Kasai S, Itokawa K, Uemura N, Takaoka A, Furutani S, Maekawa Y, Kobayashi D, Imanishi-Kobayashi N, Amoa-Bosompem M, Murota K, Higa Y, Kawada H, Minakawa N, Tran CC, Nguyen TY, Tran VP, Keo S, Kang K, Miura K, Ng, LC, Teng HJ, Dadzie S, Subekti S, Mulyatno KC, Sawabe K, Tomita T, Komagata O.
Science Advances 8, eabq7345, 2022
ベトナムで採集されたネッタイシマカ(デング熱の主要な媒介蚊)がピレスロイド系殺虫剤に著しく強い耐性を示すことを見出し、その原因を突き止めました。ベトナムのネッタイシマカの多くで作用点ナトリウムチャネルの遺伝子上に重要なアミノ酸置換(L982W)をもたらす突然変異を確認しました。別のアミノ酸変異(F1534C)も同時に保有する個体も発見し、この二重変異は解毒酵素との組合わせで、桁外れに強い耐性(野生型の1000倍以上)をもたらすことを殺虫試験および分子モデリング解析で明らかにしました。さらにカンボジアのプノンペンでは、この多重変異を有する超耐性ネッタイシマカが70%以上を占めていました。2022年までにL982Wをもつネッタイシマカは周辺国から報告されていませんが、今後、人流・物流とともに分布が世界に拡大すれば、デング熱のコントロールにとって重大な脅威となりうると考察されました。
本研究はAMEDの支援を受けて長崎大、東京大ほかとの共同で実施されました。
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