日清製粉社長に聞く小麦危機の真相、「海外産高騰なら国産シフト」の議論は安直だ

山田貴夫・日清製粉(日清製粉グループ本社傘下)社長インタビュー

ダイヤモンド編集部
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食料争奪戦#6Photo:PIXTA

日本の小麦の自給率はわずか15%。ロシアのウクライナ侵攻による影響などもあり、足元で小麦価格は高騰している。これから日本に迫る「小麦危機シナリオ」は何か。特集『食料争奪戦 日本の食卓が危ない』の#6では、製粉業界最大手・日清製粉(日清製粉グループ本社傘下)の山田貴夫社長が激白した。(ダイヤモンド編集部 山本興陽)

小麦価格高騰のメカニズムを
製粉会社社長がじっくり解説

――日本の小麦需要量の80%を輸入に依存しています(2022年度の農林水産省「麦の需給に関する見通し」)。もともと小麦が不作で小麦価格が高騰していたところに、穀倉地であるロシア・ウクライナ問題の発生が加わったことで、小麦市況が読みにくくなっています。今後の小麦市況をどのように先読みされていますか。

価格上昇には、複数の要因が絡んでいます。まず世界的な需要の高まりにより、21年からトウモロコシや大豆などの穀物全般の価格が上昇基調にあり、小麦も釣られる形で上がっていました。加えて21年後半から、日本向け小麦の主な生産地である米国やカナダの干ばつの影響で生産量が減少し、さらに価格が上昇しました(日本の主な輸入先は米国、カナダ、オーストラリア)。

そこにロシアによるウクライナ侵攻が発生したことで、一段と価格が高騰しています。

――輸入した外国産小麦については、日本政府が一括で管理して各製粉会社に売り渡す形態を取っています。売り渡し価格の改定は毎年4月と10月の2回行われることになっていますが、次の10月期の改定では、どの程度上昇すると見通していますか。

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