普通の抵抗器は2端子でありますが、リード線が4本出ている抵抗器があります。
4端子抵抗器は1オーム以下の低い抵抗値のものに使われ、数10mΩから数mΩの抵抗値をもちます。この位の値の抵抗になりますと、配線抵抗を無視できません。そこでオームの法則に忠実なV=RIで電流を測るときに、電流を流す端子と抵抗の両端電圧を測定する電圧端子を独立にして、大電流を流す電流端子の寄生抵抗の影響を回避します。
抵抗体は多くマンガニン系合金の板状のもので、放熱をよくするため放熱フィンを備え抵抗体とフィンの間に固体絶縁物を充填した構造になっていることが多い。金属皮膜形の4端子抵抗も手に入ります。
たとえば10mΩの抵抗ですと10A流して、やっと0.1Vの電圧がでます。このときの消費電力は1W。電子回路ではすでにパワー回路の領域に入っています。20Aですと4Wで、抵抗器の放熱も問題になります。
4端子抵抗器は電流を精密に計測するための回路の要の部品で、自己加熱による抵抗体の温度係数も問題になります。この部品を使用するときには電力GNDと電圧端子電圧の基準点が一致しないので、電子回路的には差動で電圧端子電圧を増幅することになります。
配線抵抗rと抵抗体本体のRと配線抵抗rが直列になっていますので、Rの両端から電圧端子を取り出し、Rでの真の抵抗での電圧降下を計測します。配線抵抗はふつう純金属なので、約+4000ppm/°Cの温度係数を持っており、2端子抵抗ですと、自己加熱の影響により、リード線の温度変化に伴う全抵抗値の変化を避けることができません。
この抵抗を使用するときには、プリント配線パターンにも注意を払います。コネクタやスルーホールの抵抗が数mΩ程度あり、GNDパターンをパワーGNDとシグナルGNDに分離する必要が生じます。
パターンそのものの抵抗は、5mm幅10cmの銅箔パターンで約10mΩあります。したがって、4端子抵抗を使用するときには、パターンでの電圧降下と電力消費を考慮することになります。
高校物理の世界ですが、まじめに計算して寄生抵抗の影響を評価しておく必要があります。厚膜ハイブリッドICの導体パターンですと10cm配線するとプロセスによって異なるけれど1オーム/10cm程度あります。この場合、数10Ω以下の抵抗は多くの場合寄生抵抗を考えて回路を組むことになるでしょう。
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