2020年03月06日
#消費者裁判手続特例法 による #共通義務確認訴訟、初判決、しかも勝訴!
COJ(消費者機構日本)の皆様、おめでとう御座います。
日本版クラスアクションとも呼ばれる消費者の集団的被害回復裁判手続、立法過程で酷く重いものにされてしまいましたが、それでもその活用を実践されたことは高く評価できると思います。
これからが大変ですね。
[フレーム]
第二段階と呼ばれる簡易確定手続には、まだ判決が確定しないと移れませんが、その後は未知の世界です。
もっとも、法律が定めている手続は、事業者にもそれなりの言い分がある、そして自称債権者がたくさん入ってくる可能性のある事案をも想定したもので、極めて慎重で、事業者の手続保障を決して損なわないようにできています。少なくとも消費者被害を自称する詐欺師がいることが前提です。
ところが、東京医大のケースは、受験生という枠が厳然としてあり、債権者でないのに債権者として届け出する余地はありません。
フランスであれば、一人あたりの損害額はもう第一段階で計算可能で、後はどうやって払うかという方法だけが問題となるものです。
この際、日本でも、事業者たる東京医大が全面的に協力して、受験生に対する通知手段から説明・授権にかかるコストを節減するように、和解含みで手続を進めていくモデルケースとなることを期待します。
東京医大も曲がりなりにも大学ですから、そうした社会的責任はあるでしょう。学長も変わったことだし、過去の責任を早期に清算する良いチャンスと捉えて、明日からそういう方向に動いてはいかがでしょうか?
そして、授権をして債権届出をした消費者とCOJ、大学との間では、和解が可能ですから、各受験生のその後の状況に合わせて返還額を定めることもできるはずです。
そのようにして、大学にとってはレピュテーションの回復を、受験生にとっては人生の損失の補填を、そしてCOJにとっても努力の報酬を、それぞれ得られる三方一両得の解決を目指してほしいと思います。
2020年03月06日 消費者問題, 裁判例, 民事訴訟法 | 固定リンク
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