欠陥のあるポリオウイルスの細胞内での複製を効率よく相補する方法

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An efficient trans complementation system for in vivo replication of defective poliovirus mutants

Minetaro Arita

J Virol, 2024, https://doi.org/10.1128/jvi.00523-24

ポリオウイルスが細胞に感染すると、1本の大きなウイルスタンパク質が作られます。この大きなウイルスタンパク質から機能を持った個々のウイルスタンパク質が切り出されて、ウイルスの複製を行います。しかし、ウイルスタンパク質の一部に欠陥があり、複製できないポリオウイルス変異体が、外から供給されるウイルスタンパク質を用いて複製できるかという点については、長年結論が出ていませんでした。今回の研究により、ウイルスゲノムRNAの複製を行うポリメラーゼ(ウイルスタンパク質3D)の活性は、外から与えることができてポリオウイルスの複製を効率よくレスキューすることが明らかにされました。興味深いことに、ポリメラーゼ本体ではなく、ポリメラーゼを含む前駆体ウイルスタンパク質(ウイルスタンパク質3CD)がこの活性に必要なこと、また一部のウイルスタンパク質は外から与えられたプロテアーゼでは切り出されないこともわかりました。ポリオウイルスはエンテロウイルスと頻繁に組換えを起こすことが知られており、今回得られた知見はポリオウイルスの複製やウイルス間の組換えの機構の解明につながることが期待されます。

本研究は、AEMD(課題番号:JP23fk0108627)およびJSPS(課題番号:JP22K07107)の支援を受けて行われました。

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