シリコンダイオードの順電圧はふつう0.6〜0.7Vと考える人が多い。
この値は、小信号ダイオードを通常の温度で、通常の電流密度での値である。
ダイオードの電流Iと順電圧Vjの関係は
I=Is・EXP(Vj/(mVT)で概略近似できる。VTは熱電圧であり電子電荷qと絶対温度Tとボルツマン定数KからVT=q/KTで常温で約26mVの値となる。mはキャリア輸送の様式に伴う係数で、再結合電流が支配的なときm=2となる。
m=2の時には、動作電流が1桁増加するとVjは+120mV変化する。
整流用シリコンダイオードではもっと高電流密度で普通使用するので、穏やかな使用条件でも0.8Vを簡単に越える。
しかも、見かけ上の順電圧は接合電圧だけでは決まらず、直列寄生抵抗分が寄与する。
通流による発熱を無視できるような、短パルスで順電圧を測定すると接合電圧の式で予測されるより、大きな順電圧が観測される。この差分が直列寄生抵抗Rと測定電流Iの積:RIである。
相対的に小さなダイオードに電流を流すと、自己加熱により素子温度が変わる。
パルステスト条件での測定データは自己過熱が加味されないデータである。連続通電なら、接合電圧の温度上昇に伴う順電圧の負の温度係数と、直列抵抗成分の+の温度係数が絡み合わさったデータとなる。整流用ダイオードでは、ダイオードにおける順電圧は1.2Vを越えることもある。
逆にダイオードの定格より幾桁も低い電流で使用するなら、0.3V以下の順電圧になることもある。
もっとも簡単な半導体素子であるダイオードでも、1V以下の電圧を扱う際には使用条件を考慮してその実働特性を把握する必要があるのだ。
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雲行きが怪しいので、今日は自宅で距離7mのアーチェリー。ここのところの不調の原因だった構えたときに照準器がよく見えないときの原因と対策が少し解ってきた。
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