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大抵のアナログ電子機器は電源投入後、しばらくの間、出力がドリフトする。理化学機器などでは、ウォームアップ時間が数時間に及ぶものもある。
このドリフトは主に電子部品の温度変化により生じる。
秒単位の早い変化は電子部品の自己加熱による温度分布の変動とみられる。数分単位の変化は、放熱フィンや変圧器など熱容量の大きな部品やユニット内の温度変化が主因であろう。数10分のオーダーのものは、筐体内の温度分布の変動に起因するだろう。
ウォームアップ時間の短縮には、各部品を温度依存性の小さな品種に置き換えることだ。しかし、この方法はコスト上昇とのトレードオフである。
起動ドリフトは機械的要因でも生じる。発熱体が起動すると熱分布が変わり、同一材料の構造物でもアライメントが微妙に変化する。
起動ドリフト要因を切り分けることは、案外難しい。回路だけではなく、機器の構造を熟知していることは必須条件だが、定量化するには、狙いを定めた測定が不可欠である。時には、機器そのものの特徴を利用しての計測法を考えなければならない。
起動ドリフトは数多くの時定数の異なる要因が組み合わさっているので、例えば、一旦、+方向に変化し、時間が経過するとともに逆方向の変化するものもあれば、揺らぎが指数関数的に徐々に減衰していくものもある。
起動ドリフトが大きい機器は電源が急変したり、機器内の回路ブロック、アクチュエータの出力変動時にも、少しは小さいが変動要因になる。
ウォームアップ時間の長い機器には、求められる性能に対しシステムの温度依存性が相対的に大きい場合に、良く生じる。
起動ドリフトの低減は、使い勝手をはじめ、さまざまなところに波及するのが常である。
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呼吸発電と申します。
ブログにコメント頂きありがとうございました。
先月はアマチュアサイエンティスト様からもご連絡頂きました。
人気ブログランキングに参加していて良かったです。
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投稿: 呼吸発電 | 2011年2月 7日 (月) 17時12分