私たちの活動

全ての性の平等(性の平等に関する委員会)

活動の概要

日弁連は、個人の尊重、男女平等の見地から、女性の地位・権利や現行法制の改善に関する調査・研究、女性にかかわる重大な人権侵害や差別に関する具体的事実の調査・研究及びそれに基づく適切な措置の実施などを目的として、1976年5月1日に「女性の権利に関する委員会」を設置しました。その後、1993年6月には、あらゆる分野に男女が共に参画し、真の両性の平等の実現を目指すために「両性の平等に関する委員会」に名称を変更し、さらに、多様性・公正性・包摂性(DE&I)の観点から、「両性」に留まらず、全ての性に基づく差別・権利侵害をなくす活動の必要性を明確に示すため、2025年6月に「性の平等に関する委員会」に改称し、併せて委員会の構成を変更して活動の強化を図っています。


現在の活動紹介

性の平等に関する委員会は、雇用・労働問題(第1部会)、教育・福祉問題(第2部会)、家族問題・女性に対する暴力問題(第3部会)に分かれて各関連事項について調査・研究等を行っており、複数の部会にまたがる事項などについては別途、プロジェクトチームを結成しています。


2010年以降、規制緩和と景気減退によるパート労働者・派遣労働者など不安定就労者の増加傾向が続く中で、パートタイム・有期雇用労働法などの非正規労働関連法制に関する問題が大きな課題となっています。「女性の貧困」は従前から深刻な問題ですが、これは労働問題であるだけでなく、家裁実務で用いられている婚姻費用・養育費算定表が低額に失することやその不履行率の高さが指摘されています。


また、DV(ドメスティック・バイオレンス)については、防止法の施行、特に保護命令制度の運用に絡む問題点が指摘されています。さらに、ハーグ条約(国際的な子の奪取の民事上の側面に関する条約)や、親権制度も重要な課題となっています。これらについて、各部会を中心に調査・研究を続けています。


そのほか、女性差別撤廃条約の国内における実施に関する活動(詳細は国際人権ライブラリー をご覧ください。)、国連女性の地位委員会への委員派遣などを行っています。また、ジェンダー・バイアスの解消、男女共同参画基本計画についての意見・提言の提出、婚外子差別廃止、選択的夫婦別姓制等を実現するための民法改正に向けた活動なども行っています。


直近の活動については、以下の委員会ニュースのバックナンバーをご覧ください。

PDF両性の平等ニュース56号(PDFファイル;881KB)

PDF性の平等ニュース57号(PDFファイル;1.4MB)



選択的夫婦別姓制度の導入に向けた取り組み

日弁連では、選択的夫婦別姓制度の導入に向け、弁護士会・弁護士会連合会とも連携の上、地方議会への請願や国会議員等への働きかけなどの取組を続けてきました。また、市民の関心も高まっていることから、制度について分かりやすくまとめたリーフレットの発行、特設サイトの開設、シンポジウムの開催等を行っています。

詳細は、以下のページをご覧ください。

特設ページ「選べる道が多いほど未来は輝く」

選択的夫婦別姓制度



養育費・婚姻費用の算定に関する研究・取り組み

日弁連は、2019年12月23日に平成30年度司法研究として公表された「養育費、婚姻費用の算定に関する実証的研究」に対し、その改定の過程・内容を検証し、養育費・婚姻費用の算定に関する更なる改善に取り組むべく、2020年11月18日、「「養育費、婚姻費用の算定に関する実証的研究」に対する意見書 」を取りまとめました。


今後は民法等の改正を踏まえ、法定養育費の制度や養育費の支払確保に向けた取り組みも行っていきます。


性教育、ジェンダー教育、セクシュアル・リプロダクティブ・ヘルス&ライツに関する研究・取り組み

日弁連は、全ての子どもに包括的性教育を受ける権利を保障すべく、2023年1月20日、「「包括的性教育」の実施とセクシュアル・リプロダクティブ・ヘルス&ライツを保障する包括的な法律の制定及び制度の創設を求める意見書」を取りまとめました。


全国一斉女性の権利ホットライン実施結果(2024年度)

2024年6月23日から29日までの男女共同参画週間を中心に、各地の弁護士会で「全国一斉女性の権利ホットライン」を実施しました。実施方法は、電話による相談のほかに、面接およびオンラインによる相談を行った弁護士会もあります。


期間中、全国で675件の相談を受け、相談を受けた弁護士が記入した相談カードを基に集計した結果は、添付のとおりです。


PDF2024年度 全国一斉女性の権利ホットライン実施結果 (PDFファイル;58KB)


LGBTの権利に関する取り組み

日弁連では、同性婚の実現に向けて、2019年7月18日に「同性の当事者による婚姻に関する意見書」を取りまとめました。また、2021年2月18日には、「同性の者も事実上婚姻関係と同様の事情にある者として法の平等な適用を受けるべきことに関する意見書」も発表しました。


また、2018年から毎年、「LGBTの権利に関する取組についての意見交換会」を開催し、各弁護士会及び日弁連の取組について意見交換を実施しています。そのほか、全国の弁護士がLGBTの権利に関する問題に対応できるよう、弁護士会向けにLGBTの権利に関する研修の講師派遣を行っています。


シンポジウム報告

近時開催したシンポジウムについてご報告します。


2025年

2025年3月1日
シンポジウム「知っておきたい離婚後親権」

2024年5月、離婚後の共同親権制導入を含む民法の一部改正法が成立しました。

しかし、具体的なケースにおいてどのような運用となるかは、なお明らかではない点もあります。

本シンポジウムでは、弁護士および一般の方を対象に、制度の内容を報告するとともに、親権を共同とした場合に生じうる状況について情報を共有し、今後さらに検討が必要な事項を整理して説明しました。


過去のイベント

シンポジウム「知っておきたい離婚後親権」


2024年

2024年3月30日
シンポジウム「LGBT理解増進法と人権擁護のこれから」

2023年6月、「性的指向及びジェンダーアイデンティティの多様性に関する国民の理解の増進に関する法律」(いわゆる「LGBT理解増進法」)が制定・施行されました。


本シンポジウムでは、法案提出者である国会議員、自治体管理職経験もある学者、性的少数者の当事者支援者それぞれの視点から、LGBT理解増進法がどのような法律なのか、そして、法律によりLGBTに関する人権擁護はこれからどうなっていくのか、また、どうあるべきなのかを伺いました。


過去のイベント

シンポジウム「LGBT理解増進法と人権擁護のこれから」

日弁連シンポジウム「LGBT理解増進法と人権擁護のこれから」報告書 (PDFファイル;651KB)


2024年3月2日
シンポジウム「女性の政治参画を進めるために今なにが必要か〜ジェンダーギャップ指数過去最低の日本。政治分野は138位!〜」

世界経済フォーラムが発表した、世界各国の男女格差の状況をまとめた「ジェンダーギャップ・レポート」2023年版によると、「経済」「教育」「健康」「政治参画」の4つの分野における男女平等の度合いを数値化した「ジェンダーギャップ指数」の日本のランキングは、対象146か国中125位で、過去最低の結果となりました(2023年6月現在)。とくに、政治と経済の分野で格差解消が進んでいない状況にあります。

日本の政治における女性参画率の低さはどうすれば解消するのか?女性が政治に参加するための障壁になるものは何か?法曹の立場から政治におけるジェンダーギャップを解消する方策を探りました。


過去のイベント

シンポジウム「女性の政治参画を進めるために今なにが必要か〜ジェンダーギャップ指数過去最低の日本。政治分野は138位!〜」


2023年

2023年3月4日
シンポジウム「セクハラの慰謝料はなぜ低い?―慰謝料額から現代日本のセクハラを考える―」

セクハラ事件は後を絶たず、被害者に対する救済も十分に行われているとはいえません。また、損害に対する賠償額はいまだ低額にとどまっています。これらの原因を分析するとともに、主に欧米の状況等と比較しながら、被害者救済のためにあるべき賠償額の水準について問題提起をしました。


過去のイベント

シンポジウム「セクハラの慰謝料はなぜ低い?―慰謝料額から現代日本のセクハラを考える―」


2022年

2022年6月8日
シンポジウム「企業活動とLGBT」


2022年3月6日
オンラインシンポジウム「離別後の子の養育を考える〜英国司法省報告書を元に〜」


2021年

2021年3月6日
オンラインシンポジウム「「性教育」の今とこれから〜「包括的性教育」と「性の権利」の実現のために〜」


2020年

2020年11月26日
オンラインシンポジウム「これからの女性の働き方〜コロナ禍が浮き彫りにしたジェンダーギャップ・日本の実態〜」


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