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工学分野において、ブラックボックス化の進行は著しい。外部から技術の中身が見えなくなってきて久しい。
身の回りにはハイテク製品があふれている。マイコンの出現により、その内部では複雑で膨大ななソフトウェアが陰で動作している。しかも、その技術的背景は特許等による以外、垣間見ることは少ない。
電子回路で言えば、超LSIを頂点に、LSI、SSI、個別部品とブラックボックス化のレベルが低くなる。SSIレベルまでは、内部の等価回路が開示されていた。LSIになってからは、ブロック線図が開示されていれば、まだましな方だ。大抵は、接続部品やピンの機能のみが分厚い資料に記載されているに過ぎない。
真空管TV時代には、内部回路図が添付されており、子供心にもその複雑さとともに、回路を組んでみたいという願望も芽生えていた。技術の内部、原理の説明も多くあった。
今では、製品の設計者以外は、多くの人は使う立場でしかない。原理がこうだから、このような操作をすればよいという感性は働かない。ソフトウェアが介在しているので、機器の操作は取り扱い説明書を熟読するか、操作してみて結果を覚える以外良い方法がない。
団塊世代はおそらく工学をブラックボックスとしてみない最後の世代だろう。電子回路工学では真空管から超LSIまでの変遷を見た世代でもある。
見せない技術の中で育っていく若者たちに、魅せる技術を伝えるためにどうすればよいか重い課題である。
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三年生さん おはようございます。
亀レスですみません。
交換された基板は、たぶんそのまま廃棄されるでしょう。故障の原因を追跡することは貴重な工学的知見を得る早道であると私は考えていますが、その作業も闇の中です。これでは、信頼性を上げる知見が得られません。
現在は子供たちの周囲にはハイテク製品があふれており、理科の実験などインパクトの与えようがありません。ゲーム・アニメが日本を代表するような時代は決して良いとは思っていません。理系教育も難しい時代に突入している感じがあります。
投稿: 5513 | 2009年11月14日 (土) 06時14分
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ブラックボックス化でこれからの技術継承がどうなっていくのか素人の私でさえ不安を感じます.
真空管の時代にはテレビを自分で修理したことがあり,その経験でパルス回路の技術を少々身に付けました.
いまは自分で修理できず,電気屋さんに修理に出しても「○しろまる○しろまる基板を交換しました」とチェンジニア作業が知らされるだけで,どこが悪かったかというのもブラックボックスの中です.
投稿: 三ねんせい | 2009年11月 5日 (木) 18時08分