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オペアンプを用いた正相増幅器は,バッファアンプとしても使われるが,高入力インピーダンスの微小電圧の増幅に使われることも多い。
どこまで微小電圧を増幅できるかの予測は,センサシステム/計測システムなどの全体構成に大きな影響を及ぼす。
一方,反転増幅器は信号源インピーダンスの影響を受けやすいので,システムの初段に使われることは少ない。
正相増幅器では,そのオフセット電圧VIOは入力信号VIと同じ様に増幅される。オペアンプの+入力端子にはVIが掛り,その電圧からVIOだけ異なる電圧に等しくなるように,出力を分圧した電圧が接続される-入力端子の電圧と等しくなるように制御される。
分圧比の逆数が増幅率なので,正相増幅器ではオフセット電圧も信号と同様に増幅される。
オフセット電圧の値は,汎用オペアンプの数mVから高精度オペアンプの数10μVまで様々な品種がある。これと扱う信号電圧の比が無調整時のS/N比といえるだろう。
しかし,初段増幅の後に加算部分があり,初段に0Vを入力できれば,オフセット電圧の影響は消去できるので問題は少ない。
オフセット電圧は室温で規定されているので,それとは別にオフセット電圧の温度変化(温度ドリフト)μV/°Cが,オフセット調整後の性能指標になる。
×ばつオフセットドリフトが,その回路の次の段階での性能制約条件になる。この値が,基本的にS/N比を決める。
オフセットドリフトは,線形であるとは限らない。しかも,典型値で示されることが多い。
現在の最高レベルのオフセットドリフトは典型値で±0.1μV/°Cのオーダーである。ほとんどがバイポーラトランジスタ入力の演算増幅器である。10°Cの環境温度変化なら1μVは判別できる。10°Cの環境温度を想定すれば1μVがDC増幅の限界である。
ちなみに,汎用オペアンプでは±10μVMAXであるから,0.1mVを確実に増幅することは厳しいのである。
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