需給調整・系統運用
再生可能エネルギー発電設備の出力抑制に関する検証
需給バランス制約による出力抑制
安定供給のためには電気の需要と供給を常に一致させる必要があり、火力電源等の発電設備の出力抑制や揚水発電設備の揚水運転等の措置を講じてもなお、エリアの電気が余剰となる場合は、再生可能エネルギー発電設備の出力抑制が必要となります。
広域機関では、エリアの電気が余剰となるおそれがある場合に、地域間連系線を介して他エリアに送電を行う「長周期広域周波数調整」の斡旋を行っており、広域的な需給運用の実施によって、再生可能エネルギー発電設備の出力抑制の低減を図っています。
なお、自然変動電源(太陽光および風力発電設備)の出力抑制を行ってもなお電気の余剰が解消せず、需給状況の悪化が認められる場合、電気事業法に基づく融通指示を行い、安定供給を図ります。
優先給電ルールに基づく出力抑制の順位(概要)
1 一般送配電事業者が調整力としてあらかじめ確保する発電設備等の出力抑制および揚水発電設備の揚水運転、需給バランス改善用の蓄電池の充電
2 一般送配電事業者が調整力としてあらかじめ確保しない火力電源等の発電設備等の出力抑制および揚水発電設備の揚水運転、需給バランス改善用の蓄電池の充電
3 長周期広域周波数調整
4 バイオマス専焼電源の出力抑制
5 地域資源バイオマス電源の出力抑制
6 自然変動電源 (太陽光・風力)の出力抑制
7 電気事業法に基づく電力広域的運営推進機関の指示 (需給状況の悪化時の指示)
8 長期固定電源の出力抑制
流通設備混雑(系統制約)による出力抑制
既存の送変電設備を最大限活用しつつ再生可能エネルギー発電設備のさらなる導入を図るため、系統混雑時の出力制御を前提に、設備増強をせずに新規電源を系統に接続するノンファーム型接続が導入されました。それに伴い、平常時において連系線、配電用変圧器および配電設備を除く流通設備に混雑が発生する場合、一般送配電事業者および配電事業者は、送配電等業務指針に規定される出力制御順に基づき、発電設備等に対して出力制御を実施することになっております。
出力制御ルール
出力制御方法
1 調整電源の出力制御 ※(注記)1
メリットオーダー
2 ノンファーム型接続の非調整電源のうち、火力電源等 ※(注記)2 の出力制御
一律
3 ノンファーム型接続の非調整電源のうち、電力貯蔵システム ※(注記)3 の出力制御 ※(注記)4
一律
4 ファーム型接続の非調整電源のうち、火力電源等 ※(注記)5 の出力制御
メリットオーダー
5 ファーム型接続の非調整電源のうち、電力貯蔵システム ※(注記)3 の出力制御 ※(注記)4
メリットオーダー
6 ノンファーム型接続の非調整電源のうち、バイオマス電源 ※(注記)6 の出力制御
一律
7 ノンファーム型接続の非調整電源のうち、自然変動電源(太陽光、風力)の出力制御
一律
8 ノンファーム型接続の非調整電源のうち、 バイオマス電源 ※(注記)7 および長期固定電源の出力制御
一律
9 暫定ノンファーム型接続の非調整電源のうち、バイオマス電源 ※(注記)6 の出力制御
一律
10 暫定ノンファーム型接続の非調整電源のうち、自然変動電源(太陽光、風力)の出力制御
一律
11 暫定ノンファーム型接続の非調整電源のうち、 バイオマス電源 ※(注記)7 および長期固定電源の出力制御
一律
- ※(注記)1 揚水式発電機の揚水運転、需給バランス改善用の蓄電設備の充電、余力活用に関する契約を締結する電力貯蔵システムの放電抑制を含む
- ※(注記)2 混焼バイオマス電源、揚水式発電機を含む
- ※(注記)3 系統充電をしない併設蓄電設備の場合は併設発電設備と同等に扱う
- ※(注記)4 放電抑制のみ
- ※(注記)5 混焼バイオマス電源( FIT を除く)、揚水式発電機を含む
- ※(注記)6 専焼、地域資源(出力制御困難なもの除く)
- ※(注記)7 地域資源(出力制御困難なもの)
再生可能エネルギー発電設備の出力抑制の「指令の妥当性」の検証および公表
需給バランス制約、または流通設備混雑(系統制約)による再生可能エネルギー発電設備(太陽光発電・風力発電)の出力抑制が行われた場合には、一般送配電事業者が行った出力抑制の判断や運用が適切であったかを検証し、その結果の公表を行います。
また、需給バランス制約による出力抑制については、年間を通じて出力抑制が公平に行われたかどうかについても検証し、翌年度に公表を行います。