2005年01月18日
iPodねらい撃ちの著作権法改正検討課題
文化庁文化審議会著作権分科会の法制問題小委員会は17日、16項目の検討課題をまとめた。その中に補償金制度の拡大も含まれている。
報道によれば、 CDやDVD、MDなどデジタル機器や媒体の売り上げに応じて、メーカーが著作権管理団体に一定の補償金を支払う仕組みの補償金制度について、iPodなどハードディスクやフラッシュメモリーを使っているデジタル携帯音楽プレーヤーには対象外となるため、支払い対象への追加を検討するとされている。
これが実施されると、iPodへの音楽データ移転についてもメーカー経由で著作権料を支払うということになる。
しかしながら、これまで補償金を取られていた機器等を見ると、次のようなものである。
録音機器
DAT(デジタル・オーディオ・テープ)レコーダー
DCC(デジタル・コンパクト・カセット)レコーダー
MD(ミニ・ディスク)レコーダー
CD-R(コンパクト・ディスク・レコーダブル)方式CDレコーダー
CD-RW(コンパクト・ディスク・リライタブル)方式CDレコーダー
記録媒体=上記の機器に用いられるテープ,ディスク
つまり、録音する機器と録音媒体とが補償金の対象となっており、これはすなわち大量に録音して流通される場合の、せめてもの対価徴収を保障する仕組みであった。
ところが、iPodは、そのような録音装置でもなければ録音テープでもない。基本的に、保有する音楽データを音として聴くための装置であり、iPodを使ってディスクを作成することもできなければ、大量のiPodに録音して頒布するということもおよそ考えられない。
この場合、レコーダーに相当するのはコンピュータであり、コンピュータに補償金を課すというのであれば筋が通るが、iPodに補償金を課すというのはどうも筋が通らない。
審議会の小委員会の皆さんは、そのあたりの事実関係を正しく認識した上で、この報道されたようなことを考えているのか、大いに疑問である。
ちなみに、該当の審議会情報は文科省文化審議会のページで見られる。但し、17日の議事録や資料はまだだが。
2005年01月18日 パソコン・インターネット, 音楽, 法律・裁判 | 固定リンク
Tweet
「パソコン・インターネット」カテゴリの記事
- 最高裁サイトに証明責任関係を判示した裁判例はどれくらいあるか、AIに聞いてみた(2025年05月16日)
- 任天堂Joy-Conドリフト問題についてのEU消費者保護部局の共通見解をNoteBookLM(2025年05月06日)
- 生成AIもどんどん賢くなっている(2025年01月16日)
- TwitterX:醤油なめ少年の家裁送致(2023年08月07日)
- Mook:法律家のためのITマニュアル(2023年07月19日)
「音楽」カテゴリの記事
- メーキング・オブ・モータウン(2021年03月31日)
- リコーダーの小池耕平さんチャンネル登場(2020年12月30日)
- Musique: Can't Take My Eyes off You(2020年12月02日)
- music:Look Nowと #MeToo(2018年12月05日)
- musique アル・ジャロウ死去(2017年02月13日)
「法律・裁判」カテゴリの記事
- フランスの司法信頼度調査2024(2025年11月07日)
- Arret:欧州人権裁判所がフランスに対し、破毀院判事3名の利益相反で公正な裁判を受ける権利を侵害したと有責判決(2024年01月17日)
- 民事裁判IT化:"ウェブ上でやり取り" 民事裁判デジタル化への取り組み公開(2023年11月09日)
- BOOK:弁論の世紀〜古代ギリシアのもう一つの戦場(2023年02月11日)
- court:裁判官弾劾裁判の傍聴(2023年02月10日)
コメント
コメントを書く
トラックバック
この記事へのトラックバック一覧です: iPodねらい撃ちの著作権法改正検討課題:
» 著作権分科会法制問題小委員会(第6回:最終回) - 概要 [zfyl]
議事次第 日時:平成17年1月17日(月) 10時30分〜13時00分 場所:経済産業省別館1020号会議室(10F) 東京都千代田区霞が関1-3-1 議... [続きを読む]
受信: 2005年01月19日 09:39