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AI時代の外国語教育とその課題〜卒業論文作成を中心として〜

人民網日本語版 2018年05月03日10:11

ここ数年ますます勢いを増す人工知能(AI)。AIは人々の暮らしを便利に豊かにしていくだけでなく、様々な面にも影響を与え始めている。そんなAI時代における外国語教育とその課題について、卒業論文の作成を中心に北京第二外国語大学の津田量氏が分析した。

1.AI時代の外国語教育における卒業論文とは一体何なのか。

近年AIの急速な進展・発達に伴い世の中の様々な産業に大きな変化が生じ始めてきている。AIとはartificial intelligenceの略で、人工知能を指し、「計算機(コンピュータ)による知的な情報処理システムの設計や実現に関する研究分野」を指す。今までは、AIは便利な機械ということで、辞書や道具の延長線上、つまりある種の単純作業の代替をしてくれる存在であったが、今後は人間を人間たらしめていた頭脳作業の領域にまで代替作業が可能になってくる。更には、人間の頭脳を超えるのも時間の問題だと言われている。現在既にAI時代の幕が開けており、今後、好むと好まざるとに関わらず、一年一年状況が激変していく空前の時代に入っていく。そんな時代の卒業論文とはいかにあるべきか、明確な答えはまだないし、答えを出しても、直ぐに前提となる前提や条件が技術の進歩により変化してしまう。従って、その時代その時代に、常に変化に対応して卒業論文作成を外国語教育の中に如何に位置付けるかを問い直し続けていかなければならない。本文は2018年4月時点においての一考察である。

2.卒業論文とは何なのか。

卒業論文を論じる前に、大学教育、特に外国語教育における卒業論文とは何なのか、その意義と位置づけを明確にしておかねばならない。卒業論文は多くの大学の外国語学科で卒業のための必須要件となっている重要なものとして位置づけられているが、その意義については、小野寺(2004)が「卒業論文作成は卒業要件の一つであるが、その意義について言及されることは少ない。」と述べた通り、先行研究では殆ど述べられていない。そこで、卒業論文の意義についてまずは簡単にまとめてみたい。小野寺(2012)は、卒業論文の意義を「学業の集大成というべき課業であり、受動的になり勝ちな外国語教育においては、学生が能動的に、学問に取り組むことの出来る唯一の機会である。」としている。日本の大学や教員の考え方としては、児玉(2013)が「疑問や問題意識を,大学四年間で学んできた知識や経験を活用することにより明らかにしてゆく過程は,学生生活の集大成として大きな意義のある」としているように、「依然として日本の多くの大学では、大学教育の一環または大学生活の集大成として、4年次に卒論の執筆を導入している」のである。

中国の大学の日本語教学においても、「卒業論文は学生にとって大学で四年間勉強した学習成果の締めくくりであり、大学院生志望、研究者志望の学生にとっては特に重要なスタートである」(宿2004)とし、「卒業論文は、大学勉学の総決算であり、また新しい学問への再出発点、社会に出る第一歩あるいは踏み台でもある。」(高2004)としている。また、王健宜は「卒業論文は大学教育の有様を如実に反映するバロメータであり、学生にとっては大学生活の集大成的な創作とも言える。」(王2004)と述べ、譚晶華も「4年間培った最終段階の卒業論文の作成は、実のところ、各校の人材養成の結果に対する検査である」(譚2012)と述べている。以上から分かる通り、卒業論文は大学生活の総決算・まとめということで殆ど全ての識者の見解は一致している。

では、その具体的な内容はどのようなものであろうか。卒業論文とは何かについて、大島堅一(2015)は、卒業論文とは「1オリジナリティー(独創性)と2論理性、3論文としての形式」の3つの要素が満たされた論文であるとする。外国語専攻においても論文である以上これには変わりはないが、日本語専攻として、日本語力は目的に入っているのであろうか。小野寺(2004)は「日本語を読み話せることが究極の目的ではなく、1論理的思考回路の構築と、2豊かな感性を育むことが追求すべき課題」であるとし、では、何のために卒業論文を書くのかという問題に対して、王健宜(2007)は「日本語の能力を高めるためでもなければ、知識を系統化させるためでもない。日本語による思考の回路を独自に構築するため」としており、主眼は日本語能力の向上にはあらずとしている。

これらは、楊秀娥(2013)が「大学日本語専攻における卒業論文作成への指導教員の意味付け」で、中国の日本語学科教員へのインタビュー調査の結果、卒業論文の目的について、30代の経験の浅い教員たちは「日本語能力」「論文の書き方」「資料収集」などの表面的なものを目標としていたのに対し、経験豊富な40代以上の教員たちは「問題を分析・解決する能力」「研究は主な目的ではない」「学んだ知識を総合的に運用する能力」「総合的な能力(情報の収集・分析・整理・調査する研究能力や、一定の書式で、外国語で意図を伝えられる能力」であったとしている調査結果と一致している。

学生にとっての卒論の役割を、鈴木滋は「従来の受け身の教育から、自ら資料を探し、自ら考え、自ら文章を書くことによって、自主的に思考する経験が得られることである。(中略)自信にもつながる。」「ある特定のテーマに関する知識が得られること」「長い文章を書くことによって、日本語の文章能力が身につくこと」の三つであると言い、その結果として、児玉(2013)は「学生にとって卒業論文作成とは、それに直接関わる各々の作業を学ぶだけでなく、研究の実施が思うように進まない時にもゼミの仲間や指導教員とやり取りを行いながら学びを深め、達成感を得て自己成長を実感できるもの」としており、達成感や自己成長を実感できるという面を明らかにしている。

これらをまとめると、卒業論文の意義は、大学4年間で学んだことの総決算であり、学生が能動的に取り組むものであるといえ、学生の科学精神や、新しいものを創造する能力、特に問題を分析して解決する能力を育てることにあるとする。


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