住宅宿泊事業者には、住宅宿泊事業の適正な実施のために様々な措置を講じる必要があります。「事業者の業務[1]」では、そのうち安全面・衛生面の確保や近隣トラブルの防止など以下の6つの業務について、ご説明します。これらの業務については、住宅宿泊事業者が住宅宿泊管理業者へ委託する場合は、住宅宿泊管理業者の責任の下で担う業務となります。
1.宿泊者の衛生の確保
2.宿泊者の安全の確保
3.外国人観光旅客である宿泊者の快適性及び利便性の確保
4.宿泊者名簿の備付け等
5.周辺地域の生活環境への悪影響の防止に関し必要な事項の説明
6.苦情等への対応
住宅宿泊事業者は、宿泊者の衛生の確保を図るため、届出住宅について、各居室の床面積を宿泊者1人当たり3.3平方メートル以上確保するとともに、定期的な清掃、換気及びその他の必要な措置を講じる必要があります。
住宅宿泊事業者は、宿泊者の安全の確保を図るため、届出住宅に以下の措置を講じる必要があります。
[1] 非常用照明器具の設置
[2] 避難経路の表示
[3] 火災その他の災害が発生した場合における宿泊者の安全の確保を図るために必要な措置
[1]非常用照明器具の設置と[3]火災その他の災害が発生した場合における宿泊者の安全の確保を図るために必要な措置については、「平成29年国土交通省告示第1109号」において規定されております。宿泊者の安全の確保を図るための措置を講じるにあたっては、「民泊の安全措置の手引き」及び「住宅宿泊事業における安全確保のための措置に関するQ&A」をご確認ください。
安全措置の内容 (告示の条項) |
届出住宅の建て方と規模等 | |||
---|---|---|---|---|
一戸建ての住宅、長屋 | 共同住宅、寄宿舎 | |||
家主同居※(注記)1で宿泊室の床面積が50m2以下 | 左記以外 | 家主同居※(注記)1で宿泊室の床面積が50m2以下 | 左記以外 | |
非常用照明器具 (第一) |
× | ○しろまる | × | ○しろまる |
防火の区画等 (第二第一号) |
× | ○しろまる ※(注記)複数のグループが複数の宿泊室に宿泊する場合のみ |
× | ○しろまる ※(注記)複数のグループが複数の宿泊室に宿泊する場合のみ |
その他の安全措置 (第二第 二号イ〜ホ) |
○しろまる※(注記)2 | × |
○しろまる:適用あり(原則措置が必要) ×:適用なし(特段の措置不要)
※(注記)1 届出住宅に住宅宿泊事業者が居住しており、不在とならない場合を指します。(ここでは届出住宅に居住していることが必要であり、委託が必要な場合の不在とは異なりますのでご留意下さい。)
※(注記)2 宿泊者の使用に供する部分等の床面積や階数が一定以下である届出住宅の場合は不要となります。
「民泊における消防法令上の取扱い等」や「民泊における防火安全対策」については消防庁の作成しているリーフレットもご覧ください。
住宅宿泊事業者は、外国人観光旅客である宿泊者の快適性及び利便性の確保を図るために必要な措置として、以下のことを宿泊者に対して講じる必要があります。
(1)外国語を用いて、届出住宅の設備の使用方法に関する案内をすること
(2)外国語を用いて、移動のための交通手段に関する情報を提供すること
(3)外国語を用いて、火災、地震その他の災害が発生した場合における通報連絡先に関する案内をすること
(4)外国人観光旅客である宿泊者の快適性及び利便性の確保を図るために必要な措置
住宅宿泊事業者は、正確な記載を確保するための措置を講じた上で、宿泊者名簿に次の項目を記載する必要があります。
・ 宿泊者の氏名、住所、職業及び宿泊日
・ 宿泊者が国内に住所を有しない外国人であるときは、その国籍及び旅券番号
また、次のいずれかの場所に宿泊者名簿を備え、3年間保存し、都道府県知事から要求があったときは、提出しなければなりません。
・ 届出住宅
・ 住宅宿泊事業者の営業所又は事務所
宿泊者名簿を電子データで作成、保管する場合、紙で出力可能な状態にする必要があります。
住宅宿泊事業者は次の事項を宿泊者に対し(外国人に対しては外国語を用いて)、書面の備付けその他の適切な方法により説明する必要があります。
・ 騒音の防止のために配慮すべき事項
・ ごみの処理に関し配慮すべき事項
・ 火災の防止のために配慮すべき事項
・ その他届出住宅の周辺地域の生活環境への悪影響の防止に関し必要な事項
住宅宿泊事業者は、届出住宅の周辺地域の住民からの苦情及び問い合わせについては、適切かつ迅速にこれに対応する必要があります。