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オペアンプを用いた積分回路では、意外にオペアンプの周波数特性を必要としない。オペアンプの伝達関数を考慮して積分回路の応答精度を計算してみれば、定量的に積分器における必要周波数特性を計算できる。
14ビット精度以上では、RはともかくCの選択が重要で、ふつうはフィルムコンデンサの誘電体吸収の少ない品種から選ぶ。
誘電体吸収の大きいコンデンサでは、過去の電圧履歴が残るので、異なる電圧を複数回積分させると出力に誤差が生じる。
フィルムコンデンサを使用すると、電子部品としては10μF程度が限界となるから、長時間積分を行うにはRに高抵抗を使い、単位入力電圧あたりの積分電流を少なくする必然がある。
フィルムコンデンサの温度特性は数100ppm/°C程度あるから、長時間積分では積分中の温度変化の効果も無視できない場合がある。
精密長時間積分には、電流性の誤差と電圧性の誤差があるから、積分器に使用するオペアンプには、低バイアス電流、低オフセット電圧の品種が多用される。
今は使用されなくなったが、高度成長期時代にはアナログ積分で24時間程度の積分を行った事例がある。当時はPID調節計にアナログ回路が組み込まれ、プラントの時定数が長いため、数10分程度の積分時間が必要であったためである。
今はAD変換後、数値積分を行うデジタル積分が主流となっている。
短い時間の積分を行う際には、積分の始点と終点を決めるコンパレータの選択も積分精度を支配するが、この場合にも積分コンデンサの誘電体吸収は問題になる筈である。
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