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Photo 図はツェナーダイオード安定化回路。
破線部は起動回路。
出力Voは低インピーダンスで,GND基準のツェナーダイオードより高い電圧が得られ,ツェナーダイオードは定電流駆動される。
現在は,バンドギャップ形基準電圧ICが高性能化したので,あまり使用されることはないが,面白い回路である。
本体部分は,温度補償形ツェナーダイオードDZの電圧を非反転増幅器で増幅し,その出力からRs経由で一定電流を流す。温度補償形ダイオードは,規定の電流を流さないと0温度係数にならない。その内部構造はツェナーダイオードに1〜3個の順ダイオードを直列にして,ツェナーダイオード本体の+の温度係数とダイオードの順方向電圧の電圧を打ち消す。規定の電流を流さないと,多すぎる場合には+の温度係数となりやすい。
ツェナーダイオード単体で0温度係数となるツェナーダイオード電圧は5V強の電圧であるが,動作抵抗が比較的大きいので,よりシャープな降伏特性を持つ,したがって+の温度係数を持つツェナーダイオードとダイオードの組み合わせで高性能を実現してきた。この条件を満たす電圧は6.4V,8.3V,9.1V付近にある。
最初にツェナーダイオードに電流が流れなければ,VZ≒0,したがってVo=0,Rsを流れる電流もほぼ0であるから,0出力も安定状態のひとつである。破線の起動回路を組み込むと,起動時にはDを経由して電流がながれ,ツェナーダイオードの漏れ電流より大きい電流を確実に流し込むことによりDZ電圧を立ち上げる。
r1,r2の分圧電圧をDZより小さくしておくと,起動後はDにより起動回路は本体より切り離される。巧妙な先人の工夫である。現在でもこのような起動回路が形を代えて3端子レギュレータICに組み込まれている例もある。
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定電流LED駆動回路を安い部品を使って作ろうと思っています。
大変、参考になりました。
投稿: アナログ初心者 | 2009年11月19日 (木) 21時39分