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オペアンプ回路入門と言えば、「2つの入力端子の電位差が0となる仮想短絡」を使って入出力関係を求める手法から話が始まる。
しかし、1仮想短絡はオペアンプの増幅率が実利得に対し十分大きいこと、2オペアンプのオフセット電圧が扱う電圧より十分小さいこと、3オペアンプの入力端子へ流入あるいは流出する電流(バイアス電流)が扱う電流に比べ十分小さいこと4回路が安定な負帰還となること前提になっている。
この仮定を置くと、結果として多くの結果を少ない計算量で求めることができる。
オペアンプの-入力端子と信号電圧Viの間に抵抗R1を接続し、出力端子と-入力端子に抵抗R2を接続すれば、利得A=-R2/R1のアンプができる。ここで、負号がつくことが一つの障害になる。
R1とR2を流れる電流がキルヒホッフの電流則により等しくなるが、入力端子から見てR1の電流を流入する方向にとれば、R2の電流は流出する方向となる。オームの法則V=RIは電圧の向きと電流の向きを逆方向にとったときに成立するので、仮想短絡により0Vとなる-入力端子から見て負号がつく。
この過程で使うのはキルヒホッフの電流則とオームの法則で、高校物理の範囲内である。ただし、丸暗記では電流の向き、電圧の向きがあやしくなることが多い。入門書ではさまざまな比喩が使われるが、所詮、回路の基本中の基本にメスを入れていないので、回路の入出力関係式を丸暗記するしかなくなる。応用が利かなくなる。
ここで躓いているなら、その後の回路技術取得の道は険しい。しかし、大学レベルでも案外この部分の理解不足の状態であるケースが案外多いのである。
回路設計は設計式を自分で作るものだ。与えられるものではない。ここが入門と職業としての回路との最初の分岐点である。
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