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アナログエンジニアは金融商品に手を出すことはしない。
長期的に見れば,マネーゲームや金融商品は平均的に+の投資効果をもたらすことはありえない。価値の創造は,モノつくり,流通から生まれる。
一般の所得水準から見れば,金融業界の給与は著しく高い。それに加えて金融商品の勧誘方法にも疑問を感じる。複雑な取引形態を見れば,リスクとリターンのバランスが取れていない。金融業界,証券関連企業は売り買いの手数料でブレークイーブンになる経営をすべきだ。
価値を生み出している製造業,流通システムがあればこそのシステムである。
国民に「投資」を促す政策には私は反対である。なぜなら,金融市場はゼロサムゲーム-手数料のリターンしか長期市場ではありえない。
しかし,それとは別に今度の景気後退は世界の富配分の価値基準を変えるインパクトを持つ。原油高,資源枯渇の瀬戸際で原油価格は上がらないわけ考えにくい。食料高も同じ,おもな肥料の原料も上昇している,金属類の価格の高騰も凄まじい。世界的に資源・食料も高騰するはずである。その中で中長期的に日本の生きる道を示している政党は皆無といってよい。
自然科学といえども,世界価値観の変遷に対応する価値の必然的変動に対応していかなければならない。大学が輩出すべき人材に求められる資質もおのずから変わってこよう。
世界に通用する設計/モノつくり技術に貢献できない人材しか輩出できない大学は退場を願いたい。モノつくりはさまざまな職種の人間の集合体である。学位がそのまま通用する世界ではない。
いま,設計者不足も深刻であるが,匠の世界も深刻な状況にある。匠の世界の伝承はマンツーマンの世界に近い。その技術を伝承していくシステムがなおざりにされているような気がする。
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明日は茨城県アーチェリー協会主催の初心者講習会の第1回目。
我が家の「さち」も参加する。夫婦で老後もできるスポーツだし,私は他のスポーツは今はできない。
説得して,参加してもらった。わたしもお手伝いのスタッフとして参加する。
実は「さち」は全くの初心者ではない。新婚の頃,30年前になるか,用具を揃えて30mを安全に射てるところまでの経験がある。その経験が今も残っているかどうか。
早く,30mを安全に射てるところまで(18m36射240点)に到達して,日曜日に一緒に射てるようになるといいな。
継続してくれるようなら,すぐにでも用具をプレゼントするのだが。
明日の午後が楽しみである。
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理想的なバイポーラトランジスタペアでは,同一コレクタ電流でVBE(ベース・エミッタ電圧)差の温度依存性は0となる。
1: VBEの温度係数を約-2mV/°Cとすれば,ペアトランジスタ間の温度差が1/1000°Cあれば-2μV/°Cとなる。
最高レベルのオペアンプではさらに1桁下の温度ドリフトであるから,集積回路中のペアトランジスタは1/10000°C程度まで温度差が変わらないということになる。
2: また,VBE差の温度係数はΔVBEの絶対温度に比例するから,0.1μV/°Cを実現するには,ΔVBEは0.3mVでなければならない。
3: ΔVBEはコレクタ電流比の影響も受ける。ΔVBE=kT/q・lnIc1/Ic2であるから,この温度係数を実現するには,コレクタ電流比は0.5%以内の誤差である必要がある。
超低ドリフトのオペアンプはおもにVBEを一致させるトリミングが施されているとされているが,このように厳しくVBE差を制御して製作されている。
サブμV/°Cクラスの低ドリフトアンプの出現により,複雑なチョッパスタビライズドアンプを使うことなく低mV増幅が近年は可能になった。もちろん,巧みなパターンレイアウトにより,チップ内での温度勾配も低減した上での性能である。
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オペアンプは扱えるが,トランジスタはどうもという回路屋さんが最近増えている。
個別部品で組む電子回路では,半導体デバイスの2次的特性を考慮して最終性能を予測しなければならないが,オペアンプの方が前提となる知識は少なくて済む。
オペアンプなら,オフセット電圧,バイアス電流,利得帯域幅積,スリューレートなどを知っているなら,キルヒホッフの法則と複素数の計算ができれば,回路の原理動作と性能予測まで可能である。
しかし,トランジスタの中では比較的扱いやすいバイポーラトランジスタ回路でも,数多くの回路形式があり,しかもバイポーラトランジスタの寄生素子と非線形性を考えると,解き方に工夫が必要であるとともに,計算量も多い。対数,指数関数は扱えて当然であり,小規模な回路でも連立方程式の次数が高くなる。
現在のトランジスタを含む実用回路では,基本現象,たとえばコレクタ-ベース間に存在する容量Cobの周波数特性に及ぼす効果を定量的に扱おうとするなら,数ページの計算が必要となるだろう,Cobはコレクタ電圧依存性のある容量なので,出力状態によって,Cobの値も変化する。
エミッタ接地回路の入力抵抗r(hie)だけを考えても,ベース電流IBの関数でr=VT/IB(VT:熱電圧,室温で約26mV,VT=kT/q,k:ボルツマン定数,T:絶対温度,q:電子電荷)。エミッタ接地増幅器の電圧利得を2-3%精度で予測しようとするなら,バイアス抵抗の分流効果やアーリー効果,エミッタバイパスコンデンサの周波数特性,信号源抵抗までは考慮する必要があるだろう。
トランジスタ回路は,ブラックボックス化され,数式モデル化できるオペアンプ回路より遥かに奥が深い。
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木,金と1泊2日で遠方に出張。
初日の朝AM7:00,いつも乗る常磐線特急の時刻に合わせ駅へ。特に変わった様子はない。定刻を過ぎても指定席を購入してある列車は来ない。しばらくして,我孫子駅構内での架線事故のため常磐線特急は総て運転を見合わせているとの構内放送があった。
続報で,遅れてはいるが,水戸線経由宇都宮線で迂回ができるようにしたとの放送。このルートは小山に行くだけで通常1hかかる。その先もあるし,ダイヤも乱れているので東京まで3h以上かかる見込み。あきらめ。
構内放送では,架線事故はAM6:30頃だから,3hくらいで復旧すると期待。
現実は,最初の特急電車(指定券を買ってある電車の1本前)が遅れが3時間半遅れで到着。
とりあえず,その電車に。当然,ラッシュアワー並みの車内混雑。12時前半のペースで上野方向へ。と,思ったら上野駅の近くで1h停車。結局5h以上たち詰め。
PM1:30の,新幹線には乗れた。現地で仕事ができるぎりぎりの時間。電話で相手先に連絡。
金曜日の帰りは,山陽新幹線。昼過ぎ駅へ行くと改札は人で満杯。やはり台風13号での運休かと思ったが,これも在来線の送電系統の事故。新幹線は定刻運行。良かった。
疲れた。
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アナログエンジニアは回路各部の電流・電圧波形の元図作成にSPICEを用いている。
時には原理波形図の作成を行う。この際には,動作に支障のない限り極力寄生素子を削除して,説明に必要十分な綺麗な波形を見せる。原理説明の範囲で予測できる波形と理想波形を一致させるためだ。
時には,素子に必然的に寄生する素子の効果を見せるために,現実より少し強調した波形を見せる。
現実に自分が見た波形を再現することもある。その多くは過渡解析を使っている。
回路シミュレータ:SPICEで波形図を作成する理由は,いくつかあるが,そのひとつは,回路が動く条件を満たさないレベルの簡略しすぎた記述,説明を回避するためである。そして,波形細部の必然的特徴点を残した図を記載するためである。
DC解析を用いて,本物と区別がつかない半導体素子のデータシートまがいの特性図を作成することもある。
私の過去の著作は6冊あるが,SPICEを使わなかった本は1冊もない。
私はアナログ回路設計者になるための視点から,どのような2次的要素を適宜説明し,解析と設計を意識した記述を行ってきた。そのためのSPICE波形である。
アナログ回路において,波形の総ての特徴点に意味がある。それを表現するための手段である。
SPICEは間違っても良いから,回路構成と素子定数を決める技量を必要とする。そして間違った部分を修正するだけの情熱を必要とする。そこから,現実世界のアナログ回路と同様な世界が広がる。
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1 基本的なドロッパ式安定化電源の回路図。
R3,R4の分圧点の電圧がD1+Q1のVBEと等しくなるように主トランジスタQ3,Q4が制御される。
入力電圧INは商用電源変動±10%,トランスの変動率:数%,平滑後のリプル数Vが変動範囲である。
INとOUTの最小電圧差が少なく設計した方が,発熱が少ないが,R2の選択が難しくなる。最悪のQ3のベース電流より大きな電流が,設計の全範囲でR2を流れる必要がある。
また,誤差増幅器Q1のコレクタ電流がIN電圧や出力負荷電流に依存して変化すると,Q1VBEが変動するので,OUT電圧の負荷変動,電源電圧変動が大きくなる。負荷短絡時にQ4のASO(安全動作領域)を越える恐れも生じる。
Q2,Rsは短絡保護回路である。R2を流れる電流が変動すると,IN電圧が高く,低温のときに制限電流は増加する。
OUT電圧に比べてIN電圧を大きく選択すると,R2の選択は楽になるが,消費電力が増して熱設計がその分厳しくなる。
温度係数を小さくするには,Q1VBE+D1≒6.4Vとすれば設計値とすれば,ほぼ0温度係数となる。
このように,アナログ回路ではさまざまなトレードオフ関係があるとともに,絶対的に守らなければならない項目もある。このような設計条件を自分で戦略的に解きほぐし回路定数,部品選択,熱設計を行うのがアナログ回路の本質のひとつであるとアナログエンジニアは考える。
アナログ回路は単一の価値観の世界ではないのだ。
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トランス絶縁ドロッパ式の電子回路電源,DC-DCコンバータの電源いずれもリスクの多い割りに難しい回路である。
電源設計ができればアナログ回路設計者として一人前とさえ言われる。
ドロッパ式なら,まずトランス・ダイオード・コンデンサを含む回路が非線形で,シミュレーションをそれなりのモデルで行うか,設計図表を用いないと平滑後の谷電圧を予測できない。
トランスは抵抗負荷定格出力時に公称電圧が得られるようになっている。したがって,無負荷時には出力電圧が上昇する。このことを考慮しないで設計すると回路の耐圧不足となる。
ドロッパ式安定化電源回路の主トランジスタへベース電流を供給する抵抗の決定戦略も重要である。高すぎると最小動作電圧降下が保証できない。集積回路などではこの部分が定電流回路を使うので,2-3Vで済む。
電源回路は短絡を想定する。その保護回路と短絡時の安全動作領域が不完全であれば,負荷短絡時に連鎖故障を生じる。
コンデンサは高リプル状態で使用するので,その電流定格も守らなければならない。
大出力回路であれば,起動時の突入電流の制限も行う必要がある。
難しいのだが,付加価値は低くく評価される。従って,電源回路を自前で作るメーカーは減りつつある。しかし,3端子ICレギュレータの扱える電圧を越える高い電源を得ようとすると,自前でレギュレータを設計することになる。熱設計も詳細に行わなければならない。
SWコンバータともなれば,トランスを自前で設計するのがふつうである。
かくして,電源回路はアナログ回路の多くの要素を含み,かつトレードオフ関係になる項目も多い。
セミナーなどで電源回路の設計法に関する要望も多くでるが,アナログ回路の粋のひとつである電源回路を短時間で真面目に実践的に教えることはかなり困難であると考えるアナログエンジニアである。
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国体やオリンピックで使われる弓は,リカーブボウである。
リカーブボウは弦を張らない状態では的より側の方向に曲がっている。これをストリンガーと呼ばれる紐状の用具を使って弦を張ると,美しい弓の形が生じる。
現在のリカーブボウは,ハンドルとリム2つに分かれる構造の物が多く,テイクダウンボウと呼ばれ分解して持ち運ぶことがふつうである。
日本では,リカーブボウが主流であるが,私は米国のカムを使ったコンパウンドボウを使っている。自分の体力を最大限に利用しかつ構えた状態で最大張力の1/2程度となる。この弓で,平均矢速77/m/s程度でる。
自分の体力より少し強めの弓をあえて使っている。体力トレーニングをかねているからだ。
リカーブボウもコンパウンドボウも,ケースから取り出してアクセサリーを付けると10分以上かかる。
和弓は弦を張らない状態でほぼストレートである。
威力はといえば,競技クラスの弓で競技距離の範囲で鉄のフライパンを貫通できる。私の矢で言えば,50ジュールを越える運動エネルギーを持っている。着弾精度は頑張れば30mで半径10cm程度には入る。
多分拳銃並みの威力と,それを越える命中精度があるだろう。
しかし,用具が大きくて組み立ての時間がかかるので,スポーツ用品として銃刀法の規制はかかっていない。
矢カモに使われた用具は,ボウガン:クロスボウ:石弓:弩であり,サイズは別としてリカーブボウやコンパウンドボウとは全く異なる弓である。弩は構えている間,張力は射手にかからない。
弓は古代からの武器,アーチェリーは当てるために自分の形,フォームと体力を求める。
弓道は形から入って結果として当たる。
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電子回路は複数の部品性能で回路全体の性能が決まる。一方,目標とする性能が決まっている。
最悪の部品性能が最悪の組み合わせで電子回路を構成したときに目標性能を達成するように設計するのが,ワーストケース設計である。この設計を行うには,どのような組み合わせが最悪であるか解析できていなければならない。
量産規模によるが,少量生産では仕様に対し過剰品質気味(余裕がありすぎる)製品が出来上がる。
統計設計は,各仕様項目に対し素子感度解析を行い回路性能を統計量と扱い,何σの分散すなわち性能未達率を許容して回路設計を行う手法である。最悪設計より解析量は多くなる。そして,可能な限り何よりも設計中心が仕様中心になるように決めることが重要である。
統計設計のレベルも,量産規模依存性を一般にもつ。量産規模によらず,月に1-2ユニットなら許容範囲であろう。各会社の設計方針と設計者の技量にもよるが・・・。
これは,個別部品で組むアナログ回路設計の世界の話である。LSIの世界ではまた違った価値観があるだろう。
アナログエンジニアは,仕様項目の内容に応じて最悪設計法と統計設計法を個人的に使い分けてきた。その理由は,精密アナログ回路では統計的に設計しないとやたら高精度高価格の部品が必要になるからである。
いま,一流のアナログ回路設計者は払底している。
しかし,最悪ケース設計と統計的設計の考え方を実践できなければ,でたとこ勝負の旧来のアナログ屋で終わってしまうだろう。
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Photo サイリスタはpnpn構造で,pnpトランジスタとnpnトランジスタが一体になった構造をしている。
従って,pnpトランジスタとnpnトランジスタを組み合わせてサイリスタ動作を行わせることができる。
サイリスタは順電圧が掛かった状態で,パルス電流をG(ゲート)に短時間流すとオフ状態からオン状態に遷移する。
合成サイリスタでは,AK間電流と同程度のベース電流が流れるので,十分なベース電流を流せる品種の物を使用する。
各抵抗はゲートトリガ感度を調整するためで,抵抗値を上げるとトリガ感度は増加する。逆阻止状態では,各接合にかかる電圧に注意が必要である。
回路シミュレータにおいては,バイポーラトランジスタの各接合は降伏しないモデルになっているので,この回路を用いることにより,サイリスタを模擬できる。トランジスタの電流増幅率は高い必要はなく,トランジスタモデルのhFEの値を低めに設定し,トリガ感度を抵抗値で調整すれば,シミュレーションに使えるレベルのサイリスタモデルとなる。
実回路の大容量サイリスタでは,電圧上昇率や電流上昇率に制限があり,トリガしない条件と確実にトリガする領域が定義されているので,使い方はバイポーラトランジスタよりも複雑である。
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安定化電源は原則として負荷短絡に対する保護がなされれる。
2系統の電源を用いる際には,たとえば+15Vと-15Vの電源で+15V-GND間,-15V-GND間の短絡に対しては,ふつう短絡保護がなされている。
しかし,+15Vと-15Vの短絡保護がなされているとは限らない。
+15V系と-15V系の線間短絡が生じると,制限電流が少しでも大きな系の方は正常な電圧を保ち,小さな系は出力電圧が絞り込まれる。
この際に安定化電源回路の出力コンデンサに逆電圧がかかる。
出力コンデンサが有極性であれば,線間短絡時にそのコンデンサが連鎖破損する。保護法はそれぞれの系の出力に逆ダイオードを挿入しておくことであるが,必ずしも線間短絡保護がなされてはいない。
複数電源を使用する際には,総ての短絡モードに対して防御しておくべきであると考えるアナログエンジニアである。
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数学がある程度できなければ,高校物理を十分理解できない。
高校数学で習う筈の微積分の知識があれば,高校物理の多くの公式は覚えずに済みかつ応用力も広がる。
金原寿郎先生の書籍に高校生向けの,高校数学と物理を融合した本がかってあった。
たとえば,加速度αと質量Mと力Fの関係はMα=F
αが一定であれば∫αdt=加速度α・時間tの積分値=vt+C1:v:速度
C1はVの初期値である。
さらに積分をすれば,位置Lが決定される。
L=×ばつvt^2+vC1+C2
着目する時間尺度に対して,十分短い時間tにFが与えられれれば,運動量エネルギーの増加を計算できる。
これが力積の概念である。Fもtも測定できないときなどでも運動エネルギーの変化は観測できることもある。
質点系力学の先に電磁気学があり抽象度はさらに高い。
アナログエンジニアは物理学を受験必修としない大学の出身者は工学者として基本的に信用しない。
高校物理は受験に際して有利な科目ではない。その科目を高校で履修しない,本気で学んだことのない学生を大学での補習で補われるとはとても信じられない。
高校物理:重たい科目である。受験戦略としては物理を避けて他の科目を選択するならば,それは一流の工学者への道ではない。
しかし,工学者になるためには高校物理は不可欠である。そこで提示可能な世界は,今,世の中に広く目にするハイテク・コンシューマユースの製品のできることに比べてなんと地味なことか。
資源もなく食料も自給できない日本の生きる道は,モノを作り続けることだ。そしてそれを支える基礎学力と学ぶ執念が日本を支える。しかし,今の文部科学省の価値観では支えきれないだろう。日本は変わらねばならないと思う。
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リカーブボウの強さと矢の初速の関係は,結構複雑である。
まず,弓の強さは重量ポンド単位で表され,引き尺はインチ単位である。
通常の体格の方は,引き尺は26-27インチ程度(65cm前後)である。弓の公称強さは,メーカーや機種によって異なるが,引き尺を指定してポンドが決まる。
引き尺の測定原点は弓のハンドルの体側からふつう測定する。
ほとんどのリカーブボウの強さFと引き尺Sの関係は,Sが大きいとき測定原点を0とするフックの法則に近い直線となる。
弦を張った状態で,20-25cmくらい,測定原点から離れた状態がストリングハイトである。この状態で引き重量は0である。そこから引いていくと,測定原点のグリップから直線状のF-S曲線に漸近する。したがって,蓄積エネルギーは引き尺の2乗より厳しく影響する。
指定された引き尺より短いと弓は弱くなり,長いと強くなる。
強さは,引き尺に比例する。これを実質ポンドと呼んでいる。矢速はF-S曲線の面積に比例するので,引き尺の影響は,その2乗より強く矢の運動量を決める。
弓に蓄積され矢に伝達されるエネルギー効率は,用具によって異なり,50%〜90%の範囲にあると小数サンプルでは確認している。
矢速は同じ矢,同じタイプの弓なら実質ポンドの平方根に比例し,競技距離が変化した時の照準変化は実質ポンドに比例することになる。
引き尺が短いときには,軽量かつ剛性の低い矢を使えるので上述したより,ポンドの影響は軽減できるが大きく大勢に影響することはないだろう。
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RC一次遅れ回路の周波数応答は,入力ViをRと1/jωCを分圧した値がVoであるから,Rと1/jωCの分圧計算をすればよい。
Vo=(1/jωC)/{R+(1/jωC)}Vi=Vi/(1+jωCR)・・・(1)
CR積は時定数と呼ばれ,時間の次元をもつ。
周波数応答とは,正弦波を入力してから十分時間が経過した後の,出力と入力の関係である。
回路が安定ならば,jωはラプラス変換でのsと同じことになる。
さて,低周波 すなわちωが極めて小さいとき式(1)では虚部が0となるので,Vo=Vi(出力平坦)となる。
高周波では,虚部が主要項となるので,Vo≒Vi/(jωCR)で,角周波数ωに反比例して減衰する。このとき,入力に対する出力の位相は-90°となる。
この特性を両対数グラフ上に描けば,水平線と右下がりの折れ線に丸みを付けた形となる。
2つの直線の交点は,実部と虚部が等しい点で,ωCR=1の点である。
従ってVo/Vi=1/(1+j)で,位相差は45°遅れ,複素数の絶対値:振幅を取れば1/(√2)となる。
この周波数で振幅の減衰をデシベル表示をすれば,-3dBである。
(20log√2=-3)
ωCR=1,ω=2πfから変曲点の周波数fc=1/(2πCR)となる。
角周波数から周波数に変換できない回路屋さんも少なくないけど。
√1/2のdB表示を暗算できない回路屋さんも少なくないけど。
複素数の絶対値を得る回路屋さんも少なくないけど。
お話で済まされないのが,実学である。この程度の計算能力と概念は何をさておき大学の工学部と称する場所で身につけていただきたいものだと考えるアナログエンジニアである。
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一次遅れ回路のステップ過渡応答の計算は,電子回路の過渡応答を見積もるために最小限の計算である。
RC一次遅れ回路は,R経由でCを充電し,Cの端子電圧Voを計算することになる。
入力電圧をViとして,I=(Vi-Vo)/R=CdVo/dt
y=Vo-Viとおくと
dy/y=-dt/CR
ln|y|=-t/CR+C' C'は積分定数
従って
y=C1exp(-t/CR)
yを元に戻して
Vo=C1exp(-t/CR)+Vi
t=0 でVoは初期値VAと等しいので,この条件を上式に入れるとC1+Vi=VAとなるから
Vo=(VA-Vi)exp(-t/CR)+Vi となる。
高校で微積分をかろうじて学び,大学でほとんど基礎訓練を受けていない新人エンジニアには少なくともこの程度+αの説明が必要になる。先端技術を優先させて教えるあまり,多くの大学での電気・電子回路の基本がなおざりにされている。技術立国 日本は大丈夫なのか?
もちろん工学である以上,t=CRの値や,ステップ幅の0.1%に整定する時間など,主要な数値はきちんと演習しておく必要があると考えるアナログエンジニアである。
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Photo ←キルヒホッフの演習問題例
直流回路での,オームの法則とキルヒホッフの法則を用いる演習問題例。
直流回路では,電圧源の電流,抵抗に掛かる電圧と電流,定電流源の電圧が向きを含めて判明したとき,回路が解析できたと考える。
これらの値と向きを式で表すことがこの演習問題である。向きは各自で正の方向を決めさせる。
この問題は,向きを強く意識したオームの法則と,キルヒホッフの法則をきちんと理解していないと解けない筈である。
定電流源I1の位置が厳しいので,適度の計算量もある。
もちろん,定電圧源の電圧,抵抗の値,定電流源の電流は文字のまま与えられている前提である。
回路ループは2つであるが,このクラスの問題を文字式のまま解ききる訓練が今の高専・大学で行われているとはとても思えない状況である。大学で電気・電子を教えていらっしゃる方がこのような基本的問題を学生に試してみると得るところは必ずあると考えるアナログエンジニアである。
なお,定電流源I1が電圧源ならば,この問題は相当易しくなる。
技術のブラックボックス化が進行している今,このような基本的問題を確実に解ける訓練も必要ではないか。
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