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電子回路の電源整流・平滑回路は設計するとなると結構複雑で、解析的に解けるとは限らない。
設計を目標として説明するには、理想的なモデルでは全く設計の役に立たない。
ふつうは理想的なダイオードを教えた後、電源整流・平滑回路の基本形を教えるが、アナログエンジニアは、かなり後の方でこの問題を扱う。
一つには、電子回路では負荷変動が大きいので、チョークインプット整流・平滑回路は使いにくい。どうしても、オーバーシュートやチョークコイルの実効値平滑機能が出ない電流領域での電圧上昇は避けられない。
電子回路の電源は、多く商用電源をステップダウンしてから整流・平滑回路に入るので、トランスの公称電圧や公称電流の正確な仕様表示方法を説明する必要がある。
トランスは、定格負荷を抵抗に接続したとき、公称電圧が出るように設計されている。トランスは、1次、2次コイルの抵抗があるので、無負荷時には電圧変動率hだけ電圧が上昇する。また、同じ理由で、整流後のDC電圧は実効値の√2倍ではなく、1.2〜1.3倍の電圧しか出ない。整流方式に依存して電圧降下もある。
流れる電流波形は正弦波の整流波形ではなく、コンデンサ量が多いときには、通流期間は全波整流で1/3前後である。したがって、電流の実効値は大きいので、トランスの容量VAは公称VAの1.5倍くらいになる。
これらのことを知らないと、トランスのサイジングはできないし、平滑後のDC電圧は予測できない。非線形問題なので、設計図表を使うか、数値実験式を参照するしかない。
アナログエンジニアは20年以上前に、自分で専用のプログラムを書き、多くのケースについて、数値実験式と、電圧の谷を求める設計図表を作成している。従来からあるO.H,シェーデの設計図表は、平均電圧表示なので、安定化電源を使用する今の時代には不向きで精度も低くなる。
たかが電源だが、電源設計は難しく、そして評価されない回路要素であるからますます、電源設計のできるエンジニアが少なくなっている。
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