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オペアンプが増幅器として動作しているときには、+入力端子と-入力端子の電圧差がゼロになるというのが、仮想短絡の概念である。
オペアンプ本体の入出力特性をVo=Av・Viとして、電圧利得Avが極めて大きい(10万〜1000万)なら、線形動作中のオペアンプの出力Voは±10V程度であるから、入力端子電位差は1mV以下になる。オペアンプは出力を入力端子間電圧が0Vとなるように、その出力電圧を制御してくれる。
仮想短絡を前提にすれば、オペアンプ回路の入出力関係を少ない計算量で簡単に求めることができる。仮想短絡(イマジナリショート)は、オペアンプが安定に負帰還動作しており、オペアンプ本体の電圧利得が十分に大きく、かつ出力が飽和していることが前提である。
しかし、位相補償されたオペアンプの電圧利得は、扱う周波数の増加に反比例して減少するので、少し高い周波数では仮想短絡が成り立たない。この場合には、オペアンプの電圧利得が有限であるとして、実利得を計算する。
オペアンプの入力電圧オフセットを考慮すれば、低い周波数ではオペアンプは入力端子電圧がオフセット電圧と等しくなるように出力電圧を調整する。
オペアンプのバイアス電流を考慮すれば、オペアンプの入力端子にバイアス電流が流入あるいは流出する。これらも、仮想短絡状態からのずれである。
オペアンプの基本動作を理解するには、「仮想短絡」の概念は有効である。しかし、オペアンプ回路を設計するには、仮想短絡が成立しない条件下での検討が必須となる。
オペアンプ=仮想短絡は、オペアンプ回路のほんの入り口である。
オペアンプの非理想的な挙動を把握することにより、技術としてのオペアンプ回路の世界が始まるのである。
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すいません。ご指摘のとおりで 「飽和していないとき」が仮想短絡の前提のひとつです。
投稿: 5513 | 2010年10月 4日 (月) 14時48分
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仮想短絡(イマジナリショート)は、オペアンプが安定に負帰還動作しており、オペアンプ本体の電圧利得が十分に大きく、かつ出力が飽和していることが前提である。 と記述されておりますが、飽和ではなく飽和してない時ではないかと思いますが?
投稿: はやしよしのぶ | 2010年10月 4日 (月) 10時02分