2010年11月
sarien_logo
オランダ・ハーグ在住のマーティン コール氏は、ウェブ制作会社に勤める2児の父親であり、そしてシエラ オンラインのアドベンチャー ゲームの熱心なファンでもあります。その熱が嵩じて、コール氏は実際にシエラのゲームがプレイできるサイトを開設してしまいました。それがこちらです。
このサイトの始まりは2003年に遡ります。当時、コール氏はシエラ作品に関するファンサイトを開設し、昔のアドベンチャーを模したグラフィック インタフェースでチャットが出来るというサービスを実施していました。そうするうちに、どうしても本物のアドベンチャーゲームを復活させたいと思うようになり、実際のゲームを解析して、ついには自分のサイトで再現させることに成功しました。
sariennet_title
こうした動きの背景には、シエラや(後にシエラを買収する)アクティビジョンが、過去作という資産を埋もれたままにしていることへの不満があったそうです。
その後もコール氏はサイトの改良や、新しい作品を加えるなど、改善を続けてきました。もちろんすべての収録作には権利者の許諾を得ており、メディアからの評価も高く、「レジャー スーツ ラリー」の作者でユーモア作家としても知られるアル ロウもその功績を讃えています。今後はiPhoneアプリの進出も考えているとのことで、コール氏の今後に期待したいところです。
さてシエラというと、日本では「ウィザード アンド ザ プリンセス」「ユリシーズ」「タイムゾーン」といった初期の、いわゆる「ハイレゾ アドベンチャー」というシリーズ名を冠された作品群が、比較的知られているように思います。これはまだ日本でPCゲームが珍しかった時代に、いち早く国産機に移植されていたところが大きいでしょう。
sarien_KingsQuest1
一方で、このサイトでは「キングス クエスト」以降の作品が主に選ばれています。これはコール氏の好みもありますが、実際シエラといえばこの「キングス クエスト」で大きく飛躍した会社であり、どちらかというとこの中期の作品群の方が知名度も高いのです。
ただテーマが地味なせいか、あるいはグラフィックがお世辞にも凝っているとはいえなかったためか、この時期の作品はあまり国産機に移植されていません。
というわけで、一時代を築いた作品群をこのサイトで追体験してみてはいかがでしょうか。
[画像:sarien_game1]
ゲームをプレイするには、画面右側に並んだタイトルを選択します。
今のところプレイできるのは「ゴールドラッシュ」「キングス クエスト」1〜3、「レジャー スーツ ラリー」「ポリス クエスト」「スペース クエスト」1〜2、「ブラック コルドロン」です。
sarien_command
(サイト独自の機能として、マウスで操作できるコマンドメニューがあります)
なおプレイの注意点として二つほど書いておきたいと思います。
まずひとつは、ゲームのセーブは可能ですが、このサイトではセーブデータはURLという形で生成されます。手順は次のとおりです。
1. [CTRL]キーと[5]キー(このサイトではCTRLと数字キーでファンクションキーをエミュレートしています)を同時に押すか、またはコマンドラインでSAVEと入力する
2. ブラウザのURLバーに新たにURLが生成され、表示中のURLをブックマークするよう促すダイアログが表示される
このブックマークするURLが、いわゆるセーブデータとなります。これにはキャラクターの場所や持ち物、ゲームの進行状況といった情報が含まれます。
もうひとつは、主人公キャラクターの操作についてです。このサイトにあるゲームをプレイしていると、マウスを使っている場合、本来いてはいけないところにキャラクターが移動してしまうことがあります。たとえば、部屋の中を移動していて、なぜか壁の中に入り込んでしまうような場合があります。また、一度こうなると、正常な移動範囲に復帰できません。
これが発生した場合は、正常な移動範囲の好きな場所を、マウスボタンでダブルクリックしてください。そうすると、キャラクターがその場所に移動し、再びゲームを進めることができるようになります。
sarien_talk_kings-quest
なお、このサイトではマルチプレイに対応しています。とはいえ、参加しているプレイヤーどうしが協力できるというわけではなく、ゲームを同時にプレイしているプレイヤーが他にいる場合、画面上に表示される、という程度のものです(そもそも、元々のゲームがマルチプレイ対応ではないので当然ですが)。他人がプレイしている様子がリアルタイムで見られるというのは、なかなかに面白いことではありますが、ゲームプレイのさまたげになるかもしれません。その場合はメニューの [more] から [disable multiplayer] を選択すると、シングルプレイモードに設定できます。
また、あくまでブラウザゲームですので、動作に不安定なところもあります。より確実な形でプレイしたいという場合は、エミュレータなどの使用をおすすめします。
オランダ・ハーグ在住のマーティン コール氏は、ウェブ制作会社に勤める2児の父親であり、そしてシエラ オンラインのアドベンチャー ゲームの熱心なファンでもあります。その熱が嵩じて、コール氏は実際にシエラのゲームがプレイできるサイトを開設してしまいました。それがこちらです。
このサイトの始まりは2003年に遡ります。当時、コール氏はシエラ作品に関するファンサイトを開設し、昔のアドベンチャーを模したグラフィック インタフェースでチャットが出来るというサービスを実施していました。そうするうちに、どうしても本物のアドベンチャーゲームを復活させたいと思うようになり、実際のゲームを解析して、ついには自分のサイトで再現させることに成功しました。
sariennet_title
こうした動きの背景には、シエラや(後にシエラを買収する)アクティビジョンが、過去作という資産を埋もれたままにしていることへの不満があったそうです。
その後もコール氏はサイトの改良や、新しい作品を加えるなど、改善を続けてきました。もちろんすべての収録作には権利者の許諾を得ており、メディアからの評価も高く、「レジャー スーツ ラリー」の作者でユーモア作家としても知られるアル ロウもその功績を讃えています。今後はiPhoneアプリの進出も考えているとのことで、コール氏の今後に期待したいところです。
さてシエラというと、日本では「ウィザード アンド ザ プリンセス」「ユリシーズ」「タイムゾーン」といった初期の、いわゆる「ハイレゾ アドベンチャー」というシリーズ名を冠された作品群が、比較的知られているように思います。これはまだ日本でPCゲームが珍しかった時代に、いち早く国産機に移植されていたところが大きいでしょう。
sarien_KingsQuest1
一方で、このサイトでは「キングス クエスト」以降の作品が主に選ばれています。これはコール氏の好みもありますが、実際シエラといえばこの「キングス クエスト」で大きく飛躍した会社であり、どちらかというとこの中期の作品群の方が知名度も高いのです。
ただテーマが地味なせいか、あるいはグラフィックがお世辞にも凝っているとはいえなかったためか、この時期の作品はあまり国産機に移植されていません。
というわけで、一時代を築いた作品群をこのサイトで追体験してみてはいかがでしょうか。
[画像:sarien_game1]
ゲームをプレイするには、画面右側に並んだタイトルを選択します。
今のところプレイできるのは「ゴールドラッシュ」「キングス クエスト」1〜3、「レジャー スーツ ラリー」「ポリス クエスト」「スペース クエスト」1〜2、「ブラック コルドロン」です。
sarien_command
(サイト独自の機能として、マウスで操作できるコマンドメニューがあります)
なおプレイの注意点として二つほど書いておきたいと思います。
まずひとつは、ゲームのセーブは可能ですが、このサイトではセーブデータはURLという形で生成されます。手順は次のとおりです。
1. [CTRL]キーと[5]キー(このサイトではCTRLと数字キーでファンクションキーをエミュレートしています)を同時に押すか、またはコマンドラインでSAVEと入力する
2. ブラウザのURLバーに新たにURLが生成され、表示中のURLをブックマークするよう促すダイアログが表示される
このブックマークするURLが、いわゆるセーブデータとなります。これにはキャラクターの場所や持ち物、ゲームの進行状況といった情報が含まれます。
もうひとつは、主人公キャラクターの操作についてです。このサイトにあるゲームをプレイしていると、マウスを使っている場合、本来いてはいけないところにキャラクターが移動してしまうことがあります。たとえば、部屋の中を移動していて、なぜか壁の中に入り込んでしまうような場合があります。また、一度こうなると、正常な移動範囲に復帰できません。
これが発生した場合は、正常な移動範囲の好きな場所を、マウスボタンでダブルクリックしてください。そうすると、キャラクターがその場所に移動し、再びゲームを進めることができるようになります。
sarien_talk_kings-quest
なお、このサイトではマルチプレイに対応しています。とはいえ、参加しているプレイヤーどうしが協力できるというわけではなく、ゲームを同時にプレイしているプレイヤーが他にいる場合、画面上に表示される、という程度のものです(そもそも、元々のゲームがマルチプレイ対応ではないので当然ですが)。他人がプレイしている様子がリアルタイムで見られるというのは、なかなかに面白いことではありますが、ゲームプレイのさまたげになるかもしれません。その場合はメニューの [more] から [disable multiplayer] を選択すると、シングルプレイモードに設定できます。
また、あくまでブラウザゲームですので、動作に不安定なところもあります。より確実な形でプレイしたいという場合は、エミュレータなどの使用をおすすめします。
idos_warcraft2
2010年10月26日、あるiPhoneアプリがAppStoreにて公開されました。その名をiDOSという、MS-DOSをiPhoneで動作させるエミュレータでした。公開の直後から大変な注目を集め、絶賛するコメントが次々と書き込まれましたが、発表の数時間後には消えてしまいました。
iDOSは、PC向けのDOSエミュレータとして定評のあるDosBoxを移植したものでした。これが動作するとなれば、DOSで開発された膨大な量のゲームがiPhoneで遊べるということになります。
事実、iDOSを購入した人々が真っ先に試したのが、ゲームソフトの動作チェックでした。その結果、かなりの数のゲームが問題なく走ることが判明し、iPhoneのレトロゲームに新時代が到来したとまで騒がれたのです。そんな希望も、数時間後にはiDOSと共に消えてしまったのですが。
iDos_Mugen
(iDOSでMUGENエンジンを使った格闘ゲームが動いている画面)
アップルは最近になってアプリに関するポリシーを改定していました。それに関連して、これからはエミュレータに対しても柔軟な姿勢を見せるのではないか、iDOSの存在はその表れだ、という憶測まで流れていたのです。残念ながら今回の処分は、それが単なる願望でしかなかったことを知らしめる結果となりました。
ただし、公開中止となった件については、非はiDOS側にあったようです。それについて、iPhoneアプリのニュースサイトTouch ArcadeがiDOS作者への取材も含めた記事を載せていましたので、このエントリではそこから要約するかたちで、何が問題だったのかまとめてみたいと思います。
記事によれば、iDOSの問題点は3つありました。
・iOSデバイスのルートレベルにまでアクセスが可能だった
通常のDOSコマンドを使うだけで、アプリのディレクトリだけでなく、ディスク内のありとあらゆる場所にアクセスできるようになっていました。
idos-directory
・DOS対応のコードなら何でも動作できた
ゲームに限らず、コンパイラからOSまで、あらゆるアプリケーションが実行できるようになっていました。その気になれば、iPhoneにWindows95をインストールすることも可能です。
[埋込みオブジェクト:http://www.youtube.com/v/H9NeRQjGwfs?fs=1&hl=ja_JP&rel=0]
(iDOSを使ってiPadでWindows95を動作させている動画)
・「ディグダグ」「ミズ・パックマン」のゲームソフト2点を同梱していた
いずれも権利者のナムコがAppStoreで有料アプリとして販売しているものです。もちろんiDOS側は無許諾でした。
iDos_pacman_2_pics
まとめると、そもそもこれがAppStoreに一瞬でも登場していたことが何かの間違いということになります。とりわけ、3番目は致命的でした。
現在、iDOSはDOSPADと名前を変え、作者のサイトで公開されています。ただし当然、動作にはJailbreakの使用が前提となります。
dospad
もっとも、作者はまだ諦めてはいないようです。このままJailbreak要のアプリとして日陰者の道を歩んでゆくのかと思われたのですが、現在、ゲームソフトの同梱を外し、アクセスできるディレクトリに制限をかけた修正版をアップルに提出し申請中なのだとか。
しかし、少々の改変で果たして再び承認されるかどうかは難しいといえるでしょう。なにしろiDOSはあまりにも自由度が高く、第三者のコードを好きなように動かせてしまうため、とうていアップルが許容できるようなものではないからです。
この状況を受けて、元記事ではiDOSを一種のランタイムルーチンとして使うことを提案しています。既存のDOSゲームと組み合わせて、そのゲームだけを動作するようにすれば、簡単にレトロゲームのアプリが出来ることになります。あとは元ゲームの権利者から許諾をもらえばいい、というわけです。
iPhone界隈ではレトロゲームの人気は高まる一方であり、需要はあるのだからビジネスになるはず、と記事は結んでいます。確かに、このまま埋もれさせておくにはあまりにももったいないものではあります。
以前このブログでも取り上げたC64エミュレータは、バージョンアップを重ねながら今なお普通に販売されており、アップルも以前に比べれば柔軟になったと思っていたのですが、C64とMS-DOSでは話が違うということなのかもしれません。
いずれにしても、iDOSの存在がレトロゲーム普及の後押しになればありがたい話ではあるのですが、いったいどうなることでしょうか。
元記事
The Importance of Dos, or, Someone Run With This Idea (Touch Arcade)
2010年10月26日、あるiPhoneアプリがAppStoreにて公開されました。その名をiDOSという、MS-DOSをiPhoneで動作させるエミュレータでした。公開の直後から大変な注目を集め、絶賛するコメントが次々と書き込まれましたが、発表の数時間後には消えてしまいました。
iDOSは、PC向けのDOSエミュレータとして定評のあるDosBoxを移植したものでした。これが動作するとなれば、DOSで開発された膨大な量のゲームがiPhoneで遊べるということになります。
事実、iDOSを購入した人々が真っ先に試したのが、ゲームソフトの動作チェックでした。その結果、かなりの数のゲームが問題なく走ることが判明し、iPhoneのレトロゲームに新時代が到来したとまで騒がれたのです。そんな希望も、数時間後にはiDOSと共に消えてしまったのですが。
iDos_Mugen
(iDOSでMUGENエンジンを使った格闘ゲームが動いている画面)
アップルは最近になってアプリに関するポリシーを改定していました。それに関連して、これからはエミュレータに対しても柔軟な姿勢を見せるのではないか、iDOSの存在はその表れだ、という憶測まで流れていたのです。残念ながら今回の処分は、それが単なる願望でしかなかったことを知らしめる結果となりました。
ただし、公開中止となった件については、非はiDOS側にあったようです。それについて、iPhoneアプリのニュースサイトTouch ArcadeがiDOS作者への取材も含めた記事を載せていましたので、このエントリではそこから要約するかたちで、何が問題だったのかまとめてみたいと思います。
記事によれば、iDOSの問題点は3つありました。
・iOSデバイスのルートレベルにまでアクセスが可能だった
通常のDOSコマンドを使うだけで、アプリのディレクトリだけでなく、ディスク内のありとあらゆる場所にアクセスできるようになっていました。
idos-directory
・DOS対応のコードなら何でも動作できた
ゲームに限らず、コンパイラからOSまで、あらゆるアプリケーションが実行できるようになっていました。その気になれば、iPhoneにWindows95をインストールすることも可能です。
[埋込みオブジェクト:http://www.youtube.com/v/H9NeRQjGwfs?fs=1&hl=ja_JP&rel=0]
(iDOSを使ってiPadでWindows95を動作させている動画)
・「ディグダグ」「ミズ・パックマン」のゲームソフト2点を同梱していた
いずれも権利者のナムコがAppStoreで有料アプリとして販売しているものです。もちろんiDOS側は無許諾でした。
iDos_pacman_2_pics
まとめると、そもそもこれがAppStoreに一瞬でも登場していたことが何かの間違いということになります。とりわけ、3番目は致命的でした。
現在、iDOSはDOSPADと名前を変え、作者のサイトで公開されています。ただし当然、動作にはJailbreakの使用が前提となります。
dospad
もっとも、作者はまだ諦めてはいないようです。このままJailbreak要のアプリとして日陰者の道を歩んでゆくのかと思われたのですが、現在、ゲームソフトの同梱を外し、アクセスできるディレクトリに制限をかけた修正版をアップルに提出し申請中なのだとか。
しかし、少々の改変で果たして再び承認されるかどうかは難しいといえるでしょう。なにしろiDOSはあまりにも自由度が高く、第三者のコードを好きなように動かせてしまうため、とうていアップルが許容できるようなものではないからです。
この状況を受けて、元記事ではiDOSを一種のランタイムルーチンとして使うことを提案しています。既存のDOSゲームと組み合わせて、そのゲームだけを動作するようにすれば、簡単にレトロゲームのアプリが出来ることになります。あとは元ゲームの権利者から許諾をもらえばいい、というわけです。
iPhone界隈ではレトロゲームの人気は高まる一方であり、需要はあるのだからビジネスになるはず、と記事は結んでいます。確かに、このまま埋もれさせておくにはあまりにももったいないものではあります。
以前このブログでも取り上げたC64エミュレータは、バージョンアップを重ねながら今なお普通に販売されており、アップルも以前に比べれば柔軟になったと思っていたのですが、C64とMS-DOSでは話が違うということなのかもしれません。
いずれにしても、iDOSの存在がレトロゲーム普及の後押しになればありがたい話ではあるのですが、いったいどうなることでしょうか。
元記事
The Importance of Dos, or, Someone Run With This Idea (Touch Arcade)
paperboy_iphone_ad
以前このブログでも取り上げたiPhone版「ペーパーボーイ」ですが、どうやらやはり権利面で問題があったようで、3月に発売中止になってしまいました。あれだけの人気タイトルだけに、いずれ復活するだろうとは思っていましたが、なんと新しい要素が追加されたアップデート版として、この11月に再び登場しています。価格は前回と同じ4ドル99セントで、AppStoreのリンクはこちら。
以前のバージョンも3Dモードが追加されるなど、独自の要素が付け加えられていましたが、今回「特別配送」(Special Delivery)とサブタイトルつきで発表されたアップデート版は、新たにストーリーモードが追加されています。
このモードでは、主人公の新聞少年を初めとするキャラクターたちがセリフつきで登場するほか、複数の新聞を同時に投げたり、画面上のキャラクタをフリーズさせるといった、独自の機能が使用できます。いちおうの筋書きとしては、バイトでお金をためて新しいゲーム機を買うという目的があるのですが、女の子との恋愛や、新聞のほかに生花の配達を始めたりと、目的の達成を遅らせるさまざまな要素が絡んできます。
paperboy_shot1
(ストーリーモードの冒頭。主人公の新聞少年が、お金をためて新しいゲーム機を買うんだと怪気炎をあげています)
ただし、以前のエントリでも触れましたが、ゲーム操作に問題アリというところはこのアップデート版でもさして改善されていないようで、AppStoreの評価欄でものきなみこの点が指摘されています。5ドルという値段も割高ですね。
実際に操作しているところを記録した動画がありましたが、やはりインタフェースに問題アリという評価です。ちなみにiPadでもプレイ可能ですが、まだiPhoneの方がマシとのことでした。
[埋込みオブジェクト:http://www.youtube.com/v/ikEY4SDB4b0?fs=1&hl=ja_JP&rel=0]
それにしても、AppStoreの権利処理はあいかわらずどういう基準なのかよく分かりませんね。ほかにも今年に入ってアタリ関連のiPhoneアプリがのきなみ消されており、この問題の不透明さを改めて認識させられます。
以前の記事はこちら。
[埋込みオブジェクト:http://www.youtube.com/v/RyozUYtBl_o?fs=1&hl=ja_JP&rel=0]
(ファミコン版「ペーパーボーイ」アメリカでのテレビCM。すばらしい出来です)
以前このブログでも取り上げたiPhone版「ペーパーボーイ」ですが、どうやらやはり権利面で問題があったようで、3月に発売中止になってしまいました。あれだけの人気タイトルだけに、いずれ復活するだろうとは思っていましたが、なんと新しい要素が追加されたアップデート版として、この11月に再び登場しています。価格は前回と同じ4ドル99セントで、AppStoreのリンクはこちら。
以前のバージョンも3Dモードが追加されるなど、独自の要素が付け加えられていましたが、今回「特別配送」(Special Delivery)とサブタイトルつきで発表されたアップデート版は、新たにストーリーモードが追加されています。
このモードでは、主人公の新聞少年を初めとするキャラクターたちがセリフつきで登場するほか、複数の新聞を同時に投げたり、画面上のキャラクタをフリーズさせるといった、独自の機能が使用できます。いちおうの筋書きとしては、バイトでお金をためて新しいゲーム機を買うという目的があるのですが、女の子との恋愛や、新聞のほかに生花の配達を始めたりと、目的の達成を遅らせるさまざまな要素が絡んできます。
paperboy_shot1
(ストーリーモードの冒頭。主人公の新聞少年が、お金をためて新しいゲーム機を買うんだと怪気炎をあげています)
ただし、以前のエントリでも触れましたが、ゲーム操作に問題アリというところはこのアップデート版でもさして改善されていないようで、AppStoreの評価欄でものきなみこの点が指摘されています。5ドルという値段も割高ですね。
実際に操作しているところを記録した動画がありましたが、やはりインタフェースに問題アリという評価です。ちなみにiPadでもプレイ可能ですが、まだiPhoneの方がマシとのことでした。
[埋込みオブジェクト:http://www.youtube.com/v/ikEY4SDB4b0?fs=1&hl=ja_JP&rel=0]
それにしても、AppStoreの権利処理はあいかわらずどういう基準なのかよく分かりませんね。ほかにも今年に入ってアタリ関連のiPhoneアプリがのきなみ消されており、この問題の不透明さを改めて認識させられます。
以前の記事はこちら。
[埋込みオブジェクト:http://www.youtube.com/v/RyozUYtBl_o?fs=1&hl=ja_JP&rel=0]
(ファミコン版「ペーパーボーイ」アメリカでのテレビCM。すばらしい出来です)
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アドベンチャー・ゲームの最高峰であるインフォコムが、実質上の活動を停止したのは1989年のことでした。社員は散り散りになり、一部はフリーのゲーム作家として活動を続けましたが、大半の人々はそのままゲーム業界を離れてしまったようです。ただし、その中でひとり、インフォコムの意思を継承するために、自らゲーム会社を興した人物がいました。
その人の名はボブ・ベイツ。末期のインフォコムで「シャーロック」「アーサー」という2作のアドベンチャーを発表したゲーム作家であり、インフォコム消滅の直後にレジェンド・エンタテインメントという会社を創業しています。
[画像:bob_bates]
(ボブ・ベイツ)
とはいえ、娯楽小説のありとあらゆる分野を扱っていたインフォコムとは違い、レジェンドは当初からジャンルをある程度絞っていたようです。主なラインはふたつあり、ひとつはユーモア・ファンタジー、もうひとつは人気小説のゲーム化でした。
前者の代表作としては、まず元インフォコムのゲーム作家、スティーブ・メレツキーによる「スペルキャスト」シリーズがあります。
Spellcasting_101_title_screen
ストーリーは至って簡単。魔法使いを志した田舎の少年が都会の大学に進学し、魔法を学ぶ一方、課外活動に参加し、美人ぞろいの女子学生たちとも交流を持つというものです。とはいえテキスト量はかなりのもので、学生生活の描写などはかなりリアルなのだとか。
ゲームとしては、基本的にはテキスト・アドベンチャーであり、添え物的にグラフィック画面が追加されているという感じです。コマンドについてはキー入力のほか、画面上のメニューから選択することも出来ます。
Spellcasting_101_interface
面白いのはテキストが2モード用意されているという点です。それぞれ性的な描写の「あからさま度」が異なっており、好みに応じて選べるようになっています。とはいえ、テキスト自体には成人指定されるような、本当にあからさまな描写はいっさいなく、あくまでユーモアに重点が置かれた内容になっています。
この作品はなかなか好評だったようで、シリーズ化されて続編2作が発表されています。思えばメレツキーの出世作「レザー・ゴッデス・オブ・フォボス」も、ユーモラスかつ性的な要素を思わせる内容で商業的にも成功しました。レジェンドとしても、あれと似た路線であれば手堅いと考えたのかもしれません。
Eric_the_Unready_cover
そしてもうひとつの代表作が、「粗忽者エリック」(Eric The Unready)です。ボブ・ベイツ自らが手がけた作品で、箱絵はファンタジーアートの大御所、ボリス・バジェホが担当していました。
舞台は典型的な西洋のファンタジー世界で、騎士になったばかりの気弱で不器用な少年がなぜか陰謀に巻き込まれ、王女を助けるための冒険に参加する羽目に陥ります。旅を通じて一人前の騎士となる主人公の成長ぶりがストーリーの見所といえるでしょう。
eric_the_unready_bedroom
この作品も「スペルキャスト」と同じシステムが使われており、基本的にはテキスト・アドベンチャーであることも同様です(もっとも実際にはシステムが先にあり、ストーリーは後から作られていました。この点もインフォコムと共通しています)。ただし作中のジョークらしき箇所には、何だかよく分からないものも多々ありました。どうやらモンティパイソンからの引用が多いらしく、そのあたりの知識があれば、ディテールの部分もふんだんに楽しめるのではないかと思います。
なお、このタイトルは史上初めてグリーンランドに上陸したと言われる10世紀のノルウェー人、赤毛のエリーク(Erik The Red)にちなんで付けられたのだそうです。
さて、もうひとつの小説ゲーム路線ですが、こちらの筆頭は何といっても、フレデリック・ポール原作の「ゲイトウェイ」でしょう。
[画像:gateway]
これは好評だったようで、続編も出ました。
その他、レジェンドがゲーム化した小説には、ピアズ・アンソニー「魔法の国ザンス」、ジョン・ソール「ブラックストーン・クロニクル」、スパイダー・ロビンソン「キャラハン」、テリー・ブルックス「シャナラの剣」などがあり、なかなかに興味深い選択といえます。
レジェンドのアドベンチャー路線は唐突に終わってしまいます。1998年には別のゲーム会社に買収され、それ以降はアクションゲームに方向転換してしまったのです。2002年にはFPSの「アンリアル」が大ヒットし、続編となる2003年の「アンリアル2」は前作をさらに上回る売行きを示しましたが、結局はそれが最後の作品となりました。2004年の年明けに親会社から「レジェンドは活動を停止しました」という短い発表が出され、そのまま静かに消えていったのです。
レジェンドは、優れた作品を発表したものの、結局は路線の変更を強いられました。市場の変化もあり、もはやアドベンチャー・ゲームは商業的には難しくなってしまったのでしょう。そうした意味で、インフォコムの意思を継ごうとした、レジェンドのような会社はもう二度と現れないのではないかと思います。アドベンチャー・ゲームの愛好者としては、実に残念なことです。
ボブ・ベイツは現在もゲーム業界で活躍しており、業界団体の要職にあるほか、大学でゲームデザインについて教えたりもしています。これまでに関わったゲームはおよそ40点あり、全作の売れ行きを合計すると600万部にも及ぶのだとか。日本では無名ですが、ゲーム作家としては相当なキャリアの持ち主と言えるでしょう。
もはやレジェンドのような会社は現れないでしょうが、それでもアドベンチャー・ゲームが完全に消えてしまったわけではありません。目立たないかたちではありますが、商業作もコンスタントに発表されています。そして何より、アマチュアの世界では今でもかなりの作家が活躍しており、とくにテキスト・アドベンチャーに優れたものが出てきています。こうした動きについては、いずれまた取り上げてみたいと思います。
アドベンチャー・ゲームの最高峰であるインフォコムが、実質上の活動を停止したのは1989年のことでした。社員は散り散りになり、一部はフリーのゲーム作家として活動を続けましたが、大半の人々はそのままゲーム業界を離れてしまったようです。ただし、その中でひとり、インフォコムの意思を継承するために、自らゲーム会社を興した人物がいました。
その人の名はボブ・ベイツ。末期のインフォコムで「シャーロック」「アーサー」という2作のアドベンチャーを発表したゲーム作家であり、インフォコム消滅の直後にレジェンド・エンタテインメントという会社を創業しています。
[画像:bob_bates]
(ボブ・ベイツ)
とはいえ、娯楽小説のありとあらゆる分野を扱っていたインフォコムとは違い、レジェンドは当初からジャンルをある程度絞っていたようです。主なラインはふたつあり、ひとつはユーモア・ファンタジー、もうひとつは人気小説のゲーム化でした。
前者の代表作としては、まず元インフォコムのゲーム作家、スティーブ・メレツキーによる「スペルキャスト」シリーズがあります。
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ストーリーは至って簡単。魔法使いを志した田舎の少年が都会の大学に進学し、魔法を学ぶ一方、課外活動に参加し、美人ぞろいの女子学生たちとも交流を持つというものです。とはいえテキスト量はかなりのもので、学生生活の描写などはかなりリアルなのだとか。
ゲームとしては、基本的にはテキスト・アドベンチャーであり、添え物的にグラフィック画面が追加されているという感じです。コマンドについてはキー入力のほか、画面上のメニューから選択することも出来ます。
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面白いのはテキストが2モード用意されているという点です。それぞれ性的な描写の「あからさま度」が異なっており、好みに応じて選べるようになっています。とはいえ、テキスト自体には成人指定されるような、本当にあからさまな描写はいっさいなく、あくまでユーモアに重点が置かれた内容になっています。
この作品はなかなか好評だったようで、シリーズ化されて続編2作が発表されています。思えばメレツキーの出世作「レザー・ゴッデス・オブ・フォボス」も、ユーモラスかつ性的な要素を思わせる内容で商業的にも成功しました。レジェンドとしても、あれと似た路線であれば手堅いと考えたのかもしれません。
Eric_the_Unready_cover
そしてもうひとつの代表作が、「粗忽者エリック」(Eric The Unready)です。ボブ・ベイツ自らが手がけた作品で、箱絵はファンタジーアートの大御所、ボリス・バジェホが担当していました。
舞台は典型的な西洋のファンタジー世界で、騎士になったばかりの気弱で不器用な少年がなぜか陰謀に巻き込まれ、王女を助けるための冒険に参加する羽目に陥ります。旅を通じて一人前の騎士となる主人公の成長ぶりがストーリーの見所といえるでしょう。
eric_the_unready_bedroom
この作品も「スペルキャスト」と同じシステムが使われており、基本的にはテキスト・アドベンチャーであることも同様です(もっとも実際にはシステムが先にあり、ストーリーは後から作られていました。この点もインフォコムと共通しています)。ただし作中のジョークらしき箇所には、何だかよく分からないものも多々ありました。どうやらモンティパイソンからの引用が多いらしく、そのあたりの知識があれば、ディテールの部分もふんだんに楽しめるのではないかと思います。
なお、このタイトルは史上初めてグリーンランドに上陸したと言われる10世紀のノルウェー人、赤毛のエリーク(Erik The Red)にちなんで付けられたのだそうです。
さて、もうひとつの小説ゲーム路線ですが、こちらの筆頭は何といっても、フレデリック・ポール原作の「ゲイトウェイ」でしょう。
[画像:gateway]
これは好評だったようで、続編も出ました。
その他、レジェンドがゲーム化した小説には、ピアズ・アンソニー「魔法の国ザンス」、ジョン・ソール「ブラックストーン・クロニクル」、スパイダー・ロビンソン「キャラハン」、テリー・ブルックス「シャナラの剣」などがあり、なかなかに興味深い選択といえます。
レジェンドのアドベンチャー路線は唐突に終わってしまいます。1998年には別のゲーム会社に買収され、それ以降はアクションゲームに方向転換してしまったのです。2002年にはFPSの「アンリアル」が大ヒットし、続編となる2003年の「アンリアル2」は前作をさらに上回る売行きを示しましたが、結局はそれが最後の作品となりました。2004年の年明けに親会社から「レジェンドは活動を停止しました」という短い発表が出され、そのまま静かに消えていったのです。
レジェンドは、優れた作品を発表したものの、結局は路線の変更を強いられました。市場の変化もあり、もはやアドベンチャー・ゲームは商業的には難しくなってしまったのでしょう。そうした意味で、インフォコムの意思を継ごうとした、レジェンドのような会社はもう二度と現れないのではないかと思います。アドベンチャー・ゲームの愛好者としては、実に残念なことです。
ボブ・ベイツは現在もゲーム業界で活躍しており、業界団体の要職にあるほか、大学でゲームデザインについて教えたりもしています。これまでに関わったゲームはおよそ40点あり、全作の売れ行きを合計すると600万部にも及ぶのだとか。日本では無名ですが、ゲーム作家としては相当なキャリアの持ち主と言えるでしょう。
もはやレジェンドのような会社は現れないでしょうが、それでもアドベンチャー・ゲームが完全に消えてしまったわけではありません。目立たないかたちではありますが、商業作もコンスタントに発表されています。そして何より、アマチュアの世界では今でもかなりの作家が活躍しており、とくにテキスト・アドベンチャーに優れたものが出てきています。こうした動きについては、いずれまた取り上げてみたいと思います。
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検証実験〜30年前のIBM-PCは今でも仕事に使えるか 1 2 3
ニューヨーク・シティにある、小さなゲーム店の物語 「ビデオゲーム・ニューヨーク」
まさに執念の移植〜コモドール64版「プリンス・オブ・ペルシャ」
ゲーム市場崩壊を体験した人物の見解 「E.T.が原因だったわけではない」
文字通り「発掘」された幻のウルティマ関連アイテム 「ドラッシュ山からの脱出」
ゲーム業界に復帰したリチャード・ギャリオットの資金公募キャンペーンに見る「本気度」
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