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回路シミュレータでもっとも普及しているのは,SPICE(Simulation Program with Integrated Circuit Emphasis)である。
他のCAEツールと同様に,便利であるが,解析ツールであり,それ以下でもそれ以上ではない。
私は,SPICEで設計を煮詰めてから,試作を通常行う。
SPICEで出る現象は大抵実機でも発生するが,SPICEで発生しない現象も試作してみるとかなりの頻度で発生する。
しかし,実機で発生した現象の多くは,デリケートなデバイスパラメータや寄生素子をチューニングすれば,パソコン上で再現することがある。
SPICEは有力なアナログ回路の解析手段であるが,モデルに組み込まれていない現象も多くある。元の生まれが,アナログ集積回路の試作回数を減らすためのツールであるからである。
当然,ダイオードやトランジスタのモデルは,集積回路工学を色濃く反映したものであり時には半導体工学の知識も必要とする。
SPICEを導入した事業所は数多くある。しかし,設計の支援ツールとして活用している事例は,半導体メーカ以外からはあまり耳にしない。設計ツールはそれを使いこなす設計技術があってこそ実践で初めて役に立つ。
シミュレータがあれば,アナログ回路設計が左団扇でできる思ったら大間違いである。(過去にはそのようなキャンペーンを大々的に張った技術雑誌もある)
シミュレータを使いこなすには,結果の分枝が手解析で予測できる程度の設計技術が必須である。
SPICEはゲーム機ではない。プロの真剣勝負の場で,このモデルでこのパラメータ値で考えたら何が現実に起こりうるのか,それを事前に発見するツールである。
大型計算機上で稼動するSPICEに出会ってから,30有余年,今でもSPICEを自宅のPCで使用しているアナログエンジニアである。デバイスパラメータはかなりの程度自分で生成できる。また生成する必要があるのだ。
コーヒーの宣伝ではないが,多少の違いは判るアナログエンジニアである。
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先日の夕刻,我が家の「さち」と庭にでていたら,スズメバチの巣が見つかった。
逆トックリ形の10数cmの特徴的な巣の形で,規模的には建設が始まって間もないが,庭にスズメバチが飛び交うのは困る。
巣の規模としては,専門家に頼んで除去してもらうくらいのサイズだが・・・・
私は,カミソリ鎌で根本からばっさり切り落とした。
さっと,家に逃げ込む。
スズメバチは攻撃的なハチである。刺されたら医者の治療を受ける必要があるかもしれない。
ここ10数年,ハチに刺されていないので,刺されたとしてもその程度で済むだろうという算段。
案の上,数匹のハチが数m四方をしばらくの間,飛び交う。
数日経過しても,幸いながら,巣は再建されていない。
再建されたら,そのときはプロに依頼するつもりである。
我が家では,数年に一度くらいの頻度で庭先にスズメバチが巣を作る。
厄介なのは,生垣のなかに,足長バチのような小型のハチが生息数の多い巣を作っているときだ。
電動ヘッジトリマで生垣をカットしているときに,巣を壊したらもう大変。
スズメバチは1匹でも怖い。数年に一度の田舎暮らしのリスクである。
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オペアンプ回路を仮想短絡の概念を使って計算するとき,オペアンプは利得無限大,回路が安定などの前提となる。
回路の入出力関係を文字式のまま,解いて自分で設計公式を作る。
簡単な例では,加減算器など4本の抵抗が完全には比例関係を持っていない場合どうなるか,必要な抵抗精度がどの程度になるか,調整機構の素子感度が適切か,などオペアンプ周辺回路を詳しく調べることができる。
目標とする設計性能に対しての周辺回路部品の性能の妥当性を調べ,確認するのだ。
オペアンプ本体の選択には,仮想短絡の概念は使えない。
オフセット電流,オフセット電圧などの影響は,周辺回路の定数が理想的であるものとして,それぞれのモデルで解析する。回路の周波数特性や動特性が影響する場面では,周辺回路やオペアンプのDC特性が理想的であるものとして,それに見合った解析を行い性能予測する。
新しい回路形式には設計公式などないので,種々の項目についてそれぞれ基本的に1項目づつ解析を行う。
一挙に種々の項目について解析しようとすると,式が非常に複雑になり見通しが悪くなるためである。
この設計手順は,良いか悪いかは別としてアナログエンジニアの知恵。
計算に裏付けられて設計された回路は,多くの場合それなりに扱いやすいアナログ回路となる。
先日のべた調整機構などの効き方の予測などには,意外に手間のかかる場合もある。それでも解析・計算で性能予測を行う。
もちろんモデルベースでの設計には限界があり,通常は部分試作をおこなうのが定石である。デジタル回路とは異なり,常に使う部品に依存して,未知の現象があるといってよい。
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抵抗の使い方はアナログ電子回路での基本技術である。
精密用途なら,抵抗器の定格電力とその温度係数を考慮して,負荷電力を決める。
精密用途での一般的な抵抗は金属皮膜抵抗であるが,その温度係数は±50ppm/°C程度である。実勢値はメーカー,抵抗値で異なる。
×ばつ50ppm/°C=0.1%で,0.1%精度の抵抗を使う意味がなくなる値である。
サイズによるが,数秒から数10秒の温度ドリフトも発生する。
したがって,このようなケースでは,抵抗器の電力ディレーティングはかなり大きくし,定格の1/10程度以下で使わないと自己加熱による影響が出る。
また,0.1%精度の抵抗器を使う際には,抵抗器の経年変化も考慮しておかなければならない。金属皮膜抵抗の経年変化は最初の1年で0.1%オーダーで変化するとされる。メーカーや抵抗値,そのサイズによりかなり違うという。概略の傾向は時間の対数に比例するらしい。
精密抵抗は,抵抗体をトリミングして精度を出している。シート抵抗値はそんなに大きく変化できないので,サイズの小さい抵抗ほど精度維持が難しくなる。トリミングもデリケートになってくる。
電子回路部品の中でもっとも単純で,回路の基本動作を決める抵抗ですら,0.1%を越える精度を求めるなら,このような配慮と,部品の長期的変化を見極めておく必要がある。
精度を出すためには,それなりの部品を使う必要がある。
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2008年6月23日 (月) 電子回路 | 固定リンク | コメント (0) | トラックバック (0)
アナログ回路システムの中でひとつの設計の勝負どころは可変抵抗の使い方である。
回路中で使用する部品の偏差に伴うゼロ点誤差,スケーリング誤差,非線形誤差を消去,校正するための調整機構である。
可変抵抗:VR(バリアブル レジスタ)は固定抵抗の定数選択過程よりも複雑な設計過程を経て決定される。
希望する調整を量産で行うには,その回路システムの最悪ばらつきに対応できる調整範囲をもっていることが望ましい。
通常は,最悪ばらつきに対して,カバーできる定数を選択するが,VR自身もかなり大きなばらつきを有している。
また,VRは1回転なら,角度の1-2°位が作業者の調整できる限界であろう。
多回転形ならこの要素は1桁近く軽減されるが,今度はVRの抵抗体とセンタータップのワイパーの機械的安定性が角度設定能力以上であるかが問題になる。巻き線型の物は,低抵抗領域で人間の手による設定能力より,巻き線ピッチによる量子化のため,人間工学的に見たピッチより少ない分解能しか持たない場合も少なくない。
VRを含む回路部分の回転角に対する調整能力が非線形になることも少なくない。このような場合には,調整分解能を一番厳しいところで所望の感度に設計しておかなければ,非常に面倒,かつ再現性の少ない調整機構となるであろう。
このような配慮を行うには,VRを含めそれの位置を変数とした回路解析が必要であるとともに素子感度解析が必要である。
複数のVRを用いて,いくつかの調整を行う場合もある。VRの挿入箇所と調整手順が悪いと,調整機構間の干渉が生じ,同じ手順の調整を複数回繰り返すことになる。これでは生産効率が悪い。
さらに,ハイブリッドICあるいはトリミングプロセスをもつ回路では,一方向にしか抵抗を調整できない場合も多い。
調整機構の優劣は,使用者にとって見えない部分であるが,生産性を考えるときかなり影響するファクターであるとアナログエンジニアは考えている。
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ヒステリシスコンパレータは,オペアンプを用いた増幅器と比べ入力端子の符号のみが入れ替わった形をしている。
非反転ヒステリシスコンパレータでは,入力信号をR1経由でアンプの+入力端子に接続,出力からR2経由で+入力端子に接続し,-入力端子をGNDに接続する。
正帰還なので当然仮想短絡は成立しない。
入力が十分負側から増加してくる時,出力は+入力端子が負になっているので-振り切れ(VOL)になっている。+入力端子が0よりほんの少し+になると出力は+振り切れ(VOH)となる。このときの遷移点VTHは
VTH=-VOLR1/R2である。
正側から入力が減少してくる場合には,遷移点はVTL=-VOHR1/R2となる。正帰還なので基本的に中間点はなく,線形増幅で安定である必要はないので,高速を必要とする場合にはコンパレータ専用の品種を使う。
オペアンプなら遷移時間の目安は(VOH-VOL)/SR SRはスリューレートである。
オペアンプの使い方には,1負帰還をかけてる使い方2オペアンプをオープンループで使う方法,3正帰還をかけて使う3つの形態がある。
2,3の使い方は回路の後段の方によく出てくる。デジタル回路とのインタフェースをとるためである。
デジタルICとのインタフェースを行うには,コンパレータのレベルをデジタル信号レベルにあわす必要があり,各社が種々の回路形式でレベル変換を行っている。
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我が家の子猫,チャー君は生まれて満4ヶ月の雄。
室内で飼うつもりなので,去勢の時期を動物病院に相談に行った。
動物病院では,医師も看護師も見事な扱い振り。チャー君も神妙にしている。
去勢手術は満6ヶ月くらいが適齢期のこと。チャー君は離乳直後に貰ってきたので,社会性を母猫や兄弟から教えてもらっていないようだ。我が家では,猫の爪切りができていない。少し遊びに夢中になると,飼い主が引っかき傷だらけになる。
動物病院で爪きりもやってもらった。特殊な爪きりで手際よく10本の爪を切る。
家に戻ってきてから,チャー君は神妙にしている。爪の鋭さを生かした掛け上がりができないので,かなり自重した行動をしている。これで,しばらく,飼い主の引っかかれ傷は激減するだろう。痛い思いをせずに遊んでもやれる。
子猫を叱るには,首筋を押えるのが基本だそうだ。叩くと逆に野獣的な部分がでる。
猫さまざま。初めて出会うタイプの猫である。
自宅で猫の爪切りができるようになるまで,必要に応じ動物病院で爪を切ってもらおう。
人間様の体を,爪を立てて垂直登攀されるととても痛いのだ。
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仮想短絡の成立する条件は,着目する帯域で差動増幅器の利得が十分にあって,かつ負帰還が正常にかかり,オフセット電圧などを考慮しない場合にのみ成立する。
出力有限,電圧利得無限大では,負帰還が正常にかかれば,オペアンプは±入力端子の電圧差を0にするように出力を制御する。
当然,扱う周波数が高くなれば,オペアンプのGB積から利得は落ちてくるので,高周波では仮想短絡は次第に成立しなくなる。その場合には,90度位相ずれのある,有限利得アンプとして扱う必要がある。
しかし,私は少し複雑なオペアンプ回路を仮想短絡の概念を使って今でも解く。
おもに,周辺回路の受動素子のばらつきの定量的検討を行うためである。DC的に必要な素子精度は厳密に計算できる。受動素子による温度影響の形態も定量的に検討できる。
アナログエンジニアが仮想短絡による解析を行うのは,ひとえに計算量の縮減が必要であるからである。やればできないことはないが,高次連立方程式を解き見通しを得るにはかなりしんどい作業である。
したがって,周辺回路の設計上必要な素子性能を決める際には,オペアンプの2次特性を同時に考慮して計算することはほとんどない。またやらない。
あくまで,入出力関係の基本解析にこの概念を用いる。
DCでは,抵抗測定精度が高ければ,10^-5程度まで理論と実際が合致する。
しかし,オペアンプでたとえば20kHzを扱うなら,有限利得の問題やオペアンプの大振幅動作の問題に直面する。
仮想短絡の概念は,オペアンプの品種を選択するための指針は何も与えないが,その分,周辺回路のばらつきの影響などを詳細に解析できる。
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この少子化の時代,大学の総てが今の定員を充足できるとはとても想定できない。
分数のできない大学生,これが話題になってから久しい。
しかるべきときにしかるべき事柄をマスターし,つぎのステップに進むことが本来の教育であろうと考えるアナログエンジニアである。ふつーの人が大学入試に10年かけたなら,誰もその人の能力を信じ採用することはないだろう。
工学系で考えると,高校物理は不可欠な素養である。高校物理を課さない入試は,その大学にとって後年大きな負担をもたらす。入試の多様化を否定するものではないが,基礎学力,素養を高校で身に付けていない学生を大学レベルまで引き上げることが本当にできているのか。疑問に思う。
研究者としての訓練を施す修士・博士課程ではどうか。
教える側から見れば,科研費の獲得しなければ,研究室の運営にも支障をきたすのではないか。
総ての博士・修士課程の学生が研究者になるとは限らない。
むしろ,エンジニアとしてその後の人生を送るケースの方が多いだろう。
工学者としては,出来て当たり前の技術素養と感性が必要である。
親が,本拠地から離れた大学に子供をいれ,下宿代などを負担するなら,新人大卒を雇うくらいの費用がかかる。この親の投資が回収できないケースも多くある。これも少子化の一因か。
訓練・教育を受けるに際しては,その時期その時期においてマスターしなければならないことがある。
工学なら,高校時代に物理できれば化学も一通り学んでいただきたいものである。そして大学に入ったら,自分の使うパラメータの測定の原理と計測限界も知ってほしい。
母数が減少している今,ゼロベースで大学教育を見直しても良いのではないか。
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差動変圧器は古くからある電磁式位置センサで,電気マイクロメータなどにも使用される。
日本語よりも,英語表記のリニア(L),バリアブル(V),ディファレンシャル(D),トランシフォーマー(T)の略語が,その動作をよく表している。
ソレノイド状に巻かれた1次コイルの中心部にフェライトコアがあり,そのフェライトコアは1次巻き線より短い。センサとしての2次巻き線は軸方向に2分割されていて,フェライトコアの変位に応じて,2つの2次巻き線に誘起電圧がでて,その差を原初信号とするのである。
磁場を経由して,差信号が生成されるので,2次側には1次コイル印加電圧と同期した信号が出るわけではない。
また,構造的に工夫すればフルスケール1mmから10cm程度までをカバーできる。
2次コイルの振幅差を見ている限り,電気的原点を頂点とするV字型の出力特性になる。
アナログエンジニアはそこで考えた。
磁場センサなら定電流正弦波駆動,2次側は整流後引き算を行うか同期整流しかない。
1次側定電圧駆動なら,その抵抗成分を考慮しなければ,周波数が多少変動しても出力変動は少ない。
問題は同期整流の基準位相をどこから得るかである。
私は,2次側から同期信号を生成した。これにより,1次側のL成分とR成分に依存する位相ずれの問題が解消できた。
電磁センサの弱点である,入出力位相の問題を解決できたのである。
正弦波定電流励起と,2次側同期方式の組み合わせで,安定な信号を得ることができた。
この判断を下す際には,1μm単位での10数mmまでの特性を,治具を使って取得した。30年前の話であるが,今も私のLVDTを使った圧力センサが実プラントで稼動しているらしい。
電磁センサには種々のものが存在する。耐環境性がよく,汚れにも非常に強い。
当時の上層部からはLVDTを心臓部に使うことに,強い反対が在ったが,基本実験により自信を持って短期開発に取り組むことができた。着手から半年で,特殊な耐環境性をもつ圧力センサを構築できた。電磁センサはある程度の特性解析が可能であることと,材料の信頼性を再確認する必要が無かったことが幸した。
基本電磁センサはそう多くないが,ひっそりと,シズテムの重要部分に使われている。電磁センサとはそういうものである。
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マトリクスという名の映画がある。2作目まで出ている。
首筋に付けたプラグ経由で,人間と,CPUが生成したバーチャル世界を結び,そのバーチャル世界での戦いを描いた物語である。
SFの世界である。
コネクタ経由で人間の全感覚と相互リアクションをもつシステムが近未来に出現するとは思えないが,モデルベースで表現できる世界はその時代の最先端技術よりかなり劣る。CPUで生成する画像,刺激はそこはかとなく現実感がない。
たとえば,双眼鏡で遠景を見て,一粒の砂を手に取り,それを顕微鏡観察すればどうなるか。その人が走査電子顕微鏡を使って観察するなら,対象物のモデルははどうするのか。透過型電子顕微鏡では,原子の格子像が見える。そのボケ具合をどのようにして表現するのだ。原子1個1個の挙動まで,初期値を与えて膨大な計算をするつもりか。このような場面では,CPUはかなり当てにならないだろう。
マトリクスはSFの世界で在るから,それはそれとしてエンターティメントの番組として受け止めればよいが,現実の世界ではそうも行かないであろう。
私の身近な例では,アナログ回路シミュレータ:SPICEのモデリングがある。
デバイスのモデルパラメータが現実と合っていなければ,その時点でその解析は無意味となる。
しかし,たとえば,トランジスタでありさえすれば,妥当な結果を得ることのできる回路も数多く存在する。
だが,ひとたびデバイスの性能限界に近い解析を行おうとするなら,SPICEのモデリングの内部情報を知らねばならない。トランジスタ1石の回路であっても,実回路に合わせてパラメータチューニングをしなければ現実に合わない場合もある。
測定方法も含めての理解なくしては,CAEの威力は発揮できないだろう。
たかがCAE,されどCAE,モデルが予測する現象は起こりうると考えるアナログエンジニアである。
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昨日は孫のお宮参り。
お宮参りのあと,子供写真館で記念撮影。
担当者は巧みな技で,赤ちゃんのポーズと表情を整えながらエアレリーズを押していく。
顔の向きを手で修正し,赤ちゃんの表情を巧みなしぐさで引き出して,1秒あるか無しの瞬間を捉えていく。
うまいものである。子供写真館と称しているだけのことはある。
撮影順序も手馴れたものである。
娘夫婦と孫の3人のカットで赤ちゃんを安心させてから,メインの赤ちゃんの単独カット。生まれて40日の赤ちゃんでも表情はくるくる変わるが,顔の向き,衣装の修正,そして軽く赤ちゃんの顔に触れて表情を引き出して,パチリ。
最後のカットは,赤ちゃんを中心に集合写真。
婿の母親が孫を抱き,やや高い位置からの撮影である。大人の立つ位置などに細かい指示がである。
孫の方はといえば,1時間足らずの撮影中ぐずりもお眠りもなく主役を果たした。
きっといい写真が残ることだろう。
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Dcdc_2 降圧形DC-DCコンバータの基本解析は,出力電圧Voの変動が小さく,かつインダクタンスLを流れる電流が断続しないとの仮定で行われる。
V=LdI/dtの基本式より,SWがONの時にLにかかる電圧は(Vp-Vo)であり,オン期間TONでの電流増加ΔIONは
ΔION=(Vp-Vo)TON/L・・・・(1)
SWのオフ期間TOFFでは,電流はD1,L経由で負荷にながれる。この期間の電流変化を見れば,
ΔIOFF=-VoTOFF/L・・・・(2)
定常状態では電流の増減は無いので,ΔION+ΔIOFF・・・・(3)
以上3つの式から
Vo=VpTON/(TON+TOFF)=Vp・D ・・・・・・・・・(4)
ただし,Dはオン期間の時比率である。この式からは,Lなどの決め方が判らない。
電流連続の仮定が成立しなくなる条件はRL(1-D)=2Lf f:SW周期である。
負荷が大きく変動するDC-DCコンバータでは,Lの電流が断続する条件とDの関係も考慮する必要がある。
この場合には,1周期のエネルギー収支から計算するが,同じ出力電圧を得るには,オン期間を狭くする必要がある。
ここまで来て,やっと設計上考慮すべき点が見えてくる。
VpやVoが低い場合には,ダイオードでの電圧降下も無視できない。
最近では,DC-DCコンバータは,ICメーカーが用意した制御ICとわずかな外付部品で制作できるので,原理からDC-DCコンバータを作る機会が減っているが,理解して使うに越したことはないと考えるアナログエンジニアである。
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我が家の茶トラのチャーチル君は生まれてやく3ヶ月。
運動能力に頭脳・判断力が追いつかない状況がつづく。
水平ジャンプは1.2mなら,爪を出さないでこなす。
垂直登攀能力は,90度のクロス(それも樹脂製品)に足を掛け,天井まで上る。
高いところに登攀すると,得意げに人間様を見下ろす。
我が家には安全地帯がない。いつ猫がジャンプして,落ちそうになると前足の爪を立てるからだ。
子猫のチャーは,まず鼻でチェック,その後横殴りの前足がキュキュッと出てくる。
この猫パンチが意外に危険で,少しでもかすると,人間様の皮膚に血がにじむ。この猫3度叱られないと,自分の意思を通す。
今まで飼った猫とは少し異なる。
人懐っこいが,歯と前足で親愛の情を示すのだ。歯も爪も鋭く引っかかると,肌に食い込むのでかなり厳しい。
親愛の情を示すことも多いが,それも野生的表現で,これまで飼った猫とは違うタイプのようである。行動を観察していると,そこそこの知恵は働いている。
最近のご興味は,パソコンのカーソルの動きである。キーボードの前に陣取れれて,足でキーボードを踏まれるので余計な手間がかかる。
猫さまざま,アナログ回路さまざま。
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電源システムの言葉を聞いて何を想起されるだろうか。
大本の電源(電力)は,火力・原子力・水力発電所であり,そこで発電された電力が工場,家庭に供給されている。
潮汐発電所と地熱発電所以外はおおむね,素人向け以上のプラント見学をしたことがある。
原子力:起動に時間がかかる。放射性廃棄物の管理は不確定,ウランの残存資源量はそれほど多くないが,非核分裂性のウランに中性子が吸収されるとプルトニウムができる。扱いはウランより難しいとされているが,このプルトニウムを燃料として使えば,当面は残存資源量を気にすることは無い。基本的に建設材料以外には炭素を出さない。低炭素社会への適合性が高い。
火力:一般に熱効率が高いが,いかんせん排出ガスの問題が残る。LNG火力ではすでに効率50%を越えている。
石炭火力はもっとも安価に建設できる設備とされているが,日本では排ガスの脱硫・Noxへの対策が必要となる。
起動に必要な時間は以外に短い。毎日起動,停止を行えるレベルで,冬場に効率が上がるのでLNG火力では,冬場にメンテナンスされる場合が多い。
水力:起動時間が非常に短く,炭素排出はほぼ0である。水源の立地に制約があるので,最近では,深夜電力による揚水発電所の出力が主流を占めていると聞く。
風力:風任せで最大設備容量に比べて平均的発電量は少ない。しかも秒単位で発電電力が変動し,他の発電システムと電力送電網に負担がかかる。
太陽光発電は,政府の施策によりドイツではかなり普及した。風力よりは安定な電源であるが,分散型電源であるので,電力網に送電するには意外に費用がかかる。
種々の発電装置をミックスして当面は少しでも低炭素化して欲しいものであるが,厳しい情勢であろう。
安全装置が不調のまま運転するなどとんでもない話であるが,新潟地震での原発停止・点検は素人ながら妥当と印象を持っている。
私は原子力に対して中立的立場であると思っているが,それでも原子力施策・運用の透明性を向上させ近未来のエネルギー確保を願う。
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偏磁という言葉を使っている限り,パルストランスの本質はわからない。アナログエンジニアはそう思っている。
B-Hカーブでの現象だが,そのサイクルの中で直流成分が存在すると磁気飽和を起こす可能性がある。
片極性で駆動するパルストランスの場合には,基本的に1サイクルで励磁電流を元に戻さなければならない。
例外的に数サイクルで励磁電流を回収する回路も存在するが,あまり推奨はできない。
偏磁という言葉は,トランスの破局的現象を示す言葉であり,トランスの1次コイルが短絡状態になる現象を刺すものと私は思っている。
消磁されたコアの状態からスタートして,励磁電流を2次側無負荷で電流を観察すればパルストランスがどのようなB-H曲線上で動作しているかがわかる。
この方法はB-H曲線を取得する基本的な技術であるが,一般的な電子回路技術者の方で知っている方は少ない。
方形波電圧をパルストランスの1次側に入力したとき,その時間応答電流波形はB-H曲線の裏返しである。電流波形が時間とともに急増するならば,透磁率が減少している状態でコアを使用しているときで危険な状態である。
同じ解析手法は,商用周波数トランスにも当てはまる。商用周波数帯で使われるコア材料は鉄合金の積層財であるから,飽和磁束密度は約2テスラ。お行儀の悪いというか,トランスを知らない設計者に強要されてというか,消磁された状態から起動することを前提にしていないトランス設計もありうる。下側飽和点と上側飽和点の間を使用磁束とするなら,かなりの小形化ができるが,その代償として起動条件によっては,極端に大きな起動電流が流れる。
パルストランスの設計はすでに枯れた技術であるが,その背景にはさまざまな設計戦略がある。
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