2020年12月27日
Book:リーガルテック活用の最前線
要するに、これまで法専門家の人海戦術という極めてコストの高い仕組みを要求されてきた大量データの整理分析が、自然言語処理を高度化した分析ツールによって効率化し、機械に任せられる程度が飛躍的に大きくなっているというわけである。
そうなると、少なくともそのような人材として大量の弁護士を雇用してきたローファームでは、人減らしにはしらざるを得ず、弁護士の大量失業時代を迎えることは必定である。
これはもちろんe-Discoveryがあるアメリカの話であって、日本を含むその他の諸国では直ちにそのようなことにはならない。というかそもそも大量の弁護士が人海戦術で仕事をしているということもないと言ってよい。でもディスカバリでの関連性チェックほどではないにしても、契約書チェックとか、デューデリとか、企業法務の多くの領域にAI技術が用いられるようになると、法律事務所がAIを用いて自らの能力を高度化することももちろんあるが、顧客のはずの企業が自らAIによる法務チェックを内製化する可能性も大きいと思われるので、やはり、日本レベルの大規模事務所がリストラを余儀なくされる可能性はないではない。必ずしも弁護士を減らすということにはならないだろうが、業務内容の大幅な見直しは必至ではないだろうか?
というようなことを「AI技術による裁判の変化と課題」 法の支配197 号(2020)57−68頁に書いたので、よろしかったらご参照よろしく。
2020年12月27日 パソコン・インターネット, 書籍・雑誌, 法律・裁判, 法情報学 | 固定リンク
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