2010年 4月 27日
kurayami001ナンシー・ヒューストン/永井遼・いぶきけい訳
2010年 4月 23日
すでに4月16日から開催されている、紀伊國屋書店新宿南店のフェア、
《村上春樹をめぐる冒険》(→*)には、もう足をお運びいただいたでしょうか?
imageもちろん、村上春樹の新作、
『1Q84』第3巻がメインなわけですが、
弊社刊『偽アメリカ文学の誕生』の
著者であり、最近は読売新聞の書評委員としても
活躍中の早稲田大学准教授、
都甲幸治さんが選書した棚も併設中なのです。
そこでさっそくフェア初日にお邪魔したのですが......。
その『偽アメリカ文学の誕生』も、
著者サイン入り、フェア特製手書き帯つきで並んでますね。
そしてさらに、
image2おおっ、すごいことになってます。
「村上春樹 ×ばつ 都甲幸治」!!
今回のフェアは、村上春樹の本を通して、
1984年の時代背景に迫ったり、
ハルキ文学の源泉ともいうべき
内外の作品もふんだんに揃えているところが
ユニークなのですが、もうひとつの大きな特長、
それは海外文学の原書、つまり洋書と邦訳の併売でしょう。
たとえばサリンジャーの『ライ麦畑』。
いろんな翻訳で親しんできましたが、
原書にまで手を伸ばすことがあまりなかったかも?
今回のフェアでは、都甲さんがチョイスした
すぐれた翻訳とその原書が一緒にならべて販売されています。
6階の広い売り場面積を擁した洋書に強みをもつ、
新宿南店さんならではのこの大胆な試みも、
洋書ご担当の舟木さん、仕入れ担当の桐生さん、
おふたりの非常に熱心なお力添えとバックアップがあってのこと。
都内近郊にお住まいのみなさん、
ぜひともこのフェアに足を運んでみてください!
ほんと、本好きにはたまらない売り場になってますよ。
ちなみに、新宿南店さんのサイトでは
都甲さんのひと言コメント付きでブックリストを掲出中です(→*)。
(編集部 Naovalis)
2010年 4月 20日
banana_cover黒木夏美
2010年 4月 19日
e69bb8e5bdb1先月6日に速報でお伝えした、
ナンシー・ヒューストンの話題作『暗闇の楽器』の発売日が
いよいよ迫ってきました。なかには待ちきれないでいる
読者のかたもいらっしゃるのでは?
著者についてはご存じのかたも多いと思いますが、
ここでもう一度紹介し、さらに、『暗闇の楽器』の原著が
フランスで刊行されたときに各紙誌に掲載された
書評/讃辞の数々を抜粋してみることにします。(編集部So)
◆だいやまーく
ナンシー・ヒューストンは、1953年、カナダのアルバータ州カルガリーに
生まれる。英語を母語としてカナダやアメリカ合衆国で教育を受け、
20歳のときにパリに留学、ロラン・バルトに師事する。
以後フランスに住み、79年にはツヴェタン・トドロフと結婚、
フランス語と英語の双方で活発な執筆活動を続けている。
81年に長篇『ゴルトベルク変奏曲』でデビューして以来、
93年の『草原讃歌』(カナダ総督大賞受賞)、96年の『暗闇の楽器』
(高校生が選ぶゴンクール賞受賞)など、これまで十一の小説を発表、
それ以外にも数多くのエッセイ・評論、子供向けの作品等を書いている。
そのうちすでに邦訳があるのは、『愛と創造の日記』(晶文社、1997年)、
『天使の記憶』(新潮社、2000年)、『時のかさなり』(新潮社、2008年)
の三作で、2008年秋には来日講演をおこない、話題をよんだ。
●くろまるこの独創性あふれる小説は、読む人の心をおののかせ、揺さぶる。
読者は、数世紀もの時の隔たりを超えて収斂するふたつの運命を
ともに生きる。果たして、双子のバルブとバルナベは、
ナディアの心の悪魔を祓うことができるのか?
この素晴らしい作品を読了後、その答えが明らかになる。
——Lire(リール誌)
●くろまるナンシー・ヒューストンが奏でる魂を貫くような哀しみに満ちた音色が、
きらめく愛情によって癒されてゆく。明晰で才能あふれる名演奏は、
聴く人の琴線をかき鳴らし、その心を捉えて離さない。
——L’Express(レクスプレス誌)
●くろまる闇に覆われた冒頭と光に満ちたラストのあいだで、
ふたつの人生が火打ち石のようにぶつかり合い、火花を放つ。
ここに、彼女の小説の美しさがある。
——Magazine Littéraire(マガジン・リテレール誌)
●くろまる読者は、あたかも小説家の創造の現場に入り込んだかのように、
ふたつの楽譜のあいだにある秘められた結びつきを目の当たりにして、
感嘆の念を禁じえない。本書で、ナンシー・ヒューストンは
巧妙な驚くべき錬金術を披露する。バルブとナダは
相手を根本から変えてしまうほどの影響力を発揮するが、
そのときふたりの女性は読者の想像を超える姿で立ち現れるのだ。
——Télérama(テレラマ誌)
●くろまる小説家は魔女。非現実的なものを実在させる魔法の力を持っている。
人生は虚構によって、より現実になる。
(インタヴューに対する著者自身の言葉)
——Centre France Dimanche(サントル・フランス・ディマンシュ紙)
●くろまるナンシー・ヒューストンは、人が楽器で聴かせてくれるものを言葉で表す。
この小説でいえば、ひとりの女がつぶやくと、その哀しい繰り言が
もうひとりの女の胸に木霊(こだま)する。
反抗と怒りの歌、だが同時にそれは愛の歌でもある。
ささやかな瞬間を積み重ねることによって、
私たちは暗闇のただ中を前進することができるのだ。
——Elle(エル誌)
●くろまる双子と魔法を描き、怒りに満ちた明晰な内省を連ねたこの本は、
何よりも文学的創造の秘密を解き明かしてみせる。
そして書くことは、現実を意味あるものにし、
書き手の落胆、怒り、疑念を癒す唯一の方法であると結論づける。
——Les Echos(レ・ゼコー紙)
2010年 4月 15日
さっそく月曜社さんのウラゲツ☆ブログでもご紹介いただいた、
ステファヌ・ナドー著/信友建志訳
『アンチ・オイディプスの使用マニュアル』。
(Kさん、いつもありがとうございます!)
『カフカの夢分析』(小社)や『アンチ・オイディプス草稿』(みすず書房)
などで、フェリックス・ガタリの復権と再評価に力を傾注してきた著者が、
『アンチ・オイディプス』という稀有な1冊と真っ正面から向き合った、
文字通り《思想的実践の書》として、各方面で話題になっています。
nadaud_kouenところで著者のステファヌ・ナドーさんは
大の親日家で、本書の訳者解説にも
書かれているとおり、
3月初旬から2カ月にわたって来日中です。
(この写真は、一私企業による占拠への反対運動で
湧いている渋谷の宮下公園にて)。
そこで去る4月10日には、かれと由縁のある
友人知人たちが新宿に集い、ささやかな出版記念パーティーが開催されたのでした。
この日の会場となった新宿のカフェ・ラヴァンデリアに参集したのは、
本書の訳者・信友建志さん、本書の育ての親で
『カフカの夢分析』の訳者でもある龍谷大学の杉村昌昭さん、
文庫版『アンチ・オイディプス』の訳者・宇野邦一さん、
その版元で会場をご提案くださった河出書房新社の阿部さんはじめ、
D=G関係の訳者・研究者、出版関係者などなど、
じつに豪華でユニークな方々ばかり。
ナドーさんも本書のモティーフを熱く語っていました。
nadaud_talk京阪神からもふくめ、
こちらの予想をはるかに上回る
40名前後の出席者が、
けっして広くはない会場から路上に
あふれ出すほどの熱気で大いに賑い、
その後も終電が尽きる時間まで、
2次会3次会と続いたのでした......。
ご協力・ご参集いただいたみなさま、本当にありがとうございました。
ところで、3月から4月にかけては『奥の細道』をたどって佐渡や北陸を
旅していたナドーさんですが、いまは西—南日本を旅行中とのこと。
もしも見かけたら、気軽に声をかけてみてください。
かれはとても優しいナイスガイです。(編集部 Naovalis)
—
nadaud_cover2ステファヌ・ナドー著/信友建志訳
2010年 4月 15日
まだ発売されたばかりですが、寺村摩耶子著『絵本の子どもたち』、好評です。
早速お読みいただいた、画家で、美術評論家でもある谷川晃一さんより、
本書へのすばらしい推薦のことばをいただきました。
以下、ご紹介させていただきます。(編集部 So)
●くろまる
人は誰でも心の中に「子ども性」を持っている。しかしその
「子ども性」が人生の豊かさの根源だと自覚している人は少ない。
ではその「子ども性」の豊かさとは何なのか、
寺村摩耶子の『絵本のなかの子どもたち』は絵本という
独特のメディアを通して、その豊かさをさまざまな観点から語っている。
むろん「子ども性」の豊かさを開示しているものは絵本だけではなく、
音楽や美術、文学や映画、マンガにもアニメの中にも存在するが、
はじめから子ども向けに描かれた絵本は
最もシンプルにそのことを考察できるものである。
寺村摩耶子は今日の絵本の中にティピカルに現れている
フォークロア、ファンタジー、ノスタルジー、ナンセンス、
ユーモア、メタモルフォーゼ、プリミティビィズムなどを取り出し、
万華鏡のように展開している絵本の夢の魅力を、
十四人の絵本作家に即して紹介している。
かつて子どもだった大人たちが「子ども性」が孕んでいる
至福にについて気がつくならば、絵本は実に奥深く、
かつ広大な文化領域であることを本書は熱く述べている。
谷川晃一(画家・美術評論家)
—
ehon_cover寺村摩耶子
2010年 4月 13日
今週末に発売される村上春樹『1Q84』第3巻にあわせて、
全国の書店で大々的なフェアが開催されますが、
紀伊國屋書店新宿南店のフェア《ハルキをめぐる冒険》では、
弊社刊『偽アメリカ文学の誕生』の著者・都甲幸治さんによって
アメリカを中心とした内外の作品が選書されたコーナーが
併設されることになりました(4月16日から5月11日まで)。
そこで先週、書店の仕入れご担当・桐生さんを中心に、
都甲さん、水声社編集担当の3人が書店地下の事務所に集い、
選書した本を飾るポップの作成作業をおこないました。
(前回のようすはこちら→*)
jissen_image選書リストの書名を桐生さんが
順番に読み上げていくと、
都甲さんがその本の内容に即した、
キャッチーで明快なフレーズを、
ぱぱっとコメントしていきます。
そのじつに明晰なこと! そのさまはまるで、
お題にあわせてボケる芸人のごとし。
みるみるユニークでおもしろいポップが完成していきます。
このポップだけ見てたら、なんの本だかわかりませんが(笑)、
みなさんもご存じのあの本にどんな都甲節が炸裂しているか、
ぜひぜひフェアを楽しみにしていてください。
jissen_image2そしてさらに、強力な秘密兵器が登場!
桐生さんが作成した、世界に一つの
「都甲幸治・消しゴムはんこ」。
故ナンシー関ばりの、
実にすてきなこの消しゴムはんこが、
アイコンとして、数々のポップを彩る予定です。
これはしかしじつにそっくり! 桐生さん、すごいです!
そういうわけで、この日もたっぷり3時間以上かけて、
全作業が終了。都甲さんのコメントはじつに90点ちかく!
これだけの数のポップをどうやって展示するのか......。
ポップだらけのすごい棚になるのかもしれませんが、
桐生さんを中心とした書店のみなさまも気合いバッチリ。
きっとおもしろいフェアになることまちがいなし、です。
これからのGWを利用して、ぜひふるって足をお運びください。
ちなみに、都甲さんの著書『偽アメリカ文学の誕生』には、
村上春樹が海外のメディアで応じたインタビューが
紹介されているのですが、これは日本ではうかがいしれない
村上さんの本音と素顔を知ることができる、唯一の本。
村上春樹ファンはもちろん、むしろそうでないかたにも
読んでいただきたい必読書としてオススメです!(編集部 Naovalis)
—
niseamerica_cover都甲幸治
2010年 4月 12日
e38388e382a5e383abe382b2e383bce3838de38395001アンリ・トロワイヤ/市川裕見子訳
2010年 4月 12日
museum白川昌生
2010年 4月 8日
先にご案内した『絵本の子どもたち』(寺村摩耶子著)の発売日が
迫ってまいりました。タイミングよく、4月6日に発行された
『ウィークリー出版情報』(日販図書館サービス発行)に
「今週の注目本」として取り上げられ、編集担当の私の書いた
紹介文が掲載されましたので、ここに全文を転載させていただきます。
とてもわかりやすく内容を紹介してみました。興味をもっていただければ幸いです。
●くろまる
総合芸術としての絵本
近年、絵本のガイドブックは増えているようだが、つくり手である絵本作家について
論じた本は意外と少ない。いや、ほとんど皆無といっていいのではないだろうか。
寺村摩耶子著『絵本の子どもたち 14人の絵本作家の世界』は、
現代日本を代表する絵本作家たちをはじめ、圧倒的な魅力をはなつクリエイターたちの
世界とその起源をみつめた、注目の絵本作家論である。
といっても、本書は決して堅苦しい評論集ではない。最大の特徴は、
個々の具体的な絵本をとおして——その数は200冊以上にのぼる——、
目の悦びを味わい、ことばの「音」や「リズム」を楽しみながら、
作家のスタイルや本質をとらえようとした点にあるだろう。
たとえば長新太の章では、『ごろごろにゃーん』や『ちへいせんのみえるところ』
といった「ナンセンス絵本の傑作」に驚いているうちに、いつしか
「ナンセンス」そのものの「地平線」が見えてくる。
スズキコージの章「大千世界の魔法画家」では、抱腹絶倒の絵本(とその紹介)に
吹き出しつつ、しだいに民話やお伽噺の「魔法の森」へと導かれていく。また、
酒井駒子の章「子どもと大人の出会うところ」では、おさない子どもの世界をとおして、
人間のもっともプリミティフな存在としての〈子ども〉が浮き彫りにされるようだ。
私個人的には映画が好きということもあり、荒井良二の章「日常の旅人」における
ロードムーヴィーと絵本との関係にも興味をそそられた。
グラフィックデザインと絵本との繋がり(宇野亜喜良の章)。「鳥獣戯画」に
はじまる日本の「漫画」のルーツとの関係(井上洋介の章)......。
本書を読むと、絵本というメディアの奥深さにあらためて目を開かせられると同時に、
日本の絵本がいかにさまざまなジャンルの栄養をたっぷりと吸収することによって、
今日のように豊かな果実を実らせているかということがよくわかる。
絵本ファンのみならず、芸術や文学全般に関心のある方、これから勉強しようと
思っている学生さんたちにもぜひ読んでいただけたらと思う。そしてまた、
今後の人生についていろいろと考えている若い人たちにも......。というのも、著者によれば、
本書に登場する14名の絵本作家たちの個性豊かな作品は、好きな道をとことん貫いてきた
彼らの「生き方とつながっている」からだ。
「大人のなかの子どもと、人間のなかの子ども。絵本作家たちは、
内なる〈子ども〉をとおして、現実の子どもたちを中心とする
『世界』そのものとコミュニケーションしている」(「はじめに」より)。
〈子ども〉を生きる表現者たちの明るい姿は、今の私たちに
かぎりない励ましと勇気を与えてくれることだろう。
著者は90年代はじめに絵本と出会い、映画会社に勤務しながら、週刊誌などで
絵本のレビューを書きはじめた。巻末に付した「作品名索引」には、絵本のほか、
さまざまなジャンルの作品が一堂に会しており、本書の世界観をあらわしているようだ。
総合芸術としての絵本。巻頭の8ぺージにわたるカラー口絵をはじめ、
美しい図版も多数収録した。見て、読んで、楽しむことができる、
まさに絵本のような書物といえるのではないだろうか。(水声社編集部 祖川和義)
—
ehon_cover寺村摩耶子
2010年 4月 5日
お待たせいたしました!
弊社の既刊のうち、ご好評をいただいている
ペレック『煙滅』と『タルコフスキイの映画術』の重版分が完成しました。
『煙滅』は一足早くすでに搬入しており、全国書店で入手可能です。
また『タルコフスキイの映画術』は、今週末の搬入予定となっております。
同じくヘンリー・ミラー『北回帰線』も4月下旬には出来予定です。
ぜひ今後ともご愛読を賜りますようお願い申し上げます。(営業部 Lee)
—
tarkovskyアンドレイ・タルコフスキイ/扇千恵 訳
2010年 4月 5日
すでにご存じのかたも多いと思いますが、
毎月1回、毎日新聞紙上に掲載されていた
川村湊さんの文芸時評が、この3月をもって17年間で終了しました。
川村さん、本当にお疲れさまでした。
文芸時評を長期にわたって継続して書くという作業は、
それはもう労ばかり多くして報われることの少ない仕事です。
ある作品のネガティヴな側面について一度でもふれようものなら
そのさきずっと作者から憎まれもするでしょうし、かといっておべんちゃらばかりでは
ことばが読者に届きません。文芸評論家としての能力がもっとも問われる、
その地道な仕事を、川村さんが17年間にわたって持続させてきた
という事実は、もっともっと評価されてしかるべきでしょうし、
文学史の記録にも記憶にも残る、といっても過言ではないと思います。
その川村さんの仕事の15年分を一挙に収録したのが、
2008年7月に弊社から刊行された『文芸時評 1993-2007』。
A5判上製9ポ2段組636ページの大冊です。
刊行時には富岡幸一郎さんから「これこそが現代文学史」と評価され、
現在も東京新聞で時評を担当している沼野充義さんからも
ご高評をいただきました(*)。
いわゆるポスト冷戦の開始とときを同じくして始まり、
阪神淡路大震災、オウム真理教事件を経て、
いまだ混沌としている21世紀に突入して現在にいたる《文学》と
それをめぐるさまざまな状況を《定点観測》した貴重な証言です。
ぜひこの機会に手にとってみてください。
ちなみに今月からは気鋭の評論家、田中和生さんが引き継ぐそうです。
その川村さんと田中さんの新旧対談はこちら(*)。
これからの新しい紙面も楽しみにしたいと思います。(編集部 Naovalis)
—
4891766824 川村 湊
2010年 4月 2日
nadaud_cover2ステファヌ・ナドー著/信友建志訳
2010年 4月 2日
ehon_cover寺村摩耶子
2010年 4月 1日
今月16日に発売予定の村上春樹さんの話題作、
『1Q84』第3巻にあわせて、紀伊國屋書店新宿南店 では
大規模なフェアを展開することになっているのですが、
村上文学の読者にぜひ読んでもらいたい海外文学関連書の選書を、
『偽アメリカ文学の誕生』の著者・都甲幸治さん が担当することになりました。
さらに、書店様のご好意で、村上春樹フェアとならんで(!)
都甲さんがみなさんに読んでいただきたい本をチョイスした、
いわば《偽アメリカ文学の実践》とでもタイトルできそうな、
都甲さんの棚もつくっていただけることに!
そこでさっそくまだ肌寒さの残る3月26日午前9時、
開店前の静まり返った書店で、その選書作業がはじまりました。
nec_0796この日は、都甲さんも気合い充分。
こちらにも緊張感が伝わってきます。
村上春樹に/が影響を与えたさまざまな海外の作家、
そして都甲さんがレコメンドする内外の作品を中心に、
書店6階の洋書コーナーから1階のコミックまで、
「あの本は必須だけど発注できる?」「これは必読!」等々と、
書店側仕入ご担当の桐生さんが持って構えるカゴに、
つぎつぎに選んだ本を入れていく姿は、まさに《ライヴ》そのもの。
書棚の端からくまなく本を追う鋭角な視線に、すっかり圧倒されました。
nec_0801優に10を越えるカゴにぎっしり詰まった本たちを、
今度は実際の棚の構成を念頭に置きながら、
作家やジャンル別に仕分けする作業がはじまりました。
ふだんから本を見慣れているとはいえ、
都甲さんが選んだアメリカ文学を中心とする
とてもユニークな本が一同に並べられると、かなり壮観です。
さすが、雑誌『新潮』の連載で、
先進のアメリカ文学を欠かさず紹介している著者ならでは、のものでした。
この日は12時でタイムアップとはいえ、たっぷり3時間!
あとはこれらの本を、ポップでさまざまに飾る作業が残っていますが、
それは他日を期すことに。
この成果は、4月16日〜5月10日まで、
紀伊國屋書店新宿南店を舞台に繰り広げられるフェアで、
ぜひ実際にご覧になってください。お楽しみに!(編集部 Naovalis)
—
niseamerica_cover1都甲幸治
2010年 4月 1日
bataiyu_cover岩野卓司
2010年 4月 1日
ますますご好評いただいております『煙滅』が、またもやさまざまな媒体に紹介されました。
ありがとうございます!(編集部 Ka)
郷原佳以氏(2010年3月20日付図書新聞)
→文字の欠落こそが物語を成立させるこのテクストの逆説的な力強さが、
悲劇的な筋をユーモアで押さえ込むことに成功している。
野崎歓氏(『フリースタイル11』)
→〔『煙滅』は〕日本語の歴史においての一大事件とさえ言うべきかもしれない。脱帽。
久保昭博氏(『ふらんす』2010年4月号)
→ジェノサイドを喚起する戦争小説であり、言語に実存を賭す20世紀自伝文学であり、
〔......〕要するに「語り得ぬもの」を主題とする戦後小説の傑作である。
笠間直穂子氏(『週刊朝日』2010年4月9日増大号)
→形式ばった実験文学? とんでもない。〔......〕ユーモラスで不気味な雰囲気を醸し出す、
渾身の名訳。
豊崎由美氏(『婦人画報』2010年5月号)
→私に文体の愉悦を教えてくれた本。ひねりの効いたミステリーであり、
〔......〕小説好きにはこたえられません。