バイポーラトランジスタには、安全動作領域(Area of Safty Operation)という仕様項目がある。ASOの意味を知ってるいる方は、おそらく実践の場でのトランジスタの性能をすでにご存知の方だろう。
ASOはパワーバイポーラトランジスタに適用される項目で、ふつうデーターシートに時間をサブパラメータとして、許容する電圧と電流のグラフとして与えられる。半導体素子は1ms以下の短い時間なら、定格電圧と定格電流を扱えると思われがちであるが、品種によっては電力制限ラインで決まる領域より狭い電圧・電流のグラフが与えられることも多くある。
バイポーラトランジスタの場合、高電圧・大電流領域ではチップ内に均等に電流が流れず、局部的に高温になることがある。2次降伏である。この原因による素子破壊しない限界が安全動作領域である。
安全動作領域はデータシートの値と現実に破損する値がかなり接近している場合が多いので、一瞬の負荷短絡でもASO違反で素子破壊が起こる。特に電力用ダーリントントランジスタの場合は、扱える電力に比べて、より狭い安全動作領域が示されることが多い。高電圧側で一般に狭くなる。
電力回路ではASOをきちんと守らないと、不慮の負荷短絡や起動時に損傷を受ける可能性が高くなる。スイッチング用とであれば、パワーMOS FETを使えば、極短い時間であれば最大電流と最大電圧を同時に扱うことができる。
安全動作領域の制限は2次降伏による素子限界なので、永久破壊をもたらす。電力ストレスがかっかった状態からのASOは明示されていないが、データーシートのASOに余裕をとる設計で対処できる。
ASOとは、バイポーラトランジスタがいかなる条件でも超えてはならない絶対低格であろう。
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