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気象予報士Kasayanのお天気放談

故郷長野に帰ってきたヨットオタクの気象予報士Kasayan。 天気予報は当たるのか?天気予報がハズレたらどうなるのか?天気予報の安全マージンは? 一般的な天気予報とは異なる視点からの解説をモットーに、日々の天気を放談?します。

2013年04月

Twitterでは、今日の記事の内容をひとことでまとめています。お時間の無い方・更新時間を知りたい方はご利用ください。https://twitter.com/kasayangw

昨日大町市〜白馬村方面に出かけてきました。


緑のあぜ道にタンポポが咲き乱れ、代掻きが始まった田んぼには北アルプスの爺ヶ岳が写り、春爛漫の景色が広がっていました。


また、雪に覆われた白馬岳も春の日差しに輝いていましたが・・・・その中腹の大雪渓で雪崩遭難の捜索が行われていると思うと、何度か登ったことがある場所だけに気持は複雑・・・・

そんな北アルプスには、昨日も山岳波が発生していました。

(できればHD・拡大設定でご覧ください)

この映像は、白馬村から大町方面の上空を微速度撮影したもの。
上空の西風が 鹿島槍ヶ岳〜爺ヶ岳付近の稜線にぶつかって稜線上に帯状の雲を発生させるとともに、風下側に発生した空気の波動が、稜線と並行に雲の帯を形成していることがわかります(4月28日の記事参照)。

このような雲の帯を形成する空気の波動のうち、上昇気流の場所を雲の帯に沿って飛ぶことで、グライダーの長距離飛行が可能になるわけですが、山岳波がどこに?どの程度?発生するかを予測するのはなかなか難しいこと。
スーパーコンピューターの計算値でも十分に計算しきれない現象なので、山岳波が発生するたびにコツコツと情報を集めてきたのですが、このようなアングルで微速度撮影できたのはこれが初めてでした。


さて・・・一夜明けて今朝の長野の空模様ですが・・・・


昨日とは打って変わってどんよりとした空
南風が強く吹き、時折ポツポツと雨粒が落ちてきます。

そんな今朝の実況ですが・・・・


日本海から寒冷前線の雨雲の帯が南下中・・・・北日本方面では発雷も観測されているようです。
気圧配置からすると、太平洋の高気圧から流れ込む暖かく湿った空気と、大陸から南下している寒気がぶつかることで前線が活発になっているようですが・・・・

衛星の水蒸気画像を見ると、日本海の低気圧の上空には寒冷渦(寒気を運ぶ偏西風が大きく蛇行し、ついには切離されて寒気の渦になったモノ)が位置しているようですから、低気圧は大きな寒気の渦巻きになっていて、早くも発達のピークを迎えているようです。

このような実況からすると・・・低気圧の発達はそれほどではないにしても、上空の寒気の渦と対応する低気圧付近や、暖湿気が流れ込む寒冷前線付近で、大気の状態が不安定になって、激しい現象が発生することが考えられますが・・・・・


まずは普通の天気図を使って、気圧配置や上空の寒気の変化と空模様の関係を、大ざっぱに把握しておきましょう。


これから寒冷前線が南下するわけですが、一気に太平洋に抜けてしまうのではなく、今夜になっても前線は太平洋沿岸付近をウロウロ。
さらに、東シナ海方面から(梅雨のはしりの)停滞前線が、低気圧とともに西日本南岸に接近してくることが予想されています。
ということは・・・・日本海側は回復してくるものの、太平洋側は前線が通過してもスパッと回復しないと考えられますが・・・どの範囲に?どの程度?前線の影響が残るんでしょうか?

そして明日・・・気圧配置は西高東低 冬型の気圧配置に。
暖湿気の流れ込みに代わって、晩冬の寒気が流れ込んでくることが予想されていますが、どの程度寒くなるんでしょうか?


普通の天気図だけでは分からないことが多いでしょうから、専門の天気図で??マークを解消していきましょう。


まずは上段の図・・・地上の空模様の骨格にあたる上空の気圧配置ですが・・・実況でチェックした寒冷渦は、今夜にかけて北日本へ
これに伴って地上では・・・下段の図・・・寒冷渦直下の低気圧が、あまり発達しないまま北日本へと進むことが計算されています。

ただ、発達しないといっても、上空の寒冷渦と一体化した寒気の渦巻きといえますから、小粒でもピリリと辛い?のがこの低気圧の特徴。
低気圧の中心付近では、大気の状態が不安定になって、局地的に強い風を吹かせたり、落雷や突風をもたらすことが予想されます。

また・・・・再び上段の図・・・・日本海や西日本方面には、朝鮮半島と東シナ海の2方面から、上空の気圧の谷が接近
上空の気圧の谷は悪天パワー(低気圧や雨雲を活発にするチカラ)を持っていますから、上空の気圧の谷の接近によって・・・下段の図・・・新たな低気圧が三陸沖に発生し、停滞前線の降水帯が活発しながら西日本南岸に進んでくることが計算されています。
前線が通過しても、太平洋側の回復はイマイチ?


続いて、前線付近でぶつかる暖気と寒気の様子にも目を通しておきましょう。


こちらは下段の図から・・・地形の影響を受けにくい上空約1500mの気温の分布ですけど・・・本州付近で寒気と暖気がせめぎ合う場所=前線帯は気温3°C〜6°Cのライン付近
等温線は、周辺に比べてやや混雑している程度ですから、寒気と暖気のせめぎ合いは弱い?
温度分布だけでは前線がそれほど活発化しないようにも思えますが・・・どうなんでしょう?

ただ、前線帯の後ろ側には高い山で雪の目安=0°Cラインが控えていることがわかります。
前線の南側は20°C以上になりそうですけど、前線通過後は10°C前後まで下がってくることが予想されますから(明朝はもっと下がる)、前線の強弱は別として、気温の急変には注意が必要になりそうですね。
特に北海道は、雪が降ってもおかしくない寒気が再び南下してきそうですからご用心を。

続いて、上段の図・・・天気予報番組で天気図上に描かれる上空の寒気の原図・・・を見ると、寒冷渦は-24°C以下の晩冬の寒気を伴っていることが分かります。
そして晩冬の寒気は、今夜北海道上空へ
暖かい空気が流れ込んだあと、上空に強い寒気が南下してくるということですから、少なくとも北海道方面は、大気の状態が不安定になるということが考えられます。


南下する寒冷前線の様子・・・気温分布だけではイマイチ分かりにくかったので、気温に水蒸気の様子も加味した相当温位図という天気図で詳しくチェックしておきましょう。


寒冷前線付近で、太平洋から流れ込む暖かく湿った空気(暖湿気)と、大陸から南下してくる冷たく乾燥した空気がぶつかることがわかります。
また、等相当温位線(実線)が混雑していますから・・・前線はそこそこ活発で、大気の状態も不安定になることが予想されます。
気温差だけでなく、水蒸気=雨の原料の濃さの違いも加わって、前線が活発になるようですね。


それでは以上のチェックポイントを確認しつつ、MSMシミュレーションで、今日から明日朝にかけての空模様を、具体的にイメージしておきましょう。


寒冷前線が通過した直後、東シナ海方面から停滞前線の降水域が活発化しながら西日本南岸へと進んでくることがわかります。
したがって、南岸の回復は少々遅め

また、寒冷渦直下の低気圧が接近し、太平洋側に新たな低気圧が発生する北日本も、局地的に風が強く、雨や雪の降りやすい状態が続いてしまいそうですね。

府県天気予報(更新5時・11時・17時): http://www.imocwx.com/yohoud.htm
府県天気予報(マークの予報): http://www.jma.go.jp/jp/yoho/
気象庁時系列予報: http://www.jma.go.jp/jp/jikei/
(マークの予報は府県天気予報の括弧内(テロップ番号)をマーク表示したもの)

府県週間天気予報(更新11時・17時): http://www.imocwx.com/weekd.htm
府県週間天気予報(マークの予報): http://www.jma.go.jp/jp/week/
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専門の天気図は以下のURLで、無料で入手可能です。
http://n-kishou.com/ee/exp/exp01.html?cd=fxfe502&cat=e2

ご意見・ご質問等は、コメント欄・メール(kasayangw@yahoo.co.jp)にてどうぞ。
可能な限り返信いたします。

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(当ブログに引用の天気図等は、気象庁、WNI、プログラム配布先より使用許諾を得ています)
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昨日昼前から、車を走らせること30分・・・北信五岳(飯縄山・戸隠山・黒姫山・妙高山・斑尾山)や新潟県境付近の頚城三山(+火打山・焼山)の残雪の様子や日本海側に流れ込んでいた雨雲の様子を見に行ったのですが・・・


雨雲はすでに消えていて、結局残雪の山々の景色を楽しむドライブになってしまいました。

そこで、さらに車を走らせること1時間・・・日本海へ。


北風がやや強めに吹く日本海も快晴
久々のマリーナで、シーズンに向けて船底塗装をするヨットマンと話しをしながら・・・日本海をヨットで帆走りたいという気持ちがふつふつと湧いてきて・・・思わずマリーナのパンフレットをもらってしまいました。

以前、Kasayanがヨットを置いていた横浜のマリーナの停泊料で1.5倍も大きなヨットを係留することができ、5時間ほどセーリングすれば佐渡島・・・一日セーリングすれば能登半島・・・3日ほどセーリングすればロシアや韓国も視野に入るロケーション。
十数年前、日本一周のクルージングをしたときの日本海を思い出して、しばし海を眺めていました。


さて・・・そんな快晴の翌日は、お約束の放射冷却が発生することになるわけですが・・・


今朝の長野市の最低気温は2.2°C(05時40分)。


空気が澄んで真っ白な「冬山のような」北アルプスがハッキリと見えています。

そんな今朝の実況ですが・・・・


太平洋上に中心を持つ高気圧に覆われて、広範囲で晴天ベース

ただ、低気圧に近い北海道だけは、等圧線が混雑して北寄りの風が強く、上空の寒冷渦西側に流れる偏西風によって、寒気が流れ込みやすい状態が続いています。
もっとも、寒冷渦が遠ざかるにつれて、北海道も回復に向かうと思いますが・・・・・

今度は朝鮮半島付近が気圧の谷になっていて、すでに低気圧が発生しています。
そして、気圧の谷には、南から暖かく湿った空気(暖湿気)北からは寒気が流れ込み始めていますから、寒気と暖気が混じり合おうとするチカラが働いて、低気圧は発達傾向
この気圧の谷が東進することで、日本付近は下り坂に向かうと思われますが・・・・・


今日の晴天ベースがいつから?どこから?下り坂に向かうのか
まずは普通の天気図を使って、気圧配置の変化と空模様の関係を、大ざっぱに把握しておきましょう。


今夜にかけて南海上の高気圧が東へ進みますが、西日本方面に勢力を残す模様。
このため、気圧の谷の低気圧や前線帯は、日本海を東進せざるを得ないので、とりあえず今日いっぱい大きな崩れはないと思われますが・・・・・低気圧から延びる前線帯が早めにかかり始める山陰付近や東北日本海側は、夜から雨が降り出す可能性あります。

そして明日未明から前線が通過
南寄りの風が運び込む暖湿気=雨の原料によって活発化した雨雲の帯によって全国的に一時的に強い雨が降り、前線通過後は西寄りの風が運び込む大陸の寒気によって気温が下がってくることが予想されます。


連休前半の3日間はまずまずの天気になりましたが、今夜からは下り坂
そんな様子を専門の天気図でチェックしていきましょう。


まずは上段の図・・・地上の空模様の骨格にあたる上空の気圧配置ですが・・・北海道に積雪までもたらした寒冷渦はまだ東海上で停滞気味
寒気を運ぶ上空の偏西風が大きく蛇行し、ついには流れから切り離されて(カットオフ)、寒気の渦になったモノが寒冷渦ですから、その動きが遅いのは当然なのですが・・・この寒冷渦の渦が地上に接している部分・・・下段の図・・・・北海道東岸付近の低気圧も停滞してしまい、北海道では風の強い状態が続いています。
低気圧は次第に弱まる傾向ですけど、今日いっぱい強風や高波、そしてにわか雨(雪)に注意が必要ということになります。

ただ、上空の寒冷渦が停滞気味なので、その西側に位置する上空の気圧の尾根の動きもゆっくり
上空の気圧の尾根に対応して・・・下段の図・・・太平洋上の高気圧もゆっくりと東進し・・・今日いっぱい、晴天に恵まれることになるわけですが・・・・

再び上段の図・・・すでに次の寒冷渦が朝鮮半島に南下中
加えて寒冷渦の南側を上空の気圧の谷も南下していますから、これらの悪天パワー(低気圧や雨雲を活発にするチカラ)によって・・・下段の図・・・朝鮮半島付近に低気圧が発生し、雨雲も活発になりながら、ゆっくり東進することが計算されています。

今夜、山陰付近や東北日本海側に降水域が接近してくるようですから、このあたりだけ雨にご用心といったところ。

続いて、上空の気温の分布にも目を通しておきましょう。


こちらも上段の図から・・・天気予報番組で天気図上に描かれる上空の寒気の原図ですが・・・北海道上空の-24°C以下の晩冬の寒気は次第に抜けるものの、引き続き-21°C以下の寒気が流れ込み続けるようです。
また地上付近(上空約1500m)でも・・・下段の図・・・高い山で降るモノが雪になる目安=0°C以下の寒気が流れ込み続けますから、まだまだ春のポカポカ陽気にはなりません

一方、西日本方面では、朝鮮半島付近の気圧の谷に吹き込む南寄りの風によって、太平洋の暖気の流入が強まる傾向。
今夜、晴天であれば20°C以上の気温が予想される6°Cラインが日本海北部まで流れ込んできますから、東日本ではポカポカ、西日本では初夏を思わせる暑さ?になることが予想されます。

そして・・・南から流れ込む暖気と大陸から南下してくる寒気がぶつかる日本海では、等圧線が混雑
次第に前線が活発化することが考えられるわけですが・・・・


前線の様子をもう少し詳しくチェックするために、気温に水蒸気の様子も加味した相当温位図という天気図にも目を通しておきましょう。


朝鮮半島付近に限られていた太平洋の暖かく湿った空気=暖湿気の流れ込みが次第に強まり、西日本を経て、日本海北部にまで達することがわかります。

さらに、大陸から南下してくる冷たく乾燥した空気とぶつかって等相当温位線(実線)が混雑・・・・前線が活発になるわけですが、流れ込む暖湿気が強いので、前線付近では大気の状態が不安定に。
この前線が南下してくる今夜から明日にかけて落雷や突風、条件によっては竜巻にも注意が必要になると思われます。


それでは、以上のチェックポイントを確認しつつ、MSMシミュレーションで、今日から明日朝にかけての空模様を、具体的にイメージしておきましょう。


紫色は下層雲。

今日は、低気圧の影響が残る北海道を除いて、山陰や東北日本海側で早めの雨に注意が必要ということになりますが、まあ全般に行楽日和

ただ、明日朝目を覚ますと、激しい雨が降っているという所が多いでしょうから(場所によってはすでに雨上がり)、心の準備を・・・・といったところです。

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なお、向こう一週間の気温傾向ですけど・・・


今夜からの前線通過の後は、大陸から南下してくる寒気が優勢
連休最終日まで、気温が平年を下回ることが計算されています。

ということは・・・北アルプスなどの高い山は「冬山」になっているということですから・・・遭難を続かせないよう、安全をもった計画と準備をしていただきたいと思います。

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昨日の記事で、昨年の白馬岳の遭難事故を例に挙げ、ゴールデンウィークでも当然のように雪が降ることをお伝えしましたが、残念ながら昨日白馬岳大雪渓で遭難事故が発生 (毎日新聞記事にリンク)してしまいました。

気温が乱高下するこの季節は、積雪が全部落下する全層雪崩だけではなく、積雪の表面が融けて再凍結した後の積雪表面を新雪が滑り落ちる表層雪崩も発生します。
昨日の朝は、長野市街地周辺の里山にも積雪が見られ、北アルプスでは日中いっぱい降雪が続いていましたから、すり鉢状の大雪渓では表層雪崩が非常に発生しやすい状態になっていたことでしょう。

この春は、昨年に引き続き偏西風が大きく蛇行していて、寒気と暖気が交互に日本付近に流れ込みやすい状態になっています。
つまり、気温が上昇して全層雪崩が発生しやすい状態になったかと思えば、気温が急降下して低体温症の危険が生じたり、表層雪崩が発生しやすい状態になりやすいということを意味していますから、いつも以上に計画や装備には余裕を持たせていただきたいと思います。


そんな北アルプスでは、昨日、山岳波という現象が発生していました。

上空の北西風が北アルプスにぶつかり、稜線を乗り越える際、風下側に発生する空気の波動(赤の点線)のことですが、この波動によって風下側には雲の帯がいくつも発生します。
その2つが長野市上空に発生していたのでパチリ。


同時刻の衛星可視画像を見ると、北アルプスの風下側の長野県側に4本程度の山岳波による雲が発生していることがよくわかります。
ウェーブといって、グライダーの長距離フライトには絶好の条件といわれますけど、昨日の北アルプス登山や捜索活動にとっては最悪の条件だったことでしょう。


そして今朝・・・・


長野市上空はほぼ快晴ですが、この季節らしく少々モヤっています。

そんな今朝の実況ですが・・・・


西日本は高気圧に覆われてまさに行楽日和になっているようですが・・・・北日本方面は昨日に引き続き西高東低 冬型の気圧配置。

さすがにこの季節、「冬型」というコトバを使うのはためらわれるのですが・・・衛星画像に観測されている上空の寒冷渦の気温は-24°C以下の晩冬の寒気ですし、北海道では道北を中心に雪が降っているようですから、注意喚起も込めて「冬型」といったほうがイイんじゃないかと思っています。
このため、北陸以北の日本海側には、冬型ならではの降水が観測されているわけですが・・・・


今日・明日の空模様を、まずは普通の天気図を使って、大ざっぱに把握しておきましょう。


今夜にかけて高気圧が東日本にジワジワと勢力を強めてきますから、日本海側の雨や雪も解消してくることが予想されますが・・・・

北海道の東にある発達した低気圧が、ほとんど動こうとしません
このため、北海道だけは風の強い状態が続き、寒気が流れ込みやすい道北中心に雪・・・平地でも雪が積もることも考えられます。

そして明日夜高気圧が東海上に抜けることが予想されていますが、日中はまだ高気圧の影響が広範囲に残っていますから・・・冬型が残る北海道を除いて、明日も広範囲で晴天に恵まれます。
でも、になると、前線を伴った低気圧が日本海に進んでくるので、日本海側から下り坂。
温暖前線が接近する東北日本海側寒冷前線が接近する山陰では、夜から雨が降り出すことが予想されます。


連休前半は、なんとか晴天ベースの所が多くなりそうですが・・・・そんな様子を専門の天気図でもう少し詳しくチェックしておきましょう。


まずは上段の図・・・地上の空模様の骨格にあたる上空の気圧配置ですが・・・寒冷渦(寒気を運ぶ偏西風が大きく蛇行し、ついには流れから切り離されて寒気の渦になったモノ)が北海道の東海上に停滞
そして、寒冷渦の周辺を風車のように上空の気圧の谷が断続的に通過することが予想されています。

このため、寒冷渦や上空の気圧の谷から地上に降り注ぐ悪天パワー(低気圧や雨雲を活発にするチカラ)によって・・・下段の図・・・寒冷渦直下の低気圧は発達のピークを迎え、冬型が続く北海道付近には一日を通して降水域がかかることが計算されています。

もっとも・・・再び上段の図・・・東日本では、上空の気圧の谷が朝のうちに東海上に抜けて、上空の気圧の尾根が東進してくるので・・・下段の図・・・北陸〜東北日本海側に計算されていた冬型特有の降水域は解消する傾向。
西日本の晴天域が東日本へも拡大してくるようですね。


続いて、上空の寒気の様子にも目を通しておきましょう。


こちらも上段の図から・・・天気予報番組で天気図上に描かれる上空の寒気の原図ですが・・・東日本以北には、寒冷渦周辺を回転するように-24°C以下の晩冬の寒気が南下し続けることが計算されています。
次第に弱まる傾向はみられますけど、少なくとも北日本上空は今日いっぱい晩冬の寒気に覆われることに。

一方、地上付近(上空約1500m)では・・・下段の図・・・上空よりは寒気の抜け方がやや早め
北陸付近まで南下している(高い山で雪になる目安=)0°C以下の寒気が東北北部まで北上し、入れ替わるように、(晴れていれば地上で20°C以上になる)6°C以上の暖気が近畿〜東海付近にまで北上してくることが計算されています。

西から晴天域が拡大してくるとともに、気温もジワジワと上昇してくることが予想されますが・・・冬型の気圧配置が続く北海道には(平地で雪になる目安=)-6°C以下の寒気が流れ込みますから、気温は冬、あるいは晩冬なみ。
道北や道東を中心に降るモノが雪になる可能性が高いと考えられます。


ということで、とりあえず以上のチェックポイントを確認しつつ、MSMシミュレーションで、今日の空模様を具体的にイメージしておきましょう。


紫色は下層雲。

北陸〜東北日本海側の降水は次第に解消してきますけど、北海道は一日を通して風雨(雪)が強い状態
低気圧に近い道東では暴風になることも考えられます。

なかなか全国的に行楽日和というわけにはいかないようですが・・・・・


続けて連休3日目、明日29日の空模様GSMシミュレーションで簡単にチェックしておきましょう。



高気圧が東海上に遠ざかっていくのにつれて、日本海を前線を伴った低気圧が東進

この低気圧・・寒気と暖気の混じり合いが激しいため急速に閉塞過程に入って、明日夜には温暖前線と寒冷前線が東北と山陰に南下してくることが計算されています。

幸い日中は、高気圧のパワーが残るため晴天に恵まれると思いますが・・・・高気圧後面の南西風が次第に強まってくることが予想されます。
そして、南西風が太平洋の暖湿気を運んでくるので、西日本を中心に気温上昇・・・フェーン現象が発生すれば、山岳風下にあたる北陸付近では初夏を思わせる気温になるかもしれません。

この前線帯の雨が本州を通過する明後日30日朝は広範囲で強い雨が降るかもしれませんから・・・月曜日にお仕事がある方はご注意を。

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ここ数年、天気予報を見聞きするたびに気になっていたのが「不安定な天気」というコトバ。
特に一昨日、昨日、天気予報番組ではバンバン使われていたと思いますけど・・・・

気象庁HPに掲載されている予報用語の一覧にも、古い予報作業指針(気象庁予報部が発行している予報に使える言葉を列挙した冊子)にも、「不安定な天気」というコトバを使ってはいけないと書かれています。


ご覧のように、「不安定な天気」とは、「大気の成層状態が不安定で、にわか雨や雷雨の起こりやすい天気」・・・つまり、上空に寒気、地上付近に寒気があって、空気の大量活動が活発になりやすい天気を意味するところ、「晴れ・曇り・雨が小刻みに変わる天気経過」と混同されるから使ってはいけないということになっています。

大気の状態が不安定な場合も小刻みに天気が変化しますから、体感される空模様に大きな誤解は生じないとは思いますけど・・・・・お天気キャスターや天気予報の原稿を作成している人たち・・・このお約束を知った上であえて「不安定な天気」という表現を使っているんでしょうか?

Kasayan的には、「大気の状態が不安定」とか「大気不安定」「大気が不安定」など、冒頭に「大気」を付けて表現しているんですけど・・・・・ちょっと気になっています。
お気に入りのお天気キャスターは「不安定な天気」と言っていましたか?


さて、GW初日の今朝の長野市ですが・・・・


日の出直後は、シトシトと雨が降っていたのですが・・・・


07時前には急速に天気が回復してきました。


そして・・・・善光寺平周辺の山々は、標高約900m以上に白いベールをまとっています。

昨年の5月4日 (当ブログの記事参照)北アルプスの白馬岳では、午後から急に降りだした雪で6名の方が遭難し亡くなられています。
春のゴールデンウィ-クとはいえ山は冬・・・・高原に出かける方、アルプスを登山される方は、こんな雪がいつでもあり得るんだということを忘れないでいただきたいと思います。

で・・・・そんな今朝の実況


気圧配置は西高東低・・・弱い冬型
衛星の水蒸気画像を見ると、東北上空寒冷渦(寒気を運ぶ偏西風が大きく蛇行し、ついには流れから切り離されて反時計回りの寒気の渦になったモノ)が通過しているようです。

このため、冬型のお約束・・・日本海側では雨や雪・・・太平洋側では晴天になっているわけですが・・・・
このまま素直に冬型の気圧配置が解消してくれるのか?
まずは普通の天気図を使って、気圧配置や上空の寒気の変化と空模様の関係を、大ざっぱに把握しておきましょう。


今夜にかけて西日本方面に高気圧が移動してきますから、冬型の気圧配置は次第に北に押しやられて、西から晴天域が広がってくると思われます。

ただ、北海道の東で低気圧が猛発達しますから、北日本の冬型の気圧配置は明日にかけても継続
上空の冬の寒気も、しぶとく居座るようですから、北日本の回復はゆっくり・・・ということが予想されます。


西〜東日本はまずまずのGWのスタートということになりますが、北日本は少々残念な初日
そんな様子を専門の天気図で詳しくチェックしておきましょう。


まずは上段の図・・・地上の空模様の骨格にあたる上空の気圧配置ですが・・・東北を通過中の寒冷渦は、午前中東海上に抜けて北海道の東岸を北上する模様。
そして、寒冷渦の周囲を風車のように上空の気圧の谷が断続的に北日本通過していくことが予想されています。

このため、寒冷渦や上空の気圧の谷から地上に降り注ぐ悪天パワー(低気圧や雨雲を活発にするチカラ)によって・・・下段の図・・・北日本は今夜にかけても天気はイマイチ
西高東低 冬型の気圧配置(プチ冬型)が続き日本海側では降水が計算され続けていて、特に北海道では、東海上で発達(等圧線が混雑)する低気圧の影響で、夜にかけて風雨(雪)が強まってくることが予想されます。

また、高気圧が張り出し回復傾向の西日本ですけど・・・再び上段の図・・・今夜、上空の浅い気圧の谷が山陰方面に南下してくることが計算されていいます。
これに対応して・・・下段の図・・・朝鮮半島から九州北部付近に降水帯が計算されています。
大した影響はないと思いますけど、夕方以降はにわか雨にご用心・・といったところ。


続いて、昨日、大気の状態を不安定にした上空の寒気のその後についても目を通しておきましょう。


こちらも上段の図・・・天気予報番組で天気図上に描かれる上空の寒気の原図ですが・・・-30°C以下の冬の寒気が午前中東北上空を通過し、夜には太平洋に抜けていくことが計算されています。
このため、午前中、東北を中心に大気の不安定な状態が続き、次第に解消していくものと思われます。

ただ、地上付近(上空約1500m)では・・・下段の図・・・今朝長野市周辺の山に雪を降らせた0°C以下の寒気(高い山で降るモノが雪になる目安)が、今夜にかけても北陸以北に残る傾向。
日射しが出るところでもそれほど気温は上がらず、北日本で降るモノは冷たい雨かミゾレ、あるいは雪になることが予想されます。

なお、今夜上空の気圧の谷が接近し、降水帯が計算されていた九州北部や山陰付近ですけど・・・朝鮮半島西岸にかけて、やや等温線が混雑していることがわかります。
弱い前線帯があるようですが・・・・


気温の様子に水蒸気の様子も加味した相当温位図という天気図を見ると・・・大陸を東進してきたそこそこ暖かく湿った空気(暖湿気)が、日本付近に南下している寒冷で乾燥した空気とぶつかりあっているようです。
そんな弱い前線上に雨雲ができるようですが・・・九州北部付近は前線帯の南の端っこにあたるので、それほど影響はないものと思われます。

むしろ、今夜にかけても、大陸の寒冷乾燥空気が優勢ですから、太陽が落ちた夕方以降の冷え込みと、明朝冷え込みによる遅霜に注意が必要ということになりそうですね。


それでは以上のチェックポイントを確認しつつ、MSMシミュレーション今日の空模様を具体的にイメージしておきましょう。


紫色は下層雲。

北日本の日本海側の降水(雪)がしぶとく残り北海道では夕方以降、発達する低気圧に近い道東方面から風雪が強まってくることがわかります。

あと・・・北九州付近・・・とってもシャープな雨雲。
にわか雨にご用心・・でしたよね。

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専門の天気図は以下のURLで、無料で入手可能です。
http://n-kishou.com/ee/exp/exp01.html?cd=fxfe502&cat=e2

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昨日、やぼ用で長野市綿内の千曲川河川敷まで自転車を走らせたのですが・・・・


ピンクの桃の花の絨毯と、雪の北アルプス鹿島槍ヶ岳があまりに綺麗でパチリ。

早くもリンゴが咲き始めていますから(今年は24日に平年より4日早く開花しています)、今年の大型連休の長野は、ここ数年で最も美しい景色になるかもしれません。
(桜や桃と異なり、リンゴは葉っぱと花が同時に開くんですよ)

そして、は夜で・・・・


この季節にピッタリのおぼろ月を見ることができました。


さらに一夜明けて・・・・


今朝オレンジに染まる菅平から太陽が顔を出し、今日も晴天になるような感じがしてくるのですが・・・・・



今朝の実況をチェックしてみると・・・すでに日本海沿岸には雨雲の帯

水蒸気画像を見ると・・・・昨日から天気予報で連呼しているように・・・・日本海には大きな水蒸気の大きな渦=寒冷渦(寒気を運ぶ偏西風が大きく蛇行し、ついには流れから切り離されて寒気の渦になったモノ)が南下中
その南側の縁・・・寒冷渦の寒気と昨日までの暖気がぶつかる場所に弱い前線帯が発生して、雨雲の帯を活発化させているようです。

とすると・・・今日日中、寒冷渦が南下するのに伴って、弱い前線帯も南下してくれば・・・前線帯が通過する東〜北日本中心に、天気が下り坂に向かうということになりますが・・・・
まずは普通の天気図を使って、気圧配置や寒気の変化と空模様の関係を、大ざっぱに把握しておきましょう。


日本付近は・・・昨日に引き続き、東海上の高気圧と大陸から張り出してきた高気圧に挟まれた気圧の「谷」・・・というよりは幅が広い気圧の「盆地」に位置していると言えます。
また、気圧の「盆地」の中・・・日本海の低気圧と東海上の低気圧に挟まれた三陸付近は相対的な高圧部・・・言い換えれば気圧の「丘」に位置していると考えることができます。

この気圧の「丘」のおかげで、昨日同様、今朝も比較的晴れているところが多いわけですが・・・・実況でチェックしたように、冬の寒気を伴った寒冷渦がゆっくりと日本海を南下中ですから、次第に大気の状態が不安定に
そして、今夜にかけて気圧の「丘」も次第にチカラを弱めるようですから・・・・日本海沿岸の弱い前線帯の降水域が活発化しながら南下してくることが予想されます。

今夜の天気図を見ると・・・三陸沖に発生する低気圧の等圧線が、あたかも寒冷前線を伴う低気圧のように南西側にウネっていますから・・・・弱い前線帯は、寒冷前線の性質を強めながら今夜には太平洋に抜けてしまうと考えられますが・・・

そうだとすれば、この弱い前線帯が通過するタイミングで天気が悪化・・・・上空に冬の寒気が流れ込んでくるので大気の状態が非常に不安定になって、前線帯としては「弱い」という表現でも、発生する現象は「強い」「激しい」モノになることが予想されます。


とはいっても、普通の天気図だけではイマイチ分かりにくいので、専門の天気図で詳しくチェックしていきましょう。


まずは上段の図・・・地上の空模様の骨格にあたる上空の気圧配置ですが・・・今夜にかけて寒冷渦は北日本方面に南東進
そして、上空の気圧の谷が西日本〜東日本へと通過していくことが計算されています。

昨日、一昨日の記事に書いたように、寒冷渦は悪天パワー(低気圧や雨雲を活発にするチカラ)の親分で、上空の気圧の谷はその子分といえるモノですから、これに対応して・・・・下段の図・・・日本海沿岸の弱い前線帯の降水が東〜北日本を南下しながら活発化・・・そして、三陸沖に低気圧が発生することが予想されています。


続いて、大気の状態を不安定にする原因・・・寒冷渦の寒気の様子もチェックしておきましょう。


こちらも上段の図から・・・天気予報番組で天気図上に描かれる上空の寒気の原図ですけど・・・寒冷渦が南東進するのに伴って、-30°C以下の寒気が、はじめ山陰沖、その後北陸付近へと南下してくることが計算されています。
(このところ、天気予報番組の解説では「この時期としては強い寒気」という表現がされますけど、冬場に北陸で普通に雪が降る際の上空の気温が-30°C前後ですから、冬の寒気といっても過言ではありませんよね。地上の気温が高いので雪になりにくくはなっていますけど)

これが、大気の状態が非常に不安定になる原因。
強い寒気と、地上を南下する弱い前線帯が重なるエリア・・・特に東日本と北日本で激しい現象が予想されます。

また、地上付近(上空約1500m)にも・・・・下段の図・・・高い山で雪になる目安=0°C以下の寒気が南下
北アルプスや北信五岳、北関東の高い山々などでは、降るモノが再び春の雪になることが予想され、雪にならない平野部でも、上空高く成長する積乱雲と相まって、降雹のおそれが高くなってきます。


遅霜の被害に続いて、降雹の被害が心配されるわけですが・・・・どのあたりで特に大気の状態が不安定になるのか?
SSI(ショワルター指数)という大気の安定度を示す指数の計算値にも目を通しておきましょう。


今日日中は、弱い前線帯の通過と寒気の南下が重なる東日本や東北南部中心
夕方からは-30°Cの寒気のコアが南下してくる山陰や北陸で再び大気の状態が不安定になってくるようです。

ただもうひとつ場所が特定しにくいので・・・さらに、上空の寒気の下・・・地上の暖湿気=雨の原料の様子を見てみると・・・・


関東甲信から東北南部にかけては、昨日来の暖かく湿った空気が残っていることがわかります。
普通の天気図でチェックした三陸付近の高圧部(気圧の「丘」でしたよね)の吹き出しの南東風が、太平洋の暖湿気を運び込んでいるわけですが(実況天気図に書き込んでおきました)・・・・このエリアに強烈な寒気が南下。
暖湿気と寒気がぶつかる場所で前線帯(黄色の点線)が活発化しながら南下してくることが予想されます。
この前線帯が特に要注意エリアということになりそうですね。


それでは、以上のチェックポイントを確認しつつ、MSMシミュレーションで、今日から明日朝の空模様を具体的にイメージしておきましょう。


紫色は下層雲。

弱い前線帯の南下に対応して、風の収束線(シアーライン)が南下・・・次第に活発化して降水が激しくなっていくことがわかります。
やっぱり、関東から東北太平洋側・・・先にチェックした暖湿気と寒気がぶつかるラインが特に要注意という感じですよね。

このエリアでは、竜巻のおそれも高いと思われますから、竜巻注意情報 などにもアンテナを立てておいてください。

なお、気象庁からは、「雷と降ひょう及び突風に関する全般気象情報 」が発表されていますので、全文引用しておきます。
あ・・・・長野市はもう雨が降り出している!!!



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プロフィール

Kasayan

大昔、気象会社や東京の放送局で天気予報番組を作っていたこともありますが今は故郷長野で2回目の日本一周を夢見るただのヨット好き。山岳ガイドのタマゴたちと気象の勉強中。最近多くの時間を野尻湖畔の山小屋で過ごしています。

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