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アナログ電子回路でよく使われるオペアンプである。本にもよくその開放特性が記載される。
しかし、オペアンプの開放DC特性を直接的に測定したことのある方はどのくらいの割合で存在するのだろうか?
オペアンプの開放DC特性、これは直接測定することができる。
Photo_52 ←オペアンプの開放DC測定回路図
741タイプだと開放利得が約100万、オフセット電圧は±10mV程度なので、10-10Vの安定な電源を数1000分の一の分解能で分圧し、2さらに1000:1の分圧回路をオペアンプの入力のすぐそばに設け、3電源±15Vに確実な電源バイパスコンデンサを設ける。
このセッティングでオペアンプの開放電圧利得とオフセット電圧を同時に測定できる。
1は10kΩの10回転巻き線形ポテンショメータを使用すれば必要な分解能が出る。負の電圧を発生させるには利得-1の反転増幅器で、±15V電源から発生させる。2により被試験オペアンプには1-2μV分解能で可変できる入力を与えることができる。
被試験オペアンプの温度特性は数μV/°C程度以下なので、手早く測定すれば普通の室内で温度変化によるドリフトは入力換算で2μV程度以下に抑えることができる。
極めて原始的な方法だけに、測定結果には迫力とわかりやすさがある。
この方法で、実際に741オペアンプの開放DC電圧利得とオフセット電圧の同時測定に成功した。
それなりに種々配慮した実験計画が必要であるが、教育効果は大きい。
そしてオペアンプにとって1μVの世界がどのようなものであるか体感することができる実験である。
特殊機材や、専用回路を使用することなく、アナログエンジニアは直接的な手段で素子特性を測る。
このような手法が回路感覚を磨く、ベテランにとっても印象的な基礎実験であると私は思う。
複雑な原理の計測手法を使えば使うほど、現実感が薄れる。直接的な測定法はわかりやすく、実感に繋がる。
これがアナログエンジニア流のデモンストレーション技法のひとつである。
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