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30代前半の頃の出来事でセンサ絡みの回路のことである。センサの特性改善・測定範囲の広域かの開発遅れのため、私の担当していたアナログ回路部は時間をかけて改良を重ねて既に完成度の高いものとなっていた。
しかし、技術面を担当する副技師長K氏はさらなる改良とコスト低減を求めて、私を中央研究所の超エキスパートで高い地位にあるN氏の下に連れて行き、ご意見を伺いに行った。
K氏は私の回路を熟知したうえでの行動ではなかった。
その方は、30分ほど説明を聞き、丁寧に私の回路を読んでくれた。そして、私の方ではなく、副技師長K氏方に向かって、この回路は改良の余地がない。他の部分でコスト低減をするべきだと弁護してくれた。
このセンサ絡みの回路、個別部品で構成していながらアナログIC手法を取り入れて少ない部品で必要な性能や温度特性にも注意を払って設計した思い出の回路である。
K氏は自身で私の回路を評価することはなく、ご意見を伺ったのみである。
しかし、この出来事をきっかけに、若造の私に種々の社内でのアナログ回路屋の集まりにもN氏の配慮で出させていただいた。
後に、自著を執筆する時、エミッタ接地形式でトランジスタ動作を説明したい部分(普通はベース接地で説明されている)があり、その部分の原稿をチェックしてくれたのもN氏である。
昔からアナログ回路に限らず、どこの分野、職種でも地位の高い人に伺いを立てる実力のない上司=権威主義者は存在する。しかし、年相応の実力があれば、逆に、力も地位もある方の恩寵を受ける機会にもなるのだ。
アナログエンジニアにとって、優秀なアナログ屋さんと交流の機会を持てたのもN氏の影響が大きかった。
なお、その回路は20数年経過した今、電源電圧特性をトランジスタ1個で大きく改善できることが判明しているが、その1個のトランジスタの追加が引きあうものか否かは未だに私には判断できていない。
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必然性のあるアナログ回路図はとても読みやすい。その回路に納められた機能と、使用環境と簡単な回路の説明があれば、専門家同士なら短い時間で相互理解が出来ると私はおもっている。
この出来事は、その後の私の行動様式に影響を与えた出会いの一つでした。
投稿: 5513 | 2011年10月13日 (木) 07時17分
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回路図を見て思考が伝わるといった所でしょうか?中央研究所は実力本位な気風があるので、アナログエンジニア様の実力が伝わったのだと思います。京専卒な上に、会社の業務で(中研)に6ヶ月お邪魔しました(が、あまり伝わりませんでした)。
投稿: あなたの天然記念物 | 2011年10月12日 (水) 21時54分