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慢性上咽頭炎 治療で回復も 予防には鼻うがいと鼻呼吸が良いゾゥ〜

[ 2023年12月29日 05:00 ]

慢性上咽頭炎について堀田修先生に教えていただきました
Photo By スポニチ

芸能界一、健康に詳しいアナウンサー生島ヒロシ(73)が、シニアに向けて元気に生きる方法を指南する連載「誰も教えてくれなかった"老いるショック"脱出術 オヤジの処方箋」。今年最後の今回は、新型コロナウイルス後遺症との関連も指摘されている「慢性上咽頭炎(まんせいじょういんとうえん)」を取り上げます。

皆さん、こんにちは、生島ヒロシです。2023年もいよいよ大詰め。今年の年末年始は10年に1度の暖かさなんて言われてますが、油断は禁物。初詣は防寒対策をしっかりとね。今年は5月に新型コロナウイルスが5類感染症へと移行。最近ではインフルエンザの方が話題になりますが、コロナ感染者も増加傾向で、コロナの後遺症に悩んでいる方も多いようです。そこで今回は、コロナ後遺症を含む体のさまざまな不調の治療に取り組んでいる、仙台市の堀田修クリニック院長、堀田修先生にお話を伺います。堀田先生は「鼻うがい健康法 慢性上咽頭炎を治せば、全身の不調が消える!」(三笠書房)も出版していらっしゃいます。

堀田先生、まずコロナ後遺症とはどんな症状ですか?

「頭痛、立ちくらみ、喉の違和感、倦怠(けんたい)感、耳鳴り、肩凝り、胃の不快感、便秘・下痢、集中力の低下、不眠症などです」

起き上がれないほどの不調を訴える方もいらっしゃいます。慢性上咽頭炎の治療で回復が期待できるんですか?

「喉は鼻の穴に近い部分から上咽頭、中咽頭、下咽頭と3つに分けて呼ばれています。口を開けて鏡で見える部分は中咽頭です。このうち、上咽頭が常に炎症を起こしている状態を慢性上咽頭炎と言っています。空気を吸う以上は、万人が上咽頭に炎症を起こしています。ただ、うっ血を伴う病的炎症は全体の7割ぐらいです」

この上咽頭は大事な場所なんですか?

「リンパ組織が豊富で、免疫の関所のような場所と言えます。上咽頭が炎症を起こすとうっ血がおこり、リンパの流れが悪くなります。それにより、免疫システムにも影響が出て、結果として体のあちこちに不調が起こるわけです」

コロナ後遺症に悩んでいる方は、この炎症を抑えたいですね。
「慢性上咽頭炎を治療すると、8割ほどの割合でコロナ後遺症が改善しています」

どのように治療するんですか?

「上咽頭擦過療法、通称EATと呼ばれる治療法で、塩化亜鉛溶液に浸した専用の長い綿棒を鼻と口から入れて、上咽頭をこすります。綿棒の先に血が付けば上咽頭炎です。炎症が強い場合にはかなりの痛みを伴いますが、それでもとても効果がある治療法です。EATを受けられる医療機関は日本病巣疾患研究会の公式サイトで確認できます」

慢性上咽頭炎のサインのようなものはありますか?

「自分で診断する方法を紹介します。まずは、耳の下の部分に圧痛があることです。人さし指、中指、薬指の3本で耳の下を強めに押してみてください。痛みを感じたら、上咽頭に炎症がある証拠です。さらに、喉になかなかとれない痛みがある、せき・たんがよく出る、喉がイガイガする、という状態ならば、慢性上咽頭炎の可能性が高くなります」

ぜひ予防したいです。

「"鼻うがい"が有効です。鼻うがいには2種類あって、いずれも濃度1%弱の生理食塩水を使います。水500ミリリットルに食塩5グラム弱です。まずひとつは上咽頭と鼻腔(びくう)全体を洗浄する鼻うがいで、この生理食塩水を、前かがみになって片方の鼻から入れて、もう片方から出す。これを左右で行い、2回繰り返します。生理食塩水は口から出しても構いません」

鼻うがい、実は私もやってるんです。

「もう一つは上咽頭のみを直接洗浄する方法。頭を後ろに60度ほど傾けて、スポイトや小さなボトルを使って生理食塩水2〜4CCを鼻から喉の奥に垂らすように入れます。口から吐き出すのが難しければ、飲んでも問題ありません。これを左右でやります。この上咽頭洗浄は、使う食塩水も少量なので、外出先のトイレの洗面台でも気軽にできるのでお勧めします。コロナに感染してすぐに鼻うがいを始めると、重症化率が8分の1になったという報告もあります。いずれの鼻うがいも、市販の洗浄液・器具が売られていますから、これらを使えば便利です」

私はニールメッド社の「サイナス・リンス」という商品を使っています。ほかに、日常で気をつけることはありますか?

「タバコを吸っている方は禁煙してください。あとは、口呼吸をやめること。口から入る空気は、鼻という天然のフィルターを通らず、加湿・加温もされずに中咽頭→下咽頭→気管へと流れます。その一部は上咽頭にも上がってきて、炎症を悪化させる原因になります」

慢性上咽頭炎はコロナ後遺症をはじめ、私たちが日々感じる体の不調に深く関わっているようです。まずは、予防。思い当たる方はEATを行っている病院を訪ねてみてはいかがでしょうか。
今年は、これで最後です。来年も皆さんが元気に過ごせるような医療の情報をたくさんお届けしますね。それでは、健康で、よいお年をお迎えください。

◇生島 ヒロシ(いくしま・ひろし)1950年(昭25)12月24日生まれ、宮城県出身の73歳。米カリフォルニア州立大ロングビーチ校ジャーナリズム科卒業後、76年にTBS入社。89年に退社し、生島企画室を設立。TBSラジオ「生島ヒロシのおはよう定食・一直線」(月〜金曜前5・00)は、98年から続く長寿番組。健康に関する名物コーナーに登場する名医たちとの親交から、芸能界きっての健康通。75歳の現役医師・鎌田實さんとの共著「70歳からの『貯筋』習慣」(青春出版社)が販売中。

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