筑波大学数理物質系教授鈴木裕章先生から化学、バイオ分野で進んでいるデバイスの微小化、集積化、高機能化を実現する微細加工技術についてご説明いただきました。
次に「自分で考えて、作って、評価できる、MEMSの面白さ」として東北大学マイクロシステム融合研究開発センターセンター長・教授 戸津健太郎先生からはMEMS加工の醍醐味について語っていただき、東北大学のクリーンルームの様子も生中継いただきました。
最後は「作って測って世界初」として東京大学教授附属システムデザイン研究センター 基盤デバイス研究部門研究部門長三田吉郎先生からスーパークリーンルームで学生と一緒に世界最高のMEMSを製造する過程についてご説明いただきました。
[画像:Fig3_mems2023]写真3 TIAウインターセミナー
●くろまる2月2日13:00〜14:00:
研究開発プロジェクト成果報告会@102会議室
防衛装備庁の委託で2019年度から開始した「量子干渉効果による小型時計用発振器の高安定化の基礎研究」の成果である「移動体搭載に向けた小型量子クロック技術の研究開発」として日本電気桐原明宏様から「移動体搭載に向けた小型量子クロック技術の研究開発」として量子干渉効果に基づく小型原子時計について、移動体搭載を想定した安定性向上のための研究開発についてご報告いただきました。
次にNEDO助成事業として実施している「非侵襲連続超高感度血中成分計測デバイス」について「『はかる』から始める行動変容アプローチ 〜血中成分モニターの小型高精度化に向けて〜」としてタニタ蔦谷孝夫様から研究進捗の経過報告がありました。
[画像:Fig4_mems2023]写真4 研究開発プロジェクト成果報告会
●くろまる2月2日14:15〜15:15:
感情センシングと環境調和型MEMSの研究開発シンポジウム
(SSN研究会公開シンポジウム)@102会議室
SSN研究会において次期プロジェクト提案を目指して検討を進めている2つのテーマについての紹介がありました。
セッション1では、人間の感情をセンシングし、それをフィードバックすることで様々な分野で活用する技術が徐々に実用化されつつある感性センシングについての技術動向について「Two-in-one system: 複数脳の同期と共感」として慶應義塾大学教授皆川泰代先生から人の協力行動や相互作用における脳の同期活動について、セッション2では、「自然に溶け込む調和型MEMS (EfriM : Environment friendly MEMS)」が活躍するインフラ分野に関して「BIMとセンサが実現するデジタルツイン」としてオートデスク株式会社アジア太平洋地域 土木事業開発部統括部長福地良彦様からBIMモデルとセンサ情報を統合し可視化することで実現するデジタルツイン技術について事例紹介がありました。
[画像:Fig5_mems2023]写真5 研究開発プロジェクト成果報告会
●くろまる2月2日15:30〜16:30:
MEMS協議会フォーラム@102会議室
本フォーラムでは、MEMS協議会として長年続けている「国内外技術」と「産業動向」という2つの調査について最新の報告がありました。
まず、長年MEMSの国際会議運営に携わってきた立命館大学理工学部小西先生から「国際会議発表を通してみるMEMS関連研究の動向」という題目でMEMSの研究開発動向について、わかりやすく解説頂きました。
次に、弊センター長谷川専務理事からマイクロマシンセンター産業動向調査委員会が2022年度に取りまとめている「グリーントランスフォーメーション(Green Transformation : GX)を支えるMEMS」の調査結果報告が行われました。
[画像:Fig6_mems2023]写真6 MEMS協議会フォーラム
各講演会の会場はほぼ満席で、今回の講演テーマに対する関心の高さがうかがえました。
2023年度は2024年1月31日〜2月2日、東京ビッグサイト東ホールで開催を予定しております。
(MEMS協議会 八嶋 昇)
2023年2月 8日 (水) MEMSビジネス展, MNOIC/TIA, SSN研究会 | 固定リンク
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2022年2月 2日 (水)
MEMSセンシング&ネットワークシステム展2022 開催報告 (2022年1月26-28日)
マイクロマシンセンター(MMC)は、2022年1月26日から28日までの3日間、東京ビッグサイトで開催された「MEMSセンシング&ネットワークシステム展」に出展しました。
写真1 MMC展示ブース
MMCブースでは、技術研究プロジェクトとして、2019年度から開始した「量子干渉効果による小型時計用発振器の高安定化の基礎研究(HS-ULPAC:High Stability Ultra Low Powe Atomic Clock)」と2020度から開始した「環境調和型MEMS技術の研究開発に関する戦略策定(EfriM: Environment friendly MEMS)」、今年度から自主検討を始めた「感情センシング・フィードバックシステムの戦略策定」の紹介を初め、今年度で研究を終了した「超高効率データ抽出機能を有する学習型スマートセンシングシステム(LbSS:Learning based Smart Sensing System)の研究開発」、今年度で研究を終了する「薄膜ナノ増強蛍光による経皮ガス成分の超高感度バイオ計測端末の開発」を展示し、自社事業として、MNOIC事業、標準化事業、SSN研究会の概要などを展示しました。
また、ブース入口には「マイクロマシンセンター 活動の歩み」として、前述の5つのプロジェクトを含む、1991年のマイクロマシン技術研究開発プロジェクトからほぼ30年間に渡る研究開発PJの歴史を展示紹介しました。あわせて2022年1月でマイクロマシンセンターは設立30年を迎えるにあたり、今後20年のMEMS技術の展望として、MEMSの応用が期待される12分野と、予測されるMEMSデバイス・技術の展示紹介いたしました。
写真2 活動の歩みと今後20年のMEMS技術の展望
展示会では、各種講演会も開催いたしました。1月26日は特別シンポジウム「MEMS次世代テクノロジーフォーラム」、1月27日は午前中に研究開発プロジェクト、午後にSSN研究会公開シンポジウム、1月28日はMEMS協議会「MMC創立30周年記念講演会」を開催しました。
●くろまる1月26日10:30-12:30:
特別シンポジウム「MEMS次世代テクノロジーフォーラム」@東3ホール
本シンポジウムでは、MEMSの実用化・応用先として期待される次世代テクノロジー(5G、IoT、ロボット、AI、バイオ、自動運転など)にフォーカスし、次世代MEMS市場、最先端のMEMS技術が社会および産業に貢献するビジョンや方向性について、最新情報を報告しました。
まず「現実・仮想空間を融合させる次世代無線通信技術の動向と課題」と題して、東工大 岡田先生から、VIDEO録画にて、第5世代移動体通信システム(5G)をはじめとする次世代無線通信技術の最新動向を解説されました。
次に村田製作所 吉田部長から、「MEMS技術とデバイスで進歩する社会」として、主に村田製作所で開発したMEMSの事例をあげ、同社での取り組みを紹介しました。
3番目の講演は、「活かせるデータを取得するためのセンサと高性能化におけるMEMS技術の活躍」というタイトルで、産業技術総合研究所のセンシングシステム研究センター副研究センター長の山下 健一氏からセンシングシステムとして活用し続けるため必要なMEMS技術について、報告されました。
本シンポジウム最後は「住友精密グループが提供する "MEMSソリューション"」と題して、住友精密の宮島室長から、住友精密グループの力を結集した"MEMSソリューション"提供推進の構想について紹介しました。
写真3 特別シンポジウム
●くろまる1月27日10:30〜12:00:
研究開発プロジェクト成果報告会@102会議室
防衛装備庁の委託で2019年度から開始した「量子干渉効果による小型時計用発振器の高安定化の基礎研究」の研究センター長であるMMC池上氏から「小型高安定で超低消費電力な原子時計の基礎研究」と題して目標を実現するために克服又は解明すべき要素課題の明示と、解決のための技術確立について報告頂き、次にNEDOプロジェクトで実施中の「血中成分の非侵襲連続超高感度計測デバイス及び行動変容促進システムの研究開発」の概要について電気通信大学の菅准教授とタニタの蔦谷氏から報告頂き、最後に今年度研究を終了した「超高効率データ抽出機能を有する学習型スマートセンシングシステムの研究開発と実証実験成果」と題して東京都市大学藤田教授から最新の研究成果が報告されました。
写真4 研究開発プロジェクト成果報告会
●くろまる1月27日13:30-15:30:SSN研究会公開シンポジウム@102会議室
感情センシングと環境調和型MEMSの研究開発シンポジウム(SSN研究会公開シンポジウム)では、セッション1-1ではMMCブースで紹介している環境調和型MEMS(EfriM)に関して、「環境調和型MEMS (EfriM: Environment Friendly MEMS) が切り拓く未来」と題して、その概要、ユースケース、開発戦略案等について、プロジェクトリーダーである藤田博之キャノンメディカルシステムズ(株)先端研究所名誉所長/東京都市大学教授からご講演頂き、次のセッション1-2では「次世代MEMS技術を基盤としたデジタルトランスフォーメーション」と題して、柔軟素材・液体金属を用いたウエアラブルセンサの開発とその応用について、太田裕貴横浜国立大学大学院工学研究院准教授からご講演頂きました。
さらに、セッション2-1では、「感情推定技術とその応用」と題して、接客スタッフの生産性向上のためのウエアラブルセンサやカメラを使ったQoE (Quality of Experience)評価システム、トレーニングシステム、現場支援システムの開発について、佐藤洋産総研人間情報インタラクション研究部門研究部門長からご講演頂き、最後のセッション2-2では、MMCブースで紹介している感情センシングに関して、「生体センシングによる人の感情推定と今後の展望」と題して、心拍・脳波等からラッセルの円環指標をつかって感情を推定する手法やその応用として人とロボットの心地よい距離等について、菅谷みどり芝浦工業大学工学部教授よりご講演頂きました。
写真5 SSN研究会公開シンポジウム
2022年度は、2023年2月1日(水)〜3日(金)、東京ビッグサイト、東ホールで「MEMSセンシング&ネットワークシステム展2023」の開催を予定しております。
(MEMS協議会 八嶋 昇)
2022年2月 2日 (水) MEMSビジネス展, Pj 国プロ全般, SSN研究会 | 固定リンク
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2021年6月25日 (金)
SSN研究会WG(EfriM)キックオフミーティング開催報告
2021年6月23日(水)15:00〜17:00にオンラインにて「SSN研究会WG(EfriM)キックオフミーティング」を開催致しました。
一般財団法人マイクロマシンセンターでは、昨年度に一般財団法人機械システム振興協会からの委託を受け、今後発展が期待される屋外IoTのキー技術となる「環境調和型MEMS(EfriM : Environment friendly MEMS)技術の研究開発に関する戦略策定」事業を実施致しました。
本ミーティングはこの成果を基に今後プロジェクト化を図っていくために、SSN(Smart Sensing & Network)研究会の新たなWGとして立ち上げましたEfriM-WGのキックオフミーティングで、以下に示すプログラムのように、長谷川専務理事の主催者挨拶の後、EfriM関連の4件の基調講演とEfriM-WGの進め方に関して説明を行いました。
【プログラム】
15:00〜15:05 (1)主催者挨拶
長谷川 英一【(一財)マイクロマシンセンター 専務理事】
15:05〜16:45 (2)基調講演(講演20分、質疑応答5分)
15:05〜15:30 1「EfriMとは」
藤田 博之氏【キヤノンメディカルシステムズ(株)先端研究
所 名誉所長(EfriMプロジェクトリーダー)】
15:30〜15:55 2「インフラ分野のEfriM」
塩谷 智基氏【京都大学インフラ先端技術産学共同講座
特定教授】
15:55〜16:20 3「災害分野のEfriM」
酒井 直樹氏【防災科学技術研究所先端的研究施設利活用
センター 副センター長】
16:20〜16:45 4「農業・畜産分野のEfriM」
伊藤 寿浩氏【東京大学大学院工学研究科 精密工学専攻
教授】(EfriMサブプロジェクトリーダー)】
16:45〜17:00 (3)SSN研究会EfriM-WGの進め方
以下に、本キックオフミーティングの内容に関して、簡単に紹介致します。
先ず、主催者挨拶として、長谷川専務理事から、創立30年を迎えるマイクロマシンセンターがこれまで実施してきた各種プロジェクトに関して簡単に説明を行うとともに、この次のMEMSとして、屋外に広範囲にばら撒いたMEMSを普及させるためには、EfriMが必要であり、プロジェクト化を図るために、今般SSN研究会に新たにEfriM-WGを立ち上げた旨の説明を行いました。この技術は内閣府の第6期総合科学・イノベーション基本計画で謳う「国民の安全と安心を確保する持続可能で強靭な社会」や昨今話題になっているグリーン・デジタル化にも資する技術であり、本日はEfriMの調査研究のプロジェクトリーダーをお務め頂いた藤田先生からEfriM全体の説明を頂き、インフラ、災害、農業分野の各分野で議論のリードを頂いた塩谷先生、酒井先生、伊藤先生からそれぞれの分野のEfriMの説明を頂くことにしていますので、この技術に関心を持って頂いて、是非WGに参加して一緒にプロジェクト化を図って頂くようにお願い致しました。(図1)
図1 長谷川専務理事の主催者挨拶の様子
次に、基調講演として、先ず、藤田先生より、EfriMとはどのようなもので、どのような技術が必要かについてご紹介頂きました。EfriMは自然に還る材料や自然に固定化(有害な材料を環境に流出しないように環境に無害な材料で包んでしまうこと)する材料を使って、低炭素な製造技術で作製し、屋外の広範囲にばら撒いて、環境を見守る用途に用いるものです。また、自然に還るあるいは固定化する材料で構成されているため、寿命がきた後も回収せずに、自然に放置しておくことが可能になるものです。昨年実施致しました調査研究では、EfriMに適したインフラ、災害、農業分野におけるユースケース、自然に還る材料や自然の中に固定化する材料・デバイス及び省エネ型製造技術を抽出するとともに、それらを組み合わせたシナリオを検討して、その絞込みとブラッシュアップにより、インフラ、災害、農業分野での有望な6つのEfriMセンシングシステムを選出したことが報告されました。また、これら6つのEfriMの研究開発のために必要な横断的技術を環境固定化技術、環境に還る技術及び共通基盤技術の3つの項目に整理するとともに、緊急時のみで使うシステムなのか、農作物の収穫など例えば半年間使うものなのか、あるいはコンクリート構造物モニタリングのように数十年にわたって使い続けるシステムなのかというような時間遷移を考慮した開発戦略としてまとめたことが紹介されました。(図2)
図2 藤田先生の講演の様子
次に、塩谷先生からはインフラの点検結果の概要及び保全フェーズ(初期、予防、事後)の説明があり、現状は表面状態だけしか計測できていないため、緊急対策としての事後保全しかできない課題があることが紹介されました。センサをインフラ構造物の内部にEfriMとして組み込むことができれば、調査・測量、設計、材料・施工、検査、維持管理というインフラ構造物建設のあらゆるフェーズで、内部状態を含めたリアルデジタルツインを実現できる。つまり、建設フェーズを一気通貫させるセンシング技術による外部情報と内部情報の統合により、本当の建設DXが実現できることが示され、EfriMへの期待が述べられました。(図3)
図3 塩谷先生の講演の様子
続いて、酒井先生からは2016年の熊本地震災害や土砂災害・地盤災害事例及びそこでのモニタリング事例の紹介があり、現状では定点での観測ができるのみで、広範囲な災害の予兆を検出できるようなセンシングシステムは存在しないとともに、災害が発生した場合に流出したセンサを回収することは困難なことが紹介されました。従って、環境に調和し、回収が不要なEfriMを広範囲に設置することができれば、経験と勘に頼っていた防災のデジタル化が図れ、さらに住民目線の防災が可能になることが示されるなど、EfriMへの期待が述べられました。(図4)
図4 酒井先生の講演の様子
最後に伊藤先生からは、農業の高収益化・完全無人化・高収量化・高品質化の具体的な課題、スマート農業の問題点、MEMSへの期待から、土に還るEfriMにより生物農薬・ロボットトラクタを用いたスマート農業が加速できることが紹介されました。また、畜産に関しては、ムーンショットの「牛ルーメンマイクロバイオーム完全制御によるメタン80%削減に向けた新たな家畜生産システムの実現」、JST-CRESTの「安全・安心のためのアニマルウオッチセンサの開発」及び内閣府SIPの「生体センシング技術を活用した次世代精密家畜個体管理システムの開発」等の紹介から、ピル型EfriMへの期待が述べられました。(図5)
図5 伊藤先生の講演の様子
以上4件の基調講演の後、事務局よりSSN研究会EfriM-WGの進め方についての説明とEfriM-WGへの勧誘(7/7締切)が行われました(図6)。
図6 EfriM-WGの進め方
今回はインフラ、災害、農業分野でのEfriMの開発戦略について紹介しましたが、EfriM自体は環境に調和して、回収を不要にする新たなIoTを実現するものですので、今回の3分野に限らず、他の分野も含めて広くプロジェクト化を模索していきたいと存じますので、ご関心のある方は下記へお問合せお願い申し上げます。
□しろいしかく--------------------------------------------------------------------------
一般財団法人マイクロマシンセンター MEMS協議会
SSN研究会 EfriM-WG 事務局 武田/藤井
E-mail: seminar1@mmc.or.jp
〒101-0026 東京都千代田区神田佐久間河岸67 MBR99ビル6階
Tel: 03-5835-1870 http://www.mmc.or.jp/
(MEMS協議会SSN研究会EfriM-WG担当 武田 宗久)
2020年12月15日 (火)
MEMSセンシング&ネットワークシステム展2021 開催報告 (2021年12月9-11日)
マイクロマシンセンター(MMC)は、2020年12月9日から11日までの3日間、東京ビッグサイトで開催された「MEMSセンシング&ネットワークシステム展」に出展しました。
写真1 MMC展示ブース
MMCブースでは、技術研究プロジェクトとして昨年度から開始した「量子干渉効果による小型時計用発振器の高安定化の基礎研究(HS-ULPAC:High Stability Ultra Low Powe Atomic Clock)」と今年度から開始した「環境調和型MEMS技術の研究開発に関する戦略策定(EfriM: Environment friendly MEMS)」の紹介を初め、MNOIC事業、標準化事業、SSN研究会の概要などを展示しました。
また、ブース入口には「マイクロマシンセンター 活動の歩み」として、前述の2プロジェクトを含む、1991年のマイクロマシン技術研究開発プロジェクトからほぼ30年間に渡る研究開発PJの歴史を展示紹介しました。
写真2 活動の歩み
また、会議棟102会議室において、12月9日〜10日にかけて、スマートセンシング&ネットワーク(SSN)研究会公開シンポジウム「MEMS次世代テクノロジーフォーラム」、環境調和型MEMSの研究開発シンポジウム、MEMS協議会フォーラム「MEMS講習会」、研究開発プロジェクト成果報告会を連続して開催しました。
公開シンポジウムでは、MEMSの実用化・応用先として期待される次世代テクノロジー(5G、IoT、ロボット、AI、バイオ、自動運転など)に注目し、次世代MEMS市場、最先端のMEMS技術が社会および産業に貢献するビジョンや方向性についての講演が行われ、DX進展の中でAIとMEMS技術が重要であることや、人とのインターフェースや各種センシングにおけるMEMSの重要性について紹介がありました。
写真3 特別シンポジウム「MEMS次世代テクノロジーフォーラム」より
環境調和型MEMSの研究開発シンポジウムではMMCブースで紹介しておりましたしました自然に溶け込む環境調和型MEMS(EfriM)」に関しましてその概要とそれが活躍する応用分野 並びにEfriMを実現するために必要な代表的な材料技術と製造技術についての講演があり、EfriMのサブプロジェクトリーダである東大伊藤教授からEfriMの概要説明を初め、防災科学技術研究所酒井副センター長のEfriMの必要性、東大磯貝特別教授の新規バイオ系ナノ素材の紹介、産総研鎌田センター長のプリンテッドエレクトロニクスの紹介がありました。
写真4「環境調和型MEMSの研究開発シンポジウム」より
MEMS協議会フォーラムでは、MEMSに関する産業動向や近年注目されている圧電MEMS、異種材料集積などの最新技術をMEMS初心者にもわかりやすく解説が行われました。
写真5 MEMS協議会フォーラム「MEMS分野の産業動向と注目技術」より
研究開発プロジェクト成果報告会では現在弊センターが研究開発している次の4件について報告がありました。
- 「小型高安定で超低消費電力な原子時計の基礎研究」
- 「超高効率データ抽出機能を有する学習型スマートセンシングシステムの研究開発」
- 「『血中成分の非侵襲連続超高感度計測デバイスおよび行動変容促進システムの研究開発』の取組み状況について」
- 「医療・健康を目的とした経皮ガス成分の超高感度バイオ蛍光センシング」
どの報告会も盛況で当該分野への関心の高さが伺われました。
写真6「研究開発プロジェクト成果報告会」より
2021年度は2022年1月26日〜28日、東京ビッグサイト東ホールで開催予定しております。
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2020年11月19日 (木)
第39回マイクロナノ先端技術交流会/2020年度 第1回医療MEMS研究会 開催報告
2020年10月22日(木)13:30 – 15:35に、「第39回マイクロナノ先端技術交流会/第1回医療MEMS研究会」をオンラインにて開催しました。
今回の先端技術交流会/医療MEMS研究会は、「医薬品事業におけるCAEの活用事例と予防医学への応用研究」をテーマに、サイバネットシステム株式会社 CAE事業本部CAE第1事業部 メカニカル 第2技術部 副部長 三浦孝広様、東京大学 生産技術研究所 マイクロメカトロニクス国際研究センター 教授 金範埈先生にご講演いただきました。
産業界や大学から計84名の参加申込があり大盛況でした。
最初のサイバネットシステム株式会社 三浦様からは、「ヘルスケア業界におけるデジタルエンジニアリングの活用事例」について、ご講演いただきました。
内容は、経済産業省のデジタルトランスフォーメーション(DX)推進に係るヘルスケア業界における課題とデジタル技術への期待について、医薬品事業や様々な医療機器開発へのCAE活用事例と医療工学・診断技術を支援する新しいデジタルエンジニアリングについて詳しく紹介いただきました。
この研究によって、ヘルスケア業界だけでなく製造業のサプライチェーンにおいて、イノベーションが起きるのではないか、と大きな期待を抱かせる内容でした。
続いて東京大学 金先生からは、「生体分解性マイクロニードルバッチを用いた新規DDSとグルコースセンサーへの応用」について、ご講演いただきました。
内容は、生体分解性材料を用いた医療機器による新規治療と予防医学への応用をお話いただきました。
生体分解性材料を用いた医療機器としてマイクロニードルの話をされたのですが、その特徴だけでなく作製方法についても詳しく紹介いただき、ご参加いただいた産業界の方の興味を引く内容でした。
また、先生の研究は、非侵襲の生体モニタリングだけでなく、非侵襲でのワクチン投与への応用が可能ということで、将来に向けて、大いなる期待を持ちました。
最後に、今回は新型コロナ感染症の影響もあり、初めてオンラインによる開催を行いました。
ご不便をお掛けした面も多々ございましたが、ご講演いただいた先生方をはじめ、ご参加いただいた多くの方々に、改めて感謝申し上げます。
(産業交流部 松下智彦 / 医療MEMS研究会 網倉正明)
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2020年2月25日 (火)
第3回SSN-WG3交流会「高精度時刻の社会実装の意義と課題」(2月5日)開催報告
2020年2月5日(水)15:00〜18:40の予定でマイクロマシンセンター会議室にて第3回SSN-WG3交流会「高精度時刻の社会実装の意義と課題」及び意見交換会を開催致しました。
スマートセンシング&ネットワーク研究会ワーキンググループ3(SSN-WG3)では原子時計の研究開発に関する活動を行っており、2015年〜2018年にNEDO道路インフラモニタリングプロジェクトの中で高精度(10ms@30カ月)と低消費電力(60mW)を両立した小型原子時計(ULPAC : Ultra-Low Power Atomic Clock)の開発を行いましたが、さらなる原子時計の高度化に向けたプロジェクト立案活動を行っており、その一環として、小型原子時計が社会実装された時に、どのような社会変革が起きるかを議論する場として本交流会「高精度時刻の社会実装の意義と課題」を開催しております。
第3回の今回は、東京大学IoTメディアラボラトリーの後藤富雄スペシャリストから「IoT研究者の立場から「超小型原子時計への期待」」と題するご講演と筑波技術大学産業技術学部の倉田成人教授から「地震防災と社会インフラの維持管理における超小型原子時計の応用」と題するご講演を頂きました。この分野に関心のあるメーカ、ユーザ、商社、研究機関を含め36名の参加者があり、活発な議論がなされ、大盛況でした。
先ず初めに、主催者の一般財団法人マイクロマシンセンターの長谷川専務理事より、開会の挨拶として、マイクロマシンセンターの活動の歩みの紹介の後、防衛装備庁の「安全保障技術研究推進制度」の2次募集にマイクロマシンセンターとして応募していた「量子干渉効果による小型時計用発振器の高度化の基礎研究」が2019年2月24日に採択されましたので、原子時計のさらなる高度化の研究開発を進めることが可能になったことが報告されました。本交流会は原子時計のプロジェクト化を目指した活動ではありましたが、原子時計の普及に向けた活動として、今後も年2回程度開催をしていきたい旨の報告がなされました。
その後、東京大学IoTメディアラボラトリーの後藤富雄スペシャリストから「IoT研究者の立場から「超小型原子時計への期待」」と題するご講演が行われました。後藤氏は日本電気のPC8000、PC8800等を開発された日本のPC界のレジェンドといっても過言ではないエンジニアの方であり、現在はビルゲイツ氏の寄付による冠講座である東京大学IoTメディアラボラトリーでIoTハッカソン(ハッカーとマラソンを合わせた混成語で、ソフトウェア開発分野のプログラマ、デザイナー、設計者らが集中的に作業をするソフトウェア関連プロジェクトのイベントである)等を実施されています。ご講演ではNECでの開発事例からIoTメディアラボラトリーで実施されているUSBHubや超解像アルゴリズムとその応用開発等の研究紹介の後、超小型原子時計への期待と要望として、GPS端末の精度向上を目指した移動体やスマホに搭載できるような更なる超小型、超薄型、低消費電力の原子時計に期待しているとの要望が出されました。
2番目の講演は、筑波技術大学の倉田成人教授の「地震防災と社会インフラの維持管理における超小型原子時計の応用」と題するご講演で、これまで倉田教授がなされてきた建物に設置した地震センサによる構造モニタリングや市販の小型原子時計(CSAC:Chip Scale Atomic Clock)を使ったIoT地震センシングシステムの紹介がありました。そのご経験から超小型原子時計は概ね100Hzのサンプリングで1m秒以内の同期精度が保たれ、できれば1年程度は同期精度を保持できるか容易な補正手段があり運用で解決できることが必要であるとともに国産の超小型原子時計の販売とサポートが受けられることを期待したいとの要望が出されました。
講演会の後、ご講演頂いた講師の方々を囲んで、有志で意見交換会が行われ、国産原子時計開発に向け、活発な意見交換がなされました。意見交換会は、予定の18:40を大幅に延長し、20:00過ぎまで参加者間の密度の濃い議論がなされ、大いに盛り上がりました。
次回の交流会は2020年の夏頃に開催を予定しています。
(一般財団法人マイクロマシンセンター 武田宗久)
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2020年2月17日 (月)
MEMSセンシング&ネットワークシステム展2020 開催報告 (2020年1月29-31日)
マイクロマシンセンター(MMC)は、1月29日から31日までの3日間、東京ビッグサイトで開催された「MEMSセンシング&ネットワークシステム展」に出展しました(写真1)。
MMCブースでは、今年度新たに開始した2つの研究開発プロジェクト(PJと略します)「血中成分の非侵襲連続超高感度計測デバイスおよび行動変容促進システムの研究開発(BaMBI)」と「薄膜ナノ増強蛍光による経皮ガス成分の超高感度バイオ計測端末の開発(SNIF)」のテーマ紹介を始め、MNOIC事業、標準化事業、SSN研究会の概要などを展示しました。また、ブース入口には「マイクロマシンセンター 活動の歩み」として、上述の2PJを含む、1991年のマイクロマシン技術研究開発PJからほぼ30年間に渡る研究開発PJの歴史を展示紹介しました(写真2)。
また、会議棟102会議室において、1月29日〜30日にかけて、スマートセンシング&ネットワーク(SSN)研究会公開シンポジウム、MEMS協議会フォーラム、研究開発プロジェクト成果報告会を連続して開催しました。
SSN研究会公開シンポジウムには、前述の今期開始したIoT社会実現のための超微小量センシング技術開発に関する2つのPJと医療・ライフサイエンスのプラットフォーム構築に有用なオリンパスのオープンAPI構想について紹介しました。
MEMS協議会フォーラムでは「注目すべき海外でのMEMS関連トピックス、市場・技術動向」として、MEMS・IoTスマートセンサなどに関連した国際標準化や国際会議でのMEMS関連研究動向についての講演の後、西安交通大学の前田龍太郎教授から「内側から見た中国のMEMS開発動向」と題して、講演を行いました(写真3)。
2日目の午後に開催した「超高効率データ抽出機能を有する学習型スマートセンシングシステム(LbSS:Learning-based Smart Sensing System)の研究開発」成果報告会では、プロジェクトリーダーの藤田博之先生とサブプロジェクトリーダーの日立製作所高浦則克氏、東大生産技術研究所の年吉洋先生から最新の研究成果の紹介があり、最後に「エッジデバイス向け名刺サイズCMOSアニーリングマシンの開発」と題して、日立製作所の山岡雅直氏から講演がありました。どの報告会もほぼ満員の盛況で当該分野への関心の高さが伺われました。
2021年度も、今年度同様、Nanotech展などと同時開催で、2021年1月27〜29日、東京ビッグサイト東ホールで開催予定です。
(MEMS協議会 渡辺 秀明)
[画像:Photo1_20200217170501]
写真1 MMCブース(青)/NMEMSブース(緑)
[画像:Photo2_20200217170501]
写真2 MMCの歴史
[画像:Photo3_20200217170501]
写真3 MEMS協議会フォーラム
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2019年10月10日 (木)
第38回マイクロナノ先端技術交流会 (第1回医療MEMS研究会(SSN研究会WG5))(9月30日)開催報告
2019年9月30日(月)の午後、マイクロマシンセンター内にて第38回マイクロナノ先端技術交流会(第1回医療MEMS研究会)を開催しました。
今回の先端技術交流会は、「ヒトの理解に向けたセンシングの最前線」をテーマに、東北大学 産学連携機構 イノベーション戦略推進センター 特任教授 中村力先生、東京工業大学工学院 研究員 関口武治様、立命館大学 スポーツ健康科学 教授 藤田聡先生にご講演いただき、産業界や大学から42名が出席し大盛況でした。
会場の様子
最初の中村先生からは、「飲み込みセンサ」について、ご講演いただきました。内容は、現状の体温測定の課題から深部体温測定の重要性をお話され、それを実現する手段として飲み込みセンサを提案されています。そして、その飲み込みセンサの構造や原理を詳しく紹介いただきました。さらに、深部体温測定が実現する様々なアプリケーションの提案もしていただき、これまで不明であった様々な病気や体調不良のメカニズムの解明が明らかになると大きな期待を抱かせる話でした。
続いて関口様からは、「多方面での応用が期待されるダイヤモンド量子センサー」について、ご講演いただきました。内容は、固体量子センサの基礎から始まり、関口様が研究されているダイヤモンド中に形成される窒素(N)と空孔(V)からなる格子欠陥を用いたNVセンサの原理や特徴をお話いただきました。また、NVセンサの応用範囲もお話いただき、個人的には今後のヒトの脳の活動を簡便にセンシングできるセンサとして、大いなる期待をもちました。
最後に、医療MEMS研究会からは、藤田先生より「筋肉の維持・増加に向けた栄養と運動介入」について、ご講演いただきました。内容は、サルコペニア(加齢に伴う筋量と筋機能の低下減少)の概要やその弊害、さらには筋量と筋機能の低下を抑えるための栄養摂取や運動のお話をしていただきました。ヒトが生産的な活動をし続けるには、体力の維持・向上がベースとなり、その大切さを改めて認識することができました。
講演会後の懇親会では、ご講演いただいた先生方を囲んで、講演内容を中心に多くの意見がかわされました。
(産業交流部 松下智彦 / 医療MEMS研究会 網倉正明)
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2019年2月13日 (水)
第37回マイクロナノ先端技術交流会開催報告
今回の先端技術交流会は「IoT社会に向けた、薄型・低コストのセンサ、および無線給電技術の最前線」をテーマとして、産業技術総合研究所人間拡張研究センター副研究センター長、兼フレキシブルエレクトロニクス研究センター副研究センター長の牛島洋史先生からは「Human Augmentationを目指した、フレキシブルデバイスの製造技術とそのビジネス展開」と題して、そして、東京大学 大学院 情報理工系研究科 准教授、兼ERATO川原万有情報網プロジェクト 研究統括の川原圭博先生からは「ヒューマンファクターを考慮したワイヤレス給電とスマートセンシング」と題してご講演をいただきました。
講演の様子
最初の牛島先生からは、フレキシブルエレクトロニクスの今後の期待についてお話され、折りたためるスマートフォンの実用化も近い将来あるように感じました。そして、その重要な技術として、各種印刷法の特徴の紹介と併せて、高精細、線幅500nmの最新の印刷方法をご紹介いただきました。
フレキシブルデバイスを用いたアプリケーションとして、床に貼り付けることによる人の行動計測やベッドに貼り付けて床擦れを検知するシステムなど人の動きをみるシステムを紹介いただきました。また、カーボンナノチューブを用いた薄型大面積フレキシブルの熱電変換デバイスによって、ウェアラブルセンサなどの薄型IoTセンサ端末用の電源の紹介をいただきました。
また、ウェアラブルデバイスの歴史を紐解き、従来の薄く・軽く装着し易いデバイスから、身に着けることで体温、脈拍等の着用者の情報を取得するデバイスへと進化してきており、今後は例えば、運動による発熱や発汗などを検知し、必要な部位を必要な量だけ加温・冷却・加圧・除圧していくといった、センシングデータに基づきデバイスをアクティブに制御するようになると予測されていました。
産業技術総合研究所 牛島先生
次に、東京大学の川原先生から、川原先生が研究統括をされているERATO川原万有情報網プロジェクトについて紹介いただきました。ここでは、「まるで空気や水が私たちを生かしてくれているように、知的なデジタルデバイスがどこまでも自然な存在として、私たちの生活に寄り添い、欠かせないモノになっている世界」に向けて、普段の身の回りの環境に溶け込むようなデバイスに関する技術やその応用研究に数多くのテーマを取り組まれています。
今回は、自立型IoT端末のエネルギーの一方法である無線給電を中心にご講演いただきました。その中で、先月(1月)にプレスリリースした切り取れるワイヤレス充電シートについて紹介いただきました。(https://www.nikkei.com/article/DGXLRSP499279_X00C19A1000000/) コンセントに繋がっているタイルは1枚だけで、タイル同士を動的に無線でエネルギーを送りあえるというものであり、普段は電磁波は出ていないけれど、負荷となるデバイスが置かれるとその位置を自動的に検出してパスができ充電できる様子を動画で説明していただきました。また、部屋の中でどこでも無線給電できるモデルも紹介いただき、3次元空間に置かれたIoT端末への無線給電も近い将来実用化できそうな感じを受けました。
東京大学 川原先生
また、講演会後の懇親会では、ご講演いただいた先生方を囲んで、Human Factor応用技術やHuman Augmentationの話題を中心に遅くまで意見交換に盛り上がっていました。
意見交換会の様子
2019年2月13日 (水) 講習会・先端技術交流会, SSN研究会 | 固定リンク
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より以前の記事一覧
- 2018年MMC十大ニュース決まる 2019年01月04日
- 米国研究開発動向調査 2018年11月15日
- 第36先端技術交流会の報告 2018年07月31日
- 「新年のご挨拶」 2018年01月05日
- 「MEMS センシング&ネットワークシステム展 2017」、盛況の内に閉幕 2017年10月06日
- 医療MEMS研究会メンバ募集説明会を開催 2017年04月17日
- 第1回スマートセンシング&ネットワーク研究会の開催報告 2016年02月24日
- スマートセンシング&ネットワーク研究会(SSN)キックオフ会合開催報告 2015年10月05日
- スマートセンシング&ネットワーク研究会キックオフ会合の開催案内 2015年09月14日
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