2005年03月03日
Quiz:法廷で相手方を罵倒したら名誉毀損となるか?
最近ある論文を書いていて、この話題にたどり着き、判例を集中的に読む羽目となった。
答えはもちろんyes、法廷弁論だからといって名誉毀損が成立しないわけではない。
ただし、法廷弁論では自由な弁論が保障されなければならず、よほどひどい言動で訴訟と無関係の内容を持ち出して誹謗中傷するのでない限り、名誉毀損が認められない場合が多い。
裁判例を読んでいると、中には罵倒された方もそれなりにひどい言葉でやり返していて、相互に誹謗中傷に近い人格攻撃をしているものもあり、そういう場合は裁判所も、一方の言辞のみを取り上げて評価するのは妥当でなく、双方のやり取りの中で考えれば名誉毀損とはいえないと判断している。
これなどはネット上の対抗言論ないしボクシング理論とかつて言われていた考慮とよく似ている。
この話題に興味がある人は、加藤新太郎『弁護士役割論』が分かりやすくてよい。
2005年03月03日 法律・裁判 | 固定リンク
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コメント
亡くなった伊藤検事総長が、どこかで、取調べの心得について、「後日、被疑者に会った時に、笑って挨拶できるようなものでないといけない。」という趣旨のことを言われていたと記憶していますが、法廷でのやり取りとか、提出する書面などについても、同様のことが言えるように思います。
投稿: yjochi | 2005年03月03日 02:51
弁護士同士が罵倒しあう公判調書だけは作りたくないですよ。いくら正当業務行為とはいえ(泣。
投稿: 謎の現職 | 2005年03月04日 16:29