職業柄、アナログエンジニアは車載センサには関心がある。
まず、安全装置:運転席、助手席にエアバッグをつければ、エンジンルームの前方部に加速度センサがある。50G程度で動作する。ピエゾ式か静電容量式だろう。エンジン始動時に部分的な自己診断を行っている。両サイドにカーテンエアバッグがあれば、もっと高速の加速度センサが2個入っている。ABS機能があれば、駆動輪の回転センサや滑りを検知するための別系統のセンサがある。
視界関係:フロントサイドビューにCCDセンサが2個、サイドブラインドモニタに1個、バックビューに1個。
エンジン関係:キャブレター流量センサ、熱線式質量流量センサだろう。絶対圧センサ:吸気圧センサはMEMSによるピエゾ式だろう。スロットルの開度センサは候補があり過ぎて、その方式は判らないが、知っている原理のものだろう。冷却水温度センサ。瞬時燃費を表示出来るので、燃料噴射量の情報を得るための、変位センサか、直接、噴射量を計測するセンサがあるだろう。排気ガスでは、ジルコニア酸素センサなどが付いている可能性もある。その代用として、排ガス浄化装置に高温対応の温度センサが付いているかも知れない。当然、エンジン回転センサは付いている。エンジン回転とバルブタイミングの位相も測っている筈なので、複数のセンサが付いていて、アナログ的に位相分割しているかもしれない。他に、燃料タンク液面センサ、これは熱式のものだろう。
各ドアには、リミットスイッチが付いているので、これは、5個付いている。
超音波近接センサ(ソナー)は前部に2個、後部に4個。反射波の強度に応じて、反応するのでその信号処理方式の1端が見える。車速が上がると、ソナーはインターロックされて、無効になる。
外気温センサは案外正確だ。ライトの点滅が明るさに連動しているので、照度センサがどこかについている。
シートポジションを記憶でき、かつ、その動きから見るとインクリメンタル方式の相対位置センサと複数のホームポジションセンサが付いているだろう。ドアミラー位置も記憶しているので、ここにも複数の位置センサが付いている筈である。
そして、私は、気圧高度計、方位コンパス、自作の1軸加速度センサをつけている。
商用車でないのでタコグラフは当然つけていないしその必要性もない。
これらのセンサの機能と限界を総て知っている人間は、大手自動車メーカーでもほとんどいないだろう。 これを一人で理解し、複数の車載センサに関係した事のある技術者、それはアナログエンジニアの世界のサブセットでもある。
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Img_0295 写真はアナログエンジニア オリジナルの加減速Gメータ。
純機械式。指針表示。
黄色のラインは±0.5G-0.6Gのライン。これを超えたら、危険ラインと思っている。
高校物理の範囲内での原理で、重力方向と垂直な、進行方向の加速度を測る。単純なベクトル合成を利用して、gを基準にして車の進行方向の±2Gまでを約0.1G(100ガル)が測定可能だが、0.8Gラインを越えれば、見る余裕はないだろう。
±1.25Gで指針がプレートに引っ掛かり、ホールドするようには工作したが、ABSが働いた時しか確認の機会はないだろう。それを意図的に実行するつもりはない。
穏やかにブレーキングしても、ピンクのライン0.25Gに差し掛かることがある。少し、強くブレーキを踏めば、0.8G程度までは行く筈だ。
このGメータ、当然傾斜計としても使える。
職業がら、この車にはセンサはフルオプション。CCDカメラだけで、4系統ある。超音波ソナーは6ch、GPS、VICS、VICSビーコン、オートドライビングポジショナー、外気温計、瞬間燃費表示、平均燃費、平均速度もモニターに表示できる。
それに加えて、コンパス、気圧式高度計(気圧変化から、近未来の天候予測も可能)
、そして、自作のGメータを装備!。
こんな車を使っている人は、世界に何人いるだろうか。
これが、アナログエンジニアのセンサ世界の一端である。
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今日は、自著の著者分の新刊が届く筈だ。店頭に並ぶのは、約1週間後。
Img_0292 写真はバイメタル式アナログ温度・湿度計。
アナログエンジニアは普段の生活ではアナログ機械式センサを多く使う。ぱっと見て、およその値が判るし、電池交換の手間もいらない。
精度も悪くない。
この温度・湿度計はともにバイメタル式だ。
湿度計の目盛は2%ピッチ。精度が案外高いのだ。デジタル表示の物は、誤差が10%もありながら、1%表示するものが多く、、かつ、壊れやすい。
湿度計の方は、バイマテリアル式と記載されていた。おそらく、吸湿性の有機材料と非吸湿材料を組み合わせている。そして、指針を直接回している。材料開発まで行った製品かもしれない。
仕事としては、もちろん、電気出力を有するセンサを使う。
最近、秋葉原で湿度センサを見つけた。形式番号で検索すると、静電容量変化型で、相対湿度精度は案外良好である。
以前、私が見た物は抵抗変化形の湿度センサで、相対温度の対数にほぼ比例するが、精度を上げるには、対数増幅器を2個必要とする。
良質な湿度センサは案外少ない。だが、湿度を適正な範囲にすると、より快適な生活空間が生まれるのだ。
どちらにしても、回路設計は易しくないだろう。
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昨日は金星と木星の写真撮影。地震のどさくさで、手動でピントあわせする余裕がなかった。夜には近くて大きい地震。すぐ、震度4以上と判断。落下物のない、筋交いの入っている場所に陣取る。茨城県南部沖。3.11の震源域の南端近く。
アンチブレーキロックシステム:ABS。車のメーカーにより名称は異なるだろうが、急ブレーキを掛けたときに、タイヤと地面のすべりの滑りを検出して、最短距離で車を停止させる目的のブレーキ制御システムである。
静摩擦係数は一般に動摩擦係数より大きい。したがって、車が滑る直前の力でタイヤを回しながら制動を掛れば、タイヤが路面に対し滑っている状態よりも短い距離で停止できる可能性が高い。しかも、車の方向制御はその間も可能である。
アナログエンジニアの今の車はABS装着車である。6年間で一度だけABSが作動する急ブレーキをかけたことがある。ガ、ガ、ガと振動しながら綺麗に制動でき、余裕をを持って、急に飛び出した障害物の手前で停止できた。その間、操舵もできた。
これがABS装着車の威力だ。
それ以前は、非ABS装着車で40年運転していて、2回ほどフルブレーキを掛けたことがある。1回は操舵不能になり、車はスピンして、半回転以上回転し反対車線(右側)で停止した。素人ではABSと同様の効果を持つポンピングブレーキを掛ける技術はない。よくて、フルブレーキを掛けられるだけだ。
ABSシステムを動作させるには、車のタイヤの滑りを検出しなければならない。タイヤに直接センサを取り付けることは困難だから、ふつうは、対路面速度と、タイヤの駆動軸の回転数から求めた、タイヤの周速の差から測定するのだろう。
車は移動体であるから、対路面速度を非接触で測定することになる。路面に超音波か光線を照射して、その戻りの音波あるいは光のパターンから間接測定していると思われるが私はその計測システムの詳細に触れたことはない。
ふつうの運転をしていれば、ABSが年に何回も働くことはあり得ない。そして、いざというときには作動しなければ価値のない装置でもある。しかも、その間は保守・チェックされない機器である。高い信頼性は必要なシステムだ。
今日は積雪がある。ここ1週間くらいは場所により路面が凍結している場所がある筈だから、安全運転に徹しようと思う。
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昨日の午後早い時間帯にツィッター上でリンクされていたサイトで、福島第一原発の温度上昇のデータログを見た。
一時間毎のデータをみると、緩やかに炉内温度が報道されているように、次第に上昇しているが、一秒毎の記録データは工業用の温度計としてはかなり大きい(数°C程度)のふらつきがあり、しかも、15°C幅を超えるスパイク状の波形も認められる。
工業用では、温度測定には熱電対が多く使われる。水の測定なら、おそらくはステンレス製の鞘管に収納されて水に接する。したがって、熱時定数は大きく、秒程度のオーダーでは揺らぐことは考えにくい。熱電対の原理から、その構成材料成分が変化しても短周期でふらつく事はないだろう。考えられる原因は、熱電対から制御室まで張られている伝送路の不具合か、そのアンプである変換器の故障が有力である。
3っつのセンサに付与されたID No.は最後の一数字を以外は同一であった。このことは、測定箇所がほぼ同じところを測定し、多重化しているので、その温度がプラント運転の重要情報であることを意味する。
工業用の温度計測では、センサである熱電対や測温抵抗体は互換性があるので、校正できなくとも変換器を交換すれば、そこそこの確からしさで温度測定できる。変換器はセンサから離れた場所に設置できるので、変換器の交換は無理でない筈だし、ふつうは予備の変換器を保有しているものだとアナログエンジニアは理解している。
このような現象が継続して1台だけの温度計測値が異常であれば、まず変換器の交換をするのが普通の計測屋のやり方と私は思っている。そして残る2台のデータを採用しながら異常を示した温度計の復旧を試みる。しかし、交換するために多少の時間がかかるが、チャートにはそれらしい不連続な時間帯は見当たらない。
夜のTVのニュース番組では、熱電対の2つの材質が定性的に示されていた。銅-コンスタンタンの成分だから、JISのT熱電対だろう。
そして、出てきた専門家は明らかに計測のプロではない、原子力プラントの先生である。プラントの全体は知っているだろうが、センサまでは熟知していないだろう。ミスキャストだ。
ニュースに出てくる科学・技術担当の不勉強を感じるとともに、プラントの計装技術の低下を感じさせる内容であった。
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センサ材料の選択は、センサとしての能力を発揮させる上で極めて重要な要素である。
温度センサや超音波センサはその代表的なものだ。
多くのセンサは材料か、各部の相対的に大きい寸法比を利用してその性能を向上させる。
そして、ほとんどの複合材料は、線膨張係数の違いによる熱歪みの影響を受ける。
この熱膨張/熱歪みの問題を避けるためにも、少量ではあるが特殊材料が使われる。
ある項目に対しほぼ0の温度係数を持つ材料には、固有の名称が付けれれる事もある。
エリンバー、コンスタンタン、ゼロヂュアー(R)・・・・、その他。
センサは空中に浮遊させて使うことはまず困難だから、どこかに固定しなければならない。その固定方法に依存して、異種材料間の物性の違いによる種々の課題が発生する。
アナログエンジニアも、センサ開発時には特殊材料を使うこともある。場合によっては、材料屋さんに依頼して、材料を開発していただいた複数の経験がある。
それらの材料では、耐環境性までは調べられていないのがふつうである。
自分がセンサ開発のリーダー的存在であった時、試験片の一部を、自宅の庭の片隅に、塩を含む塩類を混ぜて、1年以上、埋めておいて経年変化を見たことがある。
Niを多く含む材料だったので、結果は、良好だった。
センサ材料の経年変化データ取得には時間がかかる。それを怠れば、信頼性に関する不安は解消しない。新材料では加速試験の加速係数が不明な場合も多い。その意味で実時間の環境試験は重要であると私は思う。
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アナログエンジニアの家には数個のセンサライトを設置してある。赤外線検知式で夕方以降はセンサの感知エリア内に動くものがあると自動的にかなり明るく点灯する。
しかも、わが家は雨戸を閉めない場所は格子が貼ってある。
窓は2重ガラス。
その他にも、ガラス破損検知器が付いている場所もある。
生垣主体で、近所からは一応中の様子が見える。
なぜ、こんなことをしているのか?
防犯対策で、侵入されてから最初の数分間を稼ぐためだ。明るく、近所から見られながら、多重防御してある家に入るリスクを増大させるためである。
警察の話では、侵入犯は侵入に数分間かかり、かつ、姿を見られる可能性が高ければ、入りにくくなるという。それを忠実に実行している。しかも、大抵家に人がいる。
最初の数分間、音と光と他人の目、それに加えて他の防御手段も備えている。
出来れば、このようなセンサだらけで人目に付き易い家を狙って欲しくない。
最初の数分間を相手に費やさせるための仕掛け、アナログエンジニアが教わった防犯対策である。
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アナログエンジニアはアナログ回路だけではなく、センサそのものにも深くかかわってきた。仕事にも関連するので、現在乗っている車は、センサ類がフル装備車と言って良いほどついている、いや、付けている。
CCD:カメラは4個 フロントサイドビュー2、サイドビュー、リアビューがある。
フロントサイドビューカメラは、カタログ仕様をかなり満足していなかったので、魚眼レンズの純性品ではなく、特殊品が付いている。対応してくれなかったら、しかるべき官庁に連絡して戦うつもりだった。
超音波近接センサは前コーナーに2、後部に3付いている。速度が上がると、近接センサの信号はブロックされるようになっているが、購入直後は誤信号を出し、これも処置してもらった。
座席関係では、運転席が電動運転ポジション設定機能が付いている。降りる際には、後退しホームポジションになるから、インクリメント方式の位置センサが付いている筈。これはドアミラー角度も連動している。2人までセットできる。これは便利である。
電動ドアガラスはおそらくDCモーター電流の計測により、トルクリミットしているらしい。
エアバッグにはMEMS製の加速度センサが付いている。運転席、助手席、両サイドにあるので少なくとも4個が付いている。サイドは車体のつぶれ代が少ないので加速度センサには高速応答性が必要だ。万一に備えて、起動の度にある程度の機能試験はやっている模様。
エンジンルーム周りには、エアフローセンサ、吸気圧センサ、など、など。ひょっとしてジルコニア酸素濃度計も使っているかもしれない。
その他、外気温センサ(結構精度は出ている)や燃費も測っている。
特定はしないが、それらの複数のセンサに私は若干関係している。それで、センサフル装備車を実使用している。ディラーに言わせると特殊な仕様の車となっている。
もちろんHDナビ、ビックス、ビックスビーコンの通信手段も装備した。ハンズフリーで携帯も使える機能があるが設定が面倒なので今は使っていない。
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フォトインタラプタは装置の位置決めやホームポジションのチェックに使われる光電素子である。
発光部はLEDだから、広がりをもつ光源である。
受光部はSiの光センサである。
フォトインタラプタにはアンプ付きで直接受光部の電流を増幅して、デジタルレベルの信号に変換するタイプもある。
光電センサは汚染に弱く、汚染すると受光量が減少するし、LEDやフォトセンサの感度は経年的に低下する。したがって、設計的にはその減少分を見込んで、少ない光量でトリガがかかるように回路定数を設定することになる。
この結果、フォトインタラプタは受光素子の幾何学的な中央位置でトリガがかかるのではなくて、全遮蔽に近い状態がトリガ位置になる。
受光部は、遮蔽板の移動方向に対して狭い細長い形状にすると、トリガ位置の精度の向上と十分な受光量を両立できるので、そのような形状に製作されていることが多い。
遮光板が斜めになっていると、片側の隅から遮蔽が始まり、対角の隅で全遮蔽となる。したがって、遮蔽板の角度が斜めになっていると、トリガ位置の不正確さは大きく増大する。
このことは、フォトインタラプタの構造と光電センサの性質を理解しているなら容易に判る話である。しかし、世の中には、遮光板が斜めになっている装置も少なからず見受けられる。
アナログエンジニアは、このような無知による設計不良を嫌う。
なお、遮光板が厚いと類似の現象が生じるので、遮光板は薄く製作し、なるべく受光部近くを遮光板が通過するように設計するとトリガ位置の精度向上が期待できる。
繰り返すが、フォトインタラプタではトリガ位置は受光部の幾何学的中心ではなく、全遮蔽に近い位置がセンシングポイントなのだ。
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Photo_2 写真は菊の花にとまったバッタ。
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過酷な環境下で使用するセンサの原理は、意外に原初的な原理で動作するものが多い。
環境温度が150°Cを超える辺りから、SiのMEMS(μエレクトロメカニカルシステム/センサ)は材料的に厳しくなる。
汚れ対策にセンサ自体を過熱し、汚染物を除去する方式は、いくつかのガスセンサや熱線式のセンサで使われている。
MEMSセンサは大量生産に向くが、悪環境下で必ずしも最適でない場合がある。
アナログエンジニアは設計温度500°C+他の悪条件下で動作する複数種類の工業計器を設計したことがある。電磁式のセンサで非常に高価な計器である。この計器は複数のプラントのシャットダウンシステムに組み込まれているという。
詳しい内容は伏せるが、ある程度のことは論文博士審査時に開示しているのでブログにも記載できるのだ。
会社での回路経験も数冊の本を書く際に、ほぼ完全な原稿を作成してから社内審査を受けパスしているから、その範囲では既に公開可能となっている。
会社経験での内容に対する守秘義務は生きている限り続く。そして、線引きもあいまいさを残す。私はそのグレーゾーンをできる限り明確化してきた。
その一環に特許出願がある。公開特許になれば公知の情報となる。特許が切れれば、その技術を他人と再び使うことも可能だ。特許の別な側面である。
技術士は罰則付きの守秘義務をもつ。これが出来なければ、技術士としての私の仕事は成立しえないのだ。
当方が守秘義務その他を負う代わり相手にも義務を負わせる契約があって、私の仕事は成立している。
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