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オペアンプ回路を,+入力端子とー入力端子が同一電位になると仮定して解く方法は有用であるが,限界もある。
仮想短絡の概念を用いると,少ない計算量で入出力の関係式を得ることができる。
関連する抵抗や部品をR1,R2・・・・などと置き換えると,入出力に関連する周辺素子に必要なインピーダンス比や抵抗精度を計算できる。
この計算は,必要な部品の精度を選定するためにおこなう。
しかし,仮想短絡を用いた計算では,オペアンプの選定基準と抵抗の絶対値を決める情報は含まれていない。仮想短絡はオペアンプの特性を理想化した結果,近似的に得られる概念である。
その前提は無限大の電圧利得,出力能力,オペアンプの電圧製誤差や電流性誤差は含まれず,かつ負帰還が安定にかかるとの条件がある。
しかし,計算量が相対的に少ないので,回路の基本機能を把握し,素子感度計算まで行える。
この理由で,初めて出会う回路の解析にアナログエンジニアは,オペアンプを含む回路計算には今でも仮想短絡の概念を用いて回路を解きほぐす。
仮想接地を用いる解析では,そのバックグランドとして必要な知識は少ない。オームの法則の正確なり回路とキルヒホッフの法則,それに高校物理・数学程度あればよい。
仮想接地の考え方を用い,オペアンプ回路になじみ,一気に非理想的オペアンプの効果を目指すことが,新人を想起に戦力化することに繋がると信じている。
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表面実装では,リード線有りの部品を使う場合に比べてプロトタイプ試作をやりにくいと感じている。
抵抗・コンデンサはともかくとして,半導体デバイスだけは実デバイスで試作する必要があるからだ。チップ部品の半田付けは相手があまりにも小さいので,老眼の私では無理な状況。かと言って,いきなり回路ユニット全体を試作することはリスクが大きい。
何とか試作基板で回路のブロックの特性を確かめ,見落としがないか,発振の可能性がないかチェックしたいものだ。
アナログ回路では予想外のことがしばしば起きる。とくに自分にとって初めての回路は厳しい。
ならどうするか。
トランジスタ・ダイオード・オペアンプなどの部品を基板に小型基板実装し,足つきに変換してユニバーサル基板に実装するのだ。これなら,高周波対応はできないが,足つき部品の時代の試作手法が生きる。もちろんビデオ帯域以上の高速回路ではこの手法はつかえない。
それに,精密アナログ回路では,種々の特殊部品を使う。たとえば超高精度抵抗はリード付従って大型の部品となる。
高電圧に耐える抵抗もかなり大きい。自然空冷ではチップトランジスタのサイズでは許容電力は1W程度までだろう。
熱設計もやりにくい。従って,種々のアナログ回路では,表面実装とリード線付部品の混在基板となって製造面での効率を上げにくい。しかし,アナログ回路は部品の性能に依存しているので,この課題を経済的に折り合えるように工夫をしていかなければならない。
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聞きなれない方もおいと思うが,雲母を誘電体にし,電極は銀を蒸着したコンデンサである。
安定で,ほぼ0温度係数で1%または1pFいずれか大きい精度得られる。
Qが比較的高いので,かなり理想的なコンデンサである。
当時の製造範囲は0.1μF〜10pFと記憶している。
コンデンサとしてはほぼ総ての面で優秀な特性を示すので,広い温度範囲で容量値が問題になる回路の切り札としてアナログエンジニアは幾度か使ったことがある。
個別部品で組むアナログ回路は,厳しい仕様が求められることが多いが,部品の選定には自由度がある。その分,部品の種類や特徴に対する知識は日頃から気に留めて,情報収集しておく必要がある。
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アナログエンジニアは常に計器の接続負荷効果を意識して測定する。
電圧測定なら,計器の入力抵抗Rmが,被測定回路のインピーダンスRxに対して100分の1以下あれば,誤差は1%以下である。デジタル(テスタ)電圧計ならRxは10MΩなので100kΩの回路を測定すると約-1%の誤差を発生する。
回路が分圧回路であれば,2つの抵抗比が大きければ,低いほうの抵抗値を基準として考える。同程度の抵抗値なら若干補正を加えて,Rmの1/2程度と比較する。こうすることにより,暗算/概算によって現在測定している対象の値に系統的誤差がないか常にチェックするのだ。
抵抗の両端電圧を測るなら,オームの法則に従って,I=V/Rで電流を暗算して求める。
×ばつ10の状態で測定する。特に対象とするコンデンサの容量が数100PF以下では,オシロスコープの入力容量が大きな+の系統的誤差ををもたらす。
計器の負荷効果の速算は,可動線輪形電圧計(いわゆるアナログ指針電圧計)では必須の作業である。これをその場でチェックしているのである。
デジタル計器が普及した現在では,1%ではなく0.1%誤差がきちんとした負荷効果補正の基準となろう。
比較的易しい電子計測においても,負荷効果,絶対確度は常に考慮しなければならない。
質量計測なら,空気の浮力補正,重力加速度の測定値を補正しなければ0.1%精度の計測は困難だ。
その場で,自分の測定対象とそのとき使用する計器の補正計算ができて,測定値の正確な判断ができる。
今の大学では,測定する技術を多くの場面で教えていない。
測定は何らかの影響を被測定対象に与える。また温度の影響を受ける。
0.1%の測定精度はきちんとした訓練と計器のトレーサビリティがないと,かなり難しい。
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Photo オペアンプは理想的なものとして,オペアンプの2つの入力端子a,b間電圧が0となるように(仮想短絡)出力が制御されるものとして,この回路を文字式のまま解く。
この操作,式の変形ができない方は,キルヒホッフの法則を十分理解していない。
結果は
Vo=-R2V1/R1+(1+R2/R1)(R4/(R3+R4))R3+R4V2・・・・・(1)
となる。この回路の目的はVo=k(V2-V1)となるように抵抗比を定めることにある。
すなわち,R2/R1=(1+R2/R1)R4/(R3+R4)を満足するような抵抗比の関係を求める。
その条件はR2/R1=R4/R3である。
抵抗比の関係が崩れたときにどうなるかはV1,V2に具体的な数値を入れて,式(1)にR2/R1=(1+δ)R4/R3とおいて計算できる(δは微少量)。この計算を行えば,必要な抵抗比精度が求まる。
オペアンプが理想的なものとして,周辺回路に必要な抵抗の精度を予測するのが定石である。でないと,計算量が多くかつ見通しの悪い結果しかえられない。
使う抵抗の精度を決めるだけでもこのような計算をこまめに行うのである。
このような計算を行わない設計は信用できないと考えるアナログエンジニアである。
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Photo 図はツェナーダイオード安定化回路。
破線部は起動回路。
出力Voは低インピーダンスで,GND基準のツェナーダイオードより高い電圧が得られ,ツェナーダイオードは定電流駆動される。
現在は,バンドギャップ形基準電圧ICが高性能化したので,あまり使用されることはないが,面白い回路である。
本体部分は,温度補償形ツェナーダイオードDZの電圧を非反転増幅器で増幅し,その出力からRs経由で一定電流を流す。温度補償形ダイオードは,規定の電流を流さないと0温度係数にならない。その内部構造はツェナーダイオードに1〜3個の順ダイオードを直列にして,ツェナーダイオード本体の+の温度係数とダイオードの順方向電圧の電圧を打ち消す。規定の電流を流さないと,多すぎる場合には+の温度係数となりやすい。
ツェナーダイオード単体で0温度係数となるツェナーダイオード電圧は5V強の電圧であるが,動作抵抗が比較的大きいので,よりシャープな降伏特性を持つ,したがって+の温度係数を持つツェナーダイオードとダイオードの組み合わせで高性能を実現してきた。この条件を満たす電圧は6.4V,8.3V,9.1V付近にある。
最初にツェナーダイオードに電流が流れなければ,VZ≒0,したがってVo=0,Rsを流れる電流もほぼ0であるから,0出力も安定状態のひとつである。破線の起動回路を組み込むと,起動時にはDを経由して電流がながれ,ツェナーダイオードの漏れ電流より大きい電流を確実に流し込むことによりDZ電圧を立ち上げる。
r1,r2の分圧電圧をDZより小さくしておくと,起動後はDにより起動回路は本体より切り離される。巧妙な先人の工夫である。現在でもこのような起動回路が形を代えて3端子レギュレータICに組み込まれている例もある。
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しばしば,定数決定方法と発振対策法の指導を依頼されることがある。
どちらも,アナログ電子回路では最大の課題でありかつ高度な知識・戦略を要する部分である。
回路定数決定の前に,回路構成の概略を決める必要がある。そして,アナログ回路で分担すべき機能と演算精度を把握しておかなければならない。
回路構成が設計者自身にとって新規なものであれば,文字式のまま入出力関係を求め,回路各部のインピーダンス比を求めておく。この段階でインピーダンス比の必要精度が決まってくる場合も多い。
消費電力にも注意が必要である。ダイオード・トランジスタの定格を考慮してディレーティングを行う。オペアンプを用いるなら,その品種のデータシートから使用条件でのDC特性や演算速度を推定する。
これらの過程は,定数決定法の一部である。
アナログ回路の場合には多くの項目がトレードオフ関係になっているため,ある項目を優先しすぎると他の項目での部品選択が厳しくなる。多くのトレードオフ関係にある項目群をバランスよく纏め上げる仕事が定数決定である。
速ければ速いほど良いなどの感覚はアナログ回路で通用しない。必ずS/Nが犠牲になる。
アナログ回路では,回路構成が悪いと解が存在しない場合もある。存在しない性能の部品を要求する結果となる場合も少なくない。また,各会社で汎用的に使う部品を使えるところには極力使う配慮も必要である。
このような設計感覚を取得するには,良い指導者の下,数年の自己研鑽と実務が必要であると経験則から考えるアナログエンジニアである。
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_2334 車のリモコンドアロック,A自動車会社製のもの複数車種で不具合がある模様だ。
写真は,そのリモコン鍵である。この形状を見ればどこのメーカかはユーザーの方であればわかる筈だ。
不具合状況は,鍵のリモコンボタンでドアロック操作を行うと,数秒後,時たまドアロックが解除になる。私の知人で3名以上の方が経験している。
ディーラーのサービスに伝えた方も複数いるが,サービス工場では不再現なのでまともには取り合ってくれないらしい。
治安の悪い国であれば,リコールを要する生命に係わる不具合についで重大な不具合だと思う。
私の知人だけでも同一不具合を経験しているので,全国では1万台あるいはそれ以上の台数で生じている不具合である可能性が高く,製造メーカもこの現象を把握していないことはありえないと考える。サービス工場の対応の仕方から,この不具合を無視するマニュアルが存在するかも知れないとかんぐりたくなる。
この手のリモコン装置は送信機(鍵)と車載受信機からなり,車載機には鍵のコードと4ないし5のドアロック機構の駆動回路があると思われる。状況から見て,鍵側のボタンの2重押しは考えにくいので,何らかのシステムバグの可能性もある。
A自動車会社の対応には,不誠意を感じる。不具合隠しの常套手段はクレームを無視することから始まる。
超一流メーカーといえども,次の買い替え時期には別メーカに乗り換えることを考えているユーザーが多数存在することを覚悟すべきであろう。
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追記:このような経験された方からのコメントをお待ちしています。
私の父は金属スクラップブ回収業をしていた。
使えなくなった金属類を扱っていた。多かったのは金属の切削くずだったが,中には,半製品のままの物や,つかえなくなった機械部品のくずもある。このような金属くずの多くは,寿命を迎えた製品の姿をとどめる。
電気防食に使用した亜鉛の塊がほとんど侵食された残りくず。
キャビテーションにより侵食された青銅のスクリュー。
磨耗した大型モータ整流子。
モノが寿命を迎えたものを見て私は育った。
成長して,電子回路屋となった私は,若い頃から自分の設計したモノの壊れ方にセンシティブであり,また興味を持った。
機会があって,広い時間範囲での種々の電子部品の破壊限界を実験したことがある。
方形波で実験すると,多くの電子部品は,両対数グラフ上で2本の折れ線で近似できる特性を示す。
このような実験には強力なパルス電源が必要であるが,大容量のコンデンサバンクと大型半導体を並列接続して制御した。データ1点につき,1個の部品を少なくとも壊す。時間を一定にして,少しずつ瞬時電力を上げ破壊限界を調べるのである。
破壊限界と時間の関係が,種々の部品について知っていると,電子回路の耐サージ設計を系統的に行うことが出来る。
このときのデータはずっと昔,ある委員会で公開してあるが,今は手元にない。しかし,系統的な耐サージ設計を行うと,悪環境での不慮の事故,原因不明の電子回路の破損を防止することに大きな効果があると今も信じているアナログエンジニアである。
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ダイオードのデータシートには,ふつう絶対最大定格と電気的特性および特性例が記載されている。
絶対最大定格(通常Ta=25°Cで規定)は,この値を超えたら,素子が破壊する恐れがあると考えるべき数値で,使用する側は,これにディレーティングと称して,実使用温度を考慮して余裕のある状態で使用する。
電気的特性の記述は品種によってメーカーによって異なるが,最大,最小,典型値の一部が記載されている例が多い。
最小が記載されている項目は,逆耐電圧などが多い。最大値が記載されている項目には,たとえば高速ダイオードの逆回復時間などがある。この場合は,いくら速くとも差し支えのない使い方をしなさいとの意味である。
特性グラフは例として記載されているので,環境温度変化などに関する特性変化の目安になる。
半導体物理を多少知っているなら,半定量的に傾向はわかる。
商用整流が目的のダイオードでは,サージ電流に関する情報が多く記載されている。これは電子回路では,コンデンサ平滑のため,起動時に大電流が流れるので,平均整流電流の定格を簡単に超えてしまうため,使用者の便宜を図ってくれているのである。
データシートは回路設計の基本になるものであるが,設計に必要な項目がすべては記載されていないの普通である。
大量に使用する場合などでは,当然,半導体メーカはさまざまな+αのデータを持っているので,信頼性データや特性分布などの情報を入手できる場合がある。電子データシート化された現在はアクセスしにくくなったが,故障モードやその比率,信頼性の温度に関する加速データなどの例が,ハンドブック前章やご使用上の注意など記載されていることも多い。
親切なデータシートでは特性の測定回路まで記載されているので,参考になる。
データシート上に記載された情報は貴重で,電子回路の高信頼性設計には欠かせないものである。
必要に応じ,自分の使用条件での特性データを統計処理できる程度のサンプル数のデータを取得する執念を電子回路屋さんに期待したいと考えるアナログエンジニアである。
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パルストランスやQの高いインダクタンスにおいて、周期的に一定電圧がコイルにかかる場所があると、そのコイル電流をオシロスコープ観察すればインダクタンス値を測定できる。
V=LΔI/ΔTだから電流の変化率とコイルにかかっている電圧Vと電流Iの時間変化率が判れば、インダクタンス値が求まる。
ΔTは数10μ秒から1μ秒くらいであるが多い。
このようなインダクタの電流波形を計るには、適度な電圧降下をおこす小型の低抵抗を挿入して波形観測するのである。この抵抗値と測定場所の選定は,回路の理解が不可欠である。
ここで、適度な低抵抗を選ぶには、インダクタンスの外形や巻き線の太さや使用条件などからインダクタンス値を大雑把に推測することも必要である。
密結合のパルストランスなら、このような波形を観測すればB-Hカーブを反映しているので、使用条件でのコアの状態が判る。電流が急増するなら例えば飽和に近い状態であると判断する。
インダクタンス電流の繰り返し波形を見るためには、電流を増加させた後に元の状態まで電流を減少させなければならない。この結果、SW電源やDC-DCコンバータにちかい回路構成で試験することになることが多い。
インダクタンスの性質を理解するには、電流観察が重要と考えるアナログエンジニアである。
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実世界ではデーターは再現するとは限らない。同じ条件でも時間の経過とともに変化することもある。
したがって,定数を期待する実験なら本来1個の測定で済む。しかし,アナログエンジニアは時間を置いて少なくとも2点のデーターをとる。その結果が測定精度以上に異なれば,複数個とる。データの再現性を把握するためである。
線形関係を期待するグラフは2点のデーターがあればよいが,ふつう3点以上のデーターをとる。線形関係からの外れ具合の大きさを確認するためである。通常エネルギーの小さい方から測定する。そして最高点でしばらく時間を待ち,逆順でも同じ測定を行う。測定値が過去の履歴をもつヒステリシスの有無を確認するためである。
少なくとも1個は冗長なデーターを取得し,より高次の系統的誤差を見逃さないためである。
電子回路では比較的再現性のある実験が多いが,それでも結構な頻度でこのようなことを行う必要がが生じる。
今はパソコンでのデーター処理,すなわちオフラインでのデータ処理が普通であるが,少なくとも数点は関数電卓を用いて測定しながら概算して,取得するデータ系列を考える。
間違いと思われるデータは2本線を引き,その上に再測定値を書き込む。
もちろん,測定日時,気温など(測定前後とも)を記入する。複数人で実験を行うときには,お互い復唱しながら実験を行う。
2度とできない実験や再現しない実験もあるので,このようなことが必要であろう。
このようなことは実験のイロハであるはずだが,多くの技術系新人で実践できない人が多い。大学での基礎実験でやっているはずの実験の基礎訓練は,いまはどうなっているのだろうか。
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2008年7月14日 (月) 工学 | 固定リンク | コメント (0) | トラックバック (0)
高価なインピーダンス測定器がなくともインダクタンスはそれなりに測定できる。
交流電圧源と抵抗と供試品,それに汎用の交流電圧計があればよい。
交流電圧源から抵抗とLを直列駆動する。
その状態で交流電圧とLにかかる電圧を測定する。
測定原理は単純である。
V=(R+jωL)Iである。
Iは既知の抵抗Rの両端にかかる電圧からオームの法則から計算できる。
VX=jωLはインダクタンスの端子電圧である。
R>>|jωL|なら,VX=ωLIである。
この方法のポイントは,R>>ωLの条件で測定する点にある。複素計算は不要である。
R>>ωLになっていなければ,Rを変更する。
この方法は,実回路中でLの値を確認できる場合もある。
アナログエンジニアは,他人が制作した回路をチェックするとき,このような方法で定数も概略の確認を行っている。定数間違い,Lの電流定格オーバーは電子回路では致命傷となる。
簡易測定でも,1%精度でのチェックはそれなりに可能であると考える。
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新幹線の改札は自動改札である。
これまで大きなトラブルに出あったことはない。
しかし,先日,いつものように東京駅の自動改札をとおり,1枚の旅客切符と1枚の特急券を入れて乗り継ぎをしたはずだった。
乗り継ぎ特急列車の中で検札を受ける。私の持っていた切符は自分の切符ではない。行き先が違う。新幹線の改札を通過したときの入りの時刻も3分違う。車掌さんは東京駅でどの改札口の何番の自動改札を通ったかしきりにたずねる。しかし,どの乗換口を通ったか定かではない。
どうも,在来線乗換改札で,出てきた切符が前の人の切符のようである。
この手の自動改札機はトラブルがあるとゲートが開かないのが通例であるが,自分の切符でない切符が排出されてゲートを通過できたトラブルは初めてである。
車掌さんは無線?で東京駅に何度か問い合わせてくれたが,その切符は発見できなかった。
約1時間後,目的地に到着。事前に車掌さんが駅に連絡してくれてあったので,無事に駅を出ることができたが,あまり愉快な出来事ではない。
今後は,新幹線の改札を通ったら自分の切符をチェックするようにしよう。
機械は確率の大小は別として必ず誤動作する。改めて感じた出来事である。
今回は2人旅であったので,完全ではないが機械の異常を示唆する状況説明ができたのだが・・・。
その自動改札機で,私の後ろの人が,ゲートが開かず人力改札を通ったことは良く覚えている。
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デジタル信号発生器全盛時代であるが,アナログエンジニアは今もアナログファンクションゼネレータを使用している。
理由はいくつかある。
周波数特性を測定するとき,大き目のつまみで周波数をスイープする。
大抵は,周波数特性を連続的に変えて,周波数特性のピーキングがないかどうかのチェックに非常に便利だからである。周波数連続可変でかつ手動設定なので,周波数特性のピーキングやノッチの有無を確実に,かつ好きな速度でスィープできる。
オールデジタルならかなり細かくスィープステップを設定しないと見逃すことがある。またデジタル方式は設定項目が多いことと操作の機種依存性が高いこともあり,使い勝手が機種ごとにかなり異なる。
異常な挙動を示す周波数が見つかったら,すぐにその設定のまま振幅を変更することもできる。
アナログFGは価格が安いので,最近は国産品が少ない。
アナログFGは,仕様的にはデジタルに敵わないが,その操作性故に大局的な見落としを回避できる可能性が高い。
手動・連続・高速スイープができ,ワンタッチで振幅・波形も変更できる。
40年前,私が新人であった頃,ねだって買っていただいたFG,N社製のウィーンブリッジ発振方式のFGで,前面パネル1杯の大きな周波数ダイアルある代物だった。もちろん,現在はそれより性能は向上している。
アナログ回路設計には,今もアナログ計器も必要であると考えている。
周波数特性測定の段階で,大きなピーキングを見逃したら,その後の測定は大抵意味を成さない。
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最近の回路屋さんは,デジタル中心でアナログを片手間にという方が,ICを使って組む回路分野では一般的であると思う。
では,アナログ回路の力量は?といえば
過半数が心もとない。
キルヒホッフの法則を用いての解析ができないケースが多いのだ。
文字係数のまま,回路の入出力関係を求める。アナログ回路の基本的な解析作業だ。ここから回路定数の決定作業が始まる。この作業ができないので,動く回路の実定数を欲しがる,その決定手順を欲しがる。自分で解かせれば,多くの符号のミス,移項のミスが発生するのが普通である。
キルヒホッフの法則を使う際,電圧・電流の向きの取り方を順次,「自分で決めてる」作業が伴う。これは本来機械的に決めればよいのである。その際,抵抗においてポテンシャルである電圧の向きと電流の向きが同一になることがある。
この場合,電圧Vと電流Iと抵抗の関係は,V=-RIとなる。案外これができない。
小学校・中学校の理科では,電池と抵抗を使い,電流の向きを意識させない授業が多い。高校物理では電磁気学やコンデンサなどの後半部分までたどり着く人数は,進学校でもそう多くない。
こんな背景もあり,アナログエンジニアが新人教育を行う際には,オームの法則の向きを意識することの重要性を強調し,キルヒホッフの2つの法則を符号ミスが出にくい方法で説明する。
解析できる部分は解析し,戦略を立てる。解析できない部分は腕力で,実験で要所を確認する。当然の工学的選択である。
こんなとき,幼い頃に竹とんぼ,自分の作った竹とんぼが良く飛ばないときに,自分なりに色々試行錯誤したときの思い出がよみがえる。そのものつくりの経験が回路定数選択に今も生きている。
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昨日から我が家の光通信系が壊滅状態だった。
光電話もインターネットもできない。
1日この状態になってみると,いかに自分が光ファイバーに依存していたか痛感させられる。
原因は,子猫が光ファイバーケーブルを壁とモデムの間を噛んだので,光ファイバーが断線。
昨日からサポートセンターへ電話し,保守サービス員が来るの今日は朝から待っていて,この時間に復旧。
ここのところ,細めのケーブルを齧られることが増えていた。
携帯充電器のケーブル断線。これは自分で直した。
マウスのケーブルは3ピースに切られた。ケーブルは細い4芯なので体裁よく再接続できず,買いかえた。
パソコン用ステレオスピーカの配線は切られ,そのACアダプターの出力線にも数個の噛み傷。もう使えない。
ケーブルの齧られ対策,あまり良案はない。
とりあえず,光ファイバーケーブルは分厚い本で囲い込み。
100Vの電源線はまだ無傷だが,これにも歯型がつくようだと我が家の電気器具の安全対策は根本から見直さなければなるまい。
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多くの回路は信号源抵抗が低いと周波数特性が高域に広がる。
エミッタ接地回路では,高域の周波数特性をおもに制限する寄生容量Cobの効果が減少し,場合によってはベース接地回路の周波数特性近くまで高域が広がることがある。
反転OPアンプ回路では,信号源抵抗が高いと見かけ上の増幅率が下がる。
スイッチング回路では,データシートの測定条件より低い抵抗の信号源で駆動すると,スイッチング時間が短縮される。
したがって,周波数特性を計算するときには,信号限抵抗を含めてモデル化しなければ実測と計算が大きく違うことがある。
信号源抵抗は回路図に記載されていなくとも,信号源抵抗を考慮したモデルで扱う必要がある。
回路シミュレータSPICEでは,直流・交流電源は理想的なものと扱われるから,意識的に信号源に抵抗を挿入しなければ,正しい結果が得られるとは限らない。
たかが,抵抗1本を追加した解析であるが,意外に影響の大きい場合もあると感じているアナログエンジニアである。
信号源抵抗,その値に配慮することなく行った特性予測計算は信憑性が少ない場合がある。
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開発設計者はほとんどの場合,これまでの設計とは異なる目標をもって設計を行う。
アナログ回路屋も同じである。
新しい設計を行えば,当然新しい課題に出会う。
新人にとっては,与えられる仕事は常に過去に経験のない仕事である。
新しい回路設計を行えば,少なくともひとつや二つは新しい課題に出会う。
その課題の本質を見抜く技量があれば,リスクを大きく低減できる。
新しい回路設計を行うとき,腕の立つ(年齢を問わない)エンジニアは,扱う量を実感するために,その量に関連して部品の制約や,熱的条件などを調べる。その後,既存の回路構成でいけるか,いけないか検討する。
目標が大きければ,最大の課題となる性能項目が出やすい回路構成を選択あるいは創出する。
そして,仮の部品選択を行い性能計算をさまざまな角度から行う。当然,回路定数一つ一つがそれなりの必然性を持ってくる。不安があれば,その項目の回路シミュレーションを行う。自分の作る回路の特徴と限界を把握する。
このようなプロセスがあれば,開発の後半で四苦八苦することは少ない,やり直しも少ない。
実はこのプロセス,新人でもベテランでも本質的に同じである。
知らないことは調べる。解析できるところは解析する。解析できない部分はシミュレータを用いて予測する。この姿勢があれば,入社2-3年の方とベテランとで質的にほぼ同じレベルの設計ができるはずである。
ただし,新人のほうは検討すべき本人にとって未知の部分が多いから,その分時間がかかるのはやむを得ない。
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