2007年09月03日
LS:新司法試験に関する朝日の社説
Asahi.com:新司法試験—公正さが揺らいでいる
(ボツネタ経由)
例の、慶應大学元教授の問題に端を発し、曰く「1人でも多くの合格者を出したい大学院の教員を考査委員にするのが、そもそも間違いなのだ。来年からは全員外した方がいい。」
また、司法試験のあり方については、以下のようにも述べている。
「ここは本来の改革の理念に帰るべきだ。合格者を一定の人数にしぼるのではなく、受験生が一定の水準に達していれば合格させる方法に変えるべきだ。」
2007年09月03日 学問・資格, 法律・裁判 | 固定リンク
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コメント
後段について。
司法試験の公平性と合格者数は別問題だと思いますね。絶対評価にしたところで司法試験合格率が法科大学院の存亡を左右することに変わりない以上、全国で70校以上もある各法科大学院は生き残りのためになりふり構わずでしょうから。法科大学院の教授が考査委員を兼ねる現状のシステムを放置する限り、仮に絶対評価を取ったところで不公正な行為は無くならないでしょう。
絶対評価にしても合格ラインをどこに置くかによって合格者数は変わるので根本的な解決にはならないような気がします。朝日社説は相対評価のために本来合格すべき実力の人が不合格になっているという前提を取っているのだと思いますが、逆に相対評価のために本来法曹となるに値しない実力の人を合格させてしまっているという見方も可能です。仮に合格ラインを旧試験合格者の前期修習終了レベルと仮定した場合(法科大学院は従来の前期修習を代替するという建前だったと思います)、かえって合格者数は激減する可能性もあります。仮に絶対評価にして司法試験合格者数が毎年1000人程度にとどまった場合、法科大学院関係者は納得するのでしょうか。
あと司法修習との関係はどうなるのでしょうかね。研修所の収容能力は別にして、二回試験に到底通らないような人を合格させても引導を渡すのが遅くなるだけのような気がします。もちろん弁護士需要や就職の問題もあります。多くの民間企業や自治体は法曹資格者を社員として雇用する気はないようだし。一時期のように法曹増員についての意欲というか意気込みが最近の日弁連や既存の弁護士に見られない、むしろネガティブな評価が強くなっているように思えるのも気になるところです。政治的にも安倍政権以降
市場主義的な考え方はかなり後退しているようにも思えます。
いずれにしても、今後法曹人口を巡って議論になることは確実でしょう。
投稿: gyasu | 2007年09月03日 13:33