第16回惑星地球フォトコンテスト入選作品

優秀賞:朝日を浴びて

写真:芝粼静雄(愛媛県)
撮影場所:高知県 竜串海岸

【撮影者より】
地震による海底地すべりでできたと考えられる欄間石や蜂の巣状の穴がみられます,自然が生み出した奇岩がたくさん見られます.朝陽を待って撮影しました.

【審査委員長講評】
足摺岬の近くにある竜串海岸は砂泥互層がつくる奇勝で,多数の写真が撮影されています.陸側から海側に向かっての構図が多いのですが,この写真は海側から陸側を撮影したもの.この配置によって地層を立体的にみせることができます.山の端から昇ってきたばかり太陽を配置すると露出の調整が大変ですが,うまく処理されています.

【地質解説】
中新統三崎層群は,高知県南西端の土佐清水市に分布する,日本海の拡大時期に前弧海盆を埋めた地層です.竜串海岸では,本層群最上部を構成する竜串層の下部が露出しており,波浪やストームの作用が卓越した沖浜漸移帯〜外浜の堆積物を観察できます.写真中央より向かってやや左側の欄間石(砂岩)は,コンボリュート構造が日本の建築様式にみられる「欄間」を思わせるところが名前の由来です.他にも三崎層群には未固結時の変形構造が発達しており,その多くは地震動に関連してできたと言われています.また,写真中央のストーム成砂岩層の手前側などに点々と見られる赤茶けた丸い塊は,酸化鉄の薄い被膜に覆われた炭酸カルシウムの球状コンクリーション(ノジュール)です.もう一つ,現地に行くと砂岩表面の所々に蜂の巣状の穴が発達しています.これは塩類風化による微地形“タフォニ”です.(藤内智士:高知大学)

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