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岡本法律事務所のブログ

岡山市北区にある岡本法律事務所のブログです。 1965年創立、現在2代めの岡本哲弁護士が所長をしています。 電話086-225-5881 月〜金 0930〜1700 電話が話中のときには3分くらいしてかけなおしください。

2022年07月

ラジオタイランド 2022年7月31日 日 2200〜2215JST

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2200 ニュース

タイ政府は2023年の観光収入の目標を2兆3800億バーツ。

プライユット首相が最も魅力的なビーチにタイの2カ所がランクインしたことを歓迎

ミャンマー中央銀行の支持は現在タイ経済の輸出に深刻な影響はないとみられている。

プーケットでエキスポ2028年が開催できるよう努力が続けられている。

小島ひでみ

横田基地夜間飛行差止請求訴訟最高裁判決平成14年

判例講義民事訴訟法16事件

横田基地夜間飛行差止等請求事件

最高裁判所第2小法廷判決/平成11年(オ)第887号、平成11年(受)第741号

平成14年4月12日

【判示事項】外国国家の主権的行為と民事裁判権の免除

【判決要旨】外国国家の主権的行為については、国際慣習法上、民事裁判権が免除される。

【参照条文】民事訴訟法1編2章

日本国とアメリカ合衆国との間の相互協力及び安全保障条約第六条に基づく施設及び区域並びに日本国における合衆国軍隊の地位に関する協定18-5

日本国憲法98-2

【掲載誌】 最高裁判所民事判例集56巻4号729頁

裁判所時報1313号179頁

判例タイムズ1092号107頁

判例時報1786号43頁

【評釈論文】ジュリスト臨時増刊1246号257頁

別冊ジュリスト171号114頁

別冊ジュリスト172号160頁

別冊ジュリスト240号54頁

判例評論539号7頁

法学(東北大)68巻2号141頁

法学協会雑誌120巻5号183頁

法学教室269号164頁

法学セミナー47巻7号107頁

法曹時報56巻12号97頁

法律のひろば56巻10号67頁

法令解説資料総覧247号107頁

民商法雑誌127巻6号93頁

主 文

本件上告を棄却する。

上告費用は上告人らの負担とする。

理 由

第1 上告代理人榎本信行,同吉田栄士の上告理由について

民事事件について最高裁判所に上告をすることが許されるのは,民訴法312条1項又は2項所定の場合に限られるところ,本件上告理由は,違憲及び理由の不備をいうが,その実質は単なる法令違反を主張するものであって,明らかに上記各項に規定する事由に該当しない。

第2 上告代理人榎本信行,同吉田栄士の上告受理申立て理由第四,第五について

1 本件は,上告人らが,我が国に駐留するアメリカ合衆国(以下「合衆国」という。)軍隊の航空機の横田基地における夜間離発着による騒音によって人格権を侵害されているとして,被上告人である合衆国に対して,午後9時から翌朝7時までの間の上記航空機の離発着の差止めと損害賠償を請求した事案である。

2 原審は,日本国とアメリカ合衆国との間の相互協力及び安全保障条約第6条に基づく施設及び区域並びに日本国における合衆国軍隊の地位に関する協定(昭和35年6月23日条約第7号)18条5項の規定は,上記相互協力及び安全保障条約に基づき我が国に駐留する合衆国軍隊の構成員の公務執行中の不法行為に基づく損害賠償請求訴訟について,合衆国に対して我が国の裁判権に服することを免除したものであり,差止請求訴訟についても同規定の趣旨が類推適用されるとして,被上告人の民事裁判権免除を認め,上告人らの本訴請求は不適法であり却下すべきものであるとした。

3 しかしながら,前記規定は,外国国家に対する民事裁判権免除に関する国際慣習法を前提として,外国の国家機関である合衆国軍隊による不法行為から生ずる請求の処理に関する制度を創設したものであり,合衆国に対する民事裁判権の免除を定めたものと解すべきではない。

外国国家に対する民事裁判権免除に関しては,いわゆる絶対免除主義が伝統的な国際慣習法であったが,国家の活動範囲の拡大等に伴い,国家の私法的ないし業務管理的な行為についてまで民事裁判権を免除するのは相当でないとの考えが台頭し,免除の範囲を制限しようとする諸外国の国家実行が積み重ねられてきている。しかし,このような状況下にある今日においても,外国国家の主権的行為については,民事裁判権が免除される旨の国際慣習法の存在を引き続き肯認することができるというべきである。本件差止請求及び損害賠償請求の対象である合衆国軍隊の航空機の横田基地における夜間離発着は,我が国に駐留する合衆国軍隊の公的活動そのものであり,その活動の目的ないし行為の性質上,主権的行為であることは明らかであって,国際慣習法上,民事裁判権が免除されるものであることに疑問の余地はない。したがって,我が国と合衆国との間でこれと異なる取決めがない限り,上告人らの差止請求及び損害賠償請求については被上告人に対して我が国の民事裁判権は及ばないところ,両国間にそのような取決めがあると認めることはできない。

以上によれば,本件訴えは不適法であり,これを却下すべきものとした原審の判断は,結論において是認することができる。論旨は採用することができない。

よって,裁判官全員一致の意見で,主文のとおり判決する。

(裁判長裁判官 福田 博 裁判官 河合伸一 裁判官 北川弘治 裁判官 亀山継夫 裁判官 梶谷 玄)

訴訟救助決定の取り消し方 最高裁平成19年

判例講義民事訴訟法14事件

訴訟費用支払決定に対する抗告棄却決定に対する許可抗告事件

最高裁判所第3小法廷決定/平成19年(許)第7号

平成19年12月4日

【判示事項】訴訟上の救助の決定を受けた者の全部敗訴が確定し,かつ,その者に訴訟費用を全部負担させる旨の裁判が確定した場合において,裁判所が同決定を民訴法84条の規定に従って取り消すことなく同決定を受けた者に対し猶予した費用の支払を命ずることの許否

【判決要旨】民事訴訟において,訴訟上の救助の決定を受けた者の全部敗訴が確定し,かつ,その者に訴訟費用を全部負担させる旨の裁判が確定した場合には,同決定は当然にその効力を失い,裁判所は,同決定を民訴法84条の規定に従って取り消すことなく,同決定を受けた者に対し,猶予した費用の支払を命ずることができる。

【参照条文】民事訴訟法84

【掲載誌】 最高裁判所民事判例集61巻9号3274頁

裁判所時報1449号4頁

判例タイムズ1261号161頁

判例時報1994号34頁

LLI/DB 判例秘書登載

【評釈論文】判例時報2014号164頁

法学セミナー53巻8号134頁

法曹時報62巻4号1063頁

主 文

本件抗告を棄却する。

抗告費用は抗告人の負担とする。

理 由

抗告人の抗告理由について

民事訴訟において,訴訟上の救助の決定(以下「救助決定」という。)を受けた者の全部敗訴が確定し,かつ,その者に訴訟費用を全部負担させる旨の裁判が確定した場合には,救助決定は当然にその効力を失い,裁判所は,救助決定を民訴法84条の規定に従って取り消すことなく,救助決定を受けた者に対し,猶予した費用の支払を命ずることができると解するのが相当である。なぜなら,訴訟上の救助の制度は,民事訴訟においては原則として敗訴の当事者が訴訟費用を負担すべきこと(同法61条)を前提として,訴訟の準備及び追行に必要な費用を支払う資力がない者等に対し,勝訴の見込みがないとはいえないときに限り,救助決定により,訴訟及び強制執行につき裁判費用等の支払の猶予等をするものであって(同法82条1項,83条1項),その支払を免除するものではないのであるから,少なくとも,訴訟の完結により,救助決定を受けた者の全部敗訴が確定して勝訴の見込みが完全に失われ,その者が訴訟費用の全部を負担すべきことが確定した場合にまで救助決定の効力が維持されることは予定されていないというべきだからである。

原審の判断は,以上と同旨をいうものとして是認することができる。論旨は採用することができない。

よって,裁判官全員一致の意見で,主文のとおり決定する。

(裁判長裁判官・藤田宙靖,裁判官・堀籠幸男,裁判官・那須弘平,裁判官・田原睦夫,裁判官・近藤崇晴)

訴訟救助決定に対して相手方は即時抗告できる 最高裁平成16年

判例講義民事訴訟法14事件訴訟救助決定に対する抗告審の取消決定に対する許可抗告事件

最高裁判所第2小法廷決定/平成16年(行フ)第4号

平成16年7月13日

【判示事項】訴訟上の救助の決定に対し訴訟の相手方当事者が即時抗告をすることの許否

【判決要旨】訴訟上の救助の決定に対し,訴訟の相手方当事者は,即時抗告をすることができる。

【参照条文】民事訴訟法82-1

民事訴訟法86

【掲載誌】 最高裁判所民事判例集58巻5号1599頁

訟務月報51巻5号1308頁

裁判所時報1367号318頁

判例タイムズ1168号127頁

判例時報1879号45頁

金融法務事情1755号53頁

LLI/DB 判例秘書登載

【評釈論文】法学研究(慶応大)79巻6号122頁

法学研究(北海学園大)41巻3号535頁

法学セミナー49巻12号119頁

法曹時報58巻11号3700頁

法律のひろば58巻6号70頁

民商法雑誌132巻1号47頁

主 文

本件抗告を棄却する。

抗告費用は抗告人の負担とする。

理 由

抗告代理人吉井正明,同甲斐みなみの抗告理由のうち訴訟上の救助の決定に対する即時抗告の許否に関する点について

民訴法86条は,同条に基づく即時抗告の対象となるべき決定から,同法82条1項に基づいてされた訴訟上の救助の決定を文言上除外していない。また,訴訟上の救助の決定を受けた者が同項本文に規定する要件を欠くことが判明し,又はこれを欠くに至った場合における救助の決定の取消しについて,同法84条は,利害関係人が裁判所に対してその取消しを申し立てることができる旨を規定している。訴訟上の救助の決定は,訴え提起の手数料その他の裁判費用等についてその支払の猶予等の効力を有し(同法83条1項1号等),それゆえに訴えの適法性にかかわるものであるほか(同法137条1項後段,2項,141条1項参照),訴訟の追行を可能にするものであるから,訴訟の相手方当事者は,訴訟上の救助の決定が適法にされたかどうかについて利害関係を有するものというべきである。以上の点に照らすと,訴訟上の救助の決定に対しては,訴訟の相手方当事者は,即時抗告をすることができるものと解するのが相当である(大審院昭和11年(ク)第575号同年12月15日決定・民集15巻24号2207頁参照)。これと同旨の原審の判断は,正当として是認することができ,原決定に所論の違法はない。論旨は採用することができない。

その余の抗告理由について

本件事実関係の下では,抗告人が民訴法82条1項本文所定の要件に該当しないとした原審の判断は是認することができ,原決定に所論の違法はない。論旨は採用することができない。

よって,裁判官滝井繁男の反対意見があるほか,裁判官全員一致の意見で,主文のとおり決定する。

裁判官滝井繁男の反対意見は,次のとおりである。

私は,訴訟上の救助の決定に対し,訴訟の相手方当事者がその地位にあるというだけの理由で即時抗告をすることができるという多数意見に賛成することはできない。その理由は,次のとおりである。

確かに,民訴法86条は,同条に基づく即時抗告の対象となるべき決定から,同法82条1項に基づいてされた訴訟上の救助の決定について除外する規定を置いていない。また,同法84条は,訴訟上の救助の決定を受けた者が訴訟救助の要件を欠くことが判明し,又はこれを欠くに至ったときは,利害関係人がそのことを理由として,裁判所に対して訴訟上の救助の決定の取消しを申し立てることができる旨規定していることは多数意見の指摘するとおりである。

しかしながら,これらの規定は,不服申立ての利益のある者に限って申立てをすることができることを当然の前提とするのであって,被救助者の相手方当事者が訴訟上の救助の決定に対し不服を申し立てる利益を有するか否かは,訴訟救助制度の趣旨に照らして別途検討されなければならない事柄である。

現在の訴訟救助制度は,何人も平等に裁判所において裁判を受けることができることを定めた憲法32条に由来し,司法の領域における無資力者に対する公的扶助の一つであって,訴訟上の救助の決定は,裁判手続において行われるが,これを求めた当事者に対して,訴訟上特別の措置として本来申立人が納付すべき費用の支払を猶予するものであり,国家その他の費用の納付を受けるべき者と被救助者との間において効力を生ずるものにすぎず,本案の相手方当事者はそれによって法律上の不利益を被るものではないのである。

もし,この手続において相手方を想定するとすれば,それは扶助を与える国家とみるべきであって,旧民事訴訟法(明治23年法律第29号。大正15年法律第61号による改正前のもの。)102条1項が検事に限って訴訟上の救助の決定に対する抗告権を認めていたのもそのような考えに基づいたものといわなければならない。しかしながら,現在の民事訴訟法はそのような構造は採らず,申立ての相手方を観念することなく,救助の当否の判断をそのことを最も適切に判断し得るものとして受訴裁判所の手にゆだねているのである。そして,裁判所が救助申立人に対する扶助相当性を認め,訴訟費用の支払を猶予するとの判断をしたときは,本案訴訟の相手方は,それによって格別に訴訟における不利益を受けることがない限り,本案において請求の当否を争うべきであって,これと別に救助そのものの当否を争う利益はないと考えるべきである。

もっとも,本案訴訟の相手方は,不当な訴訟上の救助の決定によって,印紙不貼用を理由とする訴え却下の判断を求める利益を失うことになるのであるが,かかる不利益は国が訴訟費用の一部の負担を猶予することとしたことによる反射的,間接的なものにすぎず,訴訟救助制度の趣旨に照らせば,これをもってその決定に対して不服申立てを認める法律上の利益を根拠づけるものということはできないのである。

ただ,民事訴訟法は,被告が原告に対して一定の場合には,訴訟費用の担保を立てることを申し立てることができ,その申立てをしたときは,原告が担保を立てるまで応訴を拒むことができる旨定めているところ(同法75条1項,4項),訴訟上の救助の決定は,この担保義務を免除する効力を有することから(同法83条),被告に無担保で訴訟を遂行することを余儀なくさせる効果をもたらすことになる。このように,訴訟上の救助の決定が本案当事者の法律上の利益を失わせる効果を生ずる場合には,本案の当事者は訴訟上の救助の決定に法律上の利害関係を有することになるから,この決定に対し,即時抗告をすることができ,また,その要件消滅等を理由に取消しの決定を求めることもできるものといわなければならない。訴訟上の救助の決定に対し,訴訟の相手方当事者が不服の申立ての利益を有するのはこのような特別の事情がある場合に限られるのであって,多数意見の掲げる民訴法の規定は,このような法律上の利害のない者にまで不服の申立てを認めた趣旨と解することはできないのである。

そして,本件において,本案訴訟の相手方は,訴訟費用の担保を立てるべきことを申し立てていないから,訴訟上の救助の決定について法律上の利害関係を有する者ではなく,原々決定に対する抗告は不適法であると解される。

以上によれば,原々決定に対する相手方の抗告を適法とした原審の判断には,裁判に影響を及ぼすことが明らかな法令の違反があり,原決定は破棄を免れない。論旨は理由がある。そして,原決定を取り消し,原々決定に対する抗告はこれを却下するのが相当である。

(裁判長裁判官 津野 修 裁判官 福田 博 裁判官 北川弘治 裁判官 梶谷 玄 裁判官 滝井繁男)

弁護士費用請求を認めなかった最高裁昭和48年 手形金等請求事件

判例講義民事訴訟法13事件

最高裁判所第1小法廷判決/昭和45年(オ)第851号

昭和48年10月11日

【判示事項】1、金銭債務の不履行による損害賠償と弁護士費用等の取立費用

2、利息制限法所定の制限をこえる利息の定めのある金銭消費貸借において遅延損害金について特約のない場合と遅延損害金の率

【判決要旨】1、金銭債務の不履行による損害賠償として、債務者に対し弁護士費用その他の取立費用を請求することはできい。

2、利息制限法所定の制限をこえる利息の定めのある金銭消費賃借において遅延損害金について特約のない場合には、遅延損害金は、同法1条1項所定の利率にまで減縮される利息と同率に減縮されるものと解すべきである。

【参照条文】民法419-1

利息制限法1-1

利息制限法4-1

【掲載誌】 最高裁判所裁判集民事110号231頁

金融・商事判例394号2頁

判例時報723号44頁

金融法務事情704号22頁

【評釈論文】別冊ジュリスト114号34頁

主 文

本件上告を棄却する。

上告費用は上告人の負担とする。

理 由

上告代理人上野正秀の上告理由甲について。

民法四一九条によれば、金銭を目的とする債務の履行遅滞による損害賠償の額は、法律に別段の定めがある場合を除き、約定または法定の利率により、債務者はその損害の証明をする必要がないとされているが、その反面として、たとえそれ以上の損害が生じたことを立証しても、その賠償を請求することはできないものというべく、したがって、債権者は、金銭債務の不履行による損害賠償として、債務者に対し弁護士費用その他の取立費用を請求することはできないと解するのが相当である。これと同旨に出た原審の判断は正当として是認することができ、右判断の過程に所論の違法はなく、論旨は採用することができない。

同乙について。

金銭を目的とする消費貸借上の利息について、利息制限法一条一項所定の利率の制限をこえる約定があるが、遅延損害金については特約がない場合には、利息が右条項所定の制限利率にまで減縮されるとともに、遅延損害金もおのずからこれと同率にまで減縮されると解すべきことは、当裁判所の判例(最高裁判所昭和四〇年(オ)第九五九号同四三年七月一七日大法廷判決・民集二二巻七号一五〇五頁参照)とするところであって、これと同旨に出た原審の判断は正当である。原判決に所論の違法はなく、論旨は採用することができない。

同丙について。

金銭債権の取立費用は民法四八五条所定の弁済費用にあたらない旨の原審の判断は、正当として是認することができ、原判決に所論の違法はなく、論旨は採用することができない。

同丁について。

金銭を目的とする消費賃借にあたり、利息の天引が債務者の任意の申出によってなされた場合においても、利息制限法二条の適用がある旨の原審の判断は、正当として是認することができ、右判断の過程に所論の違法はない。それゆえ、論旨は採用することができない。

よって、民訴法四〇一条、九五条、八九条に従い、裁判官大隅健一郎の反対意見があるほか、裁判官全員一致の意見で、主文のとおり判決する。

裁判官大隅健一郎の反対意見は、次のとおりである。

私は、上告理由乙については、多数意見に賛成することができない。すなわち、法律的にいえば、金銭債権における利息は元本利用の対価であるのに対し、遅延損害金はその履行遅滞につき損害賠償として支払われる金銭であって、両者の性質が異なることはいうまでもないが、一般の取引の常識においては、このような区別を意識することなく、利息も遅延損害金もひとしく元本利用の対価と考えているのが普通であって、本件における上告人の被上告人らに対する貸金のように当事者がその利息を年三割六分五厘(日歩一〇銭)と約束した場合には、債務者は元本が完済されるまでは、ひき続いて元本の利用に対して年三割六分五厘の対価を支払うこと、法律的にいえば、弁済期までの利息を年三割六分五厘の割合で支払うのみならず、弁済期に弁済をしなかった場合の遅延損害金も同様に年三割六分五厘の割合で支払うことを約したものと解するのが、当事者の意思からみても、一般の取引の常識からいっても自然であるといわざるをえない。その意味で、金銭の消費貸借契約において「利息年三割六分五厘」と定められている場合には、特段の事情がないかぎり、「利息および遅延損害金年三割六分五厘」と定められているのと同様に解するのが相当である(この点については、多数意見の引用する大法廷判決における私の反対意見参照)。それゆえ、上告理由乙は理由があり、原判決はこの点において破棄を免れないものと考える。

(裁判官 藤林益三 下田武三 岸 盛一 岸上康夫)

裁判長裁判官大隅健一郎は海外出張中につき署名押印することができない。

(裁判官 藤林益三)

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