2020年11月07日
現職大統領のクーデタ
トランプ大統領が、選挙の不正を証拠もなしに言い募るというのは、クーデタに等しいし、支持派にそのようにアピールして支持者のデモというか開票作業の妨害行為を行わせるとなるともうクーデタそのものと言ってもよい。
トランプ大統領が票の集計などをめぐって不正が行われていると主張していることを受けて、ソーシャルメディア上ではこうした言説が急速に広まっています。
このうち、4日に立ち上げられた「ストップ・ザ・スティール」、「選挙を盗むのはやめろ」というフェイスブックのページでは、中西部ミシガン州デトロイトの開票所に市民が詰めかけ、「開票作業をやめろ」と声をあげる映像が投稿され、「バイデン氏は票を盗もうとしている」とか「公正なやり方ではない」などと書き込まれました。
このようなトランプの言動について、かねてからツイッターはブレーキをかけているし、FBも同様である。加えて大手のテレビ局がトランプ大統領の記者会見中継を途中で打ち切るという形で追随した。
これに対してメディアによる検閲だというツイートが目に入った。しかしそれは違う。
大統領といえども、いやむしろ公職者中の公職者というべき大統領ならばこそ、根拠なく、適法な選挙の開票作業を、それが自己に不利というだけで、不正だ、盗もうとしていると非難することは許されない。そのような発言はSNSで制限されても、メディアが中継を拒んでも、正当なことだ。
トランプが選挙開票作業に異を唱えているのは、自己の権力ある地位を守るために根拠なく適正な民主的選挙を認めないというものであり、クーデタとも言うべき行動である。しかも乱用されたら大惨事を引き起こすような権力を握っている存在による行動なのだ。 メディアが自己の判断でそれをとどめようとすることは検閲でもなんでもない。憲法を守ろうとする市民の努力の一つだ。
ISのテロリストがプロパガンダとして流す声明を、そのまま伝えなければならないというルールをメディアは負わないだろうし、同様のことは、権力者によるクーデターまがいの声明にも言えることだ。 「表現の自由」「検閲」なる言葉にたじろぎ思考停止して、テロリストや権力簒奪者を許してはならない。
2020年11月07日 経済・政治・国際, 外国法事情 | 固定リンク
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