2017年12月29日
legal-info:下級裁判所の裁判書公開基準(原文も追記)
奥村先生のブログに、裁判書の公開基準が一部掲載されている。
貴重な資料なので転載させていただく。
追記:なお、別の方からも提供していただいたPDFファイルも掲載する。
「公開裁判例選別基準.pdf」をダウンロード
最近問題となった事例は刑事事件に関するものだが、民事事件についても、「性犯罪及びDV事件等に関する損害賠償請求訴訟等であって,裁判書の記載内容が公にされることにより,加害行為や被害の状況等が明らかとなり,それにより当事者に著しい被害を与える蓋然性があるなど,裁判書を公開すること自体が当事者等に回復困難な被害を与える事件」という項目があり、一般論としては配慮が必要だろうと思う。
しかし判決文の公開は民主主義の基本で書いたように、社会的に関心の高い裁判例という選別基準には根本的に疑問がある。少なくとも各庁が判例雑誌に提供している判決は、全部、ネットに公開してもよいであろう。判例雑誌やデータベース会社はそこから各社の判断で、付加価値を付けた形で、再公開すればよいのである。
もちろん、下記に引用されているような要配慮事例は、性犯罪とかだけではなくもう少し認められても良いと思うが。
2017年12月29日 法情報学 | 固定リンク
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consumer:国センが正月返上で #ジャパンライフ専用ダイヤル
銀行取引停止処分を受けて倒産状態となったジャパンライフについて、国民生活センターは、正月返上の電話相談窓口を開設した。
→ジャパンライフ専用ダイヤル
実施日
平成29年12月29日(金曜)〜平成30年1月3日(水曜)相談受付時間
10時〜16時ジャパンライフ専用ダイヤル
03-5793-4110対象となる相談
ジャパンライフに関する相談※(注記)ご家族や周囲の方からの相談も受け付けます
2017年12月29日 消費者問題 | 固定リンク
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2017年12月28日
Arret:ハーグ子奪取条約実施法117条の適用により終局決定が見直された事例
ハーグ子奪取条約に基づく国内手続を定めた実施法の適用をめぐる最高裁決定である。
事案は、アメリカ在住の夫婦間に11歳の双子の男の子と、6歳の双子の男の子および女の子の、合計4人の兄弟姉妹がいたが、妻が子どもたちを連れて日本に帰国し、アメリカに戻る予定を変更して、そのまま夫の了解のもとでインターナショナルスクールに通わせるなどしていた。
その後、帰国をめぐって両親の意見が対立するようになったので、夫がハーグ子奪取条約に基づく子の返還の申立てをしたというものである。
大阪高裁の決定は、11歳の双子がいずれも帰国を強く拒絶し、6歳の子どもたちも否定的であったため、子奪取条約実施法28条1項5号の返還拒否事由があると認めながら、同項柱書但書きの適用により、返還を命じた。
なお、この時点で申立人には子どもの適切な監護養育をする経済的基盤がなかったとされている。
第二十八条 裁判所は、前条の規定にかかわらず、次の各号に掲げる事由のいずれかがあると認めるときは、子の返還を命じてはならない。ただし、第一号から第三号まで又は第五号に掲げる事由がある場合であっても、一切の事情を考慮して常居所地国に子を返還することが子の利益に資すると認めるときは、子の返還を命ずることができる。一 子の返還の申立てが当該連れ去りの時又は当該留置の開始の時から一年を経過した後にされたものであり、かつ、子が新たな環境に適応していること。
二 申立人が当該連れ去りの時又は当該留置の開始の時に子に対して現実に監護の権利を行使していなかったこと(当該連れ去り又は留置がなければ申立人が子に対して現実に監護の権利を行使していたと認められる場合を除く。)。
三 申立人が当該連れ去りの前若しくは当該留置の開始の前にこれに同意し、又は当該連れ去りの後若しくは当該留置の開始の後にこれを承諾したこと。
四 常居所地国に子を返還することによって、子の心身に害悪を及ぼすことその他子を耐え難い状況に置くこととなる重大な危険があること。
五 子の年齢及び発達の程度に照らして子の意見を考慮することが適当である場合において、子が常居所地国に返還されることを拒んでいること。
六 常居所地国に子を返還することが日本国における人権及び基本的自由の保護に関する基本原則により認められないものであること。
2017年12月28日 裁判例 | 固定リンク
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2017年12月27日
legal-info:判決文の公開は民主主義の基本
判決文のネット公開とこれにリンクした岡口裁判官のツイートに、当該事件の被害者遺族が抗議した。
岡口判事は直ちにツイートを削除したが、遺族は重ねて裁判所に苦情を申し入れ、裁判所は以下のような対応を取ったという。
高裁は取材に「事実関係を確認した上で適切に対処したい」と回答した。その上で、リンク先は裁判所の公式サイトだと説明。性犯罪に関わる判決文は載せないルールになっていたとして、高裁として遺族側の弁護士におわびしたという。
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2017年12月24日
comic:バーナム効果であるあるがある
今年読んだ61冊目は、川原泉の6年ぶりの新刊、バーナム効果であるあるがある (ヤングアニマルコミックス)
[フレーム]
「〜がある」シリーズと称しているが、ワタクシ的には彰英高校シリーズといった方が分かりやすいのではなかろうか。
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2017年12月23日
jegement:マタハラ裁判
東京地判平成29年12月22日
判決によると、女性は2015年9月から産休に入り、11月に出産。産休中から育休取得を申請しようとしたが手続きを拒まれ、翌年1月に退職願用紙が自宅に届いた。その後、自己都合退職扱いとされた。若松裁判官は「マタハラ根絶の社会的要請も高まっている」と指摘。「妊娠を理由とした降格で慰謝料100万円を認めた裁判例があるが、今回は違法性が強く200万円を要する」と判断した。
判決は、「理事長の男性が『産休を取る者は賞与を請求しないのが普通』との独自の見解を持っていた」と述べ、そのため女性に不快感を抱き、強引に退職扱いにしたと結論づけた。
Mamabebe
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2017年12月21日
2017年12月20日
consumer:集団的消費者被害回復制度に期待される事例から浮かび上がる課題
消費者庁は、株式会社e-chanceに対し、「レニュマックス」と称する自動車ボディ等の傷補修剤に関するテレビコマーシャルが「塗布して乾かすだけで容易に当該傷を判別できなくなる程度に消すことができるものであるかのように示す表示」だとして、措置命令を下した。
その命令は以下の三点。
ア 前記(2)アの表示は、対象商品の内容について、一般消費者に対し、実際のものよりも著しく優良であると示すものであり、景品表示法に違反するものである旨を一般消費者に周知徹底すること。 イ 再発防止策を講じて、これを役員及び従業員に周知徹底すること。 ウ 今後、表示の裏付けとなる合理的な根拠をあらかじめ有することなく、同様の表示を行わないこと。
ところで、テレビコマーシャルが「塗布して乾かすだけで容易に当該傷を判別できなくなる程度に消すことができるものであるかのように示す表示」であったとすると、これは同時に消費者契約法の取消事由にもなりそうである。
第四条 消費者は、事業者が消費者契約の締結について勧誘をするに際し、当該消費者に対して次の各号に掲げる行為をしたことにより当該各号に定める誤認をし、それによって当該消費者契約の申込み又はその承諾の意思表示をしたときは、これを取り消すことができる。一 重要事項について事実と異なることを告げること。 当該告げられた内容が事実であるとの誤認
この重要事項とは、「物品、権利、役務その他の当該消費者契約の目的となるものの質、用途その他の内容であって、消費者の当該消費者契約を締結するか否かについての判断に通常影響を及ぼすべきもの」と規定されており、まさしく車のキズがレニュマックスを「塗布して乾かすだけで容易に当該傷を判別できなくなる程度に消すことができる」というのは、この物品の質に当たり、購入判断に通常影響を及ぼす。
ということで上記テレビコマーシャルを見て購入した人たちは、取消権を行使して購入代金を取り返すことができそうである。
2017年12月20日 消費者問題 | 固定リンク
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2017年12月19日
スペインで法実務改革用ソフトウェアのHackason
La LegalTech espagnole a organisé son #HackTheJustice avec le soutien du ministère de la Justice
Le Monde de la Justiceというオンラインメディアの記事によれば、スペインで、司法実務の改革のためのソフトウェアコンテストがあり、司法大臣がその優勝者に賞を与えたのだという。
リーガルテックLegaltechという言葉はまさにこういうところで使うべきものだと思いつつ、外国ではますます進んでいるのに、それでもなお司法分野は遅れているという認識らしい。日本の司法も全くもってノンビリはしていられないはずだ。
Dragon
2017年12月19日 外国法事情 | 固定リンク
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comic:そこをなんとか10〜13
今年読んだ56冊〜59冊目は、麻生みことのそこをなんとか 10、11、12、13 (花とゆめコミックススペシャル)
微妙な四角関係の主要メンバーたちの人間関係が大きく変わる展開に、ワクワク。
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2017年12月15日
Book:裁判官! 当職そこが知りたかったのです。
今年読んだ55冊目は裁判官! 当職そこが知りたかったのです。 -民事訴訟がはかどる本-
[フレーム]
あの白ブリーフ判事として有名になった岡口基一判事とユーモラスなマンガ付きブログで有名な中村真弁護士がタッグを組んだ、民事裁判の実務に関する対談である。
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2017年12月14日
Book:リーガルテック
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2017年12月13日
action:凍結受精卵を無断で着床して出産した場合と父子関係
大変興味深いテーマの判決が12月15日に下される予定である。
<親子関係訴訟>凍結受精卵、夫の同意は...15日に判決
夫婦間の凍結受精卵を、夫婦関係が悪化して別居した段階で、妻が夫に無断で着床して出産したという場合に、夫は親子関係不存在確認の訴えを提起して認められるのかどうかという問題である。
記事によれば2016年10月まで婚姻関係にあった元夫婦で、以前にも体外受精で出産していたが、夫婦間が悪化して別居した2013年の後、2014年に女性が無断で受精卵を着床し、翌2015年春に出産したという。今回の提訴は一年以上たっているので、嫡出否認の訴えではなく親子関係不存在確認である。
Mamabebe
2017年12月13日 法と女性 | 固定リンク
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2017年12月10日
ITの発展と民事手続
情報法制研究という新しい雑誌の第2号に、表記の拙稿が掲載された。
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この雑誌は、情報法制学会という今年できた学会の学会誌であり、拙稿は創刊号に書く約束をしておきながら書けずに第二号にようやく載せていただいたというものである。
現在のところ、創刊号はウェブサイトにPDFファイルが公開されているが、第二号は載っていない。いずれ掲載されるのか、それとも創刊号だけなのか、サイトの構成からはよく見えないところではある。
というわけで、現在は紙媒体のみによるのだが、その拙稿には以下のような内容を書いた。小見出しに少しコメントを加えて紹介しよう。
2017年12月10日 書籍・雑誌, 法律・裁判, 法情報学 | 固定リンク
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