新日本酒紀行「白老ささらけ」

愛知県常滑市

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新日本酒紀行「白老ささらけ」蔵人たち。左から3人目が澤田薫さん。薫さんの左隣が副社長で夫の英敏さん Photo:Sawadashuzo

常滑力を強化!酒の個性を引き立てる酒器ペアリング

中部国際空港に近い常滑市の「白老」醸造元である澤田酒造の6代目澤田薫さんは、インバウンド向けに、常滑焼の器と酒を楽しむ「ささらけ」セットを商品化。ささらけとは、酒の古称「酒(ささ)」と、器を意味する「かわらけ」からの造語だ。監修は米国在住の日本酒ディレクター、田中順子さんで、常滑焼を代表する陶芸家4人に白老4種の酒に合う器を依頼。今年の7月には、リアルにささらけが楽しめる店「澤田北倉」も蔵内に開設した。

創業は1848年、明治期には醸造試験場の技師、江田鎌治郎氏に協力し、現在主流の速醸造りを完成させた老舗蔵だ。しかし、2020年11月、酒造りが始まる直前に麹室から出火し、麹室は全焼。「酒造りの心臓部を失い、廃業も考えました」と薫さん。だが、県内外の4蔵が手を差し伸べ、酒造りを存続できた。他蔵での麹造りを経験した蔵人は技術が広がり、翌年、麹室を新造すると酒質も向上。災い転じて、福となした。

火災から3年後、蔵を訪れるインバウンドが増えたことから「攻めに転じて、観光に力を」と決意。地元常滑焼で、酒の個性を引き立てる器を企画した。常滑焼は素焼きの朱泥焼急須が有名だが、六古窯最古の窯場で、かつては灰釉陶器が盛んだった。そんな焼き物の変遷も取り入れ、古常滑、朱泥、藻掛けの器で、純米大吟醸酒、本醸造酒、特別純米酒、純米吟醸熟成酒の専用の器が完成。「これ以上おいしく白老が飲める器はありません」と薫さん。常滑の地力で勝負を懸ける。

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