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シリコントランジスタのベース・エミッタ間電圧は0.6Vと言われることが多いが、実際は違う。
温度とチップサイズに大きく依存し、コレクタ電流の関数である。ただし、小信号用トランジスタを0.1mA程度、常温で使用するときには多くの品種で0.6〜0.7Vに入る。
アナログエンジニアはデーターシートに関係なく、トランジスタを使う際にはコレクタ電流約1mAでVBEを実測する。
I1でのVBE1が判れば、他の任意の電流I2でのVBE2が判る。
VBE2-VBE1=VT・ln(I2/I1) 熱電圧VT=kT/q(k:ボルツマン定数、T:絶対温度、q:素電荷)で、常温で26mVである。
電流でe(自然対数の底)倍=2.7倍変わると、VBEが26mV変わる。10倍で60mVである。
このことを利用して、自己加熱や各部の寄生抵抗の影響しない動作領域でmV単位でのVBEを予測できる。
異なる温度では、温度係数ΔVBE/ΔT=-(1.25-VBE)/T (T:絶対温度)を用いて計算すれば高精度の予測が可能である。
実測方法は、たとえば10V程度の電源と10kΩの抵抗とCB接続したトランジスタを直列につないでVBEを測定すればよい。
実際にプロとして個別部品でトランジスタ回路を組んでいる人なら、VBEが0.6V、温度係数-2mVとはふつう言わない。VBEは0.1Vくらいから0.8V程度まで使用電流により変わる。温度係数も、-1.5mVから-3.8mV/°C程度まで使用条件により異なるのである。
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