オペアンプを使用して、入力信号と負入力端子の間にコンデンサCをいれ、負入力端子と出力の間に抵抗Rを挿入すると微分演算ができる・・・・。というのは、偽りであり、このままではたいてい発振してしまう。
オペアンプのオープンループ利得が1次遅れ系のため、ボード線図上でオペアンプの右下がりの周波数特性に対し12dB/octaveで微分特性が交差する。この結果、上記の原理微分回路はきわめて小さいダンピングファクターの2次遅れ形になり、たいていの場合発振してしまう。オペアンプを使用した微分器が初心者に嫌われる原因になっている。
安定性を保つには、コンデンサCと直列にrを接続し、オペアンプの1次遅れ特性と12dB/octで交わる前に帯域を制限し、周波数特性の平坦部をつくる。これだけで安定な微分回路を製作できる。
rを記載している本の多くは、Rに小さいcを並列に接続している例が多い。これは、1970年代に出版された有名な本がっこの形になっているためである。発振を防止するには、rだけでよい。そのほうがより高い周波数まで微分特性を達成できるから、cは必然ではない。
最小要素の動く回路を提示してこそ、生きた回路教育だと思う。定数を選んでも動くことが決してない「原理図」を初心者向けに示されることが多いが、アナログエンジニアにとっては苦労の種となる。
この程度のことは、回路シミュレータで簡単に再現できる。実回路を作るかシミュレーションで動作確認をして欲しいものだ。
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