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化学プラントや発電所その他工業用途には広く差圧伝送器が使われる。差圧を測ることができれば、温度以外の工業量:圧力、流量(絞りとの併用)、液面、密度、界面などの計測ができる。
差圧計測の機器だが、いわば、計測器の王様とも言える耐環境性・信頼性・精度を持っており、防爆・防水ときには誘導雷にも耐えるように設計されている。
伝送器の名称の由来は、計測信号を4-20mAの電流信号に変えて制御室に正規化された信号を送出するからである。
200気圧以上の同相圧力に耐え、数100mmH2O〜数万mmH2Oの圧力差を0.2%前後の誤差で測ることが許される。高感度でありながら、片圧(同相圧力)にも耐える。回路部は-20〜80°Cの環境に耐え、流体と接する部分には耐蝕材料のものを使うこともできる。
1970-80年代に、日本では精力的に開発がおこなわれ、種々の方式の差圧伝送器が世の中に出た。ひずみゲージ式、差動容量型、振動弦式など各社が自社の独自の方式で実用化して行った。
アナログエンジニアも技術者人生の少なからぬ期間、差圧伝送器の開発に携わり、さまざまな経験をさせていただいた。
材料開発、センサ開発、回路開発など、用途が厳しいだけに測るために捧げられた英知の結晶とも言える。
しかし、近年はあまり新規開発は行われていないようである。一種の枯れた技術となり、どんどん開発経験者が退職して行く段階のようである。
かくして、次第に基本設計力は伝承されなくなる。
枯れた製品では、技術力の本質的な部分が次第に消えていくような気がする。
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