002 ←赤花のクリスマスローズ、まだまだ咲いている。
2石無安定マルチバイブレータのベース波形はしばしば初心者の実験で観察対象とされる。しかし、注目されるのはOFF期間の波形である。ON期間の前縁にベース・エミッタ電圧の数10mVの上昇に注目されることは少ないと思う。
OFF側は、コレクタ電位の下降振幅≒電源電圧Vcc相当の負値である。この状態でトランジスタは遮断しているので、ベース電流は無視でき、通常はベース抵抗RbとタイミングコンデンサCbの積で決まる時定数で、-Vccから0Vまで+Vccの電源で充電される時間が発振の半周期であるとされる。この結果、駆動波形が1次遅れ回路のステップ応答とみなして自然対数の2である0.69CRが発振の半周期と計算される。
この計算によれば、発振周期は電源電圧に依存しないとの結論が出る。
厳密には、遷移点が約0.6Vであり、ステップ応答ではなくコレクタ抵抗RcとタイミングコンデンサCbで決まる時定数での疑似方形波である。
ON直後のトランジスタには、タイミングコンデンサを介して過剰なベース電流が流れる。
このときの電流は、Rcで決まるので、充電電流=ON側の定常ベース電流に対し、10倍前後の電流が流れ、その結果、ON側トランジスタのベース電位が数10mV上昇する期間があるのだ。
同時にコレクタ電圧波形もCbRcの時定数をもつ1次遅れ波形となる。
厳密に計算あるいはシミュレーションしてもあまり発振周期には影響しないのだが・・・。
たかが2石無安定マルチバイブレータの波形であるが、観測場所や注目する波形の特徴点に依存して、発振回路の動作のドラマが有るのだ。
トランスが入ったパルス回路においても、種々の特徴点が存在し、寄生素子と対応している。
すべてのスイッチング波形には意味があると考えるアナログエンジニアである。
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