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DC-DCコンバータの基本回路構成は3つ(昇圧・昇降圧、降圧形)あるが、いずれもインダクタ・コンデンサ・ダイオード・電子SWを含む。各形式の定常状態の挙動は解析的にほぼ解ける。
しかし、電子回路用電源としてのコンバータは出力電圧、リプル電圧だけが関心の対象になるわけではない。
LとCが存在する以上、DC-DCコンバータの過渡応答にも注意を払う必要がある。
起動時には、Lを介して0電圧のコンデンサCを充電するので、Lには定常状態より大きいエネルギーが蓄積される。抵抗性負荷Rを考慮すれば、L+(C//R)の共振系を構成する。DC-DCコンバータでは、L,Cとも比較的良好な素子が使われるので、負荷Rに依存して共振の強さが変わる。
降圧形コンバータでは、回路の起動特性は出力電圧VoのL+(C//R)で近似できる。ステップ幅は出力電圧Vo相当である。たいてい、振動解になる。負荷Rの影響を強く受けるので、Rが大きいときと重負荷(Rが小さい)では減衰係数が変化する。
負荷が定まっているDC-DCコンバータでは過渡応答をL,Cの定数を選ぶことで、出力電圧をオーバーシュートさせないことも可能であるが、一般には軽負荷でのオーバーシュートを防ぐことは難しい。
このような事情で、起動時には目標電圧/電流を徐々に上げていくソフトスタートが行われる。しかし、さまざまな負荷変動下での過渡応答を最適化することは容易ではない。軽負荷から重負荷への過渡応答とその逆では応答性が異なるためである。
同じような手法で、他のDC-DCコンバータの応答をマクロモデルで考えることは可能であるが、DC-DCコンバータはエネルギーの供給のみを考えているので、必要に応じてマクロモデルにダイオードを付加するとより精密な挙動を見通すことができる。
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