2019年10月20日
#iPhone 世にも奇妙な裁判、そして取下げ
訴状の写しによるとラズミロフ氏は今夏、iPhoneのアプリを通じて仮想通貨ビットコイン(Bitcoin)を注文したが、受け取ったのはLGBT(性的少数者)コミュニティー向けの仮想通貨「ゲイコイン(GayCoin)」で、「試しもせずに決めつけてはいけない」というメッセージが添えられていた。男性はその後、恋人だった女性と別れ男性と関係を持ち始めたが、これを恥じているという。
ラズミロフ氏はアップルを相手取り100万ルーブル(約170万円)の損害賠償を求めていた。
何が奇妙かといって、LGBTコミュニティ向けの仮想通貨を受け取ると、同性愛になるのかということ、それで彼女と別れるのかということ、全くよくわからないのである。
ちなみに提訴時の記事「「iPhoneのせいで同性愛者に」、ロシア人男性がアップルを提訴」では、「このことを両親にどう説明したらいいのか......私の人生は悪い方向に変わってしまった。二度と正常には戻らない」という発言が書かれているが、そもそも同性愛となったからといって正常でないということでもあるまいに。
もつともこの点はロシアでは別なのかもしれないが。
そして取り下げに至ったプライバシー侵害の恐れというのも、「自身を批判する人から個人情報を特定」され、「アップル支持者からメッセージを受け取る」などネットで圧力を受けたためというのだ。
まあ、訴訟を提起してみたが、そのせいでバッシングを受けて取り下げに至ったというまとめ方をすれば、あまり変な話ではない、よくある話だが、そもそもの訴え自体が奇妙すぎて、取下げにも納得ができないでいる。
ともあれ、言いがかり訴訟の典型設例として今後利用できそうなニュースである。
2019年10月20日 外国法事情 | 固定リンク
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