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2009年11月 9日 (月)
米国MIG主催 MEMS Executive Congressに参加、併せてBSAC、GE Sensing、SVTCを訪問してきました
MEMS Executive Congressは米国MEMS Industry Group(MIG)の主催で年に1回開催されます。今回は11月4-6日の日程でカリフォルニア州ソノマでした。会議の目的は、講演やパネルディスカッション、空き時間のインフォーマルな会話を通して、情報交換、共有化、人的なネットワークを形成することによってMEMS関連産業のビジネスチャンスを拡大することにあります。研究開発に直接というより、事業化をどう促進するかに絞った会議です。
ソノマでの会議は、デバイスメーカーのfreescale、製造装置メーカーのEVG、STS、Tegalがスポンサーとなっています。約160人のデバイス、アプリケーション、製造装置、材料関係企業の経営者やマーケティング、営業、開発部門のトップ、大学研究者などが集まり、2つの基調講演と5つのパネルディスカッションにて様々な意見を交わしました。フランスLETI、ベルギーのIMEC、カナダACAMP、ドイツのガラス基板メーカー、台湾APMなど、米国内だけに限らず、国際的な参加者となっています。
基調講演のひとつはNTTドコモ先進技術研究所の楢橋氏の招待講演でした。次世代移動通信(3G→4G)RFバンド拡大におけるMEMS技術への要望、ということで、特にパワーアンプやフィルターに関連したRF-MEMSスイッチへの期待が述べられました。MEMSタイプでこそ次世代移動通信の端末を実現できるとの強い期待です。また、BEANS研究所副所長の安達氏がバイオ・医療応用MEMSに関するセッションにパネリストの一人として登場し、BEANS-PJの概要、日本の現状、米国やヨーロッパとの違い、将来への期待など様々な視点から印象深い意見を述べ、強い関心を集めていました。その他、環境やエネルギー、自動車、コンシューマーエレクトロニクスへの応用に関するパネルディスカッションがありました。
最後のパネルディスカッションはマーケット予想でした。Gartner、iSuppli、Yole他のマーケットサーベイの紹介と、いつ市況は回復するか、次のキラーアプリは何かなどの意見交換がありました。まだあまり整理できていませんが、いくつかのトピックを上げると、
・有望なMEMS分野は、RF-MEMS、Si-microphone、MOEMS(除、DMD)、microbolometer
・DMDやインクジェットを除けば、MEMS全体として現状が大体6,000-7,000億円の市場規模で、2009年1Qで底を打っている。
・加速度センサーはほぼ飽和しつつある。
・なぜ台湾TSMCがMEMSの市場規模は小さいにもかかわらずMEMSをやっているか、についての答えは、今後、TSVが広がり半導体そのものへの応用が見込めるため。
・パッケージからテストまでのコストが全体の65-70%を占める。
・8インチ化が進行しており、そこまで投資できないところは苦しい。今後はパートナーシップの成否が鍵となる。
・Digital Glassのベンチャーに注目している。
・加速度センサーの市場;1,700ドルM(2012年)19%GR(成長レート) Gyroscope;1,500ドルM(同上)18%GRMicrofluidics diagnosis;1,400ドルM 33%GR
・製造装置市場は2011年に回復が明確になるだろう。
・ファウンドリの市場予測;500ドルM(2009)→900ドルM(2012)
・デバイスを売るのではなく、機能を売る。つまりソフトウエアが重要になる。
・STS+SPP+AVIZA=SPPTSSPP Process Technology System
・新規にMEMSに置き換わる率が75%、かつ最低コストが最もありうるシナリオ。
MEMS業界全体としては、圧力センサーのタイヤ装着が進み、また、携帯端末やゲーム、デジタルカメラなどへの加速度センサーやジャイロスコープの応用が拡大する中、複数のセンサーをセンサーネットワークとして応用し、事業化するアプローチが模索されています。センサーネットワークは環境、エネルギー、バイオ、自動車など幅広い分野で期待されており、その実現には、発電、自律的(Autonomous)なセンサー同士の無線通信などが必要で、この部分での競争が激しくなると予想されます。狭い私見ですが、発電についてはあまり日本国内での研究活動が活発という印象がなく、対応が急がれると思います。研究開発体制の面からは、特に携帯やゲームなどへの応用において、プロトタイプを試作するにしても、必ず、センサー自体のオペレーションとユーザーインターフェースの2つのカテゴリーでソフトウエアの開発をすることになり、どこまで開発リソースをカバーするか、検討が必要であると感じました。
Mec_sonoma091106 会場のソノマロッジ
Mec091105keynote NTTドコモ楢橋氏による基調講演
Mec_panel091105 BEANS安達副所長が登場したパネル
以上がMEMS Executive Congressに関する報告ですが、以下、併せて訪問したBSAC、GE Sensing、SVTCに関する簡単な報告も載せます。
1、BSAC、Berkeley Sensor and Actuator Center(11月3日)
初日のBSACとのミーティングは、私自身が初めてということもあって新鮮で興味深いものでした。BSAC Exrcutive Director のJohn Huggins教授が相手をしてくれました。BEANS研究所副所長 安達氏のBEANS概要および最新成果のアップデートをセミナーという形で開催しました。おそらく1-2日前の予告にも関わらず、Pisano教授や約50人のポスドクやPhDを集めて非常に盛況でした。Huggins氏自身もBEANSには高い興味を持っている、と話していました。
BSAC自体はナノファブセンターの設備整備を進めてまして、今回は20年ごとのかなり大きな更新です。会員団体数は45から39に減ったそうですが、元々競争的資金が予算の8割を占めているのでそれほど会費の減はそれほど影響ないようでした。全体で150人の研究者に対して100を越えるテーマがあるので、ほぼ一人一テーマとなります。ナノファブセンターは18ヶ月後に稼動する目標でいるようです。現在は要素的なデバイス試作が精々ですが、その後はテーマの組み方にも変化が出るかもしれません。
Bsac091103 BSACにおける安達氏の講演
2、GE Sensing & Instrument Technologies(11月4日)
GE Sensing & TechnologiesはGEグループの中で、インフラ事業を中心にセンサーを開発、提供するFremontを中心拠点とする会社です。GE Global Research Centerと連携して研究、開発を進め、大量生産やパッケージングはタイや韓国のグループ会社と協業しながら事業を展開しています。1985年ころから事業を開始し、NovaSensorなどを買収しながら、非常に数多くの製品を開発、製造しています。
インフラ中心のデバイスを強みとし、ファンドリーも手がけるなど、事業分野、形態は日本のオムロンと似ていると感じました。数多くの製品を高い品質で保ちながら生産していること、米国にて前工程の生産を継続していることなど、採算の合わない事業には厳しいGEグループの中で事業継続できるコスト体質は驚きです。
3、SVTC(11月4日)
自らの製品はもたない、純粋なファンドリーとしてのSVTCに関して今回の訪問で印象深かったのは、ビジネスモデルをIMECと比較していることです。いわゆるMore Than Mooreが開発対象であり、顧客が開発要員をSVTCに派遣して自らSVTCの装置を使いながら開発するHands-on Accessも含める、製造装置ベンダーの装置を置かせて協業する、など、研究から製品化までのどこに注力するか、は異なりますが、ビジネスモデルとしてIMECを上げるのは確かに納得できます。顧客として自ら開発・生産する大企業もありますが、これに対しては、製品化されたデバイスは顧客自身が生産し、変革するデバイスをSVTCが開発するという分業モデルです。最近は経営を安定化させるキラーアプリとしてメディカルやディフェンス向けが出たことを上げていました。
(国際交流担当 片白)
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