オペアンプを負帰還をかけて使用すると仮想短絡がほぼ成立する。しかし、負帰還の効果はこれだけではない。
電流制限機構を備えたオペアンプは通常出力段に数10Ωの抵抗が挿入されるが、オペアンプの出力抵抗はほぼ0Ω、すなわち、負荷電流の影響で出力電圧が変化しない。次の段の負荷効果を無視できる。
バイポーラトランジスタの差動段を入力段とするオペアンプでは、その入力抵抗は1MΩ程度の場合が多いが、負帰還の効果により無視できる程度まで改善される。
以上、3つの効果はオペアンプの裸ゲイン/実ゲイン程度の改善幅であるが、周波数が高くなると裸ゲインが下がるので、仮想短絡は不完全に、出力抵抗は有限になり、入力抵抗は下がる。
位相補償されたオペアンプのゲイン特性は、数Hz〜数10Hzに折れ点周波数を持ち、数万から数100万倍の最大利得を持つ一次遅れ特性を示すので、意外に低い周波数(汎用オペアンプなら数10kHz)でも、有限利得の状態を考える必要が生じる。
一方、バイアス電流や、オフセット電圧、およびそれらの温度依存性は負帰還によって改善されない。入出力ダイナミックレンジ(同相入力範囲、出力範囲)を超えるると、負帰還は正常に機能せず、種々の副次的効果が生じる。
多くのオペアンプ回路では、仮想短絡、入力抵抗、負荷効果を無視して概念設計を行うが、この第1段階の設計を支えるのが大量の負帰還で得られる効果である。
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