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Ref_0002 ←R.J.Widlarによるバンドギャップ型基準電圧回路。
バイポーラトランジスタ対のVBE差の温度係数はkT/q・ln(I1/I2)からk/q・ln(I1/I2)である。
ただし、k:ボルツマン定数、T:絶対温度、I1:Q1のコレクタ電流
VBEの温度係数は概略-(Eg-VBE3)/T、Egは常温でのバンドギャップである。
VBE差の温度係数は正、VBEの温度係数は正であるから、うまく加算すれば、0温度係数の基準電圧を得ることができる。1段なら1.25V、4段なら5Vが得られる。何よりも貴重なのは低い電圧で高精度の基準電圧が得られる点にある。
図の出力電圧Voは、Vo=VBE3+kT/q・R3/R2・ln(I1/I2)
温度係数が0となる条件は-(Eg-VBE3)/T+k/q・R3/R2・ln(I1/I2)=0
この条件を入れてVoを求めると、Vo=Egとなり、Siのエネルギーギャップ約1.25Vで0温度係数が得られる。この回路形式がバンドギャップリファレンスと呼ばれる由縁である。
逆に図の回路出力がエネルギーギャップEgで0温度係数となることを知っているなら、VBEの温度特性を計算できる。
3個のトランジスタが完全なマッチドペアなら、およそ抵抗に要求される比精度は1%で100ppm/°Cとなる。同一電流でのVBEのマッチングの必要精度も同様に計算できる。
この回路とは異なるが、若き日のアナログエンジニアはバンドギャップ基準電圧を含む回路の設計を行った。当時の抵抗マッチングは1%であったため、温度特性の精度不足と量産数不足で実用にはならなかった。
なお、バイポーラトランジスタのVBEの温度係数は中級の半導体物理の知識でも予測することはできる。
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