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トランス絶縁コンデンサインプット形の整流回路は小容量(VA)だと起動時に何事も生じない。
しかし、数100VAの出力容量の回路になると、起動時の突入電流は非常に大きくなる。
数VA〜数10VAの容量でも結構な突入電流が流れているのだ。
主な、制限要素はトランスの抵抗成分で、AC100V側と2次コイル側を1次抵抗に換算した抵抗でほぼ突入電流が決まる。
小容量のトランスを使用したコンデンサインプット整流平滑回路では、電圧変動率が比較的大きいので目立たないだけだ。
トランス絶縁形コンデンサインプット整流平滑回路で数100VAになると様相が異なってくる。
このクラスの変圧器の電圧変動率は小さく、起動時の突入電流に関連して種々の問題が起こる。
まず、整流ダイオードの過渡定格とコンデンサ量の兼ね合いで、ダイオードの選定に迷いが生じる。次に、突入電流が30Aを軽く超えてくる。抵抗を意識挿入しない限り、突入電流の影響が他の装置にも及ぶ。
AC100V直整流だと、突入電流が小容量でも大きくなるので、電源投入時には抵抗を挿入、その後半導体で、突入電流抑制回路の抵抗を短絡する回路を設けるのが普通だ。
アナログエンジニアは数100Vのトランス絶縁コンデンサインプット整流平滑回路を扱ったことがある。この時には、効率を無視して必要な抵抗をコンデンサの手前に挿入した。(泣き) 放熱フィンの能力に余裕があり、大型の抵抗をフィンに取り付けた。
突入電流抑制抵抗を短絡する時には、再突入電流が流れる。これも嫌な課題でありバランス感覚が必要だ。
単純に見えるコンデンサインプット形整流平滑回路でも、大容量化する時には結構種々の課題があるのだ。
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Img_1147 わが家は子供たちも含めて全員が核家族となっている。
子供たちは大学進学以後、それぞれの道を歩み始めた。
アナログエンジニアの住む町は大工場もいくつかある企業城下町だが、子供たちは、それでも地元での就職はかなわなかった。
子供たちは、全員遠くに住んでいる。
家族が助け合うには遠すぎる距離だ。
家族全員が集まる機会はとても少ない。
何かあっても、お互いに簡単には助け合うことが時間距離の壁が立ちはだかる。
3歳児の孫を抱えた共働きの子供夫婦もいる。
そして、親である私たちも自分たちで老後を歩んでいかざるを得ない。
子供を大学へ進学させることは、とくに就職の問題で、名実ともに離れてしまうのだ。
先日の連れ合いが入院した時、核家族とは?核家族の課題・問題を痛感させられた。
どちらかが元気なら助け合うことが出来るが、妻が入院、自分が体調不良になった時には非常に心細かった。
それでも、今は通信手段の進歩により声や写真の行き来は簡単になった。それで心はいやされるが、日常生活はなんでもこなさなければいけない。
今まで、連れ合いに日常の雑事は総て任せきりだったが、なるべく雑事、家事を見習うようにしている。そうしないと核家族では2人が助け合うことが出来ないのだ。
とにかく健康第一、それが核家族での生活スタイルになるだろう。
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ワンチップ化されたダーリントントランジスタでは、抵抗が付加されているものが多く純粋なダーリントン接続のチップの方が少ない。極性は初段Q1がnpn、次の段Q2もnpnである。
3端子ダーリントンの石の用途はSW用が多いので、hFEの直線性よりスイッチング特性が優先されているものと考えられる。
例えばQ1のB-E間に適切な抵抗R1を付加すると、定電流領域、具体的には約0.6V/R1の電流まで初段はほとんど増幅せず、Q2のみが動作する。
次段のQ2のB-E間に抵抗R2を接続すると同じようにhFEの電流依存性が大きくなるとともに、ターンオフ時のSW速度の改善が期待できる他に、高温時の漏れ電流の影響を抑制できる可能性も高い。
npnダーリントントランジスタはSW用途に使うことが多いので、SW特性を優先させた方が使いやすいのかもしれない。
実使用では、hFEの電流依存性が高くなるので設計に際しては、実働電流でのhFEとばらつきに注意して駆動条件を決定することが望ましい。
また、ダーリントン接続は、B-E間が接合電圧VJの2倍となるとともに、飽和電圧がQ2のVBE+Q1の飽和電圧となるのでSW回路の電源電圧が低いときには、負荷電圧不足が生じることもあり得る。
回路図にも、1石のダーリントントランジスタでも、きちんとダーリントン接続の図記号を使わないと誤判断することもある。
たかがダーリントン接続だが、アナログエンジニアは抵抗を追加するなど種々の変形を行うことがある。抵抗を付加する位置、開放する端子など様々な使い方がある。
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005 庭のグリーンカーテンとしていたアケビの実。今年は大きい実がなった。
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昨日も「職務発明」のニュースがあった。
新職務発明の規定は、特許法第35条第4項にあるが、会社側の定めた契約・勤務規則の定めが不合理でない限り「相当の対価」を発明者が受け取れることになっている。
職務発明の社員と会社の係争はふつう退職後に行われているが、今回のテプラ事件は元従業員と社員が含まれている点が大きく異なっている。退職後に係争する理由は現役だと、職務発明がらみで、現役だと不利益を被ることが多いからだ。
しかし、会社の規定は「職務発明の対価」を一般に低く見積もる傾向にあることは否めない。
発明の中には、製品にならなかったものを実用化・商品化するキー技術も含まれる。
このような職務発明はもっと評価されて良いのではないか。開発設計者の中にはほとんど成立した発明を持っていない、発明しないエンジニアも存在する。自己の独自のアイディアで製品にまでもっていくことは、会社にとっても利益になることだ。
アナログエンジニアは累計60件を出願し、約30件の特許を保有していた。自分が書いた特許明細に限れば成立率は70%以上、約20件だ。
しかし、現在は社内の職務発明規定が不合理でない限り、その規定が対価の基準となる。発明者は弱い立場でその規定を受け入れざるを得ない。
多くの場合、知財部門は発明の詳細、価値を低く見積もる傾向にある。技術の価値の判らない管理職も多数存在し、誰の発明を現製品に使っているか知らないことが多い。これで妥当な評価はできるわけがない。
さらに、対価を得る権利の時効は、最終支払いから5年だから、裁判までもっていくのも発明者には時間の制約がある。
オリンパス、日立、味の素、日亜化学等などそうそうたる会社が含まれる。これで技術立国、日本は大丈夫なのか?
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017 不要になった年代物のハンドミキサーを、いつものように分解した。と言うよりプラスチックカバーを外しただけ。
分解するまでもなく、内部構造と結線の概略がすべて見えた。
結構、丁寧な作りである。
界磁コイルからは4本の線が出ている。多分、直巻きと分巻きを組み合わせトルク特性を制御している筈だ。
モータの出力は70Wだが、速度切り替えのレバーSWが左上に見えていて、界磁コイルとモータの方へ結線されている。モータ軸の左側にはウォームギアが2個あり、30年あまり経過した今でもグリスは劣化していない。きちんとモータ冷却用のファンも付いている。整流子が12極あるから、速度切り替えに極数を変えているかもしれない。
構造的には実にシンプルで工学美を感じる。
アナログエンジニアは、小型のOA機器や家電品は大抵分解してから処分する。燃えるごみと金属類の分別も兼ねると同時に、異分野の設計を肌で感じて感性を磨く目的もある。
これまでも、これからも同じことを行うだろう。
以前、VTRのヘリカルスキャンヘッドを2回分解したことがある。2回目は1回目のものより磁気ヘッドの調整機構が簡略化されいた。
デジタル家電は分解してもほとんど判るところはないが、アクチュエータやセンサの部分は見て判る部分もあるのだ。
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コンデンサの大きさ(体積:cc)と蓄積エネルギー(mJ)は、コンデンサの種類やその時代の製造技術が決まれば、耐電圧によらず、ほほ一定値をとる。
最初の本を著作した頃、気がついた。
1コンデンサの容量C=8.85keS/d (pF)で S:面積(m^2) d:電極間距離(m) ke::比誘電率 表わされる。
2コンデンサに蓄積できる最大エネルギーEは E=CV^2/2 V:耐電圧 である。
3耐電圧Vは材料と製造技術でほぼ決まるが、Vが電極間距離dに比例すると仮定する。
4電極厚みは無視できるか、耐圧に比例するものと考える。
1〜4の前提で見ると電極間距離d×ばつ面積=体積とコンデンサの蓄積容量が理論的に一定値を取ることが判明した。、種々のメーカー、種々の品種、種々の耐圧のコンデンサについて、労力を惜しまずに、体積と蓄積エネルギーの関係を調べてみた。
その結果、冒頭の結論を得るに至った。
この方法によれば、コンデンサの大きさを(cc/mJ)で正規化して表現できることが判明した。
このデーターを得るには、かなりのデーターを調査しなければならないが、アナログエンジニアは結構きれいな結果を得た。
数値を例示すると、電気2重層コンデンサで0.0006、固体タンタルで0.03、ポリプロピレンフィルムコンデンサで1、温度補償用セラコンで20程度の値であった。
この視点で検証した数値例の文献は私は見たことがない。多分、急速な発展を遂げているチップ積層セラコンなどでも、同じ様な結論が得あられるだろう。
コンデンサの単位体積当たりの蓄積エネルギーで正規化し、コンデンサの大きさを比較する方法は、多分、私のオリジナル数値だろう。これは、著作権の対象だろう。
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Img_0001 折れ線関数発生回路を作成してみた。
対象は3角波を正弦波に変換する回路で、実線が±90°範囲のSIN波。
破線は、合成した折れ線関数発生回路。
いまどき、純アナログ式で関数を発生させることはなく、DA変換器とマイコン+ルックアップテーブルで任意関数を発生させる時代だ。
懐かしのアナログ関数発生器を理想化ダイオード回路を4組と加算器を使って三角波→正弦波の変換回路をシミュレートしてみた。
4折れ線でもそこそこの性能で、SIN波の頭が少しとがっているけど・・・
このような関数発生器は1970年から1980年過ぎまで、工業計測の分野でしばしば使われた。
また、方形波→三角波→SIN波への変換を行うアナログ集積回路も実在した。
理想化ダイオード回路は、現在でも交流の精密整流などの用途に使われている。理想化ダイオード回路:案外初心者は理解に苦しむ回路である。演算増幅器の性質とダイオードの組み合わせで結構性能が変わる回路でもある。
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2 庭の片隅で咲いたサフランの花。わが家のさちは、さまざまな野花も庭に植えている。
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洋弓は合理的に製作・改良されているので、競技距離での最大射角は0.1ラジアン程度以下である。
この程度の射角だと水平成分であるCOSの効果はすくない。
また、空気抵抗の影響を大きく受ける矢羽は、和弓で良く使われる鳥の羽ではなく、プラスチックあるいはフィルムの小さい羽根が付いているだけで空気抵抗は比較的小さい。
空気力学的に見ても、矢羽なしに安定に飛翔する。
レーザー速度ガンを使わずに矢の弾道を間接的に測定する手段が複数ある。一つは、競技距離が判明しており、射角を測定する方法だ。ターゲット競技では水平な場所で射つから、距離と射角から高校物理、質点系の力学で計算できる。難点は目視で傾斜計で射角を測定すると0.5°位の誤差が出ることだ。この改善には、デジタルカメラを使い、水平なラインを同時に撮影し、写真から角度を求める。誤差は0.1°位。
もっと、巧妙な手段がある。これには高校物理と幾何学の知識を使う。
競技距離の増加に伴う照準の変化を測定するのだ。目と照準器の距離が判っていものとし、2つの距離での照準の目盛の下がり具合を利用して、射角の絶対値を使わず、例えば30m、70mでの照準下がり具合から、角度の絶対値を使わずに連立方程式を解く形にすると、精度よく測定できるのだ。
矢速が早い人でも意外に精度は低下しない。
アナログエンジニア流の弾道計算、それは高校物理の応用でもあるのだ。
これらの方法で測定した矢速は、競技距離での平均矢速に近い数値であろう。
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Img_newオペアンプとトランジスタを組み合わせれば、意外な回路も成立する。
この回路は超軽負荷の高圧電圧源 、高圧と言っても数100V程度だが、オペアンプ単独では扱えない電圧である。
用途は負荷電流の少ない電極駆動を想定している。
オペアンプ出力でトランジスタインバータQ1を駆動することで、電圧制御電圧源として動作する。ただし、極性は反転するので入力は逆極性となる。
ダイオードD1は、基準電圧VSが急変した時、仮想短絡が成立しない可能性があり、その時の電圧制限用の保護素子である。
オペアンプにインバータを接続するので、オペアンプの+入力端子を使用するとともに、図には記載していないがA1の帯域制限/位相補償を行っている。
うまく回路定数を用途に合わせて設定すれば、このような簡単な回路でも実用になるのだ。
Q1に高耐圧トランジスタを選ぶが、こんな回路、位相補償の初歩の知識があれば設計可能である。
この回路は、反転増幅器はリニア状態では仮想短絡が成立するので、オペアンプには通常時は過電圧はかからない。
保護用のD1を装備したことと、簡単な回路構成できることを見抜かなければ気がつかない回路でもある。
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アナログエンジニアが40代の頃である。
母校を訪問した際、「回路本」を書きたいと卒業当時からいた学科事務のB氏に話したところ、「博士」を取得するのが先だ!と言われた。
本の箔付けかと一瞬おもったが、博士論文くらいの量を得意分野で書けないようではまともな本は書けない、そう感じた。
2月か3月か、年長のA氏の伝手でセンサとアナログ電子回路がご専門のY教授のところにご指導の依頼に行った。その時の引き受け条件が5月の連休前に論文の草稿を持ってくるなら引き受けよう、とのことだった。一日平均A4で6ページの執筆速度が要求される。
書ける時間のない日もあるから、日程を考えて、できるだけ前倒しで執筆した。時間のかかる図は手書きのままだったが、無事第一関門を突破。翌年2月公聴会を経て、めでたく「博士」学位記を手に入れた。
その時の審査をしてくれたK教授は、専門がことなるが、なぜか本の執筆指導をしていただけることになった。それが私の第1冊目の「アナログ電子回路設計入門」である。
学位論文は自分の業績のみで書けるが、本はそうもいかない。読みやすさは当然として、自分があまり実経験していない部分も書かなくては教科書として成立しない。かくして、累計1000数100時間を費やした本になった。しかも、伝統的なスタイルの電子回路本ではない。
しかし、時間をかけただけのことはある。実務者から見た、そして設計を意識した本になり、自分も大変勉強になった。
後日、自著で学んだが新入社員から、声をかけてもらい、先生の本は判り易かったとの評、これはうれしかった。本当に嬉しかったのである。著者冥利につきる。
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2011年10月20日 (木) 随想 | 固定リンク | コメント (4) | トラックバック (0)
アクチュエータの多くは電磁力に頼っているので、トランジスタスイッチング回路では結構インダクタンス負荷をオン・オフする場合がある。
アナログエンジニアは若い頃、インダクタンス負荷のオフ時の挙動が良く理解出来ていなかった。
DC回路では、スイッチングの際、オフ時の挙動の理解が重要な設計事項になる。
しかし、インダクタンスに逆並列にダイオードを付加して、コレクタ電圧の上昇を回避する手段を記載した事例は良く見かけるが、ダイオードを流れる電流には言及されておらず、ダイオードの選定に自信を持てなかった。
電流の流れているインダクタンス回路をオフすると、インダクタンス電流は急には変化できないので、オフ直前の電流を維持しもっとも電流が流れやすい経路を流れる。
V=LdI/dt V:インダクタンスの電圧、L:インダクタンンス値、t:時間、I:電流 だから、電流の時間変化が大きい時には、いくらでも高い電圧が発生する。そして、もっとも電圧の低い経路を流れる。
ダイオードを逆並列にした場合、オフ直前の電流を初期値としてダイオードDを順方向に電流が流れる。結果として、L→D→電源の経路の循環電流となる。
多くの電磁弁、リレー、ソレノイドは抵抗分で電流が決まるように設計されているので、その抵抗分は大きく、循環電流はL/Rの時定数で減衰していく。
ここまでの説明を明白に記述した回路本はあまりにも少ない。
電子回路がアクチュエータ駆動する限り、各種インダクタンス負荷のスイッチングの問題を扱えることは実用上、重要な視点である。
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2011年10月19日 (水) 電子回路基礎 | 固定リンク | コメント (2) | トラックバック (0)
アナログエンジニアはhFE以外のhパラメータで回路設計をしたことがない。
半導体のアナログ設計でもふつう、hパラメータは使わない。
半導体のでデーターシートは例外を除いてhパラメータで特性を記述しない。しかし、大多数の大学ではhパラメータで回路を教えることが多い。真空管から半導体への移行期の回路の大御所(複数)の本がhパラメータでの記述し、大学教科書で踏襲されているせいなのか、良く分からない。
もっと高周波を扱う場合はSパラメータを主に使うらしい。
hFEとhfeは厳密には異なる。前者はコレクタ電流とベース電流の比、後者はあるコレクタ電流での微小変化を与えた時のΔIc/ΔIBだ。
では、実務者は何を使うか? ほとんどhFE、アーリー効果、それにIB=Is*exp(VBE/VT)の式だ。そしてより高周波(1MHz前後)ではコレクタ・ベース容量Cobで特性を予想する。
hパラメータの実際の数値はデーターシートには普通記載されないので、自分で上記の式から計算する。しかし、広い動作範囲のトランジスタの特性表現には不向きであるし、回路シミュレータSPICEとの相性も悪い。エミッタフォロワでは、hパラメータで表現しにくい特性だ。
1石トランジスタ増幅器で利得計算に必要な入力抵抗hieは理論式から各自が求めるものである。この求め方を知らないと、公式は判っても、実際の計算はできない。
英文の良本は古くから、半導体/アナログIC設計を志向した記述になっていた。
なぜ、日本の回路教育ではhパラメータで教えるのか、悪しき伝統だろう。
私の著作では入門書であっても実務で使うモデルでの説明に徹している。実はアナログエンジニアが最初の本を著作した時、hパラメータで回路を教えることが出来なくて、自分で教本を作ったという経緯がある。
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電圧制御電流源の設計は、制御電圧と負荷が同一GNDでなければならない時には結構厄介である。
電流検出用の直列抵抗を接地したいからだ。
×ばつ(RL+RS)の電圧が必要になる。
磁路を持つコイル負荷では、高い電圧VHを要することも少なくない。
片極性で負荷を接地しなくともよい場合には、VH→RL→Q→RS→GNDの構成が可能であり、回路的な自由度が高くなる。
このような構成は片極性のコイル負荷で多く使われる。また、工業用計測器の標準出力は4-20mAで片極性かつ0出力しないので、センサ回路丸ごとフローティングを行い、受信端で250Ω受信抵抗で1-5V信号に変換する。基本的に電圧制御電流源なので、途中の伝送路抵抗の影響はほとんど受けない。
電磁流量計では数10Hzの交流方形波励磁を行うが、効率化と高周波化には工夫が必要である。この場合には、モータ駆動に似た形になることが多い。
精密アナログ回路では、意外にインダクタンス負荷の電圧制御電流源が必要なのである。そして、電源電圧も高くない、高電圧オペアンプまがいの回路を作ることすらある。
電圧制御電流源は負荷条件が同じものはあまりない、と言うのがアナログエンジニアの実感である。
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洋弓には国体などに出場できる通常の弓:リカーブボウと国体の競技種目でない複合弓:コンパウンドボウがある。
リカーブボウは、ハンドルを起点としたフックの法則に近い形の力F-引き長さS曲線をもつ。弦のハンドルの高さから測った弦の位置:ストリングハイトから、フックの法則の直線に漸近するF-S曲線である。ストリングハイトは約20cmくらいで、ハンドルからの引き長さ:ドローレングスは男子で65cm程度である。従って、弓のリムに蓄えられるエネルギーEはF-S曲線の面積で決まり、引き尺の短い人は同じ最大の張力でも少なくなる。
矢の運動エネルギーはmV^2/2であるから、矢速はリムの効率ηとして、
2Eη=mV^2となる。ηは最近の競技用の弓では0.9程度あり改善の余地は少ない。
矢の重さは、材質にもよるがアナログエンジニアの矢で17g程度である。競技用の矢の重さは大きくは変わらない。
非力で小柄な女性アーチャーの場合、Sが少なく、ピークFも小さいので最軽量の矢を使っても、矢速は遅く秒速50m以下である。この程度の矢速で女子の最長競技距離である70mを射つと、打ち上げ角は5度を超える。矢速が遅いと弾道は高く、飛翔時間も長いので各種の誤差や外乱の影響を受けやすい。
一方、カムとケーブルを使ったコンパウンドボウでは、引き始めから速く最大張力になり、構えの態勢まで引くと、最大張力の1/2〜1/3にまで落ちる。従って、コンパウンドボウでは、同じ最大張力でも蓄積エネルギーEはリカーブの1.5倍程度ある。この結果、私の矢速は70m/sを超えている。
コンパウンド派の人の中では60ポンド近い最大張力で、かつ重い矢を使う方がいる。このような方の矢速は80〜100m/s程度だろう。
非力な競技者でも打ち上げ角が40-45度の状態でミスショットすれば、200m程度は飛ぶ。したがって、ドローイングの時にも通常の射角以上の姿勢を取ることは危険な行為である。
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最近になって、ようやく政府内でも原子力発電のコストが見直されることになった。
しかし、除染で出た放射性廃棄物はどこに保管するのだろう。
廃炉に伴う、高濃度放射性廃棄物はどこに処理するのだろうか。私の知る限り、実際に永久処分が実現された例は、一例しか知らない。数億年の安定な地層に穴を掘り、搬入後コンクリートで穴をふさぐ手法だ。日本ではそのような安定な地層はないだろう。処分法が国内で不可能なら、そのコストは算定のしようがない筈だ。
ガラス固化体を作る技術だけ自力開発しても意味がない。
大量の低濃度放射性除染汚泥を受け入れるところはあるのか。それでなくとも、東京電力福島第一発電所の事故により、普通の用途に使えない土地が幾平方kmもでる。狭い日本の貴重なスペースが減少している。その価値あるいは費用はどう算入するのだ。
発電により燃料から回収されたプルトニウムはたまり続けている。その保管費用は?その処理は? 明白ではない。プルサーマルの計画があるのみだ。
このような状況の中で、世界で唯一高速増殖炉FBRの開発を進めている国が日本だ。膨大な国費を掛けている。FBRを実用化してプルトニウムをさらに生産してどう使うのだろう。それに、冷却材は金属Naだ。万一の時に、水を掛けるわけにはいかないし、保温されないと配管などに負担がかかる。
原発コストは、現時点で算出しようのないコストも膨大にあるはずだ。もっとも嫌な部分の議論が本格化していない。
本当に原発は安いのか、安易な原発の発電コストが安いという最近のキャンペーンはにわかには信じがたい。
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Bs図はAC超高入力抵抗を実現する回路例で、ブートストラップ回路と呼ばれている。(と思う)
J-FETトップの汎用オペアンプを用いても、数GΩの入力抵抗のバッファアンプを構成できる。
原理は簡単で、電圧フォロワ回路A1で利得1未満で1に極めて近い電圧をC2を経由して、バイアス電流を流すための抵抗R1にかかる電圧をほぼ0にするのだ。バイアス電流を流す直流経路は、R1とR2である。
コンデンサが嫌な部分に2個、オペアンプの周波数特性は一次遅れ回路だから、解析的に解こうとすると3次以上の複素数の関数になり、見通しが悪い。
図の定数は最適化していないので、低域側にピーキングが出るバンドパスフィルタになっている。
超高入力抵抗は正帰還により実現されているので、どこまで系の帰還利得が高いかで帯域が決まる。Rzは解析のための信号源抵抗である。
設計式が見通しの良い形で得られず、モデルが明白なので回路シミュレーションによる最適化を行うことが好都合である。
種々の定数で試してみたが、この回路は数GΩの入力抵抗をもち、帯域は信号源抵抗に依存する。
こんな回路の用途はAC変調されたセンサのハイインピーダンス・微小信号の増幅などであろう。
アナログエンジニアは工業計器の分野で、一度だけ実用品の類似回路をみた記憶がある。
自宅で実験したことがあるが、出力しか観測できないので信号源抵抗10MΩまでしか、誘導ノイズのため測定できなかったが、シミュレーションの妥当性を検証することはできた。
この回路の性能を発揮させるには、厳重なノイズ対策が必要だろう。
オペアンプ回路で正帰還リニア増幅はあまりやらないが、電圧フォロワが利得1未満で、利得が1に極めて近いことを実感させる回路である。
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これまで使用していたわが家の電子レンジは多機能:各種センサ付き、オーブン機能付き、メニュー別自動時間設定付き、出力自動調整機能もあるらしい。
昨日、電子レンジを買い替えた。
今回は探し回って、やっと見つけた単機能の電子レンジだ。
多分機械式のタイマーつまみと、高周波出力4段階調整の切り替えつまみが付いているだけの極めてシンプルな製品。
これなら、自分の判断で言うことを聞いてくれそうだ。高周波出力500Wのポジションがあるので、冷凍食品などの温めも、その袋に記載してある時間をデフォルトで確実に設定できる。
色は白。多機能品に比べ一回り小さい。
ロータリー式のノブが2つだけ。シンプルそのものだ。
実にアナログエンジニア好みの電子レンジだ。
メーカーにとっては付加価値が少ないだろうけど、不完全な重量センサ、蒸気センサなどを搭載し自動化されたものは、使用者の意志の通りには動いてくれない。電子レンジの前で人間様が見張っていなければならない電子レンジより、わたしは、使いやすいと感じる。
そもそも、わが家では、電子レンジのオーブン機能やスチーム機能を使ったことがない。したがって、不完全な自動化や多機能品は不要なのだ。
いまでは、電子レンジは多機能化されたものがほとんどで、若い人には人気があるらしい。探したカタログは複数社、単機能品は1種類しかなかった。これも時代の流れか。
単機能・基本性能を重視するのは、アナログあるいはアナクロ?人間だけかも知れない。
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30代前半の頃の出来事でセンサ絡みの回路のことである。センサの特性改善・測定範囲の広域かの開発遅れのため、私の担当していたアナログ回路部は時間をかけて改良を重ねて既に完成度の高いものとなっていた。
しかし、技術面を担当する副技師長K氏はさらなる改良とコスト低減を求めて、私を中央研究所の超エキスパートで高い地位にあるN氏の下に連れて行き、ご意見を伺いに行った。
K氏は私の回路を熟知したうえでの行動ではなかった。
その方は、30分ほど説明を聞き、丁寧に私の回路を読んでくれた。そして、私の方ではなく、副技師長K氏方に向かって、この回路は改良の余地がない。他の部分でコスト低減をするべきだと弁護してくれた。
このセンサ絡みの回路、個別部品で構成していながらアナログIC手法を取り入れて少ない部品で必要な性能や温度特性にも注意を払って設計した思い出の回路である。
K氏は自身で私の回路を評価することはなく、ご意見を伺ったのみである。
しかし、この出来事をきっかけに、若造の私に種々の社内でのアナログ回路屋の集まりにもN氏の配慮で出させていただいた。
後に、自著を執筆する時、エミッタ接地形式でトランジスタ動作を説明したい部分(普通はベース接地で説明されている)があり、その部分の原稿をチェックしてくれたのもN氏である。
昔からアナログ回路に限らず、どこの分野、職種でも地位の高い人に伺いを立てる実力のない上司=権威主義者は存在する。しかし、年相応の実力があれば、逆に、力も地位もある方の恩寵を受ける機会にもなるのだ。
アナログエンジニアにとって、優秀なアナログ屋さんと交流の機会を持てたのもN氏の影響が大きかった。
なお、その回路は20数年経過した今、電源電圧特性をトランジスタ1個で大きく改善できることが判明しているが、その1個のトランジスタの追加が引きあうものか否かは未だに私には判断できていない。
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バイポーラパワートランジスタには安全動作領域(ASO)が規定されている。このASO、ふつうはあまり余裕のない仕様で、しかも、時間の関数である。
ASO違反の設計は、ドロッパ式安定化電源の主トランジスタやインダクタンス負荷、とくに双極性の定電流源で見受けられることがある。
ドロッパ式では、負荷短絡が生じた時ASO違反があると、負荷短絡とともに最大電流・最大VCE電圧の状態になる。フの字形電流制限機構を持つ安定化電源回路では、中間的過負荷でも発生する。
バイポーラパワートランジスタは短時間であっても、定格電力を掛けられるとは限らない。
アナログエンジニアは若い頃に、ダイオードの破壊耐量を調べるため、ピーク出力数kWの定電流パルス発生回路を製作し、μ秒までのパルスを発生させた。この時、ツェナーダイオードが破壊した後も長くパルスを継続させると、パルス発生回路の方も破損してしまう。
ASOはバイポーラトランジスタのVBEの負の温度係数が関与していて、大チップトランジスタでは、何かの原因で高温になると、その部分に電流が集中してしまう現象だ。
パワーFETでは、このような現象は生じないとされる。あるパワーFETのデータブックの用語の説明とともに、大電流・大電圧でのチップ内温度分布を可視化した写真を見たことがある。
バイポーラトランジスタでは著しい不均一があり、FETでは見事に均一であったことが今も印象に残っている。
安全動作領域違反による素子破壊は短時間で起こる。
パワーFETでは安全動作領域の問題はほとんどないが、スレショールドゲート電圧が高いので、直列安定化電源では補助電源がないと駆動が難しくなるので、中間の電力を扱う回路ではなかなかFETに踏み切れないのである。
安全動作領域の怖さは知る人ぞ知る。
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Img_1116 わが家の庭に咲いたサフランの花。年々、花数が増えているような気がする。
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最近、NHK放送で気になることがある。
たびたび、NHK自身の番組宣伝が入るのだ。しかも、BSチャネルのものが多い。
この番組宣伝放送は、質的に視聴者側にとって民放のコマーシャルと何ら変わることがない。
わが家は衛星チャネルを使っていないので、迷惑そのものである。
ニュース報道も、政治色を帯びたもの、NHKに不利な内容のものは報道されない。3.11以降の原発事故に関する報道も独自の取材とは思えない。ニュースの質も高くない。
しかし、放送料は確実に徴収されてしまう。
NHKは多数の営利子会社を抱えていると聞く。そんな中で、NHKに受信料を払わない通常の手段はない。
NHKの「公共」性が薄れている今、例えば、NHKを受信できないTVが市販され、そのTVなら受信料は払わなくとも良い制度があっても良いのではないか。それでもNHKはやっていける企業努力をしているか疑問に思う。準国営TV、それに迷惑番組予告、こんな放送局は一般と同列に扱うべきだろう。また、営利子会社を抱えているなら、連結決算、人件費など総てをを開示すべきだろう。アナログエンジニアはNHKの受信料は税金と同じように感じる。
受信者はNHKを聴取しない権利は否定されているのである。
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Img_1115 普段行かないところだが近所の道端に咲いていた白花の彼岸花。
写真をクリックすると拡大画像となります。
この年になって初めて見た。改めて白の彼岸花が存在するかと思って検索してみると、その写真には赤と白のツーショット写真があった。
実物で良く見ると、茎の下側はやや太く赤みがかかっている。葉は今の季節、当然ない。
赤の彼岸花の記憶と比べると、花弁は少し細めであるが、花の形は普通の赤の彼岸花と同じに見える。色は白と言うよりは少しクリーム色に見える。
花が咲いていた場所は、広い通りの歩道の街路樹のあった場所だ。きっと誰かが球根を植えてくれたのだろう。
彼岸花:赤花はお彼岸のお墓参りを連想させるが、白花の彼岸花はその連想もなく、可憐な姿に見える。
少し気がつくのが遅れて、彼岸から時間が立っていたが、私には珍しいので写真をアップしてみた。
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アーチェリーではヤード・ポンド単位とメートル単位が混在する。
まず、弓の強さだが、これはポンド重であり、私の弓では37Lbs≒17kg重の張力に相当する。近い重量物なら18L石油ポリタンを指先3本で支えるようなものである。
矢の重さはg単位で記述されることが多いが20g以下であることが多く、長さは例えば26・1/2インチと表現される。弾頭(ポイント)の重さはグレイン単位例えば80grainと表現される。10円硬貨よりは少し重い。
競技距離はもちろんメートル単位だが、照準器の目盛は、国内ではmm単位の用具が多く使用されている。目と照準の位置にも依存するが、競技距離20m増すごとに、10数mm照準は下がる。したがって、目盛は下に向かって、数値が増すように製作されている。
射の瞬間の矢の最大加速度はおよそ1000G程度。
弓のF(力)-S(長さ)曲線から蓄積エネルギーと矢の運動エネルギーの関係を実測した結果は、競技用の弓では弓に蓄積されたエネルギーの90%前後が矢の運動量に変換されている。数100gのリムと10数gの弦を高速で動かして、この伝達効率は非常に高く、洋弓の構造の合理性の賜物と考える。
30年ほど前の安物の弓では55%程度であった。
一流の競技者は比較的強い弓と重いポイントを使うことが多い。この理由は、強い弓だと、引き尺が多少ずれても矢速=着弾位置に影響が少なく、重い矢であると風の影響が少なくなるためである。
65歳になろうとしているアナログエンジニアは用具の進歩に助けられて、今も、若い頃より強力な弓を引いている。
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飽和形磁気マルチバイブレータの多くは1kHz前後で設計され、一般には高効率化や高周波向けには不向きとされている。
1970年代、トランジスタが高価であった頃、多数のフローティング補助電源を作成し能動素子を減らす目的で重宝がられた回路方式である。
その多くは角型ヒステリシスコアを用い、急峻な飽和特性により電流依存性の少ない飽和磁束密度Bmが得られる。保持力Hは小さい材料を使用する。
2石式の回路構成はいくつかあるが、ベース電流制限によるコレクタ電流の増加が維持できなくなった時に転流する。コアの磁束密度Bの時間変化と電源電圧Vpの関係は
Vp=nSdB/dt n:1次コイル巻き数、S:コア断面積、B:磁束密度 である。
この式を変形し
dt=nSdB/Vp
半周期はBが-Bmから+Bmに変化する時間だから
T/2=∫dt=∫(nS/Vp)dB=2nSBm/Vp (積分区間は-BmからBmなのでBに関して積分可能。)
したがって、発振周波数 f=Vp/(4nSBm)となる。
なお、コレクタ電流波形はB-H曲線を反映し、時間軸がB、電流軸がHに対応する。
この解析方法はSW電源のトランスにも応用できる。(簡単そうに見えるが、実は足掛け3年かかって私はこの手法に到達した)
アナログエンジニアは飽和形磁気マルチを高透磁箔トロイダルコアを使用し特殊な巻き線構造により、一気に30kHz発振でかつ1次-2次間容量約2pFを実現した。
飽和形磁気マルチバイブレータは、決して高周波発振に不向きではないのだ。うまくコアと巻き線構造を工夫すれば、実験室的には120kHzでも発振した。(出力約1W設計)
また、飽和形磁気マルチを全波整流すると、転流時間は相対的に短いので、小容量の平滑コンデンサでも十分なDC出力を2次側に得られる点もメリットである。
エンジニアたるもの、高周波発振に不向きなどと、安易に否定形の表現を使うべきではないのだ。
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バイポーラトランジスタは3端子素子である。したがって、過電流が流れるためにはベース、エミッタ、コレクタのいずれか2つの端子間を流れるしかない。
アナログエンジニアは、ほとんどの場合EMCの被害者の立場の回路設計を行う。
このとき、B、E、C端子のいずれか2つの端子に動作に支障のない限り、コスト制約が厳しくない場合、抵抗を挿入するのが、自己流のやり方である。
3端子のうち、2端子に抵抗が挿入されていると、瞬間的には外来サージにトランジスタの定格よりもかなり大きな電力、電流に耐えることが出来る。
この方法で、市場での原因不明の素子損傷が明らかに減少した事例も経験している。
屋外設置機器では、誘導雷を始めとする種々の外来サージを受ける可能性がある。この短い時間に耐えれば、フィールドでの故障率が下がる可能性が高い。
×ばつ時間が一定のラインで破損する。しかも、半導体では中間破壊はめったに生じない。破損モードは半導体素子なら短絡モードである。開放故障に至るには、内部の接続部が溶断するだけの電力が必要と認識している。
ふつう、バイポーラトランジスタでは3端子のうち、1端子に抵抗が入る。アナログエンジニアはできる限り、もう1端子に抵抗を挿入するのだが、これをやると、継続的な過電流制限の手段が取れることも多いのだ。
たかが抵抗1本、されど抵抗は電流を制限してくれる。
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デジタルオシロスコープの時代になってから、各種の電気波形を簡単に記録に残せるようになった。しかし、記録に残したからと言って、波形の特徴点を把握したことには決して関連はない。
アナログエンジニアの若い頃は、当然アナログオシロで、記録に残すとすれば高価なインスタントフィルムと撮影用のアダプタが必要だった。したがって、電気波形を手書きスケッチで記録し要所要所に波形の特徴点を書き残すことが多かった。
この手書き波形スケッチの作業は今から見れば非効率そのもののようであるが、案外波形の特徴点を自分自身が明白に把握することに役立つのである。
学生に電子記録を使わせずに、電気波形をスケッチさせると、その学生に見えている電気の世界が良く分かる。理解度の低い学生は周波数(周期)や電圧レベルすら波形スケッチに記入しないことも少なからずある。
特に、SW波形などでは特徴点が多くある。立ち上がり時間、立ち下がり時間、スパイクの大きさ、リンギングの大きさと周期、その減衰係数、サグなど、など。
これらの波形を定量的に把握しようとすると、アナログオシロのレベルシフト機能や水平軸の拡大機能をフルに使って数値化しなければ、定量的な数値を添え書きし、必要に応じて部分拡大図は描けない。
波形を記憶に残すことは、その後の改良設計に大いに役立つはずである。
デジタルオシロは電圧軸のダイナミックレンジに弱点がある。
逆に、いまどきながらアナログオシロはエンジニア/学生の訓練にこのように役立つし、またデジタルカメラを使えば簡単に波形写真を残すこともできる。
波形図を記憶できる能力の訓練に、波形図のスケッチは今も重要なトレーニング法であると私は考えている。ここにも便利になり過ぎて失われつつあるエンジニアの腕磨き技法が存在する。
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きちんとした正弦波波形を図で表現するためには、図を書くときに少なくともSINあるいはCOSの計算をまじめにやるか、回路シミュレータを使わないと描けない。
SIN波の場合、0°近傍では直線となり±10°位から曲線に移行し、90°近傍では平坦部が出るはずである。そして、上下対称の波形となる。
板書ではポンチ絵しか描けないが、本の図原稿となるときちんと正弦波を書くべきだろうとアナログエンジニアは拘っている。
なぜか? 正確な図は正確な理解の第一歩となる。板書なら口頭で特徴点を補足できるが、本とするなら、正弦波くらいはきちんとした図にしたいものだ。
交流電子回路では正弦波を多く使う。正弦波を図にしない本はほとんどないだろう。
それが、正確に描けていない書籍は、著者の怠慢で情熱のこもっていないものと考える。
一度だけ、手書きの正弦波の波形図がそのまま記載されている本を見たことがあるが、中身も当然貧弱だった。そこまでひどいのは別として、少なくとも、正弦波の波形図程度は、まじめに計算して、きれいに仕上げることが著者の責任だろう。
図表は普通版権の問題もあり、出版社がそれなりにトレースして図を作成し書体の細部を決めるものだが、元の原稿が不出来では話にならない。
良く見かける図、それを正確に、必要に応じて誇張あるいは現実よりきれいな波形図にするものだが、正弦波は正弦波でありこのようなことは行わない。
昔の本でも良書は正弦波は少なくとも正確に書いてあるものが多い。
良い図の基本は、交流電子回路では正弦波の波形図から始まるものと私は考えている。
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定電流回路でゼロ電流を確実に制御したい場合、そのゼロ電流を確実に制御する手段がある。
計測回路あるいはセンサエレクトロニクスではときどき、ゼロ電流を確実に出したいケースが往々にして生じる。
一つは、校正のため、一つは直線性の維持の目的であろう。
片極性の定電流回路は両極性の定電流回路に比べ、回路が簡単である。従って、わずかな部品追加でゼロ電流まで、制御可能としたいニーズがある。
その手段は、出力制御トランジスタ(FET/バイポーラ)のエミッタまたはソースから負電源に抵抗を介して負電流を恒常的に流しておくのだ。
このようにすれば、出力トランジスタの制御範囲が、+少々であっても、負電源に接続した抵抗を流れる電流により、見かけ上、負電流まで制御できる。
この方法をうまく使えば、抵抗1本で、片極性可変定電流源のゼロ電流を線形領域で確実に出せるのだ。もちろん、電流検出抵抗にはこの電流が流れないような配置としておく。
簡単で効果てきめんだが、アナログエンジニアはこの手段を使っている実回路を自分の回路以外では見たことがない。
抵抗1本で校正も容易かつ確実になり、ゼロ電流少々以下でも可変定電流源は動作する。
ゼロが確実に出せると言うことは、大きなメリットがある。
レールtoレールのOPアンプも存在するが、いまのところ完全にはレールtoレールの入出力が出せるには至っていない。
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